雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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このページの記事目次 (カテゴリー: tenor

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Max Ionata / Dieci

   ↑  2011/09/02 (金)  カテゴリー: tenor
cover max ionataMax Ionata / Dieci ( amazon.co.jp )
2011 VVJ

Max Ionata (ts)
Luca Mannutza (p)
Nicola Muresu (b)
Nicola Angelucci (ds)
Fabrizio Bosso (tp,flh)


ダニエレ・スカナピエコと並び日本でも人気のイタリア人テナーサックス奏者マックス・イオナータ ( Max Ionata, 1972~ )の通算8作目となる最新作。

イタリアン・ジャズが日本のジャズ市場でも注目されるようになってから6~7年経つでしょうか。そのイタリアン・ジャズ・ブームの火付け役になったのが、ファブリツィオ・ボッソを中心として結成されたクインテット “ High Five ” だったわけですが、彼らが奏でるイタリア独得の哀愁美漂う現代のハードバップは、その後のイタリア・ジャズの雛型として機能し、多くのジャズファンを魅了しました。

2009年に Albore Jazz からリリースされたマックス・イオナータの 『 Inspiration 』 ( 前項あり ) は、そんな“ High Five ” 型に準じたイタリアらしい情熱と哀愁のせめぎ合いが見事に現出された、イオナータのキャリアを代表する素晴らしい作品として記憶に刻まれました。

さて、今新作はその『 Inspiration 』の録音前日に行われたセッションを収めた音源です。勿論メンバーも同じで、ルカ・マンヌッツァ (p) を含むレギュラー・カルテットに加え、ファブリツィオ・ボッソが3曲で客演しています。

ただし、『 Inspiration 』と『 Dieci 』とでは、だいぶ作風が異なります。前者がプリミティブな60年代ハード・バップを基調とした情熱的な演奏であったのに対して後者は、どちらかと言うとリリカルでメローな楽曲を取り上げた作品です。ですので一聴しただけだとどうしてもキャッチーで派手なメロディーが耳に残る前作『 Inspiration 』の方に軍配が上がりそうですが、今作『 Dieci 』も地味ながらもなかなか良いアルバムです。もちろんアドリブの質としては甲乙つけがたい出来です。

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2011/09/02 | Comment (3) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Eric Alexander / Don't Follow the Crowd

   ↑  2011/08/23 (火)  カテゴリー: tenor
Eric Alexander_Don't Follow the Crowd Eric Alexander / Don't Follow the Crowd ( amazon.co.jp )
2011 Highnote

Eric Alexander (ts)
Harold Mabern (p)
Nat Reeves (b)
Joe Farnsworth (ds)


正統的かつ高度な技巧を備えた現代最高峰のテナー奏者、エリック・アレクサンダーのワン・ホーン・カルテットによる最新作。メンバーは、恩師ハロルド・メイバーンをはじめ、ナット・リーブス、ジョー・ファーンズワースと、いつものお馴染みの面々です。ですので、エリックが別段なんか面白いことを演ってくれるわけではありません。ただし今回は珍しいカヴァを披露していたの聴いてみたくなりました。なんとマイケル・ジャクソンの名バラード《 She’s Out of My Life 》や映画 『 ディア・ハンター』 のテーマ曲 《 Cavatina 》 などをカヴァしているのです。この2曲のサックスでのカヴァは聴いたことがありません。

内容はとてもイイです。選曲も意外性があってよい。エリックなんてアドリブはデビュー当時から完璧なのだから、そう簡単にスタイルが変わるわけでもなく、そうなると彼のアルバムを買う根拠は、その選曲の面白さぐらいしかないよね。僕個人的にはエリックのアルバムを買う理由の半分はハロルド・メイバーンの燻銀の華やかなソロ目当てなんですが。ハロルドのソロはいつ聴いても気分が高揚する。ハロルドのピアノ・トリオもそりゃイイんだけど、でもエリックの雄弁で長尺なソロの後で、ちょっと控えめに2~3コーラス奏でられるハロルドのソロが、これがいいんですよ。



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2011/08/23 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Chris Potter / Unspoken

   ↑  2011/08/10 (水)  カテゴリー: tenor
Chris Potter UnspokenChris Potter / Unspoken ( amazon.co.jp )
1997 Concord

Jack DeJohnette (ds)
Chris Potter (ss,ts)
John Scofield (g)
Dave Holland (b)

クリス・ポッターとジョン・スコフィールドの二人の織りなす音の軌跡。ホント、いいわ。まるで何重にも捩曲するメヴィウスの輪か、はたまた目が眩むクラインの壺か。脳味噌を心地よく攪拌してくれる心地よさ。でもまあ、90年代コンコードの諸作はどれも出来がいいが、有無を言わさぬ存在感と説得力を放つ現在のポッターの演奏に比べるとやや劣るかな。

話は違うが、

岡村靖幸が復活したそうな。8月24日にセルフカヴァーアルバム 『 エチケット』 をリリースするらしい。現在、Youtube で 《 だいすき 》 の新録カヴァが聴ける→こちら

♪♪ 電話なんかやめてさ 六本木で会おうよ 今すぐおいでよ
仲直りしたいんだ もう一度 カルアミルクで ♪♪

CDショップ“ WAVE ” が自己破産しちゃったね。

帝国データバンクは2011年8月8日、CD販売店チェーン「WAVE」を運営していたWAVEが、7月末に全店舗を閉店し、8月6日付で自己破産の申請準備に入ったと発表した。負債総額は約24億5000円。

WAVEは1993年設立。主に音楽CDを販売し、ピーク時には40店舗強を展開。97年2月期の年間売上高は122億円だったが、近年は市場の縮小に伴い店舗のスクラップを進めていた。



90年代は池袋のWAVEを頻繁に利用させてもらっていたから個人的にも思い出深いショップだった。あの頃は西武百貨店の明治通りを挟んで向かいのビルに大きな店舗を構えていたなぁ。明治通りを新宿方面にちょっと行ったあたりにはタワレコもあった。その頃は文京区に住んでいたから、この2店はいちばんよく利用していた。WAVEがパルコの12階に移転し規模がだいぶ縮小してからも随分お世話になったものだ。丁寧に記されたポップがよくてね、あ~、ここのバイヤーさんってジャズを本当に好きなんだな~、って感心しながら一枚一枚収集するのが楽しかった。キム・ペンシルなんて誰も知らないピアニストのアルバムなんかをプッシュしていて、聴いてみたら凄くよくて。六本木、渋谷、そして池袋と次々と閉店してしまって、近年はその存在すら忘れていた。僕自身もショップでCDを買う機会がめっきり減ったし、ほとんどamazonで買っちゃうし、最近はCDすら買わずにネットからダウンロードして済ませちゃうし。これも時代の流れだから仕方ないね。CDのリアル店舗の社会的な役割はそろそろ終わりにさしかかっているんだろうね。御苦労さま、WAVE。

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2011/08/10 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Sean Jones / No Need for Words

   ↑  2011/07/31 (日)  カテゴリー: tenor
Sean Jones / No Need for WordsSean Jones / No Need for Words ( amazon.co.jp )
2011 Mack Avenue

Sean Jones (tp)
Brian Hogans (as)
Orrin Evans (p,key)
Obed Calvaire (ds)
Luques Curtis (b)
Kahlil Kwame Bell (perc)
Corey Henry (org)
Matt Stevens (g)

近年、著しい成長をみせる中堅トランペッター、ショーン・ジョーンズ ( Sean Jones , Warren OH , 1978~ )の通算6作品となる最新作。

昨年には5年以上在籍していたLincoln Center Jazz Orchestra のリード・トランぺッターの座を退き、最近はマーカス・ミラーのバンドで活躍するジョーンズ。先日開催されたNorth Sea Jazz Festival では、マーカス・ミラー、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターなどの大御所と一緒にステージに立ち、観衆を湧かせたのも記憶に新しいところ。

2004年の『 Eternal Journey 』( Mack Avenue ) でデビューを飾って以来、一作ごとにその実力を高めてきたが、前作『 The Search Within 』あたりからは内容もぐっと引き締まってきて、個人的には大変好印象を抱いていたトランぺッターだ。

クリスチャン・スコットやアンブローズ・アーキンムシーレイなど、近年の米国における若手トランペッターの層の厚さには改めて驚かされるが、どうも彼らに共通する頭でっかちでインテリ臭漂う作風が鼻につき、今一歩のところで醒めてしまい心底好きにはなれない。彼にとってはまずはアルバムを一つの芸術作品として完成させることが最優先であり、また、今のリスナーもそれを望んでいるのだろう。その点においてシーン・ジョーンズは、心の底から沸き上がる熱きハードバッパーとしての純粋な発露がうまくアルバムに投影できていているので、リスナーとしても聴いていて熱くなれるし、とにかく楽しめる。

ジョーンズの演奏は、ハードでファンキーでソウルフル。さらにはちょっと不良っぽくて・・・。やはりトランペッターは昔も今もこういうタイプがイイ。そして、そのトランペーターの不良性の瞳の奥にちらりと見られる知性が、これまたカッコいいのだ。

それでいて彼のアドリブラインは独創的で、その演奏力も正確無比である。それだけでも十分魅力的なのだが、彼の場合、その煌めく作曲能力も瞠目すべき点だ。当然、今新作も彼のオリジナル中心の構成。

収録曲は、ジョーンズのオリジナル7曲とブライアン・ホーガンズのオリジナル1曲で全8曲。メンバーー的にはデビュー以来の盟友であり、またサウンドの核となっているピアノのオリン・エバンスが今回も参加。やはりこの人が参画するだけでアルバム全体がキリッと締まる。ベースのルケス・カーティスとドラムのオベッド・キャルベア ( Obed Calvaire ,miami ) の二人は2007年の第四作『 Kaleidoscope 』 以来の付き合い。そして、デビュー以来ジョーンズをサポートしてきたアルトのブライアン・ホーガンズも健在。一方で今回はテナーのウォルター・スミスIII は参加していない。

メンバーのなかで個人的に最も瞠目しているミュージシャンといえば、ドラマーのオベッド・キャルベアの名を挙げたい。トニー・ウイリアムス~ラルフ・ピーターソン~ジェフ・ワッツ あたりを彷彿とさせる手数足数の多いドラマーだ。ジャン・ミシェル・ ピルク、アンブローズ・アーキンムシーレイ、イーライ・デジブリ、ゲイリー・ベルサーチ、それからヴァンガード・ジャズ・オーケストラなどにも参加し、こ れからも更なる活躍が期待できる新進気鋭のミュージシャンといえよう。

これぞニューヨーク・コンテンポラリー・ジャズの醍醐味といえそうな変拍子の曲 《 Look and See 》がオープニングを飾り、アフロ・キューバンなM-2 《 Olive Juice 》でフロント二人が熱いソロを聴かせたかと思うと、続くジョーンズの母親に捧げた M-3《 Momma 》ではスローなR&B 調でしっとり情感豊かに歌い上げる。そしてまた拍裏音符メロディーが印象的なファンキーな M-4 《 Touch and Go 》 で盛り上げる。タイトル・チューン M-5 《No Need for Words 》は深い闇の中に引きずり込まれそう Miles-ish なバラード。最後はジョーンズの父親への愛情を謳ったゴスペル調の《 Forgiveness 》で切々と謳い、そして静かにアルバムの幕を下ろす。コンテンポラリーあり、ゴスペルあり、R&Bあり、ミュート・バラードあり・・・と、多彩なスタイルのナンバーが揃っていてとにかく飽きさせない構成。音楽的な新鮮味、ノイエスなどはないが、彼自身も言っているように、今までのキャリアを総括するにふさわしい力作だと言える。






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2011/07/31 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Walter Smith Ⅲ / Ⅲ

   ↑  2010/11/12 (金)  カテゴリー: tenor
walter smith III_IIIWalter SmithⅢ/ Ⅲ ( amazon.co.jp )
2010 Criss Cross 

Walter SmithⅢ (ts)
Jason Moran (p)
Eric Harland (ds)
Joe Sanders (b)
Ambrose Akinmusire (tp)
Logan Richardson (as)
Recorded: Brooklyn, N.Y on June 7, 2010

ニューヨーク界隈のコンテンポラリー・ジャズ・シーンにおいて着実にその存在感を浸透させてきたテナー奏者、ウォルター・スミス・三世 ( Walter Smith III, Houston, 1980~ ) の単独リーダー作としては通算3作目となる最新作。

2006年のデビュー作 『 Casually Introducing 』 はFSNT から、今年の夏に発売になりネット上で局地的に話題となった第二作『 Live in Paris 』 ( 前項参照 ) が Apace Time からの発売でしたが、今作は初のCriss Cross 盤です。

キャリアの割にリーダー作が少なく、国内盤も発売になっていないことも関係しているからでしょうか、まだまだ日本では認知されていませんが、それでも最近はサイドメンとしてちょくちょく名前を見かけるようになりました。特に僕が勝手に “ トランペッター新御三家 ” と呼ばせてもらっているジョーン・ジョーンズ ( 前項参照 ) アンブーローズ・アーキンムシーレイ ( 前項参照 ) 、そしてクリスチャン・スコット ( 前項参照 ) のアルバムでは強烈な存在感をアピールしていました。しかも現在、テレンス・ブランチャード・バンドのレギュラー・メンバーとしても活躍中ですから日本でも人気が出るのはそう遠い日のことではないでしょう。

僕個人的にはニューヨークのコンテンポラリー・ジャズ界において、イーライ・デジブリ ( 前項参照 ) 、マーカス・ストリックランドとともに、一番気になるテナー奏者です。

メンバーで目を惹くのは、先日、初リーダー作をリリースしたばかりの現代最高のドラマー、エリック・ハーランドの参加でしょう。ハーランドが頑張っている作品は総じて出来がイイので、ハーランド参加作品はとりあえず押さえておこうと、僕は思っているのですが、このスミスの作品でもかなり気合が入っていて、ハーランド・ファンには小躍りしたくなるような瞬間が随所に散りばめられています。フロントラインには盟友アンブーローズ・アーキンムシーレイが参加、また一曲だけですがローガン・リチャードソン ( 前項参照 ) も参加しています。

収録曲は、スミスのオリジナルが7曲、アーキンムシーレイが1曲、そしてアンドリュー・ヒル作《 Aubade 》で計9曲の構成。兎に角、スミスのオリジナルがメチャクチャかっこいい。複雑なテーマを一糸乱れぬアンサンブルで聴かせてくれます。非常に心地よい緊張感です。螺旋階段を跳躍しながら激しく昇降していくようなソロを聴かせるのはスミスIII。そしてそのスミスIIIに強烈な揺さぶりをかけるハーランド。この両者の絡み合いは尋常ではない高みに到達していて、聴く者全てを摩訶不思議な桃源郷へと心地よく拉致してくれます。

この数年、どんなジャズを聴いても大同小異、類円形のサウンドにしか聞えませんでした。今後もドラスティックにジャズが進化することはおそらくないのだろうなぁ、と一種諦念みたいな感情を持って惰性でジャズを聴いているようなところが僕にはあったのです。ジャズに関しては、もう行きつくところまで行きついてしまった感が否めなかったのです。がしかし、今回のスミスやハーランドのようなニューヨークの最先端を突き進むミュージシャンの演奏を聴くにつけ、僅かながらジャズの明るい未来が垣間見えたような気がします。まあちょっと大げさですが...。

明日に続く、かも



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2010/11/12 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Seamus Blake Quintet / Live at Smalls

   ↑  2010/07/24 (土)  カテゴリー: tenor
seamus blake_smalls.jpg
Seamus Blake Quintet / Live at Smalls ( amazon )
2010 SMALLS LIVE


Seamus Blake (ts)
Lage Lund (g)
David Kikoski (p)
Matt Clohesy (b)
Bill Stewart (ds)
Recordsed live on Aug. 31 & Sep. 1, 2009


同メンバーよるSmalls での2010年1月のライブ音源は↓をクリック
Jan. 5, 2010
Jan. 6, 2010


ニューヨークで活躍中のコンテンンポラリー系テナー奏者、シーマス・ブレイク ( Seamus Blake , England , 1969~ ) の通算8枚目の新録盤は、お馴染みNYを代表する最もカッティング・エッジなクラブ、スモールズ ( Smalls ) での実況録音盤。

なんの制約もない環境下で、ミュージシャンの心の中から自然に発露する即興演奏をとらえたライブこそが、ジャズの最大の魅力であるし、その演奏に編集を加えずにCD化することが最も重要なんだ、という理念のもとにローンチされたスモールズのジャズレーベル、Smalls Live。既に今年初めに第一弾としてケヴィン・ヘイズ ( 前項あり )ライアン・カイザー ( 前項あり ) 、ピーター・バーンスタイン、デヴィッド・キコスキー、スティーヴ・デイヴィス、そしてイアン・ヘンドリクソン・スミスの計6枚のライブ盤がリリースされている。

そして早くもシリーズ第二弾がリリースされた。この第二弾は、ニール・スミス、プラネット・ジャズ ( スパイク・ウィルナー参加 )、ジム・ロトンディ、イーサン・アイヴァーソン、そしてシーマス・ブレイクらの全5作品であるが、やはりなんと言ってもシーマス・ブレイクの作品が一番の聴きものだろう。

メンバーは デヴィッド・キコスキー、ラージュ・ルンド、ビル・スチュアート、マット・クローシーらからなるクインテットで、Criss Cross からの前作『 Bellwether 』( 前項あり ) と全く同一メンバー。今年にはいってからも同じメンバーで活動しているようなので、シーマスのレギュラー・クインテットと考えてよいだろう。

シーマスのオリジナルが4曲と《 Stranger in Paradise 》 で計5曲。どれもリアルなライブ演奏だけあって10分を超える長尺な演奏がほとんど。冒頭曲の《 Subterfuge 》 は前作『 Bellwether 』に収められていた曲。また最後の《 Fear of Roaming 》 は近年のシーマスの愛奏曲で、2004年にリリースされた “ Sangha Quartet ” の『 Fear of Roaming 』、2007年の『 Way Out Willy 』( criss Cross ) 、そして2009年の『 Live in Italy 』( Jazzeye ) ( 前項あり ) などで聴くことができる。ちなみにアルバム・ジャケットには “ Roaming ( 徘徊 ) ” を “ Rooming ” と誤記されているので注意。

冒頭曲《 Stranger in Paradise 》から疾走感と緊張感あふれる濃密な非フォー・ビートが炸裂し、聴き手を魅了する。最後列か繰り出されるビル・スチュアートの煽情的なパッシング。ビル・スチュ・マニアにはたまらない瞬間だ。テーマ部でシーマスのメロディーにユニゾンで切れ込んでくるラージュ・ルンドも鳥肌もの。で、アドリブ・パートに入るとラージュは一切のバッキングを放棄する。キコスキーとのコンフリクトを避ける意味があるのだろう。それでなくても手数が多く、重厚で独創的なキコスキー。ラージュが絡む隙はないと判断したか。一方で、ラーシュが参加している曲ではキコスキーもやや遠慮がちなプレイに終始しているが、ラーシュが抜ける M-4 《 Stranger in Paradise 》ではモーダルで硬質な素晴らしいソロを披露している。

全体的にリラックスした中にも最後まで弛緩しない心地よい緊張感がある良い演奏だと思う。特に冒頭曲が文句なしの聴きどころだろう。しかし、2曲目以降が曲想がやや大人しい印象を受け、テンションが下がり気味となるのが惜しい。

実は Smalls の Web Site に同メンバーによる2010年1月の音源がアップされているが、それら 2 Days × 2 Set 分の音源を聴いてみると、スピード感のある素晴らし演奏がたくさん含まれている。確かにオフ気味な録音やハウリングが入ったりしてCD化するには難のある音源も多いが、演奏としてはCD内の音源よりも素晴らしい内容のものがいくつもある。そんな訳で、僕個人的には本CDの2009年の演奏よりもWeb Site で聴ける2010年の演奏を評価したいところだ。しかも、本作では聴けないビル・スチュのソロもWeb Site では編集されず収録されているので、ビル・スチュ・ファンは御一聴をお薦めする。

このシリーズの中には、演奏が抜群に良いのに録音状態が悪くて損をしているキコスキーの作品のようなものも含まれているのでちょっと不安はあったが、本作の録音はシリーズの中では悪くはない出来でほっとした。ただし、巷で流行りのPCMレコーダーでオーディエンス録音した隠し撮りブートのようなローファイな音質なので、そのあたりの音質にこだわるファンは覚悟した方がよさそうだ。ある意味リアルで臨場感のある音場なので個人的には不満はないが。


収録曲
1) Subterfuge ( Seamus Blake )
2) Amuse Bouche ( Seamus Blake )
3) Consequence ( Seamus Blake )
4) Stranger in Paradide ( Wright / Forrest )
5) Fear of Roaming ( Seamus Blake )

   中年音楽狂さんのブログ 『 中年音楽狂日記 』 の記事《 Seamus Blakeならば,私もSmalls Liveを... 》 はこちら

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2010/07/24 | Comment (6) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Eli Degibri / Israeli Song

   ↑  2010/07/14 (水)  カテゴリー: tenor
Eli Degibri_israeli song.jpg
Eli Degibri / Israeli Song ( amazon )
2010 Anzic Records


Eli Degibri (ts,ss)
Brad Mehldau (p)
Ron Carter (b)
Al Foster (ds)




イスラエル出身の激情態テナー奏者、イーライ・デジブリ ( Eli Degibri, 1978~ ) の通算5作品目となる最新録音。

イーライは1999年にハービー・ハンコックの『 Gershwin’s World 』 の発売記念ツアーのメンバーに抜擢されたことで一躍有名になり、その後、ロン・カーター・カルテットやアル・フォスター・カルテット、それからミンガス・ビッグ・バンドのメンバーなどで名声をあげてきたアーティストです。

さて今新作ですが、まずはその意外なサポート・メンバーに目を奪われます。ピアノがブラッド・メルドー。ドラムスがアル・フォスターにベースがロン・カーターという新旧折衷の布陣。アル・フォスターとロン・カーターは恩師ですから仕方ないとしても、ブラッド・メルドーはどのような経緯でこのバンドに参加したのでしょう。いずれにしてもやや脈絡に欠けるメンバー構成に一抹の不安もよぎります。果たして、予感的中。まあ、このメンバーじゃこうなるわなぁ~。ちょっとガッカリ。

Fresh Sound New Tarent の 『 In The Beginning 』 ( 前項あり )『 Emotionally Available 』( 前項あり ) でイーライに興味を抱き、ゲイリー・ヴェルサーチとのオルガントリオによるライブ盤 『 Live at Louis 649 』 ( 前項あり ) に吃驚し、アル・フォスターの『 Love, Peace and Jazz! 』 ( 前項あり ) に腰を抜かし、そしてケヴィン・ヘイズとのデュオ 『 One Little Song 』 に胸を熱くしたイーライ・ファンにとっては、今作は激しく物足りない作品かも知れません。最初に断っておきますが、決して悪い仕上がりではありませんので、念のため。

一言でいうと、非常にお行儀のよいイーライを演じてる感じがする作品。全11曲中3曲が他のメンバーとのデュオであり、そのため作品全体として静的な印象を受けてしまうことがまずは残念。またガレスビーの 《 Bebop 》 を取り上げていることが象徴するように、バップ色の強い古典回帰路線が顕著な点も今までのイーライの作風とは異なっていてさらに残念。今まで見せることのなかったイーライのバップ魂を印象つける作品であることは評価できますが、やっぱりイーライの魅力はそこではないような気もします。最初は感情を抑えつつも、徐々に激情的なダイナミズムを加えながら盛り上げていくイーライの歌い回しに強いシンパシーを感じる僕としては、やっぱり本作は微妙な作品と言わざるを得ません。

で、ここからはかなり個人的な偏見があるかもしれませんが、やっぱりロン・カーターの参加がこの作品を完全にスポイルしているのではないでしょうか。メルドーやイーライのような最先端の言語に完全についていけてませんもの。ロンのフレーズはいつものようなノラリクラリの牧歌的なラインばかりで、音色にしてもサンドペーパーで幾度も研磨したかのようなのっぺりしたもので、聴くに堪えない。虫唾が走るとはこういうことなのでしょうか。よく女の子が「あたし~、あいつが生理的に苦手でさぁ~」っていう時の気持ちって、多分こういう感覚なのかもしれません。もう説明できないのですが、どうも僕は苦手です。ロン・カーターのピッチの悪さについては以前からよく話題になっていましたが、今作ではその点はあまり感じません。僕の耳のほうが経年劣化してきたせいかもね。

イーライにしてみれば、ジャズに傾倒するきっかけとなったアイドルであり、また、バークレー音楽大学時代の恩師でもあるロン・カーターへの御礼奉公のつもりで、高いギャラを払って参加してもらったのでしょうから、気持ちはわかりますが、今のイーライとロン・カーターの音楽性は180度方向違いなのですから、無理する必要なかったのに、と思います。イーライは完全にロン・カーターのベース・ラインに迎合するようなフレーズしか吹いていませんからね。それに対してブラッド・メルドーは、ロン・カーターのことなどガン無視!! いつものメルドー節全開です。あくまでマーペース。メルドーらしいです。

曲によってはイーライの魅力ある劇情型のソロが聴かれるし、曲自体もなかなかイイ曲が多いので、総体としては決して悪くはないです。個人的には最終トラックでタイトル曲でもあるメルドーとイーライとのデュオ 《 Israeli Song 》 がお気に入りです。



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2010/07/14 | Comment (1) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Walter Smith III / Live in Paris

   ↑  2010/07/07 (水)  カテゴリー: tenor
walter smith III_paris.jpg
Walter Smith III / Live in Paris ( HMV )
2010 Space Time ( France )


Walter Smith Ⅲ (ts)
Ambrose Akinmusire (tp)
Aaron Goldberg (p)
Matt Brewer (b)
Marcus Gilmore (ds)



おお~っ。これはかなりイイ感じです。ニューヨークを中心としたコンテンポラリー・ジャズ・シーンにおいて最近、めきめきと頭角を現してきたテナー奏者、ウォルター・スミス・三世 ( Walter Smith III, Houston, 1980~ ) の通算3作品目となる最新作。

スミスの名前は日本ではまだまだ浸透していませんが、近頃、僕が贔屓にしているミュージシャンの作品でよく見かけるようになりました。ショーン・ジョーンズ(前項あり)アンブローズ・アーキインムシーレイ(前項あり) 、そしてクリスチャン・スコット(前項あり)らなど、僕が勝手にトランペッター新御三家と呼んでいる彼らの作品のほとんどにスミスは参加しています。さらには現在、テレンス・ブランチャード・バンドのレギュラー・メンバーとしても活躍中で、彼の最新作『 Choices 』 (前項あり) にも参加していましたし、先日、拙ブログで紹介したベーシスト、マイケル・ジャニッシュの素晴らしいデビュー作 『 Purpose Built 』 (前項あり) にも名を連ねていました。兎に角、「おっ、このテナー、いいねぇ~、誰?」とクレジットを見直すとスミスだったりすることがこのところ立て続けにあったので、個人的には今、最も注目しているテナリストなんです。

スミスは1980年生まれですので、世代的には1978年生まれのイーライ・デジブリ (前項あり)や、1979年生まれのマーカス・ストリックランドあたりと同世代になるわけですね。新人ではないものの、これからが多いに期待できる若い世代と云えるでしょう。

さて、今作は待望の実況録音盤です。というのも、最近のNYコンテンポラリー系のミュージシャンって、楽曲の複雑さと緻密なアンサンブルを追求して作り込んだスタジオ録音盤と、ラフな構図でざっくり豪快に演奏した姿をとらえた実況録音盤では明らかに作品の方向性を異にしている場合が多いからです。前述したイーライなんかイイ例で、彼の場合、ライブの方が遥かに勢いがあって出来がイイ。そんなことをこのスミスにも期待しちゃうわけです。

そのライブ会場となったのは、パリの Sunside というライブハウス。この Sunside のあるロンバール通りには他にも Baiser sale (ベゼ・サレ)や Duc des Lombards(デュック・デ・ロンバール)など、ジャズを聴かせるクラブが点在して、いわば “ パリのニューヨーク52番通り ” みたいな通りです。

この Sunside はビルの1階にあるのですが、実は地下にも Sunset というライブ・ハウスがあります。もともとは83年にまず地下の Sunset がオープンし繁盛したため、レストランであった1階部分をライブ・ハウスに改装して2001年にオープンしたのが Sunside です。 Sunset は主にエレクトリック・ジャズやワールド・ミュージックのライブが中心で、 一方の Sunside はアコースティック・ジャズのライブをメインに運営されているようです。

メンバーは盟友アンブローズ・アーキインムシーレイとの2管フロントラインに、ピアノは先日最新作を出したばかりのアーロン・ゴールドバーグ、ベースはグレグ・オスビーやゴンザロ・ルバルカバのバンドで注目されてきたマット・ブルーワー ( Matt Brewer, Oklahoma, 1983~ ) 。そしてドラマーは新進気鋭のマーカス・ギルモア ( Marcus Gilmore, 1983~ )。ギルモアはご存じのようにロイ・ヘインズのお孫さんです。最近よく名前を見かけます。ギラッド・ヘクセルマン、ダニーグリセット、ケヴィン・ヘイズ、ニコラス・ペイトン、ビジーアイヤーなどなど、共演者にも非常に恵まれた若き才能です。

収録曲は、スミスが2曲、アーキンムシーレイとゴールドバーグが1曲づつ、ブルーワーのベースソロが1曲、それからベニー・ゴルソンの 《 Stablemates 》 とサム・リヴァースの 《 Cyclic Episode 》 で全7曲。ライブらしくどの曲も10分以上の長尺な曲。冒頭からいきなりスミスの無伴奏ソロ!! これが圧巻。三次元コークスクリュー・フレーズを連結しながら徐々に高揚していく様にこちらまで身悶えしてしまいそう。ふわふわと浮遊したり、飛翔したり、急降下してみたり、変幻自在に音を操る技術力が素晴らしい。

そして、どんなに複雑なフレーズを吹こうが、全く音痩せしないもの流石。現代のテナリストは、その音列の複雑化を追求する過程で、音量や音圧などの要素を犠牲にせざるを得なかったわけですが、そのあたりの妥協をスミスは許しません。パッセージの最後の一音まで力が漲っていのは、ちょうどクリス・ポッターなどに通じる凄みを感じます。相棒のアーキンムシーレイも、自身のリーダー作では決して見せない豪快な吹きっぷりを披露。こういうアーキンムシーレイの音が聴きたかったんだよ~、と思わず膝を叩いてしまうほど素晴らし吹きっぷりです。

一方、まだ顔つきにあどけなさが残るマーカス・ギルモアも、ひとたびドラムを叩きだすと、おじいちゃんも腰を抜かすほどのしなやかなスティックさばきで場を盛り上げます。幾何学的なポリリズムで時間軸を伸縮させながら巧みにフロントに絡んできます。フロントを激しく煽るような派手さはありませんが、明らかにニューヨーク新世代の新しい息吹を感じるドラミングです。エルビン・ジョーンズやトニー・ウイリアムスからエリック・ハーランドが受け継いだ遺伝子は、さらに新しい世代であるケンドリック・スコット、ナシート・ウェイツ、そしてマーカス・ギルモアらに確実に受け継がれているようです。

アーロン・ゴールドバーグにしてもそうですが、このバンドのメンバーは全員、いつもよりも生き生きしていて演奏のキレがイイです。五つの楽器が上手く絡み合うと予想以上の相乗効果が生まれるものですね。実にイイ演奏だと思います。

総体として、自由度が高いモード・ジャズで、書き込まれたスコアや打ち合わせはあまりなかったのではないでしょうか。あくまでスポンティニアスな化学反応に期待したような演奏で、なんとなく60年代のマイルス・クインテットを彷彿させる演奏だと思いました。久しぶりのアタリです。




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2010/07/07 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Ralph Bowen / Due Reverence

   ↑  2010/03/30 (火)  カテゴリー: tenor
ralph bowen _reverenceRalph Bowen / Due Reverence  ( HMV )
2010 Posi-tone Records
 
Ralph Bowen (ts)
Adam Rogers (g)
John Patitucci (b)
Antonio Sanchez (ds)
Sean Jones (tp on 4)




ラルフ・ボウエン ( Ralph Bowen , canada ) と言えば、新生 Blue Note が1985年に起死回生を狙って旗揚げした新伝承派バンド Out of The Blue ( O.T.B. ) の名前が反射的に浮かぶ。

OTB は、ラルフ・ボウエン ( ts )、フィリップ・モスマン ( tp )、ケニー・ギャレット ( as )、ハリー・ピケンズ ( p )、ロブ・ハースト ( b )、そしてラルフ・ピーターソン ( ds ) からなるまだ20代半ばの新人達のバンドだったが、ジャズの伝統を継承しながらも、ハードバップのそれまでの定型を完全に破壊したパワー溢れるプレイで、ジャズファンの度肝を抜いた。文字通り、晴天の霹靂 ( Out of The Blue ) のごとき新時代の幕開けを告げる事件だった。

特に1985年のデビュー作 『 OTB 』から、翌年の Mt. Fuji への出演を経て、その模様を収めたライブ盤『 Live at Mt.Fuji 』のリリースへ至る一連の流れには、個人的にはかなり興奮したものだ。しかしその後、世の中のバブル景気の崩壊とともに、残念ながらいつの間にか姿を消していった。当時のメンバーの中でも、ケニー・ギャレットやボブ・ハースト、それからメンバー・チェンジで後に加入したビリー・ドラモンドとリニー・ロスネスらなどは現在でも第一線で活躍しているが、フィリップ・モスマンやハリー・ピケンズやラルフ・ピーターソンは最近はあまり噂を聴かない (実はそれそれ、それなりに活躍はしているようだが ) 。

本盤の主役であるラルフ・ボウエンも、どちらかというと後者の範疇に入ってしまうだろうか。日本では一部の輸入盤 ウォッチャーの間でしか知られていない Criss Corss にリーダー作を吹き込んだり、あるいは、これまたニッチなファンにしか認知されていないピアニスト、オリン・エバンスのアルバムに顔を出したりと、比較的地味な活動を行ってきた。僕個人的にも、Criss Cross のファンであってもそれほど熱心なラルフ・ボウエンのファンでなかったので、アルバムは数枚所有してはいるものの、正直、あまり愛聴することは今までなかった。

それがどうしたことか、昨年リリースされた Posi-tone 移籍第一弾作品 『 Dedicated 』 を聴いて、すっかり彼の虜になってしまった。これが予想を快く裏切る実にイイ出来栄えなのだ。ジョン・パティトゥッチ & アントニオ・サンチェスによるリズム隊と、ピアノの代わりにアダム・ロジャースのギターを配したワン・ホーン・カルテット。一曲だけショーン・ジョーンズのトランペットが入る。メンバーも申し分ないのだが、レコーディングの音像設計も素晴らしく、メンバー各人の音のプレザンスが厚く、安定している。そして、ワンホーンというフォーマットがラルフのポテンシャルを最大限に引き出すのに寄与しているのは間違いない。Criss Cross 時代のような複数管のなかの一奏者というポジションでは、彼の魅力は半減してしまう。

そして早くもPosi-tone 移籍第二弾となる最新作が届いた。メンバーも前作と全く同じ。ショーン・ジョーンズが一曲参加という点も前作同様だ。曲数も6曲と同じ。前作のジャケットが鮮やかな青だったのに対して今作はワインレッド。ということで、僕はこのところ赤盤、青盤と呼んで愛聴している。もちろん今作も前作同様、素晴らしい内容だ。

彼の即興はもちろん現代的なイマジネーションに溢れているのだが、コルトレーン的イディオムも縦横無尽にアダプトしながら、ときに激しく、ときに知的にソロを組み立てていく。メタル・マウスピースとラバー・マウスピースの違いこそあれ、ちょうどマイケル・ブレッカーに近似したソロ・スタイルといってよいかもしれない。

音色はぐっと骨太で重厚。フレーズは心地よくズレ、ネジレ、そして跳躍する。高音域からフラジオ域での情感の乗せ方が絶妙。ホント、こんなにカッコイイ吹き手だと思わなかった。

そんな気合いの入ったラルフに触発されてアダム・ロジャーズも眼の覚めるような超絶技巧のソロを展開する。粒立ちのよいオルタネイト・ピッキングによる超速弾きフレーズは、パット・マルティーノを彷彿とさせる。アダムは下手すると自身のリーダー作でのソロよりも出来の良いソロをとっているかもしれない。ショーン・ジョーンズの参加は一曲だけだが、その存在感はなかなかのもので、フックの効いたソロを披露している。

本作はラルフ・ボウエンの健在ぶりを余すことなく伝えた快作と言えよう。このところ赤盤、青盤合わせて愛聴しているが、聴けば聴くほど味が出てきて、賞味期間はだいぶ長くなりそうな予感がする。彼を “ 過去の人” と思い込んでいるジャズファンはぜひ御一聴を。


Ralph_Bowen--Dedicated Ralph Bowen / Dedicated ( amazon )
2009 Posi-tone Records
 
Ralph Bowen (ts)
Adam Rogers (g)
John Patitucci (b)
Antonio Sanchez (ds)
Sean Jones (tp on 4)

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2010/03/30 | Comment (4) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Theo Travis / Earth To Ether

   ↑  2010/03/23 (火)  カテゴリー: tenor
theo travis_earthtoether2Theo Travis / Earth To Ether  ( amazon )
2004 33JAZZ
 


Theo Travis (ts,fl), Simon Colam (p), Andy Hamill (b),
Marc Paranell (ds,perc), Richard Sinclair (vo,g)




英国のテナーサックス兼フルート奏者テオ・トラヴィス ( Theo Travis , Birmingham , 1964~ ) の単独リーダー作としては通算8作品目となる作品。90年代から英国ジャズ・シーンとプログレッシブ・ロック・シーンをシームレスに行き来しながら活躍していきたアーティストです。とりわけプログレッシブ・ロックのフィールドにおいては、1999年からの現在に至る GONG への参加と、急逝したエルトン・ディーンの後を引き継いだ形での Soft Machine Legacy への参加が印象深く、彼の人気を決定つけた活動と云えるでしょう。

2007年にはロバート・フィリップとの共同名義による作品 『 Thread 』 でその尖鋭的、実験的なサウンドへの傾倒ぶりを披露していますが、彼は元来は純然たるジャズ・ミュージシャンなんですよ。1993年のデビュー作 『 2 am 』 などはサックス・カルテットによる純ジャズですし、その後の作品でもジャズのスタンダードなどを演奏したり、タビー・ヘイズへのオマージュとしての選曲もなされていたりと、ジャズ・アーティストとしての側面が強調されていました。ただまあ、日ごろからクリス・ポッターやエリック・アレクサンダーなどの超絶技巧のテナーに慣れ親しんでいる我らジャズ・ファンからすると、トラヴィスのサックスはかなり凡庸な印象を受けるものですが、それでもやはりキング・クリムゾンやカンタベリー系の洗礼を受けた彼ならでの表現力はなかなか侮れないもので、聴いていて常に新たな発見があるものです。

僕個人的にはファーストの 『 2 am 』 が一番好きですし、ジャズ・ファンがまず最初に口をつけるならこのファーストからが良いと思いますが、この 『 Earth to Ether 』 もなかなか面白い作品でお薦めです。本作は何と云ってもワイルド・フラワーズ~キャラヴァン~ハットフィールド&ザ・ノーズというカンタベリー系の中心で活躍してきた重要人物 リチャード・シンクレア ( Richard Sinclair , Canterbury , 1948~ ) が3曲でヴォーカリストとして客演しているのがウリでしょう。そのため、彼が参加した楽曲ではかなりカンタベリー入ってます。当然その場合はトラヴィスはフルートに持ち替え、夢幻的でファンタジックな音色を奏でているので、そのあたりはジャズ・ファンには敬遠されちゃうかもしれません。でも、それ以外の曲ではノリのよいファンク・ジャズ調の曲もあったりしてジャズ・ファンにも受け入れられそうな構成なんですけどね。特に、キング・クリムゾンの名曲《 21世紀のスキッツォイド・マン 》 をサックス・カルテットでカヴァしていたりして、大変面白いですよ。

この記事に含まれるタグ : イギリス 3.5point プログレ 

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2010/03/23 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Steve Kaldestad / Blow - Up

   ↑  2010/03/04 (木)  カテゴリー: tenor
steve kaldestad Steve Kaldestad / Blow - Up ( amazon )
2010 Cellar Live CL053109


Steve Kaldestad ( ts )
Kevin Dean ( tp )
Andre White ( p )
Jodi Proznick ( b )
Jesse Cahill ( ds )


ヴァンクーヴァーにあるジャズカフェ&レストラン、セラー ( Cellar ) のオーナーであり自らもアルトサックス奏者でもあるコリー・ウイーズ ( Cory Weeds )が2001年に設立したジャズレーベル Cellar Live Records は、小さなローカル・レーベルながら、すでに50以上におよぶタイトル数を誇り、何気にレベルの高い作品を世に送り出している隠れた名レーベルです。

先日リリースされたカナダ出身のテナーサックス奏者、スティーヴ・カルデスタッド ( Steve Kaldestad ) のデビュー作も、このCellar Live Records からリリースされた実況録音盤です。カルデスタッドは先日、拙ブログでも取り上げたカナダ人女性ベーシストのジョディ・プロズニック ( Jodi Proznick ) の作品 『 Foundations 』 にも参加していた中堅テナー奏者です。

カルデスタッド はカナダのオンタリオ州ミシサガ ( Mississauga ) 生まれで、年齢は不詳ですが、デュラン・デュランを聴きながら青春時代を過ごし、1994年にモントリオールのマギル大学 ( McGill University ) を卒業している、という記述から推測するに、現在40代ではないでしょうか。

1997年には一時ニューヨークに移住し、リー・コニッツやマーク・ターナーに師事したり、2000年にはロンドンに移住し、マット・ウェイツ、スティーブ・ブラウン、マイク・カー、スティーブ・フィッシュウィックらなどと共演するなど人脈を広げていったようです。その後帰国し、モントリオールに居を構え活躍していましたが、2008年にはヴァンクーヴァーにその活動拠点を移しています。

今作はトランペットとテナーの典型的ハードバップ編成です。演奏スタイルも全く以って痛快ハードバップで、そこにはジャズの未来を予見させるノイエスなど全然ありません。先日、取り上げた大英帝国のバンド、The Osian Roberts & Steve Fishwick Quintet と同列と考えて良いでしょう。50年代~60年代のファンキー・ハード・バップのスタイルを今なお踏襲しているのですが、案外、ローカルにはこの種のバンドが大勢生育しているのかもしれません。僕個人的にはこの手のジャズが一番大好物で、理屈抜きで爽快な気分になれるし、多少の嫌なこともこういうジャズを聴けば忘れてしまいます。ニューヨークのカッティング・エッジなバンドも良いのですが、たまにはこんな古典的バンドも心に沁みます。

こういうジャズを持ちあげると決まって、「こんなの聴くなら 本家本元のBlue Note を聴きゃいいじゃん」と反論する方もいるのですが、そういう方はどうぞ大昔のジャズの名盤を聴いてください。それもありです。ただ、スタイルは古くても、いま、この時代に、地球上の何処かで汗を流しながら夜な夜な懸命に演奏しているミュージシャンを応援したいし、共感したい。ジャズの同時代性を肌で感じならが、ジャズに浸りたい。少なくとも僕はそう思います。

僕がはじめてカルデスタッドを聴いたのは、前述したジョディ・プロズニックの 『 Foundations 』だったのですが、線の細いスイング指向性がちょっと肌に合わず、あまり印象が良くなかったのですが、今作での彼は共演者の刺激もあってか、かなり豪快にブローしています。かなり本気汁が出まくっています。それもそのはず、トランペットのケヴィン・ディーンとピアノのアンドレ・ホワイトは、マギル大学時代の恩師なのです。手を抜く訳にはいかないのですね。

このケヴィン・ディーン ( Kevin Dean , 1954~ )という喇叭、初めて聴きましたが、随所に小技をきかせた味のあるプレイで、一発でファンになりました。 フレーズに歌があります。メカニカルに速いだけで全然歌っていないトランペッターが多い中、こういった吹き手は貴重です。ちょうどサド・ジョーンズとかアート・ファーマーあたりを彷彿とさせる職人的ラッパーです。



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2010/03/04 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Billy Mitchell / A Little Juicy

   ↑  2009/12/26 (土)  カテゴリー: tenor

Billy Mitchell a little juicyBilly Mitchell / A Little Juicy
1963  SMASH Records  SRS67042
星1つ星1つ星1つ星1つ

Billy Mitchell  ( ts )
Thad Jones  ( tp )
Richard Wyands  ( p )
Hermaan Wright  ( b )
Oliver Jackson Jr  ( ds )
Kenny Burrell  ( g )





昨今のレア盤再発ブームの勢いもあって、昔収集したLPの殆どが今やCDで聴けるようになりました。でも、いまだにCD化されていない名盤も探せばまだまだあります。そんなLPを時間を見つけてはデジタル化して保存しているのですが、今日は少しばかりまとまった時間がとれたので、レコード棚からこんなアルバムを引っ張り出してきて、Wav 化していました。

ビリー・ミッチェル ( Billy Mitchell , Kansas City , 1926~2001 ) と云えば、50年代から60年代にかけて、主にビッグバンド畑で活躍していたテナー奏者で、地味な名脇役として日本では紹介されることが多い気がします。

56年にはディジー・ガレスピー・ビッグ・バンドに参加。そのツアー中にメンバー達によって録音された名セッションの記録 『 Dizzy Atposphere 』  ( 1957 , Specialty ) では素晴らしい燻銀のソロもとっており、記憶されているファンも多いでしょう。57年から61年まで参加していたカウント・ベイシー楽団でもスター的 存在でした。その後にアル・グレイとの双頭コンビで人気を博したこともありましたね。 60年代に入ってからは渡仏してクラーク・ボラン・ビッグ・バンドに参加していた時期もあったことは意外に知られていないかもしれません。

本作 『 A Little Juicy 』 は63年に渡仏する直前にニューヨークで録音された彼にとっては第3作目となるリーダー作です。 Mercury Record の傍系レーベルである Smash Record に吹きこまれ、71年には国内( 日本 ) 盤も発売されましたが、その後長らく廃盤状態が続き、90年代始めに≪ 新星堂ジャズ・コレクター・スぺシャル ≫ という復刻シリーズで再度日の目を見たアルバムです。個人的には痛快娯楽系のハードバップの好盤だと思うのですが、これが今だCD化されておりません(たぶん)。

Smash Record にはもう一枚、62年吹き込みの 『 This Is Billy Mitchell 』 というアルバムがありますが、こちらはすでに Verve からリマスター盤CDが出ていて簡単に、しかも安価で入手可能です。

billy mitchell this is



トランペットのデイヴ・バーンズと二十歳そこそこのボビー・ハッチャーソンが参加したこれもなかなかの好盤なのですが、オルガンなんかも入っちゃったりして、とってもブルージーかつアーシーな落ち着いた作品であるため、やっぱり人気の点から云えば 『 A Little Juicy 』のほうに軍配が上がるでしょう。

しかしながら、彼のリーダー作で一般的に知られているのはこの60年代の2枚だけで、70年代以降の彼の活動についてはほとんど知られていません。ネットで調べてみたら、70年代以降にもCatalyst やXanadu に作品を発表しているようです。彼についての数少ない情報によると、70年代にはプレーヤーというよりはむしろ音楽教育者としての活動に軸足を置くようになったようです。

地域密着型のジャズ・スクールとして有名なハーレム127丁目に本部を置く団体 ジャズモービル ( Jazz Mobile ) や、ホフストラ大学およびイェール大学におけるセミナーなど、よりフォーマルな活動にも精力的に力を注いでいました。90年代には欧州や日本へのツアーも挙行する一方、ニューヨークに居を構え、シーフォードにあるレストラン、Sonny's Place で34年にも渡りハウス・ミュージシャンとして活躍。しかし、97年にそのレストランが閉店するのを機に現役を引退したようです。そして2001年4月18日、肺がんのため逝去されています。

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2009/12/26 | Comment (1) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Jan Harbeck / In The Still of The Night

   ↑  2009/12/20 (日)  カテゴリー: tenor
jan harbeck Jan Harbeck / In The Still of The Night  ( amazon )
stunt STUCD08202    星1つ星1つ星1つ 

an Harbeck  ( ts, bcl )
Henrik Gunde  ( p )
Eske Norrelykke ( b )
Kresten Osgood ( ds )
Recording : 2007年10月~11月 Copenhagen




デンマークではビッグバンドを中心に活動しているテナー奏者、ヤン・ハルベック ( Jan Harbeck , 1975~ ) のデビュー作。彼もまたジョージ・ガゾーンに影響を受けたテナリストだ。

今作は母国デンマークのミュージシャンたちとリラックスしたムードの中、制作されたカルテット作品。盤題にもなっている ≪IN The Still of Tne Night ≫ をはじめ、バラードからミディアム・テンポのスタンダードが主体となっている。

スタイル的にはコールマン・ホーキンスあたりを彷彿とさせる完全なオールド・ファションだが、サブトーンやビブラートは殆ど用いず、やはり白人らしい繊細さを感じさせる吹き手だ。

とかくコンテンポラリーでカッティング・エッジなミュージシャンに注目が集まりやすい近年のジャズ・シーンではあるが、彼のような何の変哲もない旧式ミュージシャンも確実に生息しているし、またその需要も多いのであろう。

 

 

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2009/12/20 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

George Garzone / Among Friends

   ↑  2009/12/19 (土)  カテゴリー: tenor
george garzone_among friends. George Garzone / Among Friends ( amazon )
stunt 09022
星1つ星1つ星1つ星1つ

George Garzone  ( ts ss )
Steve Kuhn  ( p )
Anders Christensen  ( b )
Paul Motian  ( ds )



ジェリー・バーガンジー ( Jerry Bergonzi , 1947~ ) と並びボストン派の重鎮としてとして活躍中のテナー奏者、ジョージ・ガゾーン ( George Garzone , 1950~ ) の最新作。

非常に卓越した技術力を持ちながらも教育者としてのキャリアが長かったため、日本では知る人ぞ知る存在であったが、2007年にボサノバを扱った 『 Night of My Beloved 』 が Venus Records から発売されたことで、認知度は上昇してきた。もともと彼はボストンを拠点に、バークリー音楽大学やニューイングランド音楽院などで教鞭をとる教育者として70年代から活躍していた。そのためレコード・デビューは95年の 『 Alone 』 ( NYC Records )  と、かなり遅かったのだ。

しかしながら、ジョシュア・レッドマンやブランフォード・マルサリスをはじめ、多くのミュージシャンが彼の薫陶を受けていることからもわかるように、ガゾーンは高度な理論に裏付けられた素晴らしい演奏力と表現力を持っている。今作はそんな彼の魅力が非常にわかりやすい形で表現された傑作だと、思う。

今回はメンバーも凄い。スティーブ・キューンとポール・モチアンがガゾーンをがっちりサポートしている。さらに、この円熟の極みを見せる三人と互角に張り合っているのが先日、拙ブログでも取り上げたデンマーク出身の今話題の精鋭ベーシスト、アンダース・クリステンセンだ。演奏も実に素晴らしいのだが、これらのサポート・ミュージシャンも話題性抜群であろう。

スタンダード3曲とガゾーンのオリジナル5曲という構成。デビュー作 『 Alone 』 のタイトル曲にもなっていたガゾーンの筆による美曲 ≪ alone ≫ も演奏しているがの嬉しい。全体にスローからミディアムの静かで優しい曲で構成されている。ガゾーンの深みのあるテナーとキューンの繊細なピアノの対比が美しい。モチアンが奏でるデジタル化不能な有機的シンバル・ワークも見事。兎にも角にも、3人の古色蒼然とした滋味溢れる音色にうっとりさせられる。

ガゾーンは、コルトレーンとスタン・ゲッツという対極に位置するスタイリストを最大振幅として、その中で巧みに音色や奏法を変化させ作品を作り上げる、という手法を今までとってきた。たとえば、前作 『 Night of My Beloved 』 はスタン・ゲッツ的な作品であったのに対し、“ Fringe ”(ジョン・ロックウッドとブブ・ガロッティとのサックス・トリオ)名義での作品群ではコルトレーン系の激モード奏法を披露していたりと、その振り幅はかなり広い。そういう点からすると今作はちょうど振幅ゼロの絶妙な立ち位置で制作された作品と云える。
 
僕個人的にはガゾーンの最高傑作はデビュー作の 『 Alone 』 だと思っていたが、今作もそれに匹敵する出来の良さだと感じた。

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2009/12/19 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Quartto Trevi feat. Max Ionata / Night Walk

   ↑  2009/11/07 (土)  カテゴリー: tenor

max ionata night walk

 


イタリア人テナー奏者、マックス・イオナータ ( Max Ionata , 1972~ ) の通算7作目となる最新作。

今年3月に国内大手のポニー・キャニオンがデ・ジャヴ・レーベルを主宰するイタリア・ジャズ界の重要人物パウロ・スコッティをプロデューサーに迎えてイタリアン・ジャズ専門レーベル、 Norma Blue を発足させた。すでに数枚の作品をコンスタントにリリースしているようだが、今回のマックスの最新作もそのNorma Blueからの一枚である。マックスの作品としては、すでに今年7月に豊田聡氏が主宰するインディペンデント・レーベル、アルボーレ・ジャズ ( Albore Jazz ) から 『 Inspiration 』 (  前項あり )  がリリースされているが、国内におけるメジャー・レコード会社からの作品としては初めての作品だ。

本作は一応、 Quartetto Trevi 名義の作品だが、実質上マックスの作品と云って良いだろう。ダリオ・ロスグリオーネ ( b ) 、マルセロ・デ・レオナルド ( ds )、ロベルト・タレンツィ ( p ) のピアノ・トリオをバックにマックスが吹きまくるワン・ホーン・カルテット編成に期待が高まる。マックスの純粋なワン・ホーン・カルテット編成によるリーダー作としては、2003年の『 Little Hand 』 以来6年ぶりである。

マックスの自曲が3曲、ピアノのトレンツィの自曲が3曲、シダー・ウォルトンの≪ Bolivia ≫、有名なイングランド民謡≪ Greensleeves ≫、その他で全10曲。

コルトレーンへの敬意を込めたモーダル・ジャズ・カルテットの決定盤 ”  というCD帯のコピーから想像するに、本作のテーマは“ コルトレーンへのオマージュ ” なのか? だから≪ Greensleeves ≫なのか。聴く前から嫌な予感。どうしてもコルトレーンとマックスが僕の頭の中でリンクしないのだ。これはヤリ手プロデューサー、パウロ・スコッティの戦略なのか。そうだよな、“ ロリンズへの敬意を込めたモーダル・ジャズ・カルテットの決定盤 ” じゃ、クラブ・ジャズ界隈では売れないしね。
 
ついでにこの帯について言っちゃうが、 “ モーダル・ジャズ・カルテットの決定盤 ” って、まだ誰も聴いていない作品に対して決定盤はないんじゃないのか。誰が決定したのか?え?よくわからん。

ついでにもう一つ。“ イタリアのモダン・ジャズ史における第一人者、マックス・イオナータ ”  とあるが、マックスって第一人者だったの? ジアンニ・バッソが第一人者じゃなかったの? エラルド・ボロンテは?エンゾ・スパッコはどうなの? ジャンカルロ・バリゴッツィのほうがマックスより後生だったけ? などと突っ込みをいれたくなる。 いづれにしても、とても誤解を招きやすいコピーではないか。

閑話休題。実際に聴くまでは、もっとモーダルな作品なのかと思っていたが、実際はそうでもない。中にはそういう曲もあるあが、マックス自身はいつもと変わらず歌心溢れる芳醇なメロディーを吹奏する。それに対してタレンツィのピアノはマッコイを彷彿させるモーダルな高速ラインと重層コードでマックスを執拗に煽るのだ。この両者の関係がいまひとつ噛み合っていないように思えて仕方ない。二人の音楽的趣向が全然違った方向を向いているのではないか。

タレンツィが下手なわけでは決てない。むしろかなりの技巧派だ。1977年、ミラノ生まれのタレンツィはキャリアの早い時期からエンリコ・イントラ・ビッグバンドの常任ピアニストとして活躍。その後もフランコ・セリ、フランコ・アンブロゼッティ、エンリコ・ラヴァ、ファブリツィオ・ボッソ、パオロ・フレズらなど伊国の一流どころのサポートを務め、現在はステファノ・ディ・バティスタのカルテットで活躍するなど、すでにかなりの実績を積んでいる精鋭なのだ。さらには2006年のセロニアス・モンク・・ジャズ・コンペティションでセミファイナリストに選出されてもいる。

そんな素晴らしいキャリアを持ったタレンツィなのだが、どうも唯我独尊型、あるいは自己追求型のピアニストのようで、マックスがソロをを吹いていようがいまいが関係なく、ガンガン打鍵する。これが聴いていてムショウに耳に付いてしまうのだ。本作唯一のピアノ・トリオによる曲 M-6 ≪ Mental Telepathy ≫ や、彼のMy Space にアップされている自己作品などを聴くと、なかなか鋭く力強いピアノを弾くピアニストで好感が持てるだけに残念だ。

本作を聴き終えた後、久しぶりにマックスの前作 『 Inspiration 』 を聴き返してみたが、やっぱりルカ・マンヌッツァ の方が遥かにマックスとの相性は良いように感じた。マンヌッツァも時にマッコイ風のイケイケ・モード奏法にモード・チェンジするが、きちんと周囲の息使いを察知したうえでの、適切な場面での適切な音としてのモード・チェンジなので、むしろ心地よく感じるのだ。ソング・ライティング能力もマンヌッツァの方が一枚も二枚も上だしね。

Quartto Trevi feat. Max Ionata  /  Night Walk  星1つ星1つ星半分
2009  Norma Blu  PCCY-50062

Max Ionata  ( ts )
Dario Rosciglione  ( b )
Roberto Terenzi  ( p )
Marcello di Leonardo  ( ds )

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2009/11/07 | Comment (11) | Trackback (3) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |
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