このページの記事目次 (タグ: 90's の検索結果)
西海岸で活躍するピアニスト、シェリー・バーグ ( Shelly Berg , Cleveland , 1955~ ) が1996年に DMP に吹き込んだ記念すべきデビュー作品。
ピアノ好きなジャズ・ファンの間では1997年のオスカー・ピーターソンに捧げた作品 『 The Will 』 や、寺島靖国氏が絶賛した2005年のコンコード盤 『 Blackbird 』 などが人気がある。しかし、このデビュー盤もそれらと比べても決して遜色ない素晴らしい作品だ。
シェリーはピアニストとして活躍するだけでななく、音楽教育者としても有名である。1996年から98年には国際ジャズ教育協会 ( International Association for Jazz Education : IAJE ) のプレジデントを務めている。また、南カリフォルニア大学(The University of Southern California : USC ) ソーントン音楽学校のジャズ研究科での教授職の経験もある。2007年にはマイアミ大学フロスト校の学部長に任命されている。
そのような素晴らしいキャリアもあって、最近は若手ミュージシャンからの信望も熱く、「シェリー・バーグの薫陶を受け~」という経歴の紹介文をミュージシャン・サイトでみかける機会が増えた。たとえば最近ではジェラルド・クレイトンがシェリー・バーグにピアノと作曲を習っている。
ギミックを排し、あるときはストレートに小気味よくスイングし、あるときは哀愁美メロでリスナーの涙腺を直撃する。コンテンポラリーな気難しい曲もイケるのだろうが、決してやることはない。常に心地よいスイング感と解放感の演出にその力を注ぐ。聴いていると心底嬉しくなってくる、そんな幸福に満ち溢れた作品だ。
まあ、彼の作品はどれもほどんど同じ作風なのだが、そこがまたイイのだ。
シェリーの素晴らしさはその演奏力だけではない。彼のソング・ライティング力も瞠目すべき点である。本作でも哀愁を帯びたメロディーセンスが光るタイトル曲 ≪The Joy ≫ なども印象的だ。さらにはスタンダード≪ Here's That Rainy Day ≫ のラテン調のアレンジも秀逸であるし、とにかく演奏、作曲、アレンジと、どれをとっても非の打ちどころがない。
(記事編集) http://jazzlab.blog67.fc2.com/blog-entry-520.html
2009/11/21 | Comment (6) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |