雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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欧州ジャズファン必読 !! ジャズ専門誌 『 JAZZ PERSPECTIVE 』 創刊

   ↑  2010/11/08 (月)  カテゴリー: book
jazz perspective3

インターネットや電子書籍などの台頭により、紙媒体の未来は厳しいなどと言われる昨今。書籍が売れず、また次々と休刊や廃刊に追いやられる雑誌も多い中、なんと新たなるジャズ雑誌が創刊されることになりそうです。

今年6月にはジャズ専門誌の老舗 スイングジャーナルのまさかの休刊騒ぎがあった時などは、ジャズ界を取り巻く状況は僕らが想像以上に厳しくて、もしかするとジャズ批評やJazz Life も・・・と心配していただけに、新たなジャズ雑誌の創刊はまさに青天の霹靂。

雑誌名は “ Jazz Perspective ” 。ドナルド・バードとジジ・グライスの “ Jazz Lab ” を思い出すなぁ。なかなかカッコいいネーミングです。少なくとも“ JAZZ JAPAN ” よりは洒落ているかな。こうなったら JAZZ JAPAN も雑誌名を “ Jazz Retrospective ”でもしちゃえば面白いのにね。ちょっと自虐的過ぎるか(笑)。

発売はディスクユニオンさんで、執筆陣営を見てみると、ディスクユニオンの名物バイヤー、山本隆氏を筆頭に、欧州ジャズに通暁し、 『ヨーロッパのJazz レーベル』の著者でもあるジャズ評論家の杉田宏樹氏や、ヨーロッパジャズ研究の第一人者であり 『 ヨーロッパ・ジャズ黄金時代 』 ( 前項参照 )  の著者として有名な星野秋男氏など、著名な欧州系執筆者の名前が並んでいます。さらにはタワレコのバイヤー、馬場雅之氏、Vento Azul Records の早川公規氏、ジャズ専門店ミムラの三村晃夫氏、Catfish Records の深堀清次氏などなど、リアルタイムで日々の新鮮なジャズに接している信頼が置ける方々の名前も見られます。

創刊号の表紙を飾るのはデンマークの超美形歌姫、シゼル・ストーム ( 前項参照 ) 。特集はズバリ 『 北欧ジャズ 』。まあ、この執筆陣にしてこの企画、といった感じでしょうか。ワタクシ的にはストライクど真ん中の特集です。こういうのを長年待っていたんですよ、ってな感じです。本当は新生 JAZZ JAPAN にこのあたりをターゲットに頑張ってもらいたかったのですが、相変わらず旧態依然とした JAZZ JAPAN に代わって Jazz Perspective がやってくれたというわけです。

でも、 JAZZ JAPAN が悪くて、Jazz Perspective が良い、と言っているわけではなくて、どの雑誌も個性的で魅力的だと思うけど、自分のジャズ観、音楽的嗜好に今は Jazz Perspective  が一番フィットするように思うだけです。

Jazz Life はジャズ・プレーヤーに向けての唯一の情報媒体として機能しているし、ジャズ批評は同人誌的な紙面作りでコアなファンから根強い支持を得ているし、JAZZ JAPAN はジャズの歴史的視点に立脚した考察をこれからも行っていくでしょう。そういった既存のジャズ雑誌の中に割って入ってきたこの新刊ですが、ちゃんと他の雑誌と競合しないようにニッチなニーズをターゲットに制作されているわけです。

つまり、ジャズ雑誌界のエコロジカル・ニッチが重複、競合しないよう、ちゃんと配慮された商品といえるのではないでしょうか。 Jazz Perspective は決してJAZZ JAPAN やJazz Life を喰いつぶしたりしません。

版型はB5 でページ数は132ページ。ちょうど スイングジャーナルを半分の厚さに裁断した感じ。一カ月で読む分量としてはちょうどいいかな。これなら我が家の本棚に配架しても邪魔にならない。でもできれば電子書籍化してほしいなぁ。

思うに、Jazz Perspective の購買ターゲット層は、ディスクユニオンに足繁く通ったり、廃盤セールに並んだり、通販業者から頻繁に買ったり、あるいはAmazon.co.uk から大量に個人輸入したり ( ←これ私 σ(^_^;) ) するような、いわばロングテール層なんでしょうね。それだけに、どれだけのファンが買ってくれるのは、人ごとながら心配です。大好きな執筆者たちが揃っているだけに、ずっと続いて欲しいですね。


P.S. 「画期的、スタイリッシュなジャズ漫画など」も掲載されるようですが、どうせ漫画を掲載するなら、ラズウェル細木氏の漫画がまた読みたいなぁ。でも Jazz Perspective のコンセプトから完全にズレルから駄目か。



発売は11月24日予定です。amazonでも予約開始しているので、私はamazonで予約を入れました。


JAZZ PERSPECTIVE VOL.1
¥ 1,000¥ 1,000 / マーケットプレイス
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2010/11/08 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

ジャズ専門誌の老舗 『 スイングジャーナル ( Swing Journal ) 』 がついに休刊 

   ↑  2010/05/18 (火)  カテゴリー: book

ジャズ専門誌『スイングジャーナル』が、6月19日発売の7月号で休刊することがわかった。発行元のスイングジャーナル社(東京)によると、レコード業界の不振で広告収入が落ち込んだため。創刊は1947年で、最盛期の70、80年代は約30万部を発行したが、近年は部数が減少していたという。同社は「復刊の可能性を模索する」としている。同社発行の月刊音楽誌「アドリブ」も5月号で休刊している。( 2010年5月17日23時6分 asahi.com )




まさか『スイングジャーナル』が休刊に追い込まれるとは...。スイングジャーナル社の二大定期刊行誌の一つ『 アドリブ 』がつい先日休刊となったばかりだが、流石に社名を掲げる『スイングジャーナル』だけは死守するだろうと楽観視していたのだが、やっぱりだめだっかた。

休刊の原因としては、「広告収入の減少」と「部数低迷」を挙げているが、これらは不況による出版業界全体の問題であり、同社に限ったことではない。問題なのは、同誌が他の出版物に比べ広告収入への依存度が桁外れに高かったことと、内容的にみてもアップデイトされない古いジャズ・ジャイアントの特集と保守的な新譜論評で埋められた紙面作りが長年続き、マンネリ化してしまっていたことではないだろうか。

音楽情報はネットから得て、CDの購入は通販業者から買うか音楽配信で済ませてしまうスタイルが一般化した現在では、もはや音楽誌やリアル店舗はその存在価値をなくしてしまっているのではないか。リアル店舗でのCD販売が落ち込み、レコード会社の業績が悪化すれば当然広告費を削減しなければならず、広告収入に大きく依存していた同社にとっては多大なる打撃だったようだ。

スポンサーとなってくれるレーベルを贔屓してゴールドディスクとか何とか賞などを与えたり、必死にタイアップ記事を掲載したりする一方で、広告を打たないレーベルは完全に黙殺するという、およそ評論誌とは思えぬ理念(そもそも理念などないのだろうが)につくづく辟易してしまっていたし、特集記事にしても耳タコのジャズ・ジャイアントのものばかりで、毎回デジャブ感に襲われ、永劫回帰、輪廻転生の無限ループに紛れ込んだかのような眩暈に襲われるようになっていたので、ここ数年僕は、『スイングジャーナル』の購入を控えていた。

先ほどからネットでスイングジャーナルの休刊のニュースやTwitter を見ているが、僕と同様、「昔は買って読んでいいたが最近は買わなくなった」という内容の発言が多いことに気がつく。どうして古い購読者が今は買ってくれないのか、同社はもっと早い時期に読者の声をリサーチし、なんらかの手を打つべきだったのではないか。

編集長の三森隆文氏は「復刊の可能性を模索する」としているが、もしもいつか実現する日がくるのなら、その時はできれば電子書籍での復刊を果たしてもらいたい。あの分厚く重たいスイングジャーナルは、都内の狭小住宅住いの僕のようなジャズファンにとっては、それだけで購入を躊躇してしまうくらい厄介なものだ。僕は以前からDown Beat 誌をダウンロードして購読しているが、DB誌はたった100頁しかない。広告はあるがわずかで、一か月のジャズの情報としては必要にして十分な分量だ。しかも一年間の購読料が$19.99 と非常に安い。スイングジャーナルもぜひそのような紙面と料金で旬な情報を提供できる魅力ある情報誌として復活してもらいたいものだ。

この記事に含まれるタグ : スイングジャーナル 

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2010/05/18 | Comment (11) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

The Magazine for Diners Club SIGNATURE 2010年3月号 特集:ジャズ

   ↑  2010/03/18 (木)  カテゴリー: book



ダイナーズクラブの会員誌 SIGNATURE ( シグネチャー ) の最新号の特集はジャズです。

同クラブの会員になって約20年になりますが、シグネチャーでジャズの特集が組まれたのは初めてかもしれません。でもまあ、毎月届いても開封せずに捨ててしまうことが多いので、もしかすると今までにもジャズ関連の特集があったのかも。


ジャズ...世界の曲がり角で JAZZ on the Corner of the World


ニューヨークジャズの現状についての考察とジャズクラブの紹介、それからジャイルス・ピーターソン、小曽根真、クオシモード、渡辺貞夫のインタービュー記事などからなる17ページの特集です。


執筆されたのは、やっぱりというか、またかというか、小川隆夫さんです。このような現場重視のジャズにまつわるお話ができる方は同氏以外にはいないでしょう。

小川隆夫さんは『 ニューヨーク ガイドブック 』 という著書まで出しているくらいですから、ニューヨークのクラブ事情について一般向けに書くぐらい、なんてことはないでしょうね。

で、それほど珍しいことは書かれていないだろうと期待もせずにパラパラめくっていたら、ちょっと面白い記載がありましたので、ご紹介しておきます。


グリニッチ・ヴィレッジにあるジャズクラブ『 Smalls 』の3代目オーナー、スパイク・ウィルナー氏のインタビューの中で氏がこんなことを言っています。

「 自分が演奏する場に苦労したから、意欲のあるミュージシャンに門戸を開放したくてね。いまではスモールズ・ライブというネット販売専門のレーベルも作ったし、店からの実況中継もネットで観ることができる。ジャズクラブの新しいあり方を模索しているところさ 」

え!? ネットでお店のライブが観られるの?  と云うことで smalls の web site を覗いてみたら・・・

smalls stream

本当にライブ演奏をストリーミング放映していました。ちょっと画質が悪いですが、そこそこ聴ける音質です。ストリーミングされるのはNYC時間の午後7時30分から閉店(だいたい午前2時かな)まで。

ニューヨークと日本の時差は13時間あるので、smalls でライブをやっている時間帯は日本では日中なのが残念ですが、土日の休みの日なら観ることができそうですね。今日、午後2時ごろ、仕事をサボってちょっと観ましたが、無名なピアノトリオが演奏しているのがちゃんと観られました。

それにしても、日本にいながらにしてニューヨークのライブをリアルタイムで観られるなんて、凄くないですか?こういう企画は他のジャズクラブもどんどんやってくれると嬉しいんだけどね。スパイク・ウィルナー氏もジャズクラブのあり方を模索中だと話しているので、今後の戦略に期待したいです。

たとえば、低画質のストリーミング視聴なら無料だけど、高画質のストリーミング視聴したいなら月 $9.99 。さらに、ダウンロードし放題プランなら月 19.99 などとすれば、けっこうお金を払って観るファンもいるんじゃないだろうか。こういうネット上にジャズクラブを構築するといったビジネスモデルは今までなかったでしょ。


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2010/03/18 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

ヨーロッパ・ジャズ黄金時代 / 星野秋男 著

   ↑  2009/11/14 (土)  カテゴリー: book

ヨーロッパジャズ黄金時代



今まであまり体系立てて考究されてこなかったヨーロッパ・ジャズについて、音楽研究家である星野秋男氏が本格的に解説した待望の一冊。

ヨーロッパ・ジャズに関する研究では第一人者である氏は、1997年に刊行された季刊ジャズ批評別冊 『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 にも共著者として多大なる貢献を果たしている。1800枚という気の遠くなるようなカタログを制作した著者らの熱意にも感服させれたが、なによりも氏が巻頭に寄稿した論文「ヨーロッパ・ジャズの歴史」に、当時の僕は強い関心を持った。

当時、ヨーロッパ・ジャズに関してはほとんど無知状態であった僕にとってはすべてが驚きであった。すでに1920年前後にはジャズ・バンドがヨーロッパの各国各地で活動していたという事実にまずは驚き、史上初のジャズ評論を書いたのがあのジャン・コクトーであったことに驚き、渡米したストラヴィンスキーがチャーリー・クリスチャン、アート・テイタム、チャーリー・パーカーに夢中になり、ライブハウスに通いつめたという話に驚き、ジャズが誕生したは1917年のニューオーリンズでの出来事ではなかった、という件には、動悸と眩暈で倒れそうになった。

兎に角、この季刊別冊は当時、眼光紙背に徹するまで読み通した、まさに僕にとってはヨーロッパ・ジャズの聖書のような存在であった。

同書でヨーロッパ・ジャズに目覚めた僕は、その後、2002年に刊行された杉田宏樹氏の著書 『 ヨーロッパのJAZZレーベル 』を読み耽りながら、徐々に欧州ジャズの魅力に嵌っていき、今に至っている。

『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 に掲載されている60年代を中心とした名盤、レア盤はどれも一度は聴いてみたくなるような音源であったが、なにしろ当時は入手が至難であった。いくら欲しいとはいえ、僕は貯金を蕩尽してまで手に入れたいとは思わなかったので、はじめから収集は諦めていた。それに対して杉田氏が 『 ヨーロッパのJAZZレーベル 』で紹介しているCDは、ほとんどが苦労せずとも入手可能なものばかりであったため、いまでは紹介CDのほぼすべてを所有するに至っている。

それにしても毎月、数多くのヨーロッパ・ジャズの新譜がリリースされ、一方で信じ難い質と量で過去の名盤、レア盤の再発が進んでいるにもかかわらず、そのヨーロッパのジャズ情報を扱った書物があまりにも少ない。Swing Journal 誌やJazz Life 誌などで時々ヨーロッパ・ジャズの特集を目にするが、一冊まるごとヨーロッパ・ジャズを扱った書籍は上記の2冊しかないのではないか。

しかし、両書とも発刊されたのは10年も前のことである。仕方ないことではあるが、いずれもが月日の流れの中でその情報は「過去の情報」と化してしまった。アップデイトされたヨーロッパの情報が欲しい。そう願っていたファンは決して少なくなかったはずだ。そういう意味で、今回の星野氏の新刊は待望の一冊と云えるだろう。

という訳で、昨日、やっと本書を手にすることができたのだが、まずはざっと目を通して感じたのは、やはり星野氏は今のヨーロッパ・ジャズ・ブームには否定的だ、ということ。

ヨーロッパの国ごとに章分けされ、各章ではまず総論、その国の有名ミュージシャン解説、そして推薦ディスクと、分けて詳しく解説されている。だが、80年代から90年代のジャズに関しては、総論で軽く言及するに留まり、今世紀のジャズに至っては全く触れられていない。

ミュージシャンの個別解説や紹介ディスクでも、全て60年代から70年代のミュージシャンおよびディスクで占められている。つまり『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 とほぼ同じ時代に焦点が当てられているわけだ。

そもそもタイトルにあるヨーロッパ・ジャズの “ 黄金時代 ” とは “ ヨーロッパのジャズがアメリカのジャズとは違う独自性を獲得し、革命的な気鋭のミュージシャンが数多く登場した60年代から70年代初頭 ” の時期を指している。この最もエネルギーのあった時代に氏は並々ならぬ愛情を持っているわけで、正真正銘の硬派なジャズ研究家なのだ。

だから、昨今の日本におけるユーロ・ジャズ・ブームに対しては厳しい裁断を下す。

( 前略 ) 日本でのヨーロッパの新譜の聴かれ方は、メロディーのきれいなピアノ・トリオ物やあまりにもオーソドックスなバップ風の演奏に偏重し、新しいファンの中にはラーシュ・ヤンソンのCDは全部持っているが、ロリンズもパウエルも知らないという聴き方さえも生まれている。こういう聴き方はどうなのだろう?明けても暮れても似たようなピアノ・トリオばかり聴いて、その殻に閉じこもっているのでは、リスナーとしての発展的な成長は望めないのではないか?

( 前略 )ジャズ・ファンはカレル・ボエリーのような聴き易いピアノ・トリオばかりではなく、たまにはそうした硬派な演奏にも目を向けるべきだろう。ジャズはきれいなメロディーで単に癒されればいいという音楽ではないし、暇つぶしの娯楽ではない。

僕のように軟弱なジャズ・ファンには耳が痛い言葉だ。頭じゃ分かっちゃいるのだが,,,,。仕事で疲弊して帰宅。一息ついてさあ何か聴こうかと思ったとき、アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハに手を伸ばす体力が悲しいかな僕には残っていないのだ。

ただ、癒しと刺激は表裏一体、二律背反であり、全く別ものではないと個人的には思うのだが。硬派で難解なジャズを好んで聴くファンも、その先に癒しや心地よさを期待しているのではないだろうか。

本書では軟弱ピアノ・トリオ偏重主義者以外にも批判の対象となっている方々がいる。それはクラブ・ミュージックのDJやライター達だ。彼らはジャズの理解に誤りや勘違いが多く、その中には氏の文章を盗用する輩もいるらしいのだ。クラブ・ジャズに関しては僕自身もかなり懐疑的な見方をしてきたので、氏の歯に衣着せぬ発言に思わず小膝を打ってしまった。

プロの物書きというものは、できるだけ読者を怒らせないように、読者にストレスをかけないように配慮して筆を進めるものだが、氏はそのあたりはあまり考えていないようだ。そこがまた読感爽快でもあるのだが。

で、結局、この星野氏の新刊、どうなのよ? なんだか『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』を持っていれば新たに買う必要ないんじゃないの? って云う声も聞こえてきそうだが、確かにその考えにも一理あるように思う。ざっくり云って 『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 と同じだ。

各論的にはもちろん前作から書き足したり、書き直ししたりしながらヴァージョン・アップした感はあるが、基本的な姿勢は頑固なまでにぶれていない。第一章の 《 ヨーロッパ・ジャズの歴史 》 などは、『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 の巻頭論文 《 ヨーロッパ・ジャズの歴史 》 に加筆しただけかもしれないし (タイトルが大体において同じだしね)。

がしかし、( 数え間違いなければ )  442枚の推薦ディスクの約半数は 『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 には掲載されていない作品に差し替えられているし、中には『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』では人名辞典やディスク・カタログで取り上げられなかったミヒャエル・ナウラ ( Michael Naura ) のような人物を大きく紹介したりと、改定部分も多い。

更には、プログレッシブ・ロックやクラブ・ミュージックとジャズの関係まで論を広げて考究している章なども 『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』には無かった部分だ。

そういった理由で、『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』を買い逃したファンはもちろんのこと、すでに同書を持っているファンも新たに買うのに躊躇する理由はないだろう。
 
推薦ディスクをペラペラめくりながら、「これ持ってるぜ~、ヒヒヒ」、「こんなん知らねーぜ、くっそ」と、ひとり下品な悦楽に浸って欲しい。
 
そして、もしかすると本書を買うファンというのは、皮肉にも氏が忌み嫌うクラブ・ミュージックのファンやDJ らが多いのではないだろうかと、密かに思っているのだがどうだろうか。


ヨーロッパ・ジャズ黄金時代 / 星野秋男  ( amazon )  2.800 円

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2009/11/14 | Comment (5) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

ハード・バップ大学 アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズの天才養成講座

   ↑  2009/06/16 (火)  カテゴリー: book
art blakey hard bop academy
ハード・バップ大学 アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズの天才養成講座 (P‐Vine BOOKs)
ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS HARD BOP ACADEMY
Alan Goldsher 著 川嶋文丸 訳

音楽とスポーツを専門とするジャーナリストであり、自らもベーシストとして演奏活動を行う著者が、アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズを去来した数多くのミュージシャンに取材し、そこから得た逸話をもとに、著者自身の簡潔・明瞭な分析を盛り込みながら巧みに物語を進めていくドキュメンタリー作品である。

ほとんどのこの手のミュージシャン・ドキュメンタリー作品が、そのリーダーや主要参加ミュージシャンだけに焦点をあてて書かれているのに対して、本書ではいままで語られることがほとんどなかったジャズ・メッセンジャーズ出身のミュージシャンについても言及うしている点が実にユニークだ。

リー・モーガン、フレディー・ハバード、ドナルド・バードらについてのエピソードが語られるその一方で、ヴァレリー・ポノマレフ ! 、ブライアン・リンチ ! 、果てはフィリップ・ハーパー !! まで網羅されている。ジャズ・メッセンジャーズでは終始脇役の地位に甘んじているベーシストのレジー・ワークマン、チャールズ・ファンブロー、ロニー・プラキシコらにもスポットライトを当てている点も見逃せない。

フレディー・ハバードが語る、出しゃばり過ぎてブレイキーに頭を叩かれた話、ブランフォード・マルサリスが語る、ソロの最中にチャールズ・ファンブローに弓でお尻を突つかれる話、ブレイキーが語る、キース・ジャレットがいつも、自分のレベルに達しないからという理由でバンドのメンバーを首にしてくれと頼んでくる話・・・・など、どのエピソードも内幕的で面白く、そして胸が熱くなるものばかりだ。

アート・ブレイキーは周囲のミュージシャンから慕われ、多くの若手ミュージシャンがジャズ・メッセンジャーズのメンバーになることを夢見ていた。本書に登場するミュージシャンは口を揃えてブレイキーに対する尊敬と感謝の念を述べている。しかし、ブレイキーとサイドメンとの交流の根底に流れるものは愛なんだと思う一方で、本当にブレイキーは彼ら愛していたのだろうか? という疑問も本書を読み進めていくうちに湧いてくる。会社組織が生き残っていくために、能力に陰りの見えてきた社員をリストラし、常に新しい有能な社員を新規雇用していく、といったシステムがこのアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズにも適応されているように思えてならない。 JM は ≪ Hard Bop Academy ≫ ではなくむしろ ≪Hard Bop Company ≫ ではないかと。


JM のサイドメン達は例外もあるがほとんどが2年から3年のうちに解雇される。自ら脱退していくも者もいるが、それにしたって解雇される前に自分で辞表を書いてしまおうという考えで辞めていくのだ。その解雇の仕方がちょっと厳しい。86年から89年の4年近く在籍していたピアニストのベニー・グリーンは次のように語っている。

自分から辞めなければ、クビにされるのは当然だった。ぼくは現実から目をそらしていた。アートはまるで吸血鬼だった。若くて新しい血を糧にして生きていた。ぼくが愚かだったのは、アートがぼくにクビを言い渡すなら、そのとき、きっと心温まる会話を交わせるだろうと思い込んでいたことだ。バンドに加入させてくれ、ぼくを教えてくれ、成長させてくれてありがとうと、面と向かってアートに言う場面があるだろうと思っていた。でもそれはなかった。現実には、ヨーロッパのロード・マネジャーがツアーが始まる一週間前に電話してきて、『 イギリスのツアーには、ジェフリー・ザーキーが参加することになった 』 と通知されただけで終わった。ぼくにとっては、むごい仕打ちだった。( 298 頁 )


あなたの会社にもいないだろうか。それほど能力があるわけでもないのに組織をコーディネイト、マネージメントする能力には秀でているために ( あるいは “ だけで ” )  出世していく人間。ぼくはブレイキーにそんな人間像を重ね合わせて見てしまう。

マイルス・デイヴィスに関する著書は数多くあれど、意外にアート・ブレイキーに関する著書は少ない。と云うか、ぼくの手許にはジャズ批評 Np.65 『 特集 アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ』 ( 1989年 ジャズ批評社 ) しかない。JM の大ファンのぼくとしては、それはそれで重宝しているのだが、なにしろメジャー・ミュージシャンがメインであるため漏れてしまっているミュージシャンが大勢いる。本書はその空白を補ってくれる著書としてジャズ批評とペアで末永く世話になることであろう。




中年音楽狂さんの本書に関する記事はこちら
2009-6-22 相当面白い 「 ハードバップ大学 」

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2009/06/16 | Comment (11) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

南 博 / 鍵盤上の U.S.A.

   ↑  2009/04/23 (木)  カテゴリー: book
minami hirosi USA 
 


ジャズピアニスト南博氏の文筆家デビュー作 『 白鍵と黒鍵の間に 』 は、小岩のキャバレーでヌード演歌の歌伴をしていた高校時代から、世の中がバブル景気で浮かれていた80年代後半の銀座で、高級クラブのバンドマンとして気鬱な日々を送っていた頃までを描いた自伝エッセイだった。本新作はその続編である。

「いくら大枚の金をもらっている身としても、結局、金よりも大切な何かを失うことになってしまう。」
「金をためてアメリカへ留学しよう。」

ギャラは破格でもクラブの歌伴として生きていくことに疑問を感じた南は、本物のジャズへの憧れを抱き、ボストンのバークリー音楽院に留学を果たした。今回の物語はそこから始まる。

はじめは言葉や人種の壁に阻まれ、なかなか思うようにことが運ばない。孤独感に苛まれ、来る場所を間違ったのではないかと一時は後悔もする。しかし南は様々な苦境を乗り越えながら米国で生きていく。

日本人を見下す不遜で意地の悪い教師によるアンサンブル授業。

譜面もよめないような田舎出身のティーンエイジャーに交じってのイヤー・トレーニング。

ひとつひとつのエピソードが実に面白い。僕らジャズ・ファンにとってバークレーは、最高級の設備と教師陣を提供するジャズの超エリート学校、というイメージがあるが、実際にはそうでもないことがこのエッセイを読み進めるうちにわかってくる。練習用のピアノだって調律されていないボロボロの代物だったりするのだ。

しかし、世界中から我こそは、とバークレーめがけて集まってくるプレーヤーのレベルは言うまでもなく非常に高い。授業後の自由時間を利用して夜な夜な行われるセッションを通じて南は、≪ セッションをすることが、バークリーの最大のメリット ≫ であることに気づいていく。

「その当時でさえ、バークリーの音楽理論を日本で勉強することは、不可能なことではなかった。ただ、世界中から集まってきたアメリカ人を含むセッションの場、これは、東京にいたのでは一億円カネを積んでも得られない環境であると思った。」

さらに学内のセッションに飽き足らなくなった南は、ロックスベリーというヤバい黒人街にあるクラブでのセッションにのめり込んでいく。ボストン訛りの汚いスラングが飛び交う黒人達の中に交じり、彼は貪欲に本物のジャズのテクニックやスピリットを学んでいった。その姿勢は非常に貪欲だ。そう、貪欲にチャンスをものにしていかなければ生きていけない。それがアメリカのルールだ。黒板に向かい、静かに授業を受けていただけではいくらバークリーに留学してもプロとしての職にはありつけないのだ。

そして、バークリーから吸収できるものはなんでも吸収してしまおうとする貪欲なその探求心、向上心は、ついにはクリスチャン・ジェイコブやスティーブ・キューンといった大物ミュージシャンの個人指導をも可能にする。この章はクリスチャン・ジェイコブやスティーブ・キューンの大ファンである僕にとっては非常に魅力的で貴重な話でいっぱいだった。彼らの人間性や人柄などのインサイドな情報は、ジャズの専門雑誌などをいくら読んでいても得られないものだから。

定職につかぬまま、宙ぶらりんな状態でボストン界隈で音楽活動を続けていた1994年、何気なく応募したグリーンカードの抽選で幸運にも当選し、アメリカの永住権を得る。永住権を得るということは、つまりは税金を払う義務が生じたということだ。日本に帰るか、それともこのままアメリカで生きていくかの決断を迫られる。

「銀座のナイトクラブでピアノを弾いて、大枚のカネを稼ぎ、それを元手にボストンのバークリー音楽大学に留学し、卒業後、ビザのことを気にしなくても、このアメリカという国にリーガルに住める権利を得た。僕の人生にしては大ヒットじゃないか。( 中略 ) いずれにしせよ、ボストンでずっとピアノの練習をしているわけにもいかないし、日本に帰ったところで、何か大きなことが待っているわけでもないし。加えて、あれだけ銀座で稼いだカネも、さすがに底をつきはじめていた。仕事を探すにしても、ボストンよりニューヨークの方が見つけやすいのではないか。とにかく今行かないと、後で後悔するんじゃないか。」

アメリカに来て既に4年の月日が流れようとしていた。南はトランク2個に荷物をまとて、ルームメイトの日本人女性、アヤちゃんとヨシちゃんに見送られニューヨークに旅立った。本作はここで終るが、一作目の 『 白鍵と黒鍵の間に 』 を読み終えたときと同様、はやく続き( 『 ジャズピアニスト・エレジー ニューヨーク編 』 ) が読みたくなる結末である。ただ、南氏の経歴を見る限り、その後ほどなくして活動の拠点を日本に移しているようだ。

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2009/04/23 | Comment (14) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

田中啓文 / 落下する緑

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: book
落下する緑

ジャズ入門書や指南書の類は、巷に佃煮にして売れるほど沢山存在ますが、ジャズを題材にした小説となるとぐっと少なくなります。ましてやミステリ小説となると皆無ですね。僕の知る限りでは、ジャズ関連のミステリ小説を書く作家は田中啓文しかいません。

自身もテナー・サックスを吹く現役のジャズ・プレーヤーであり、関西で活動をしている“ ザ・ユナイテッド・ジャズ・オーケストラ ”のバンドマスターでも田中啓文は、93年に本書にも収録されている表題作 『 落下する緑 』 で 「 鮎川哲也の本格推理 」 に入選し作家デビューを果たした作家です。

彼の著書の中で、この永見緋太郎の事件簿シリーズだけがジャズがらみのミステリです。本書  『 落下する緑 』  ( 東京創元社 ) が発売されたのは2005年で、今年になり文庫版が発売になっています。上にアップした表紙は文庫本のものです。実は8月に永見緋太郎シリーズの第二弾 『 辛い飴 永見緋太郎の事件簿 』 ( 東京創元社 )が発売になっています。こちらもただいま熱読中ですが、滅多にお目にかかれないジャズ・ミステリですので、ゆっくり味わいながら読んでいます。

さて、このジャズ連作ミステリ小説 『 落下する緑 』 には7編の短編が収録されています。ほとんどが東京創元社が発行しているミステリ専門誌『 ミステリーズ 』に連載されていた短編です。 ジャズしか頭にない世間知らずのフリー系の若きテナーサックス奏者、永見緋太郎が、身近に起きた事件、謎をその鋭い推理力で次々と解決していくミステリです。隋書に散りばめられたジャズ用語は、ややもすると、ジャズの知識のない読者には抵抗感があるかもしれませんが、逆にジャズ好きにはたまらないスパイスとなり、臨場感、リアリティー感を増幅させてくれます。

傲岸不遜な名ベーシストの所有する高価なベースが何者かに壊されてしまう話や、レコード会社の担当者を鼻で使う横行跋扈なジャズ評論家への復讐ミステリ、などなど、これは絶対モデルとなる人物がいるなぁ~、きっと( ̄∇ ̄; とニンマリしながら読める面白い話ばかりです。 あまり読むのが速くない僕でさえ、面白さのあまり一晩で読み終えてしまったほどです。

それそれの短編の終わりには、ストーリーに関連したCD, LPが3枚づつ紹介されており、ジャズ・ファンには嬉しいオマケとなっています。まずは文庫化されて読みやすくなった本書を手にいれ、気に入ったら新作の単行本『 辛い飴 永見緋太郎の事件簿 』を買われてはいかがでしょうか。

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2008/12/12 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

猫ジャケ 素晴らしき “ ネコード ” の世界

   ↑  2008/08/22 (金)  カテゴリー: book

今日、仕事帰りに近所の大型書店に寄って、スイングジャーナルの9月号を立ち読みしていたら、目の前にこんな新刊が平積みされてた。

『 猫ジャケ 素晴らしきネコードの世界 』

レコード・コレクターズの増刊号として発売されたようだ。ちょいとめくってみるとけっこう知らない猫ジャケがあって、それなりに目を楽しませてくれる。モンティー・アレキサンダーのMPS盤『 Love Strains 』や、フランク・ザッパが猫を抱いている『 London Symphony Orchestra Vol.II 』など、まったく見たことも聞いたこともない作品が載っていた。遠藤賢司のインタビュー記事もあって懐かしくなり、スイングジャーナルそちのっけで思わず見入ってしまった。しょうもないと言えばしょうもない本だが、猫好きの息子を喜ばせようと買ってきた。でも結局、息子はあまり興味を示さなかった。彼にとっては本物の猫しか興味の対象ではないらしい。

本書はジャズに限らずロック、和フォーク、シャンソンなど、あらゆるジャンルからチョイスしているので、ジャズの作品はあまり登場していない。ジャズに関して言えば、いくらでもほかにありそうだが。

そんなわけで、突発的になんだか猫ジャケ作品を聴きたくなり、棚から引っ張り出して先ほどから聴いている。最近の猫ジャケといえば拙ブログでも紹介したマイク・スターンの最新作『 Who Let The Cat Out ? 』やウルフ・ワケーニウスの『 In The Spirit of Oscar 』 などがすぐに思い浮かぶ。個人的には以下の3枚が猫ジャケ愛聴盤だ。


Tina Brooks  『 Minor Move 』  1958 Blue Note

幻のテナーマン、ティナ・ブルックスは、Blue Note に4枚のリーダー作を残したが、彼の存命中に発売されたのはご存じ『 True Blue 』 ( ST-84041 ) のみ。残りの3枚は発掘盤として後に日の目を見ることになるが、この黒猫の 『 Minor Move 』は、80年代にマイケル・カスクーナの尽力により発掘され、King Records が『 キング世界初登場シリーズ: GXFシリーズ 』 として発売したもの。アルフレッド・ライオンがなぜ 『 True Blue 』 以外の3枚をボツにしたのか、その真意は分からないが、今、4枚を並べて聴いてみると、確かに『 True Blue 』 の出来が一番イイ。ブルックスのオリジナル曲も哀愁味溢れていてイイ感じだし、フレディー・ハバードも乗りに乗っている。『 Minor Move 』 もリー・モーガン、ソニー・クラークと、役者揃いだが、いま一つ散漫とした印象を受ける。本作は King からTOSHIBA EMI に発売元が変わってもLPで再発され、さらに2000年には米Blue Note から ≪ Connoisseur cd series ≫ としてCD再発もされいる。



Shelly Manne & His Men  『 More Swinging Sounds 』 1956 Contemporary


Contemporary には、バーニー・ケッセルの “ うし” や、ハンプトン・ホーズの “ ワニ ” など、動物のイラストを用いた作品がいくつかあるが、本作もその一つ。よく見ると髭もないし、ニクキュウもないし、犬にも見えなくもない。でも、なんだかとっても楽しい音楽が詰まっていそうなことだけは伝わってくる。大学時代、必死にウエスト・コースト・ジャズを収集したが、現在はそのほとんどが倉庫の段ボールの中で眠っている。そんな中、本作は今でも愛聴し続けている数少ないWCJ の一枚だ。特にB面の組曲がイイ。


Gil Evans Steve Lacy  『 Paris Blues 』  1988 Owl

ギル・エバンスが1988年に亡くなる3か月前に吹き込んだ盟友スティーブ・レイシーとのデュオ作品。ギルはアコースティック・ピアノとエレクトリック・ピアノを弾き分けている。オーケストラを率いたときの壮大で幻想的な響きとは対極にあるような実にシンプルで音数の少ないピアノを弾く。スティーブ・レイシーは個人的にはあまり好きなタイプではないが、本作の彼はとっても聴きやすい。過激でアヴァンギャルドな彼の側面は影を潜め、やや内省的な静謐な音世界を繰り広げる。深夜の静まり返った空間によく似合う音だ。

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2008/08/22 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

小川隆夫著 / ザ・ブルーノート、ジャケ裏の真実

   ↑  2008/07/10 (木)  カテゴリー: book
小川隆夫著 『 ザ・ブルーノート、ジャケ裏の真実 』

昨日、仕事帰りに買っておいた小川隆夫氏の『 ザ・ブルーノート、ジャケ裏の真実 』 (講談社)を読む。読むといっても、気になるページをランダムに拾い読みしているだけだが。本書は、ブルーノート1500番台のレコード一枚一枚に書かれていた当時のライナーノーツから、小川氏が興味深いと感じた記述を拾い出し、それに注釈をつけた、いわばライナー・ノーツ解説書だ。小川氏の文章には寺島氏のような文学的な面白みはないが、いつも「ふ~ん、そうなのね~。なるほどね~。」といった小さな発見に溢れていて、違った意味で面白い。

≪1569番、ポール・チェンバースの『 Bass On Top 』で、彼が弾いていたベースは、たまたまスタジオにあったダグ・ワトキンスのベースだった。≫ 

≪ 1580番、ジョニー・グリフィンの『 The Congregation 』は、アンディ・ウォーホールが描いたイラストのジャケットで有名だが、あのグリフィンが着ているアロハ・シャツは1533番のジャケット写真で彼が着ていたシャツだった。≫

などなど、トレビアの泉の宝庫だ。ただ、これらはもしかするとブルー・ノートのファンなら周知の事実なのかもしれないし、国内盤のライナーノーツにすでに書かれていることなのかもしれないが。その証拠に、1594番、ルイ・スミスの『 Smithville 』 の項では、

≪ ルイ・スミスが2枚のリーダー作しか吹き込まず、シーンから姿を消したのは、本業の音楽教師に復帰するため地元アトランタに帰ってしまったためだ。≫

と書かれていて、これまた「へー、そーだったのね~。」と感心しながら、先ほど家にある本盤の岡崎正通氏のライナーノーツを読み返したら、同じことが書かれていた。単に、僕が勉強不足であっただけなのだ。

それにしても小川氏の執筆のペースは尋常ではない。本書以外にも『 ジャズマンが語る ジャズ・スタンダード120 』と『 JAZZ 黄金コンビはこれだ! 』を書いたばかりなのに、今月中には『 証言で綴るジャズの24の真実 』 も発売になるらしい。

整形外科医として臨床に従事し、原稿も書いて翻訳もして、さらには「ONGAKUゼミナール」をはじめ、多くのイベントを主催し、いったい一日をどのような時間配分で過ごしておられるのだろうか。1人で5人分くらいの仕事をこなしているように見える。臨床の仕事以外にブログの更新(それも時々)をするのがやっとの僕には想像もでいないことだ。

この記事に含まれるタグ : 小川隆夫 ブルーノート 

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2008/07/10 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

ジャズ批評

   ↑  2007/11/18 (日)  カテゴリー: book
ジャズ批評No5表紙 ジャズ批評No5 目次


 

Jazzジャーナリストでもあり、現役の整形外科医でもいらっしゃる小川隆夫氏の運営するブログ、『 Keep Swingin’ 』の1115日付けのエントリー記事にこんな件がありました。勝手に引用させていただきますが、お許しください。

≪ ぼくのことが雑誌に掲載されたり、本が出たりすると一番喜んでくれるのが母親です。年老いて、普段は生きる気力もないようなことを口にする母親ですが、それでもぼくのことが紹介された雑誌や本を見ると、数日間は元気になります。
取材をするのは得意でも、受けることに違和感を覚えるぼくですが、母親の喜ぶ顔が見たくて、せっかくのチャンスは有り難く受けることにしています。単行本を節操なく出し続けている一番の理由も同じです。極私的なことにつき合わされる読者のかたは迷惑でしょうが、母親あってのぼくなので、ご勘弁ください。
12月は、お陰で彼女の嬉しそうな顔が連続して見られることでしょう。楽しみはいろいろあるんですが、こういうのもぼくの中では結構大きいんですよ。≫

拙ブログにおいでの方は既にご存知とは思いますが、僭越ながら数か月前より拙ブログ『雨の日にはJAZZを聴きながら 』を『 ジャズ批評 』誌で紹介していただいております。また、特集記事についてもわずかながらですが駄文を掲載させていただいております。

“ criss ”などと言うふざけたペンネームで、しかも無責任極まりないなブログという形態で書かれた記事を、由緒あるジャズ批評誌に掲載させていただいている訳で、この上なく有難いことだと感謝しております。しかし、感謝する気持ちがある一方で、ものすごく恥ずかしい気持ちでいっぱいですし、本当にこんなブログ記事を載せちゃっていいのだろうか、という疑問も湧いてきます。

僕の手許には古いジャズ批評誌が沢山ありますが、たとえば1969年の5号を棚から引っ張り出してその執筆者を見てみますと、そこには今では信じられないくらい錚々たる著名な評論家達が名を連ねていることに気づきます。相倉久人氏、植草甚一氏、平岡正明氏、それに最近惜しくも亡くなられた清水俊彦氏、などなど。現在、音楽業界にはびこる似非ジャズ評論家達とは違い、真のジャズ評論ができる面々が、わずか70ページ足らずの紙面に各々が熱き持論を展開しているのです。無駄な論評など一字たりともありません。そんなまさに超高密度の評論雑誌であった頃の同誌を読むにつけ、「次号はお断りしよう」と思うのですが、実は、僕の同誌への掲載を僕以上に楽しみにしている人がいるのです。

それは
小川隆夫氏と同じく、僕の両親なのです。毎回、ジャズ批評を栃木の実家に郵送してあげるのですが、それを本当に楽しみにして待っていてくれるのです。音楽に全く興味のない両親ですが、僕の書いたマニアックな難文を、母が父に読んで聞かせてあげているそうです。母66歳。父69歳。父は2年前に直腸癌にかかり手術を受けました。今のところ再発はありませんが、いつ再発してもおかしくない状態です。

僕も
40歳を過ぎ、子供ができ、やっと親のありがたみが分かる歳になりました。こんな些細なことですが、僕の記事を読みながら二人でニコニコ笑い、お茶をすすっている両親を思い浮かべながら、「依頼があれば、もう少し書かせてもらおうかな」って、思っている今日この頃であります。

P.S. ジャズ批評5号の中で、清水俊彦氏が執筆しているそのタイトルが凄いですね。「ニュー・ジャズとニュー・ロックの相互浸透とラリー・コーイエルの反バートン的局面について」ですよ。ラリー・コーイエルって、何だと思ったら、ラリー・コリエルのことでした。反バートン的って、何かの物理の法則かと思ったら、ゲイリー・バートンのことなんですね。それにしても清水俊彦氏の評論は難解です。彼の著書は我が書棚に今でも鎮座していますが、一生かけても理解できないだろうな。

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2007/11/18 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

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