雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Ben Williams / State of Art

   ↑  2011/08/29 (月)  カテゴリー: bass
Ben Williams_state of artBen Williams / State of Art ( amazon.co.jp )
2011 Concord Records

Ben Williams (b)
Gerald Clayton (p,key)
Matthew Stevens (g)
Marcus Strickland (ts,ss)
Jamire Williams (ds)
Etienne Charles (per)
Jaleel Shaw (as,ss on 6,7,10)
Christian Scott (tp on 3)


ニューヨーク界隈で今最も注目されている若手ベーシスト、ベン・ウィリアムスのデビューアルバム。

2009年のセロニアス・モンク・ジャズ・コンペティションで優勝したことを契機にコンコード・レコードと契約。この2年間にコンコード専属のミュージシャンであるステフォン・ハリスやジャッキー・テラソンらの作品に参加し認知度を上げてきた。

一方で、ベンの才能をいち早く見出したテナー・サックス奏者、マーカス・ストリックランドのバンドでも活躍。ベンの演奏は『 Idiosyncrasies 』( 2009 strick muzik )、『 Of Song 』( 2009 cross cross ) などで聴くことができるし、9月発売予定のストリックランドの新作『Triumph of the Heavy, Vol. 1& 2』 ( strick muzik )にも参加しているようだ。

メンバー的に目を引くのは、トランペッターのクリスチャン・スコットおよびその周辺人脈がこぞって参加していることだろうか。スコットのバンド・メンバーであるギターのマシュー・スティーヴンスやドラムのジャマイア・ウイリアムスが参加しているし、更にはスコットのブレインとして常に行動を共にしてきたプロデューサーのクリス・ダン ( Chris Dunn ) も顔を見せている。先日、拙ブログでも紹介したステフォン・ハリス、デイヴィッド・サンチェス、クリスチャン・スコットの『 Ninety Miles 』もクリスチャン・スコット&クリス・ダンによる制作であった。

収録曲は全11曲で約半数の5曲がベンの自曲であるが、それ以外の選曲がとても興味深い。マイケル・ジャクソンの《 ittle Suisie 》、ジェームス・ブラウンの《 Mr. Dynamite 》、スティービ-・ワンダーの《 Part-Time Lover 》 などのソウル系の名曲をカヴァしているかと思えば、ジャズ・スタンダードの《 Moonlight in Vermont 》 やウディ・ショウの《 Moontrane 》 なども取り上げている。彼の自曲である《 The Lee Morgan Story 》ではジョン・ロビンソンのラップを大々的にフューチャーし、ジャズ・ジャイアントへの敬意の念を表現している。

そんなわけでアルバム全体としては、あまりジャズ色が強くなく、少なくとも聴く前に想像していたNYコンテンポラリー系の作風ではなく、ソウル~フュージョン寄りの作品に仕上がっている。ちょうど、GRP あたりのフュージョンを、機材も楽器もジャズ用のものを用い、アンプラグドで演奏したらこんな感じになるかなぁ、みたいなサウンド。これはこれでカッコいいが、カヴァものはさておき、彼の自曲の訴求力という点ではいま一つの出来でしょうか。マーカス・ストリックランドもなんだか居心地悪そうな演奏で、物足りない部分もあるしね。

自分の大好き音をぜんぶ、古い素材も新しい素材も水平線上に並置し、それらを彼なりのフィルターを通して、キュレーションしてみせたらこんなになりました、みたいな、ベン君を知らないジャズファンにベン君をわかってもらうにはそれなりに意義のある作品ではあるかな。ちょっと詰め込み過ぎてフォーカスボケ気味なのは大目にみましょう。



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2011/08/29 | Comment (1) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Avishai Cohen / Seven Seas

   ↑  2011/06/14 (火)  カテゴリー: bass
Avishai Cohen _Sevens Seas Avishai Cohen / Seven Seas ( amazon.co.jp )
2011 Blue Note


Avishai Cohen (vo, b, p)
Karen Malka (vo)
Shai Maestro (p)
Amos Hoffman (oud, el-g)
Itamar Doari (perc, vo)
Jenny Nilsson (vo)
Jimmy Greene (ss, ts)
Lars Nilsson (flh)
Bjorn Samuelsson (tb)
Bjorn Bholin (english horn)

イ スラエル出身で現在はNYで活躍中のベーシスト、アヴィシャイ・コーエン ( Avishai Cohen, 1970~ )の通算12作目となる最新作。前作 『 Aurora 』 同様、 Blue Note からのリリーズとなる。

アヴィシャイは、ウードに代表されるような中近東民族楽器と、それに見合う旋律、リズムにジャズのイディオム加え、精緻なアンサンブルを構築していくというコンセプトで、デビュー以来ずっと、終始一貫して全くブレのないスタイルで進化してきたベーシストです。

ただし、2007年の実況盤 『 As Is...Live at The Blue Note 』 ( 前項あり ) あたりからウードを使わなくなり、2008年の 『 Gently Disturbed 』 ( 前項あり ) では、初のピアノトリオ編成による純粋なジャズ作品で、完全に中東エキゾティズムから脱却したかのように思われましたが、前作『 Aurora 』では再び民族音楽色を強め、大胆に自身のボーカルまで披露、良くも悪くも、初志貫徹の人であることをアピールしていました。

そして待望の今新作ですが、やはりコンセプトは前作を踏襲するもので、メンバーもほぼ同一ですし、曲もいつものアヴィシャ節炸裂で、相変わらずヴォーカル(ヴォイス)もやっていますので、内容は推して知るべし。出来はイイんですけどねぇ。やはり、かなり聴き手を選ぶ作品であることは間違いありませんね。

しかし、今作を聴いて真っ先に感じるのは、なんと言ってもその楽曲の良さ。前作よりも曲自体が優れているように思いますよ。

収録曲はアヴィシャイの自曲7曲を含む全10曲の構成。解析不能な変拍子と哀愁の中東旋律で始まる冒頭曲《 Dreaming 》。いきなり中東砂漠のど真ん中にテレポーテーションされたかのような錯覚を覚えます。灼熱の太陽。頬を打つシムーン。そして、ドラッグが脳髄に沁み渡っていくかのような陶酔感。これぞアヴィシャイの唯一無比の音世界です。

イスラエル民族音楽とアメリカン・ジャズ。両方の伝統的様式を融合させた作曲技法って、絶対、アメリカ人には真似ができないんでしょうね。アヴィシャイの中に眠るセファルディのDNAが成せる業としか言いようがありません。やっぱり中東人がニューヨークで音楽で飯を食っていくためには、演奏力はもちろん、このくらいキャラが立っていないと駄目なんでしょうね。

M-4 《 Halah 》 などはプログレシヴ・ロックに通じる曲調です。そう思って聴いていると、アヴィシャイのヴォーカルがジョン・ウェットンに何処となく似ているように思えてくる。う~ん、確かに似ている。

盟友ジミー・グリーンも参加しているのですが、完全に裏方に徹しているので、彼のソロを期待してはいけません。その代わり EW&F のホーンセクションのようなカッコいい仕事をしています。M-6 《 Ani Aff 》のホーンアレンジなどはとっても洒落てます。

アヴィシャイの頼れる右腕としていつも目の覚めるような鮮やかなソロを聴かせるピアノのシャイ・マエストロも健在。ただし、総体としてはインプロヴィゼーションのパートはあまり用意されていません。あくまでトータルサウンド重視の音作りです。

僕はこういうジャズって面白いと思うんですけどねぇ。一般のジャズファンには概してウケはよろしくないようで。まあ、好きな人だけがこっそり聴くようなアルバムなんでしょうね。


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2011/06/14 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Charlie Haden Quartet West / Sophisticated Ladies

   ↑  2010/12/19 (日)  カテゴリー: bass
Charlie Haden_Sophisticated LadiesCharlie Haden Quartet West / Sophisticated Ladies
2010 Universal Music
 

Ernie Watts (ts), Alan Broadbent (p), Charlie Haden (b), Rodney Green (ds), Melody Gardot (vo,M-1), Norah Jones (vo,M-3), Cassandra Wilson (vo,M-5); Ruth Cameron (vo,M-7), Renee Fleming (vo,M-9), Diana Krall (vo,M-11), string orchestra arranged and conducted by Alan Broadbent



チャーリー・ヘイデンが中心となり、アラン・ブロードベント、アーニー・ワッツ、ビリー・ヒギンズらの西海岸で活躍する名手らと1987年に結成した クァルテット・ウェスト ( Quartet West ) の通算7作目となる最新作。前作である『The Art of the Song』がリリースされたのが1999年だから、実に11年ぶりの新作発表ということになります。前作まで参加していたドラマーのローレンス・マラブルが健康上の理由により脱退し、代わりにグレッグ・オスビーやエリック・リードのバンドで活躍する若手ドラマー、ロドニー・グリーンが新たに加入しています。

結成当時は、古きアメリカの映画をテーマにしたコンセプト作品を作ろう、ということで始まったプロジェクトでしたが、活動を続けていくうちに映画とは必ずしも関連性のない作品作りになってきています。ただし、アメリカの古きスタンダードを主体にした洗練さを兼ね備えたノスタルジックなサウンドは今まで終始一貫して変わっていません。

拙ブログを古くからご覧の方は御存じと思いますが、僕個人的にはチャーリー・ヘイデンがあまり好きではないので、殆どアルバムを所有していないのですが、このクァルテット・ウェストは大好きなアラン・ブロードベントとアーニー・ワッツが参加しているということで、チャーリー・ヘイデン関連では唯一大好きな企画で、昔から好んで聴いていました。

クァルテット・ウェスト名義で制作された作品は現在までに下記の6作品です。いずれも Verve から発売されています。

『 Quartet West 』( 1987 )
『 In Angel City 』 ( 1988 )
『 Haunted Heart 』 ( 1992 )
『 Always Say Goodbye 』 ( 1993 )
『 Now is the Hour 』 ( 1996 )
『 The Art of the Song 』 ( 1999 )

また2007年には『 The Best of Quartet West 』というベスト盤も発売されているようです。

この作品群の中で評論家の評価が最も高いのは最後の『 The Art of the Song 』のようですが、個人的に最も愛聴しているのはグラミー賞にもノミネートされた第三作『 Haunted Heart 』 です。レイモンド・チャンドラーにインスパイアされて制作された完全なコンセプト・アルバムで、《 The Long Goodbye 》、《The Lady in the Lake 》、《 Hallo, My Lovely 》 など、チャンドラー作品名を引用したオリジナル曲を配しています。また、ジョー・スタッフォードが歌う《 Haunted Heart 》や、ジェリ・サザーンが歌う《 Ev'ry Time We Say Goodbye 》 や、ビリー・ホリデイが歌う《 Deep Song 》などを、クァルテット・ウェストの同曲の演奏の最後にコーダ的に継ぎ目なくごく自然に繋いだりして挿入するなど、凝ったギミックもあってなかなか素敵な作品です。

閑話休題。さて、待望の最新作ですが、今作は現在活躍している著名な女性ジャズ・ボーカリストへのオマージュ作品です。本格的なボーカル作品はクァルテット・ウェストとしては初めての試みです。一応、前作 『 The Art of the Song 』 の続編という位置づけのようですが、、、。ジャケットのアートワークがいい薫りを放ってます。50年代から60年代のキャピトルの女性ボーカル作品を彷彿とさせるデザインですね。

収録曲12曲中半分の6曲がボーカル入り。しかも1曲ごとに歌い手が違う豪華仕様。参加ボーカリストは、メロディ・ガルドー、ノラ・ジョーンズ、カサンドラ・ウィルソン、ダイアナ・クラール、ルネ・フレミング、そしてルース・キャメロンという超豪華。

ルース・キャメロンはチャーリー・ヘイデンの奥様です。ヘイデンの名曲に《 First Song 》というのがありますが、あれはこのキャメロンさんに捧げた曲だということは知っていましたが、彼女の歌声を聴くのは僕は今回が初めて。他のボーカリストがかなり濃いお声をしているので、その中にあっては一服の清涼剤的役割を演じていて安らぎました。けっこう好きな歌声です。

それから、ルネ・フレミングという歌い手はジャズファンにはあまり馴染みがないかもしれませんね。この人、本職はソプラノ歌手です。最近人気急上昇中らしいのですが、もともとはジャズ・シンガー志望だったようです。2005年にはフレッド・ハーシュ、ビル・フリーゼルらのサポートを得て『 Haunted Heart 』を、2006年にはブラッド・メルドーとのデュオ作品『 Love Sublime 』をリリースしています。後者は本業のソプラノを披露していて当時聴いた僕は思いっきり興覚めしてしまいましたが、前者は発声法を完璧に変えて、ジャズ・ボーカリストとしても何ら遜色ない素晴らしい歌声を披露しています。

本作をプロデュースしているのは、90年代からヘイデンの作品に関わってきた現フランス・ポリドール社長でもあるジャン=フィリップ・アラール (Jean-Philippe Allard ) 氏。ヘイデンの『 Beyond The Misssouri Sky 』も『The Montreal Tapes 』のシリーズも、それから前述したクァルテット・ウェストの『 Haunted Heart 』や『 The Art of the Song 』 もみんな彼の作品です。




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この記事に含まれるタグ : 4.0point アメリカ 西海岸 くつろぎ  

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2010/12/19 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

超絶技巧!! スラップ・ベーシスト Gianni Serino

   ↑  2010/07/12 (月)  カテゴリー: bass


イタリア出身の超絶技巧の変態6弦スラッパー、ジャンニ・セリーノ ( Gianni Serino ) 。

言語の壁に阻まれ詳細は全く不明ですが、ロック、ジャズ、クラシックの分野で活躍している馬鹿テクベーシストです。Youtube にレッスン・ビデオをいくつかアップしていますが、上掲のビデオは最も簡単な 《 level 1-7 》 初級編 !!! だそうです。僕なんか 《 level 3 》 で既にギブアップです。このビデオシリーズは 《 level 8-12 》 《 level 13-18 》 《 level 19-24 》 《 level 25-30 》 と用意されています。《 level 8-12 》あたりで既に大変なことになってます。ご興味のあるかたはどうぞ。

こんな風なスラップを弾くベーシストでは、アラン・カロン ( Alain Caron ) あたりが以前から有名でしたけど、このセリーニはカロンよりも凄いかもしれません。ただまあ、凄いのは凄いけど、バンドのメンバーとして彼を雇い入れるのはけっこう難しいような気もします。ベーシストってここまで弾ける必要ってないんじゃないかな。ソロならこれでいいけど、バックでこんあスラップやられちゃたまったもんじゃないし。

タッピングだけでこれだけ音が出ているところをみると相当弦高調整をシビアいに行っているんでしょうね。12Fで1.8mmとか。やっぱりこれだけのタッピングやスラップを操るには楽器面の調整や工夫が必要でしょうね。普通のベースではこんなに弾けません。押尾コータローに憧れて1万5千円のモーリス・ギターを買ってきても真似できないのと同じかな。

この人、スラップだけの人かと思ったら、こんなこともできるみたいで、むしろこちらの方がスラップよりも共感できるかもしれない。


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2010/07/12 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Michael Janisch / Purpose Built

   ↑  2010/06/15 (火)  カテゴリー: bass
Michael Janisch.jpg
Michael Janisch / Purpose Built ( amazon )
2009 Whirlwind Records


Michael Janisch (ac-b, M-1, 3-7, 9-11, el-b, M-2, 8, 12) Aaron Goldberg (p, M-2, 3, 9, 10) Jim Hart (vib, M-1, 4, 6, 11) Jason Palmer (tp, M-2, 7, 8, 11) Paul Booth (ts, M-1, 2, 6) Mike Moreno (g, M-2, 8) Patrick Cornelius (as, M-5, 11) Phil Robson (g, M-5, 9) Walter Smith III (ts, M-1, 8, 11) Johnathan Blake (ds)



イギリス新世代ジャズベースの旗手として注目を集めているウッド&エレクトリック・ベーシスト、マイケル・ジャニッシュ ( Michael Janisch ) のデビュー・アルバム。ジャニッシュは現在30歳。生まれはアメリカのウィスコンシン州だが、2005年にイギリスに移住し、現在はロンドンを中心にクラシックからR&B,ソウル、ジャズまでブロードバンドに活躍。その汎用性の高いスタイルから各方面からのオファーが後を絶たず、BBCをはじめとするテレビ番組、ラジオ、映画の音楽まで手掛ける多彩ぶりを発揮している。

ジャニッシュはちょっと変わった経歴の持ち主だ。もともとはミネソタ大学にスポーツ奨学金で入学し、 NCAA のフットボールチームでランニング・バックを任されるほどのスポーツ選手だった。しかし、シーズンオフ中の練習で、大腿部にタックルを食らい負傷。試合に出場する機会を失うとともに奨学金を打ち切られ、プロのスポーツ選手としての道を閉ざされてしまったのだった。そこで彼は、高校時代にバンドを組んで弾いていたベースを再び初め、ウィスコンシン大学に再入学。そこでめきめきと頭角を現し、たった一年でバークリー音楽院の全額免除の奨学金を手にして同院に留学するチャンスを得たのだった。

ジャニッシュはデイヴ・サントロ、レイ・ブラウン、クリスチャン・マクブライド、エイブラハム・ラボリエルらに師事する一方で、同世代の精鋭たちと交流を重ねていった。その中には今作にも参加しているパトリック・コーネリウスやウォルター・スミスIII などもいた。パトリックとは特に親密な関係を築いており、現在も “ TransAtlantic Collective ” という三管編成のバンドを結成し活動を続けている。バークリー音楽大学卒業後はニューヨークに進出し、ロイ・ハーグローヴ、ジョー・ロヴァーノらのサポート・メンバーとして活躍していたが、2005年に突然、イギリスに移住することになる。理由は至って単純だ。当時付き合っていた彼女がイギリス人でロンドンに住んでいたからだ。

そんな訳で現在はロンドン界隈で幅広く活躍し、大成功を収めているわけだが、満を持してリリースされたデビュー作は、そのロンドンで築いた人脈とボストン-ニューヨーク時代の旧友からなる英米混成バンドによる作品だ。

ジャニッシュに同行したイギリス陣営はヴァイブのジム・ハート、テナーのポール・ブース、ギターのフィル・ロブソンの3人。迎えるアメリカ陣営はウォルター・スミスIII世、ジョナサン・ブレイク、ジェイソン・パーマー、そしてマイク・モレノら、いずれも現代NYコンテンポラリー系ジャズシーンを代表するツワモノばかり。そして決戦はブルックリンの有名スタジオ Systems Two recording studio で行われた。一曲目から米英交えての All-hands による熱い演奏が繰り広げれる。ジャニッシュが書く自曲はどれも都会的な洗練さと危険な鋭さを併せ持っており、独特のコンテンポラリーな輝きを放っている。かなり刺激な曲ばかりで驚いた。伊達に “ composer ” を標榜しているわけではないことが自曲を聴くとよくわかる。

一曲目が All-hands な曲だったからそのまま突っ走るのかと思いきや、曲によってはアーロン・ゴールドバーグによるピアノ・トリオだったり、ジム・ハートが加わったカルテットであったり、最後の曲などはジャニッシュとジョナサンのデュオだったりして、強烈なメリハリが利いていて最後まで飽きずに一気に聴かせるのはやはり流石。

ジャニッシュのベースラインは譜面に起こすと比較的オーソドックスな音使いからなるラインだと思う。しかしやっぱり元アメリカンフットボールの選手だけあって、音の鳴りが半端じゃなく図太くエグイ。ゴリ太でぐいぐい曲を引っ張っていく。クリスチャン・マクブライト師匠も真っ青になるくらい強靭なベーシストだ。こういうベースマンを聴くと、やっぱり大音量で聴いてみたくなる。来月あたり実家に帰省するが、そのときは今盤を真っ先に我が家のJBL4318で聴いてみよう。




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Gerardo Bartoccini / Bye Bye Lazybird

   ↑  2010/05/13 (木)  カテゴリー: bass
Gerardo Bartoccini
Gerardo Bartoccini / Bye Bye Lazybird
2010 Dodicilune


Max Ionata (ts)
Pietro Lussu (p)
Gerardo Bartoccini (b)
Marco Valeri (ds)






イタリア人ベーシスト、ジェラルド・バルトッチーニ ( Gerardo Bartoccini, Rome, 1968~ ) の初リーダー作品。日本では今が旬といった感じのマックス・イオナータが参加していることで購入する。

結論から先に言ってしまうと、総じて凡庸な出来。主役ベーシストのヴァーチュオーゾを期待して聴くと激しく物足りなさを感じる作品と言える。

バルトッチーニは80年代にはエレクトリック・ベースでロックを演奏していたが、90年代に入りジャズ・プレイヤーとしてアップライトも弾くようになった。プロとしての活動は92年からで、さまざまなミュージシャンらと共演し、数多くのフェスティバルに出演しているようだが、ほとんど知らないミュージシャンやフェスばかりなので、本国でもそれほど認知されていないミュージシャンなのかもしれない。2002年には自身のレギュラー・カルテットを結成して活動開始しており、今作はそのレギュラー・カルテットによるデビュー作だ。

全9曲で全てバルトッチーニのオリジナル。ベーシストの作曲らしくコード進行に工夫が凝らされていて面白い曲もあるが、メロディーセンスはいまひとつといった印象。疾走感に乏しいハードバップで温度感は低い。という訳でバルトッチーニに良いところはあまりないのだが、致命的なのはその音色。

ベース・プレイヤーの基軸となるものは、もちろんリズムキープ力だが、次いで重要なことはその音色。一時期ベース弾きは、サムポジションで高速のソロをしたいがために恐ろしく弦高を低くし、それこそミクロン単位の調整の果てにエレキベースに肉薄する操作性を手に入れた。その結果プレイヤーは弦を力強く掻きむしる必要がなくなり ( というかビリつくから強く弾けなくなり ) 、アタック感のあるブリブリゴリゴリの本来のウッドベースらしい図太い音が出せなくなった。

基本的には弱音楽器であるウッドベースが、弦高を低く調整することでさらに弱音化が進んだ。当然そのハンディキャップをアンプで補うことになるわけだが、アンプリファイされた音は輪郭がそぎ落とされ、また不自然な減衰波形を示す電気音に変容した。

バルトッチーニのベースはまさにそのアンプリファイされた電気的な音色であり、好ましいものではない。このような音は気になり出すと気になるものだ。そして、そのような調整の施された楽器での拙速なプレイにはあまり共感できないのだ。

リーダーとしてのバンド全体を統率し鼓舞するような裁量もバルトッチーニには見られず、ドラマーのマルコ・ヴァレリーも曲を前へと牽引するグルーブ力に欠け、一方のマックスもリズム隊に引きずられてか、称揚に値する演奏では決してない。

とtという訳で、僕個人としてベースの音色が気になり、曲に集中できないため少々辛めの評価となったが、そのあたりにこだわりがなければピエトロ・ルッソなども結構イイ演奏をしているので悪くはない作品と言えるであろう。




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Yiorgos Fakanas / Domino

   ↑  2010/05/08 (土)  カテゴリー: bass
Yiorgos Fakanas_domino
Yiorgos Fakanas / Domino
2006 ANA ( Aris Nova Athina ) Records


Dave Weckl (ds), Mike Stern (g), Brett Garsed (g), Bob Franceschini (ts), Christos Rafalides (vib), Yiorgos Fakanas (b)





昨日、拙ブログで取り上げたアンソニー・ジャクソンの初リーダー作に共同名義として名を連ねていたギリシャ出身のベーシスト、ヨルゴス・ファカナス ( Yiorgos Fakanas , Athens, 11961~ ) の2006年リリースの作品。

日本では全くの無名ベーシストだが本国ではかなり著名なミュージシャンらしい。日本と同様に米国でもヨルゴスの名前は最近まで知られていなかった。しかし、アンソニー・ジャクソンがある雑誌で《 僕が最も気に入っているベーシストの一人 》としてヨルゴスを紹介したのがきっかけとなり、業界内で話題となったらしい。

80年代初頭から本国では活躍し、これほどまでのテクニックとあらゆる音楽に対応しうるブロードバンドな音楽性を有しながらも、彼の名声が国境を越えることが今までなかったことをある評論家は“ Hellenic culture is more inward-looking and self-protective than ours” と推論している。真偽のほどは分からないが、今回のギリシャの財政赤字問題じゃないが、日本に住んでいるとよほどのことがない限りギリシャの情報など入ってこないことは確かだ。



この記事に含まれるタグ : 4.5point ギリシャ 

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Anthony Jackson ・Yiorgos Fakanas / Interspirit

   ↑  2010/05/07 (金)  カテゴリー: bass
anthony jackson 
Anthony Jackson ・Yiorgos Fakanas / Interspirit ( amazon )
2010 ANA music


Anthony Jackson (b), Yiorgos Fakanas (b), Frank Gambale (g), Dave Weckl (ds), Mitch Forman (key), Takis Paterelis (as), Tony Lakatos (ts), Antonis Andreou (tb), Mihail Iosifov (tp)





抜群の譜面初見能力と音楽理論に対する豊富な知識を備え、更には超高速変態運指から繰り出される独特のグルーブ感を武器に、70年代初頭のフュージョン黎明期から現在まで、40年にわたり第一線で文字通りファーストコール・ベーシストとして活躍し続けてきたアンソニー・ジャクソン ( Anthony Jackson, NY, 1952~ ) 。彼の待望の初リーダー作がリリースされました。

還暦まじかのこの期になって初めてのリーダー作とは、けっこう意外な感じを受けます。今、“ 待望の初リーダー作 ” なんて書いちゃいましたが、これ嘘。誰もアンソニー・ジャクソンにリーダー作なんて期待していなかったと思うのですが....。

今作は正確にはアンソニーとギリシャ人ベーシスト、ヨルゴス・ファカナス ( Yiorgos Fakanas , Athens, 1961~ ) の共同名義による作品です。このヨルゴスというベーシストですが、恥ずかしながら僕は初めて耳にするミュージシャンなのですが、トンデモもない馬鹿テク・ベーシストです。慌てて彼についてググってみたところ、80年代から母国ギリシャを中心に欧州各国で活躍し、既に700作品以上のアルバムに名を連ね、リーダー作も10作品程リリースしている有名人らしい。なんでも、アンソニーがこのヨルゴスのファンらしく、今回のプロジェクトもアンソニーの方からヨルゴスにオファーがあり、しかもヨルゴスの作曲・編曲力を高く評価し、ほぼ全曲をヨルゴスに制作を依頼したらしいです。

全9曲で、ショーターの≪ Footprints ≫ 以外はすべてヨルゴスのオリジナル曲。アンソニーも晴れてリーダー作を出すのだから、全部とは言わないまでも自曲を数曲織り交ぜればよかったのに。ちょっともったいない。メンバーにはフランク・ギャンバレやデイヴ・ウェックル、それからミッチェル・フォアマンらが参加。また、トニー・ラカトスを含むホーン・セクションも加わっていてブラス・ロック風のテイストもみられる。さらにはストリングス入りの楽曲もあったりと、基本はハードコア・フュージョンですが、多彩な楽曲で構成されています。

アンソニーとは古くからの仲間であるフランク・ギャンバレやデイヴ・ウェックルらは、ヨルゴスの旧作に参加歴もあり、結局は気心知れた仲間だったようです。

ヨルゴスの馬鹿テクぶりにびっくりした僕は、彼の前作である『 Domino 』を手に入れたのですが、これがまたすごくカッコいい作品でした。内容的にはこのアンソニーに提供した楽曲とかなりの部分で似ています。個人的には『 Domino 』の方が中弛みがなくて好きですが。収録曲はほとんどがダブルベース編成で、二人でパートを振り分けして演奏しているのですが、二人とも演奏スタイルがけっこう似ているので、どっちがどっちかすぐには判別できないくらい似ていたりします。

理由はわかりませんが、アンソニーも97年に脳卒中で倒れてからはそれ以前のようなモジュール系のエフェクターを通さないナチュラルな音色になったし、さらにはピック弾きも多分しなくなってきているみたいです。なので昔ほどキャラが立っていないせいもあり、ヨルゴスとの区別がつきにくい。まあ、ヨルゴスは四弦だからアンソニーのようなhigh-C ( しかも彼のフォデラは28フレットある!! ) をふんだんに使ったソロはしないし、その一方で、ヨルゴスはフレットレスやスラップも表現手段として用いるので、そのあたりはふたりの差異が出るのは当然です。

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2010/05/07 | Comment (10) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Jack Zorawski Trio ( Piano: Richard Whiteman ) / First Train

   ↑  2010/03/20 (土)  カテゴリー: bass
jack zorawski Jack Zorawski Trio / First Train  ( amazon )
2007 自主制作


Richard Whiteman (p)
Jack Zorawski (b)
Kevin Clarke (ds)



今日は仕事が終わったら、夕方から新潟に行ってきます。学生時代にお世話になったジャズ喫茶 A7 やジャズ批評に投稿させてもらっていた時にお世話になった花村さんのお店 Cat House にごあいさつに伺おうと思ってます。もちろん、ブログのお仲間さんであるスズックさんにもお会いしてきます。

本作についてはまたあとで書きますね。

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2010/03/20 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Giovanni Sanguineti / Hard To Find - Tribute To Leroy Vinnegar

   ↑  2010/02/21 (日)  カテゴリー: bass

giovanni sanguineti Giovanni Sanguineti  /  Hard To Find - Tribute To Leroy Vinnegar ( HMV )
2009  Ultra Sound Records  USCD044S


Giovanni Sanguineti  ( b )
David Hazeltine ( p )
Ed Thigpen ( ds )





イタリア出身のベーシスト、ジョヴァンニ・サングィネッティ ( Giovanni Sanguineti , Genova , 1974~ ) の2009年リリースのデビュー作。バスター・ウイリアムスに師事していたという経歴を持つらしく、これだけで僕個人的にはドン引きなのですが、ピアノが大好きなデヴィッド・ヘイゼルタインで、ドラムもエド・シグペンなので、そちらに期待して買ってみたらなかなかの好盤だったので、ちょっと取り上げてみました。

僕はデヴィッド・ヘイゼルタインが大好きで、Venus、Criss Cross、Sharp Nine と、どのレーベルにも質の高い作品を残していますが、最近、ヘイゼルタインを深夜に聴きたいと思うと、自然と本作に手が伸びてしまいます。ヘイゼルタインは大変リラックスした雰囲気で演奏してますが、繊細にして滋味溢れる表現力の豊かさは健在です。別段、派手なことをやっている訳ではないのですが、だからこそ、そのアーティストが本来持っている品位みたいなものが滲み出るのではないでしょうかね。

主役のサングィネッティは、お世辞にも巧いとは云えません。それどころか、時々、リズムが怪しくブレる個所が散見され、こんなの記録ブツとして残して良いのだろうかと、心配になるほどです。しかも、本作は躍動するリズム・キープ力では西海岸ナンバーワンだったリロイ・ヴィネガーへのオマージュ作品。にもかかわらず、こんな演奏ですから・・・。

サングィネッティは今年になってからもグラント・スチュワートを迎えて第二作目となる作品 『 Mindfullness 』 ( Ultra Sound ) をリリースしています。試聴してみましたが、もともとグラント・スチュワートに対する興味が薄いのでどうもしっくりせず、購入には至っていません。

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2010/02/21 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Gianluca Renzi / Looking For The Right Line

   ↑  2010/01/26 (火)  カテゴリー: bass

Looking For The Right Line Gianluca Renzi / Looking For The Right Line  ( amazon )
2004  Wide Sound  WD127
星1つ星1つ星1つ星1つ

Gianluca Renzi ( b ), Giovanni Amato ( tp,flh ), Max Ionata ( ts,ss ), Raffaele Carotenuto ( tb ), Pietro Lussu ( p ), Pietro Ioduce( ds )






昨夜、拙ブログでとりあげたルカ・マヌッツァのトリオでベースを弾いていたジャンルカ・レンツィ ( Gianluca Renzi , Frosinone , 1975~ ) の2004年にリリースされたデビュー作です。

レンツィは現在までに本作を含め3作品を発表しています。自己のセクステットで 『 Looking For The Right Line 』 ( 本作 ) と『 Don't Stop Your Mind 』 の2作品を出した後、一昨年にはイデア6のアンディ・グラビッシュやピエトロ・ルッソやロレンツォ・トゥッチやマックス・イオナータや、ふぅ~、ファブリツィオ・ボッソら、10人編成のビッグバンドで、チャールズ・ミンガスとジョー・ヘンダーソンに捧げた作品 『 Charles & Joe 』 をリリースしています。

 たぶん『 Charles & Joe 』 は面白いと思うのですが、まだ手に入れていません。僕の所有するのはこのデビュー作だけなのですが、これがなかなか出来の良いハードバップ作品ですのでお薦めです。3 リズム+3 管フロントラインのセクステット編成で、温かみのあるハーモニーを奏でています。マックス・イオナータも参加していますので、彼のファンは要チェックです。

収録曲はレンツィ のオリジナルが殆どなのですが、これらがいずれもすばらしい曲ばかりです。素朴で何処か垢ぬけないのですが、でもフックの効いたメロディーが魅力的で、全編から彼の非凡な作曲能力が窺えます。ベースの演奏をとってみても、圧倒的なテクニックを有しているにもかかわらず、それを顕示、誇示することなく、音楽的な気持ちよさへと昇華できるクレヴァーさも身につけているのも彼の魅力です。

こう言っちゃなんだが、High Five Quintet に彼が参加すれば、いまよりももっとレパートリーの幅が広がり、同バンドの更なる飛躍に寄与するのではないかと、おもっちゃうのだが。

 

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2010/01/26 | Comment (5) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Tal Wilkenfeld CDが売れないのは音楽不況ではない

   ↑  2010/01/08 (金)  カテゴリー: bass
tal w
毎週火曜日、仕事帰りに駅の売店で週刊アスキーを買って電車に揺られながら読むのが僕は好きです。

基本的にはパソコン関係の雑誌ですが、著名なコラムニストが連載する記事もたいへん面白く、そこが同誌の大きな魅力だと思っています。

個人的に特に愛読しているコラムは、歌田明弘氏の 『 仮想報道 』  と 山崎浩一氏の 『 今週のデジゴト 』 なのですが、年末の大掃除で雑誌の整理をしながら改めて再読し、なるほどな~、鋭いな~と感心するコラムが目にとまり、ついつい掃除も忘れて読みふけってしまいました。

そんなコラムの中でちょっと面白い記事があったので、ここに引用しておきます。

2009年3月24日号週刊アスキーの 『 今週のデジゴト 』から引用。
 
2009年2月21日、さいたまスーパーアリーナで行われたエリック・クラプトン&ジェフ・ベックの夢の共演ライブを著者が観戦したときの感動を綴ったコラムなのですが、コラムの後半はCDが売れない現状について自説を展開しています。

( 以下、一部引用。)

いまや音楽は時空の支配からもパッケージからも開放されて、外界の空気を振動させないまま私たちの聴覚中枢にダイレクトに届けられる。それが音源として創造された瞬間から、何MBかのデータに変換され、iTunesにアップロードされダウンロードされファイル交換され、デジタル携帯プレーヤーからイヤホンに伝わって、さらに私たちの小耳骨から電気信号として聴覚中枢へと・・・・。ようするに音楽とはデータの運搬手段みたいなものになっているわけだ。そのデータ量を私たちはバラ買いしている。

私自身もこの20年間にそんなプロセスを無意識に受け入れてきた。だって便利だし( まあ、私のiPod は今んとこ宝の持ち腐れになっているんだが )。でも、その一方で時空に束縛されてこそ体験できる音楽の身体性や同時性、そして、その時空をみんなで共有してこそ確認できる音楽の波動性や祝祭性は、自分の中で相対的に縮小しているようだ。いや、ロックやJ-POPやクラシックコンサートへはわりと頻繁に足を運んでいたつもりだったのだが、この日のような感覚は長い間忘れていたような気がする。

音楽という文化市場はデータの軽さも手伝ってネットとの親和性が高いけれども、だからこそ逆にライブ体験への希求が高まって、この10年でライブ市場は50%近く拡大している、という統計もある。CD不況=音楽不況ではないのだ。

興奮冷めやらぬまま帰宅して、さて、この余韻をネットでも共有しようかと思っていそいそと接続すると、すでに余韻どころかさっき聴いたばかりの音楽がファイル共有される祝祭が密かに始まっていたりする。これもまた音楽の今日的ライブ感覚というものか。やれやれ。



音楽とは元来、質量を持ちません。その質量ゼロの音楽にLP やCDという形あるパッケージを与え、それを流通させることで音楽産業は今まで発展してきました。僕らは子供のころからごく自然にパッケージ化された音楽に慣れ親しんできたので、なんの疑問も感じてきませんでしたが、実は音楽はパッケージである必要など全然ないんです。むしろ、音楽は質量ゼロの量子化されたデジタルデータとして存在する姿のほうが自然なのではないでしょうか。

ただ、電車で揺られながらiPod から流れる音楽をイヤホンを通して聴けば聴くほど、リアルな音楽を全身で享受してみたいという希求が高まっています。やっぱりライブが聴きてぇ~、観てぇ~、という身体の欲望の趣くまま、ライブハウスに足しげく通うわけですね。
僕もここ数年、CDの購入量はめっきり減ってしまいましたが、それに反してライブハウスに出かける回数はますます増えてきました。まさに、山崎氏が示す統計と同じ行動を僕はとっているようです。

ところで、上のイラストは山崎氏自身が書いているのですが、さすが早稲田大学漫画研究会出身でイラストレーターとしても活躍していた同氏だけのことはあり、とっても巧いですね。
 
雑誌を整理していたら、タルちゃんがベースマガジンの表紙を飾った2008年4月号も出てきました。せっかくなのでここにアップしちゃいます。

 tal w3   tal w4

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Anders Christensen Trio / Dear Someone

   ↑  2009/12/15 (火)  カテゴリー: bass

ANDERS CHRISTENSEN Dear Someone




ポール・モチアンのエレクトリック・ビバップ・バンドのベーシストとし俄かに注目を集めてきたデンマークの若き精鋭アンデルス・クリステンセン のデビュー作。個人的にはモチアン・バンドでのエレクトリック・ベースを弾いていたクリステンセンよりも、ヤコブ・ダイネセン ( Jakob Dinesen ) との一連の作品で聴かれる温かみのあるウッドベースの弾き手としてのクリステンセンが印象深い。特にヤコブ・ダイネセンとカート・ローゼンウィンケルとの共同名義で2002年に制作された『 Everything Will Be All Right 』 での彼のプレイは素晴らしく、作品としても充実しているのでよく愛聴している。最近ではジョージ・ガゾーンの『 Among Friends 』 にもモチアンといっしょに参加していた。

今作は確か日本に入ってきたのは11月だったと思うが、発売前からけっこう話題になっていた(らしい)。なにしろピアノがアーロン・パークスで、ドラマーがポール・モチアンだからだ。話題性だけではなく、実際に聴いたらすごく出来がよいため、よく売れ、あっという間に店頭から姿を消した(らしい)。僕はもともとアーロン・パークスの大ファンなのですぐ購入したが、知らないベーシストの作品ということで躊躇していた方は買い逃して今頃、臍を噛んでいるかもしれない。

このアルバムが人気を博している理由の一つは、一曲目に配されたタイトル曲 ≪ Dear Someone ≫ が日本人の琴線に触れる名演だからだと思っている。


Sara Gazarek が歌う ≪ Dear Someone ≫

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Joe Martin / Not By Chance

   ↑  2009/11/05 (木)  カテゴリー: bass

joe_martin _not by chance



ニューヨークで活躍中のベーシスト、ジョー・マーティン ( Joe Martin , Kansas City , 1970~ ) の最新作。

自身のリーダー作としては、2002年に FSNT からリリースされた『 Passage』 に続く二作目となる。本作の瞠目すべき点は何と云ってもクリス・ポッターとブラッド・メルドーの参加に尽きるだろう。大体において、ジョー・マーティンなんてベーシストを知っている人はほとんどいないだろうから、本作を買うファンは、クリス・ポッター・ファンかブラッド・メルドー・ファンか、あるいは両方のファンだろう。

僕はマーク・ターナー狙いで買ったマーティンの前作 『 Passage』 を所有していたが、その美しいジャケット・デザインは覚えていたものの、その内容についてはまったく記憶に残っていなかった。今回、この新作を聴いたついでに前作を聴き返してみたが、幻夢的な美しさが全編に横溢したなかなかの好盤だった。ただし、やはり彼のベースにはこれといった特徴は聴き取れなかった。

全9曲で、ジャコの《 The  Balloon Song 》 以外はすべてマーティンのオリジナル。デビュー作もそうだったが、彼のオリジナルはとても美しい。別段フックの効いた曲を書くわけではないが、60年代のモード・ジャズに代表される古典的な美と、現代コンテンポラリー・ジャズの浮遊するスリル感が融合した美曲を彼は書くことができる。

率直に云わせてもらうと、彼のベースには聴いてすぐ彼のプレイだと分かるような特徴が見られない。系統的には当然NYコンテンポラリー系にカテゴライズされるのだろうが、この分野ではすでに確固たる地位を築いているスコット・コリーやリューベン・ロジャーズやラリー・グレナディアやマット・ペンマンらなどに比べて、マーティンが音楽的アドバンテージがあるとは到底思えない。( アドバンテージがあるとすれば、前述したように作曲力ぐらいだろうか。)


それでも、生き馬の目を抜くニューヨークのジャズ界で、マークー・ターナー、カート・ローゼンウィンケル、ジョーゴードンらなど、多くの一流ミュージシャンから信認されているという事実を鑑みると、僕らにはわからないそれ相当の音楽的な魅力が彼にはあるのだろうと想像する。

( そのような閉ざされたプロ・ミュージシャンの世界における内部評価って、わかるはずないよね。まあ、どの社会でも外部評価と内部評価の乖離ってあるものだし。 )

閑話休題。兎に角、本作の聴き所はクリポタとメルドーなのだが、このふたり、自己のリーダー作で見せる鬼気迫る超絶技巧のプレイとは違って、比較的普通っぽい演奏をしているのが面白い。まあ、そのあたりに激しく物足りなさを感じるファンもいるであろうことは理解できるが、僕はこの緩い感じの二人がけっこう好きだ。プロは常にパフォーマンスを最大化すればイイ、というものではないのだ。

だからといって彼らが手を抜いているわけでは決してない。弛緩しない程度の緊張感は最後まで持続しているし、頂点を極めた者同士だけに許されたコミュニケーション・プロトコルを用いて、素晴らしいインタープレイを展開している。

メルドーは他のミュージシャンのサポートにまわると、時として非常に人間味のある優しい表情を垣間見せることがある。いわば変身前の姿が本作には記録されている訳で、そこがメルドー・ファンには嬉しいのだ。メルドーといえど、常にクライマックスフォームで戦っているのではない、のだ。

クリポタも余裕のソロを展開しているが、そこは百戦錬磨のクリポタ。他の誰にも真似できない斬新なパッセージを矢継ぎ早に繰り出し、聴く者を圧倒する。

思うに、クリポタの凄ところは、常に未知のフレーズを創造しながらアドリブを構築していけるところだ。世の中には数多のサックス・プレーヤがいるが、どのプレーヤーも似たりよったりのフレーズに終始しているように聴こえる。サックスの機能的構造の制約下のもとでは、吹きやすいフレーズと、指順の関係で極めて吹くのが困難なフレーズがあると思う。その結果、長いジャズ・サックスの歴史の中で頻繁に用いられるフレーズと淘汰されていくフレーズ、さらには歴史上、まったく吹かれることのなかった音列などがあるのだろう。プリポタの凄いところは、そのようなサックスの構造的制約あるいは限界をさらっと超えたところでアドリブを構築できることだと思う。

とまあ、そんなことを考えながら聴いている。各曲の詳細については僕のブログお仲間さんたちが書いているので割愛するが、コルトレーン・カルテットを喚起させるような M-6 《 Once Before 》 やジャコの複雑なコード進行からフリー・フォームに移行する M-5 《 The Balloon Song 》など、なかなか凝った楽曲が揃っていて文句なしの秀盤だ。

最後に録音について一言。面白いことにクリポタのサックスが左チャンネルに、マーカス・ギルモアのドラムが右チャンネルに定位しているのだ。偏っているのではなく、クリポタは完全に左チャンネルからしか聴こえないし、ギルモアは完全に右チャンネルからしか聴こえないのだ。ピアノとベースは中央に定位しているので、このCDをヘッドフォンで聴くとき、左のヘッドフォンをはずして右だけで聴くと、なんとブラッド・メルドー・トリオの演奏になってしまう!  わけだ。録音はあのジェームズ・ファーバーなのだが、こんな録音は初めて聴いた。

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2009/11/05 | Comment (12) | Trackback (6) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Heiri Kanzig / Grace of Gravity

   ↑  2009/09/28 (月)  カテゴリー: bass

heiri kanzig





ヘンリ・カンツィグ ( Heiri Kanzig ) は、90年代半よりティエリー・ラング・トリオの・レギュラー・ベーシストとして活躍し、近年は ジャン・クリストフ・ショレ ( Jean-Christophe CHolet ) らとの連名でトリオを組んで活躍している技巧派ベーシストです。ネット上には英語による彼の詳しい情報がほどんと公開されていないのですが、ニューヨク生まれのドイツ系スイス人 ( Swiss German ) のようです。年齢は不詳です。


今回、この記事を書くにあたり検索して初めて知ったのですが、彼は1978年から20年近くにわたり、ウィーン・アート・オーケストラ ( Vienna Art Orchestra ) のベーシストを務めていたのですね。僕も近年の同オーケストラの作品はだいたいのところは所有しているのですが、80年代から90年代の作品はあまり所有していないので、詳しいことは言えませんが、確かに手許にある94年作品 『 Duke Ellington & CHarles Mingus 』 に彼の名前がクレジットされており、ベースソロまでフューチャーされているのを見つけました。

今日聴いている 『 Grace of Gravity 』 はスイスのレーベル、Plainsphare から95年にリリース ( 録音は94年 ) されたセカンドです。デビュー作は92年にドイツの L+R から出した『 Awakening 』 という作品で、ケニー・ホイーラを招いて制作されていてます。そちらは未所有ですが、こちらのサイトで試聴できます。

現在もティエリー・ラングと活動を共にしていて、昨年発売されたラングのリーダー作 『Lyoba 』 にも名を連ねていました。チェンバー・ジャズ的なスイスのフォークソング集で、クラシカルなチェロ奏者らとのコラボも見事で印象的な好盤でした。

2007年には久しぶりのリーダー作 『 Acoustic Strings 』 をリリース。なんとプログレシッヴ・ロック風のラディカルなスタイルを披露していました。



さて、この『 Grace of Gravity 』の話に戻しましょう。本作はウエスト・コースト・ジャズを代表するアルト・サックス界の巨匠、チャーリー・マリアーノを招聘して制作されたカルテット作品です。ピアノはもちろんテティエリー・ラングです。

チャーリー・マリアーノは今年6月に亡くなられました。あまり話題になりませんでしたが、マリアーノに関心の薄いファンには2重の意味で驚かれたのでないでしょうか。

まず、不謹慎ではありますが、「マリアーノってまだ存命中だったのかぁ!! 」 という驚き。まあ、1923年生まれですから、普通なら ( 男性なら特に ) すでに亡くなられていてもおかしくないわけですから。実際には癌と闘いながら、亡くなる直前まで精力的にライブ活動も行っていて、昨年録音されたライブ音源が先日、ENJA から 『The Great concert 』 という盤題で発売されました。

そしてもうひとつ驚かされたのが、亡くなられた場所がドイツのケルンであったということです。50年代のウエスト・コーストで活躍していたマリアーノしか知らないファンにとっては意外かもしれませんが、シドニー・ベシェ、ケニー・クラーク、デクスター・ゴードン、それにチェット・ベイカーなど、多くの米国ミュージシャンが安住の地を求めて60年代に渡欧したように、マリアーノもまた70年代に渡欧していたのです。

渡欧したマリアーノが居を構えたのがケルンで、そこを拠点に欧州諸国のミュージシャンらと競演を重ねてきました。

欧州に活動の場を移してからの彼の活動は、ワールド・ミュージック的なものから、United Jazz + Rock Ensemble への参加にみられるようにジャズロック的なものまで、ジャズを超えて広がりを見せました。が、もちろんアコースティックな4ビート・ジャズでもその卓越した技術は多くの欧州ミュージシャンに影響を与え、多くの作品に客演していました。

このヘンリ・カンツィグの作品への参加もその流れで実現したもので、以後、マリアーノとカンツィグはたびたび共演し交友を深めていき、アルバム・ベースでは2006年録音のマリアーノのバラード集 『 Silber Blue 』 でも二人は共演しているほどです。この 『 Silber Blue 』も深い哀感を全編に漂よわせる味わい深い作品で、僕の秘かな愛聴盤であります。

ともかく、このカンツィグの作品ではマリアーノが要になっていることは疑う余地がありません。円熟の極みとも云うべき豊穣なフレーズで作品全体が満たされていますが、晩年のいかにも枯れた味わいは此の頃はまだみられません。マリアーノは50年代のウエスト・コースト時代からバラードが得意で、思わず陶酔してしまうような官能フレーズが僕は大好きだったのですが、本作でもゆったりとしたリズムの上に情感をうまく乗せて、欧州独特のリリカルな作品に仕上げています。

Heiri Kanzig  /  Grace of Gravity  星1つ星1つ星1つ星1つ
Planinisphare  1994  PL 1267/102

Heiri Kanzig  ( b )
Charlie Mariano  ( as )
Thierry Lang  ( p )
Alfredo Golino  ( ds )

この記事に含まれるタグ : スイス 四つ星 90s 

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2009/09/28 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |
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