雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Tom Harrell / The Time of The Sun

   ↑  2011/07/01 (金)  カテゴリー: trumpet
tom harrell_time of the sun Tom Harrell / Time of the Sun ( amazon.co.jp )
2011 Highnote


Tom Harrell (tp,flh)
Wayne Escoffery (ts)
Danny Grissett (p, rhodes)
Ugonna Okegwo (b)
Johnathan Blake (ds)



今宵はトム・ハレル ( Tom Harrell, 1946~ )の最新作『 The Time of The Sun 』 を堪能しているところ。ウェイン・エスコフェリー、ウゴンナ・オケグォ、ジョナサン・ブレイク、そしてダニー・グリセット、という顔ぶれで、2007年に 『 Right On 』 を発表して以来、不動のメンバーで活動を続けてきたが、今新作はそんな彼らによる通算4作目となる作品だ。

収録曲は全9曲。もちろん全てがトムの自作曲。周知のごとく、彼はトップ・プレーヤーであるばかりか、優秀なコンポーザーでもあり、彼の書く曲は多くのミュージシャンによってカヴァされている。その自作曲の数は悠に100は超えているという。変な話、トランペットが吹けなくなっても、作曲家として飯を食っていけそうなくらいだ。

空間系エフェクト処理された奇矯な電子音で幕を開けるタイトル曲 M-1 《 The Time of The Sun 》 は、演奏の重心をかなり低くした8ビート基調のヘヴィな曲。「えっ! これがトム・ハレル!? 」と、おそらく予てからのファンは驚くに違いない。冒頭からこれではちょっとドン引きしちゃいそうになるが、2曲目以降は逆に耳に馴染みやすい軽快なナンバーが並んでいて、ひと安心。

トムは70年代から既にラテン系のオリジナル曲を好んで作曲してきたが、今作でも彼の真骨頂とも言うべきラテン・フレーバー溢れる瑞々しい曲が並んでいる。ブラジリアン・バラードともいうべきスローなナンバーM-2 《 Estuary 》、サンバ調のM-7 《 River Samba 》、6/8拍子のアフロキューバン M-9 《 Otra 》 などなど。

また、ブレッカー・ブラザーズの楽曲のカヴァか? と一瞬思ってしまいそうなファンク・ビートのM-3《 Ridin' 》などもあり、今回は今までにまして脱4ビート化が目立つ仕上がりになっている。

グリセットは前作同様に今回もローズを大々的に用い、トムのリリカルなソロの隙間を埋めるかのように、浮遊感のあるバッキングを奏でる。

また、エスコフェリーの豪快に捻じれる男性的なテナーと、繊細にして滋味溢れる表現力を持つトム・ハレルのトランペットの対比が放つカウンターフォースも面白い。

やや地味な印象を受ける仕上がりだがとっつきやすいため、何度も聴いているうちに意外にもハマる作品かもしれない。

でもまあ、既出の Hight Note からの諸作品に比べ、なんとなく軽薄感が漂っているのがどうもねぇ~、というのが偽らざる気持ち。本当は前作 『 Roman Night 』や前々作 『 Prana Dance 』のほうが、個人的な好みではある。

ついでに言ってしまうと、近年のトムの作品群のなかで一番好きなのは、これ→ 『 The Cube 』( 2008 Abeat )。 厳密にはトムのリーダー作ではないが、彼の淡く抒情的なメロディーセンスが堪能できる珠玉の一枚だ。



Tom Harrell_CUbeTom Harrell, Dado Moroni / The Cube ( amazon.co.jp )
2008 Abeat

Tom Harrell (tp,flh)
Dado Moroni (p)
Andrea Dulbecco (vib)
Riccardo Fioravanti (b)
Enzo Zirilli (ds,per)
Stefano Bagnoli (ds)

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2011/07/01 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Tom Harrell / Sail Away

   ↑  2011/06/25 (土)  カテゴリー: trumpet
Hom Harrell_Sail AwayTom Harrell / Sail Away ( amazon.co.jp )
1989 Comtemporary

Tom Harrell (tp)
Joe Lovano (ts)
Dave Liebman (ss)
James Williams (p)
John Abercrombie (g)
Ray Drumond (b)
Adam Nussbaum (ds)
Cheryl Pyle (fl)


トム・ハレルの新譜 『 Time of The Sun 』 を繰り返し聴いていた。以前から感じてはいたが、彼のアルバムって押し出しが強いわけではないので、第一印象はいつもあまりよくない。何度も聴いているうちに徐々に沁みてくる、そんなアルバムが多い。今新作もまさにそんな感じ。今日の東京も朝から暑く蒸しているが、こんな日にぴったりのラテン・アコースティック・フュージョン系でかなりハマって聴いている。

そう言えば、トムの自作曲《 Sail Away 》がボサノバ調の涼しげな曲で、昔はこの季節によく聴いたものだなぁ~、なんて懐かしくなり、このアルバムを引っ張り出して聴いている。ジョンアバの奏でる涼しげなギターが印象的だったなぁ。

この曲、トム自身も気に入っていて、たびたび演奏していたようだが、他のジャズ・ミュージシャンにも人気があり、たくさんカヴァされている。僕の音楽管理ソフト『 MediaMonkey 』で “ Paino” & “ Sail Away ” で検索しただけでも4曲のカヴァがヒットした。




Martin Sasse TrioMartin Sasse Trio / Here We Come ( amazon.co.jp )
2000 Nagel Heyer

Martin Sasse (p)
Henning Gailing (b)
Hendrik Smock (ds)









Phil DeGregPhil DeGreg / Table for Three ( amazon.co.jp )
1994年録音 Prevenienx Music

Phil DeGreg (p)
Eric Sayer (b)
Steve Barnes (ds)
Mike Sharfe (b)
Marc Wolfley (ds)







Dick Fregulia Trio_I'll String Along With YouDick Fregulia Trio / I'll String Along With You ( amazon.co.jp )
2006年録音 Blue Koala

Dick Fregulia (p)
Brandon Robinson (g)
Steve Webber (b)









Sébastien Paindestre_live@Sebastien Paindestre / Live @ duc des lombards

( amazon.co.jp )
2008年録音 ARC

Sebastien Paindestre (p)
Jean-Claude Oleksiak (b)
Antoine Paganotti (ds)


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2011/06/25 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Alex Sipiagin / Destinations Unknown

   ↑  2011/06/20 (月)  カテゴリー: trumpet
Alex Sipiagin_Destinations UnknownAlex Sipiagin / Destinations Unknown ( amazon.co.jp )
2011 Criss Cross


Alex Sipiagin (tp, flh)
Chris Potter (ts)
David Binney (as)
Craig Taborn (P, rhodes)
Boris Kozlov (b)
Eric Harland (ds)



ロシア生まれのトランペッター、アレックス・シピアギン ( Alex Sipiagin, 1967~ ) の通算12作品目、Criss Cross としては9作品目となる最新作。

これだけ多くのリーダー作をリリースしていながら日本での知名度はいまだ低い。Criss Cross からいくらアルバムを出しても日本人リスナーに対する訴求力を発揮できないのは仕方ないことだろうか。日本人には “マンデイ満ちるの旦那” と説明したほうがわかってもらいやすいのが悲しいところ。

アレックス(アレクサンダー)・シピアギンは、1967年6月11日、モスクワにほど近いヤロスラヴリという町に生まれている。12歳からクラシック・トランペットを始め、15歳で地元の音楽大学に進学するが、たまたまカセットテープでロシアのBeBop を聴く機会があり、強く触発されたのがジャズとのはじめての出会いだった。そして、クラシック音楽のキャリアを更に深めるため16歳でモスクワ音楽院に進むが、その一方で、ジャズについても自主的に取り組み、理解を深めていった。20歳時に軍隊に入隊し2年の兵役生活を送ったが、退役後はグネーシン音楽大学に入学し、クラシックを学ぶ傍ら、ポップ・バンドに参加したり、セッション・プレーヤーとして活躍する日々を送っていた。

彼に人生に転機が訪れたのは1989年のこと。第一回ロシア・ジャズ・コンテストで優勝したことがきっかけで、テキサスで開かれたジャズフェス(Corpus Christi Jazz Festival)に学生バンドと一緒に参加するチャンスを得たのだった。そして、テキサス滞在中にセロニアスモンク・コンペティショントのパンフレットを偶然目にし、それにデモテープを送ったところ見事テープ審査をパス。しかも当時としては異例の速さでビザも取得でき、ついにワシントンの地を踏むことができたのである。当時アレックスは英語など全く話せず、ワシントンに着いた時には一銭も持っていなかったというが、それでも幸運は重なるもので、本選では堂々の4位入賞を果たした。ちなみに同コンペ参加者のなかにはライアン・カイザー、スコット・ウェンドホルト、ニコラス・ペイトンらがいた。

ついにジャズの本場アメリカでのキャリアを開始したアレックスは、ギル・エバンスのマンデイ・ナイト・オーケストラ(スイート・ベイジル)、ミンガス・ビッグバンド、スイスのジョルジュ・グルンツ・コンサート・ジャズ・バンドなどに参加し、精力的な活動を展開していった。現在もミンガス・ビッグバンドやデイヴ・ホランド・オクテットなどで活躍中である。

とまあ、こういう経歴からもわかるように、ビッグバンド畑一筋で成功を収めたミュージシャンのように思われるが、意外にも自己のリーダー作も意欲的に制作してきた吹き手なのだ。しかも、ビッグバンドでのコンベンショナルな演奏とはまるで違って、リーダー作では極めて先鋭的でコンテンポラリーなスタイルを貫いているのが面白い。

さて、今新作は Criss Cross からは9作品目となる作品だ。この数はCriss Cross に所属するミュージシャンの中でもかなり多い部類に入る。トランペッターではジョン・スワナが11作品で最多だが、アレックスの9作品はこれに次ぐ作品数だ。プロデューサーであるゲリー・ティーケンスによほど気に入られているのであろう。 Criss Cross 所属のトランペッターとしては、上記したジョン・スワナ以外にも、ジョー・マグナレリ、ジム・ロトンディ、ライアン・カイザーなどなど、錚々たるミュージシャンが名を連ねているが、その中でもアレックスだけはちょいと毛並みが違っているように思う。つまり、他のトランペッターよりもコンテンポラリー度数が高く、モーダルで複雑な演奏を得意としているのだ。そのことは共演するサックス奏者を見ても一目瞭然だ。ジョン・スワナ、ジョー・マグナレリ、ジム・ロトンディらがその相棒としてエリック・アレクサンダーを選ぶのに対してアレックスは、クリス・ポッターやシーマス・ブレイクを好んで起用してきた。

今作のメンバーはクリス・ポッター、デヴィッド・ビニー、クレイグ・タボーン、ボリス・コズロフ、そしてアレックスの作品には始めて参加するエリック・ハーランドの6人。クリス・ポッターとデヴィッド・ビニーは1996年にTCBに吹き込まれたアレックスのデビュー作『 Images 』で既に共演していた旧知の仲。その後もこの2人とはたびたび共演を繰り返してきた。直近では2004年の『 Equilibrium 』でもこの3人はフロントラインを形成していた。クリス・ポッターはアレックスのリーダー作12作品中なんと半数の6作品に名を連ねている。これぞ相思相愛の間柄。

さて、肝心の内容だが、ホント、これは凄くいい。いいアルバムっていうのは始まりの雰囲気でわかるもの。本作はその典型的な例だろう。楽曲の完成度の高さと、各メンバーの驚異的な即興演奏は既出のいかなる作品をも凌ぐものだ。

収録曲はアレックスの自作曲6曲とトニーニョ・オルタの1曲で計7曲。殆どの曲が10分以上と長尺で、各メンバーのアドリブ・パートも大々的に用意されているので、思う存分、贔屓のプレーヤーのソロが堪能できる。アレックスのリーダー作だから彼のソロ・パートに重点が置かれているという訳でもなく、フロント3人にほぼ等価配分でソロ・パートが用意されている。クリス・ポッターのソロは言うに及ばず、デヴィッド・ビニーのソロもかなりウネリまくって心地よい。アレックスの自作曲は、キャリアを重ねたからこそ生み出せる細部への工夫が見られ、流石と言わざるを得ない。そして相変わらずストイックなシリアスな雰囲気が全編に漂っているのはまさにアレックスの世界観そのものだ。

ところで、楽曲はモードを主軸に構成されているように思われるが、中にはモーダル/コーダル間を行き来しながら展開していくような楽曲もあり、まさにNYコンテンポラリー系のサウンドなのだが、こういうスタイルのジャズをどう表現したらいいのか、いつも悩んでしまう。“ ポスト・バップ ” という言葉で括ってしまうと、なんだかわかったようで、実のところなんだか全然わからない。現代NY系ジャズの種々のスタイルを上手に定義してくれる評論家の方っていないものだろうか。

ということで、最近のジャズ界に立ちこめる閉塞感に嫌気がさしていた今日この頃であったが、こういう元気のある刺激的なジャズを聴くと、一気に視界が広がっていくような爽快感が感じられ、気持ちがイイものだ。久しぶりにアレックスの旧作でも聴き返してみようかなぁ。



Alex Sipiagin / Steppin' Zone ( amzon.co.jp )
2001 Criss Cross


Alex Sipiagin (tp)
Chris Potter (ts)
Dave Kikoski (p)
Jeff Watts (ds)
Scott Colley (b)

Criss Cross からの諸作品で一番好きなのはこれかな。2001年の同レーベルのデビュー作。メンバーがメンバーだけに肉感的な絡みあいがすごい。全体的にキリッと締まった仕上がりで、無駄が一切ないところがよい。



Alex Sipiagin _ImagesAlex Sipiagin / Images ( amazon.co.jp )
1998 TCB

Alex Sipiagin (tp, flh)
Dave Binney (as)
Chris Potter (ts)
Josh Roseman (tb)
Gil Goldstein (p, accord)
Adam Rogers (g)
Scott Colley (b)
Jeff Hirshfield (ds)
Kenny Wollesen (perc)

1998年にスイスのTBCに吹き込まれたアレックスのデビュー作。ケニー・ホイーラーやフンラコ・アンブロゼッティのような美しく抒情的な演奏をしていて、アレックスの違った側面が見られる作品。結構面白い曲もあったりして、以前はよく聴いた。ディストーションやワウワウを派手に使ったアダム・ロジャーズには当時たいへん驚いた記憶がある。アレックスもそのアダムに負けじとエフェクターを通した電気トランペットで応戦。みんな若かったんだねぇ~。

ブログ 『 中年音楽狂日記 』 の中年音楽狂さんの記事 『 Alex Sipiagin:ライブも最高,アルバムも最高! 』 はこちらから。













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2011/06/20 | Comment (6) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

My Fav Song This Week

   ↑  2010/06/20 (日)  カテゴリー: trumpet

Tom Harrell 『 The Cube 』( 2007 Abeat ) より 《  Tom's Soul  》

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2010/06/20 | Comment (5) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Derrick Gardner & The Jazz Prophets + 2 / Echoes of Ethnicity

   ↑  2010/06/02 (水)  カテゴリー: trumpet
DERRICK GARDNER_echoes.jpg
Derrick Gardner & The Jazz Prophets / Echoes of Ethnicity ( amazon )
2009 Owl Records


Derrick Gardner (p), Vincent Gardner (tb), Rob Dixon (ts)
Rick Roe (p), Gerald Cannon (b), Donald Edwards (ds)
Brad Leali (as), Jason Marshall (bs), Kevin Kaiser (perc)
Brandon Meeks (b)





米国人トランペッター、デリック・ガードナー ( Derrick Gardner, Chicago, 1965~ ) の “ The Jazz Prophets ” 名義による3作目となる最新作。現カウント・ベイシー・オーケストラのメンバーとして活躍する割には認知度が低く、特に日本では馴染みのないトランペッターですが、その認知度不相応にかなり腕の立つ吹き手なのです。

2003年に新興レーベル Impactjazz からリリースされたデビュー作『 Slim Goodie 』と、次いで2008年に Owl Records からリリースされたセカンドの『 A Ride to the Other Side.』が共に激しく心揺さぶられる素晴らしいハードバップ作品だったので、今回も購入したのですが、やはり期待を裏切らない素晴らしい出来でした。

デリック・ガードナーの兄で、現在は LCJO のメンバーでもあり、SteepleChase からも4作ほどリーダー作をリリースしているヴィンセント・ガードナーもバンドメンバーとして名を連ねています。基本編成はトランペット、テナー、トロンボーンの三管フロントラインですが、今作では更にバリサクとアルトが曲によっては加わっています。そして前作まではディック・カツツ ( DIck Katz ) がピアノを弾いていましたが、今作ではUnknown Records に数々のリーダー作を吹き込み、ピアノ・ファンには人気のあるリック・ロウ ( Rick Roe ) に交代しています。デリック・ガードナーはミシガン州立大学出身で、現在も母校で教鞭をとっているくらいなので、もしかするとその関係でデトロイトのローカル・ミュージシャンであるリック・ロウと繋がりを持っているのかもしれません。

全10曲。デリックのオリジナル中心で、それ以外はメンバーのオリジナルやフレディー・ハバードの《 The Melting Pot 》、スタンダードの《 Autumn in New York 》などが収録されています。兎に角、滅茶苦茶カッコいいハードバップです。完全にツボにハマり恍惚状態です。デリックの熱く激しい吹きっぷりは古くはリー・モーガン、最近ではラッセル・ガンあたりを彷彿とさせます。近年、このような暴れん坊で不良っぽいトランペッターって少ないので、とっても貴重。やっぱりトランペットはこうでなくちゃ。しかしながら単に勢いだけで吹いているかのように思わせておいて、実はかなり凝った構成のオリジナル曲を余裕綽々で吹いて、相当なワザ師であることがわかります。

こういう60年代のソウルフルで熱く燃えたぎるハードバップは、僕が考える理想のハードバップにかなり近いです。もう何度聴いても飽きません。現在 ( 6月2日22:35 )、amaozn には2枚在庫とマーケットプレイスには新品5枚があるようです。ハードバップの好きな方はぜひ聴いてみてはいかがでしょうか。お薦めです。


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2010/06/02 | Comment (9) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Peter Asplund / Asplund Meets Bernstein

   ↑  2010/05/29 (土)  カテゴリー: trumpet
peter asplund_bernstein
Peter Asplund / Asplund Meets Bernstein ( amazon )
2010 PROPHONE PCD103

Peter Asplund (tp)
Jacob Karlzon (p)
Hans Andersson (b)
Johan Lofcrantz (ds)
Dalasinfonietten ( orchestra )
Conducted by Mats Halling




素晴らしい出来映えの前作『 As Knights Concur』( 前項あり ) から2年ぶりとなるスウェーデン出身のトランペッター、ピーター・アスプランド ( Peter Asplund , 1969~ ) の最新作がリリースされた。通算6作目となる今作は母国スウェーデンの交響楽団 Dalasinfoniettan との共演によるレナード・バーンスタイン集。

アスプランドは2000年に彼の最大のアイドルであるルイ・アームストロングへのオマージュ作品『 Satch As Such 』(前項あり ) をビッグバンド編成で制作しているが、ラージ・アンサンブル作品としてはそのサッチモ集以来10年ぶりである。しかもクラシックの交響楽団との共演は今回が初めて。難しい題材ではあるが、一作ごとにその実力を高めてきたアスプランドだけに大変楽しみな作品だ。

レナード・バーンスタイン ( Leonard Bernstein, 1918-1990 ) 。言うまでもなくカラヤンと並んで20世紀に君臨した偉大なるアメリカの音楽家である。なにかとカラヤンと比較されるが、バーンスタインはカラヤンと違い、指揮者であると同時に作曲家としても活動したことで有名だ。僕はクラシックに疎いのでバーンスタインと聞いて『 ウェスト・サイド物語 』ぐらいしか思い浮かばないが、他にも知られざる名曲を数多く残しているらしい。生前バーンスタインは、自分を『 ウェスト・サイド物語 』の作曲家としてだけで記憶されるのを嫌っていたと言われる。それだけ『 ウェスト・サイド物語 』だけが独り歩きし、有名になってしまったということだろうが、近年、クラシック界でも作曲家バーンスタインを再評価していこうという機運が高まっている。

ジャズ界に目を向けてみると、古くはオスカー・ピーターソンやアンドレ・プレヴィン、近年ではアンドレ・チェカレリやリッチー・コールらが 『 ウェスト・サイド物語 』 というそのまんまのタイトルで作品を制作しているが、バーンスタイン集として一枚まるまる彼のミュージカル曲集を作ったのはビル・チャーラップの『 Somewhere 』 ( 2004 Blue Note ) ぐらいしか思い浮かばない。まあ、僕が知らないだけかもしれないが、いずれにしてもジャズでバーンスタインをカヴァすることは珍しいことだろう。多くのジャズ・ミュージシャンが取り上げるガーシュウィンに比べると、バーンスタインの楽曲はおそらくコード進行がジャズ化しにくいことがその原因かもしれない。

全9曲ですべてバーンスタインの楽曲。ほとんどがミュージカル・チューン。『 ウェスト・サイド物語 』から《 I Feel Pretty 》、《 Somewhere 》、《 Tonight 》。『 キャンディード 』 から《 Glitter And Be Gay 》、《 It Must Be So》。『 ワンダフル・タウン 』から《 It's Love 》、《 Neverland 》。『 オン・ザ・タウン 』から《 Some Other Time 》 。そして、冒頭に配された《 A Simple Song 》 のみバーンスタインが書いたミサ曲、という構成。

冒頭曲 《 A Simple Song 》。ティンパニのクレッシェンドと、その直後の金管の炸裂音で大抵のジャズファンは尻込みしてしまうだろうが、そのあとは比較的静かな展開が続く。繊細なストリングスの導入部から優しくエレガントなフリューゲルの旋律が浮かび上がってくる《 Some Other Time 》。ピアノのヤコブ・カールゾンが透明感を淡く湛えたソロがあまりにも美しい《 I Feel Pretty 》や《 Somewhere 》。ゆったりと疾走する牧歌的リズムに乗って、アスプランドが爽やかなソロを繰り広げる《 Tonight 》、などなど。聴きどころ満載。聴く前はクラシックに軸足を置いたバーンスタイン集なのだろうと予想していたが、意外にジャズとのミククチャー感が絶妙で、クラシック独特の仰々しさが(一部を除き ) 気にならない。

ところで、オリジナルを尊び、アレンジやカヴァを評価しない風潮があるクラシック・ファンの眼には本作はどう映るのだろうか。興味深いところが、でも本作は優れたアレンジで原曲の隠れた魅力を引き出すことに成功していると思う(原曲を知らないものも多いけど(^_^;) ) し、バーンスタインに音楽への深い理解と敬意に満ちた作品であると僕は信じたい。




 中年音楽狂さんの記事 『 Peter Asplund:オーケストラとの共演でBernsteinに挑んだ大作 』 はこちら

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2010/05/29 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Nicolas Folmer meets Bob Mintzer / Off The Beaten Tracks Vol.1_ Live au Duc des Lombards

   ↑  2010/04/08 (木)  カテゴリー: trumpet

nicolasa folmer bob mintzerNicolas Folmer meets Bob Mintzer / Off The Beaten Tracks Vol.1 (HMV)
2010 Cristal Records


NicolasFolmer (tp), Bob Mintzer (ts), Antonio Farao (p), Jerome Regard (b), Benjamin Henocq (ds), Phil Markowitz (p M4,7), Jay Anderson (b M4,7), John Riley(ds M4,7)




Paris Jazz Big Band のリーダーも務めるフランス人トランペッター、ニコラ・フォルメル ( Nicolas Folmer ) の通算4作品目となる最新作。

今作はボブ・ミュンツァー ( Bob Mintzer , 1953~ ) を招いての実況録音盤。ニコラ・フォルメルとボブ・ミンツァーの顔合わせは意外に感じるが、ニコラにとっては同じビッグバンドを運営する身としてボブは憧れの存在なのではないだろうか。

会場となったのはパリの中心街にある Duc des Lombards ( デュック・デ・ロンバール ) というクラブ。このDuc des Lombards があるロンバール通りにはこのクラブの他にもBaiser sale (ベゼ・サレ)や、アンドレ・チェカレリの『 Live Sunside Session 』( 2008 , Cristal Records ) が録音された Sunside などもある、喩えるなら “ パリのニューヨーク52番通り ” みたいなところだ。

今回のGig はニコラ・フォルメルをリーダーとするフランス人からなるカルテットに単にボブ・ミンツァーがゲスト出演したのではなく、ボブ・ミンツァー自身も自己のレギュラー・バンドを引き連れて訪仏している点が面白い。Gig が行われたのは2009年6月の4日間で、前半2日がニコラのレギュラー・カルテットにボブが参加した編成で、後半2日がボブのカルテットにニコラが客演した編成で行われた。収録曲は全8曲で、うち6曲がフランス人のリズム隊によるもので、残り2曲がアメリカ人のリズム隊によるものだ。8曲中6曲がニコラの筆によるもので、あくまでニコラ主導の作品といえる。この企画自体がニコラがこのDuc des Lombards 側に持ちかけたものだったようだ。


まずは誰しもその豪華なメンバーに鼻息も荒くなることだろう。特にフランスチームのリズム隊は最強だ。ベースのジェローム・ルギャーは PJBB の同僚でニコラ・カルテットのレギュラーメンバーとして近年一緒に活動している。90年代にあの Prysm で大活躍したドラマー、ベンジャミン・エノクも最近、各方面で耳にするが、現ニコラ・カルテットのレギュラーとしても活動している。そしてピアノは意表をついてアントニオ・ファラオだ。本来ならティエリー・エリス ( Thierry Eliez ) が座るところだが、どのような事情があったのだろうか。兎に角、フロントの二人の顔合わせだけでも興奮モノなのに、バックがこれだから鼻息に交じって鼻血も吹き出してきそうだ。

ノリのよいハードバップから哀愁感いっぱいのスロー・チューンまでバラエティーに富んだ楽曲が並ぶが、中でも聴きモノなのが冒頭に配された爽快なタイトル曲 ≪ Off The Beaten Tracks ≫ と末尾に配されたアントニオ・ファラオのオリジナル曲 ≪ Black Inside ≫だろう。

前者は16ビートの痛快ハードバップ。何処となくブレッカー・ブラザーズを彷彿とさせる楽曲だ。この曲に限らずニコラの曲作りは相変わらずうまい。フロントの二人ともアグレッシブ&ダイナミックなソロを展開する。特にボブ・ミンツァーのソロは圧巻。やっぱり巧い。最近は自己のビッグバンドの運営に軸足を置いた活動が目立つだけに、こんな気持ちの良い吹きっぷりを見るのは久しぶりのような気がする。

後者はファラオの98年の作品 『 Black Inside 』 に収められていたタイトル曲。Cm の高速ブルースだが、ファラオはモーダルなラインでソロを構築していくので、ブルース臭さはない。ファラオだって最近は Cam Jazz から甘口な作品ばかり出しているので、こんな激しいソロは久しぶりだ。やっぱりファラオはこうじゃなくちゃ。

一方で、M-7 ≪ Le chateau de Guillaumes ≫ のような哀愁ラテン・バラードでのソロでは情感豊かな美メロを惜しげもなく披露。まったくニコラは緩急自由自在でテクニックは完璧だし、日の打ちどころがない。それこそイタリアのファブリツィオ・ボッソと比較してもまったく遜色ない技術力だ。

そう云えば、フランス人トランペッターって、巧い人少ないような気がする。思い浮かぶのは中堅のエリック・ルラン ( Eric Le Lann )と若手の フェビアン・マリー( Febien Mary ) ぐらいだろうか。エリック・トラファズ ( Erik Truffaz ) だってフランス系スイス人だし、フランスで活躍しているから一瞬勘違いしてしまうがパオロ・フレズ ( Paolo Fresu ) やフラビオ・ボルトロ ( Flavio Boltro ) はイタリア人だ。そう云った意味でもニコラ・フォルメルにはいっそう頑張ってもらいたいものだ。

この記事に含まれるタグ : フランス 4.5point 

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2010/04/08 | Comment (9) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Sean Jones / The Search Within

   ↑  2010/03/29 (月)  カテゴリー: trumpet
Sean Jones_search withinSean Jones / The Search Within  ( amazon )
2009  Mack Avenue


Sean Jones(tp) Brian Hogans(as) Walter Smith(ts) Orrin Evans(p,elp) Luques Curtis(b) Obed Calvaire(ds) Special
Guests: Gregoire Maret(hca) Erika Von Kleist(fl) Kahlil Bell(per) Carolyn Perteete(vo)



まずはともあれ、上にアップした音源 ≪ Transtions ≫ を聴いてみて。

The Jazz at Lincoln Center Orchestra (JLCO) のメンバーとしても活躍するトランペッター、ショーン・ジョーンズ ( Sean Jones , Warren OH , 1978~ )の通算5作品となる最新作。

JLCO メンバーに抜擢されるくらいだからその技術は折り紙つきなのに、日本では何故か話題にあがることがほとんどない吹き手だ。2004年のデビュー作 『 Eternal Journey 』を最初聴いたときはそれなりに巧いのはわかったが、強いシンパシーを感じるまでには至らない作品だった。その後もコンスタントにMack Avenueに吹き込みを続けてきたが、やっと極めつけの傑作が登場したといってよいだろう。とにかく、この人は年々巧くなってきたように思う。そろそろ聴き頃かもしれない。

ショーン、ウォルター・スミス、ブライアン・ホーガンスの3管フロント+リズム隊のセクステットを基本編成とし、楽曲によっては管が抜けてフルートが入ったり、フレゴア・マレのハーモニカがはいったりする。1曲だけだが女性ボーカル入りの曲もあり、激烈ネオ・ハードバップ一辺倒というわけではない。なかには情感豊かなバラード・プレイやサウダージ系もあったりして色彩感豊かな内容に仕上がっている。

メンバー的に瞠目すべきはドラマーのオベッド・キャルベア ( Obed Calvaire , Miami ) だろうか。年齢は不詳だがまだまだ若そうなドラマーで、ちょうどテレル・スタッフォードのバンドで叩いているダナ・ホール ( dana Hall ) ( 前項あり ) と系統的には同じだろう。トニー・ウイリアムス~ラルフ・ピーターソン~ジェフ・ワッツ あたりを彷彿とさせる手数の多いドラマーだ。ジャン・ミシェル・ピルク、アンブローズ・アーキンムシーレイ、イーライ・デジブリ、ゲイリー・ベルサーチ、それからヴァンガード・ジャズ・オーケストラなどにも参加し、これからも更なる活躍が期待できる新進気鋭のミュージシャンといえよう。

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2010/03/29 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Steve Fishwick / Up Front !

   ↑  2010/03/04 (木)  カテゴリー: trumpet
steve fishwick_upfront2 Steve Fishwick / Up Front !  ( amazon )
2007 Hard Bop Records HBR33002


Steve Fishwick ( tp )
Colin Oxley ( g )
Dave Chamberlain ( b )
Steve Brown ( ds )




スティーブ・カルデスタッドが2000年にロンドン在住中に共演していたトランペッター、スティーブ・フィッシュウィックの初リーダー作。彼は現在、御存じ The Osian Roberts & Steve Fishwick Quintet で活躍中です。歪んだ音色が何とも枯れた味わいを醸し出していて、ノスタルジックな気分にさせます。地味ですが、深夜に日本酒を啜りながら聴きたくなる好盤です。

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2010/03/04 | Comment (7) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Ryan Kisor Quintet / Live at Smalls

   ↑  2010/02/16 (火)  カテゴリー: trumpet

Ryan Kisor smalls Ryan Kisor Quintet / Live at Smalls ( amazon )
2010  Smalls LIVE 001

Ryan Kisor ( tp )
Sherman Irby ( as )
Peter Zak ( p )
Carlos Henriquez ( b )
Ali Jackson ( ds )





昨日に引き続き、ニューヨークのジャズクラブ、スモールズの新レーベル SmallsLIVE からの一枚。
今作はライアン・カイザーにとってソロ名義としては16枚目のアルバムとなる。

ライアン・カイザー( Ryan Kisor , Iowa , 1973~ ) は90年のモンク・コンペティションで優勝し、すぐさま Columbia Records と契約。92年に『Minor Mutiny 』 で鮮烈デビュー。その後も90年代に Criss Cross から良質な作品をコンスタントに6作品リリースし、その地位を不動のものとしていった。個人的にはライアンの旬はこの Columbia  から Criss Cross  に吹き込んだ時期であったという思いが強い。特にデビュー作の 『Minor Mutiny 』 やCriss Cross の 『The Dream 』 などはすばらしい作品だと思っている。しかし、その後の Video Arts~Birds Records におけるプロデューサー主導の企画盤を乱造していったライアンには違和感を感じずにはいられない。

そんな近年のアルバムの方向性にモヤモヤした思いを抱いているファンには、今作のライブ音源は福音となるはず。あらためて振り返ってみたら、彼の長いキャリアのなかで意外なことに今作が初のライブ・アルバムなんだね。メンバーは前作 『 CONCEPTION - Cool and Hot 』 でも共演していたアルトのシャーマン・アービー、ピアノには隠れた名手ピーター・ザック、ベースは カルロス・ヘンリクウェッツ 、そしてドラムはアリ・ジャクソンという、ピーター・ザック以外は Jazz at Lincoln Center Orchestra のメンバーで固めたエリート集団。

全5曲で、そのうち4曲が10分以上の長尺な曲で、いかにもライブハウス的な構成。3曲は 『 CONCEPTION - Cool and Hot 』に収められていた楽曲で、それ以外は 『 This is Ryan 』 ( 2005, Video Arts ) で演奏していたガレスピーの ≪ Con Alma ≫ や『 One Finger Snap 』( 2007, Video Arts ) で演奏していたオリジナル・ブルースの ≪ Blues for Worm ≫  などをやっている。

とにかく全員が一丸となり熱く燃え上がり、自らも嬉々として演奏を楽しんでいる情景が眼に浮かんでくる。しかし何というか、ミュージシャンに好き勝手なことをやらせるとこんなにも生き生きした演奏ができるんだね。スモールズがミュージシャンにもファンにも愛され続けている理由が何となくわかる気がする。そして、こういう素晴らい演奏を聴くと、日本のレコード会社が如何に彼の才能をスポイルしてきたかが理解できる。

それにしても思うのは、ライアンのトランペットは決して貧弱な音ではないということだ。よく彼の音を軽くて薄っぺらなので魅力がない、と評する方がいるが、確かに Video Arts あたりの作品から聴きだすとそういう印象を抱くのも無理はないと思う。しかし、 今作で聴かれるように彼の本来の喇叭は、厚みがあり、歯切れもよく、たいへんよい楽器の鳴りをしていると思うのだが。

ライアンの好プレイも然ることながら、相棒のシャーマン・アービーの気迫のこもった豪快なソロにも圧巻だ。彼もまたライアン同様、Birds Records からキャノンボール・アダレイへのオマージュ盤を、しかも同レーベル恒例の美脚ジャケで出しているが、これが最高につまらない作品だった。彼の旧作である 『 Faith 』 や『 Black Warrior 』 あたりを聴いた後にその『 Work Song 』 を聴くと、同じアルティストが吹いているとは俄かに信じられないほど、クオリティに雲泥の差がある。

と云う訳で、スモールズという特別な空間でしか生まれえない音楽の魔法を見せてもらったような素晴らしい作品だった。しばらくは神棚に祭って、時々、拝聴させていただこうと思っている。

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2010/02/16 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Christian Scott / Yesterday You Said Tomorrow

   ↑  2010/02/09 (火)  カテゴリー: trumpet
Christian-Scott-_Yesterday Christian Scott / Yesterday You Said Tomorrow 
( amazon )
2010 Concord


Christian Scott ( tp )  Matthew Stevens ( g )
Milton Fletcher Jr. ( p )  Kristopher Keith Funn ( b )
Jamire Williams ( ds )



ルイ・アームストロングから、ウイントン・マルサリスを経て、テレンス・ブランチャード、さらにはニコラス・ペイトンに至るまで、綿々と受け継がれてきたニューオリンズ・ジャズの血統を未来に繋ぐトランペッター、 クリスチャン・スコット ( Christian Scott , New Orleans , 1983~ ) の通算4作品目となる最新作。

バークリーを卒業と同時に名門 Concord Records と契約し、以後、コンスタントにアルバムをリリースしてきているところを見ると、本国ではそれなりの評価され、商業的にも成功しているのでしょう。バリバリのハードバッパーぶりを披露したのはデビュー作 『Rewind That 』 だけで、以後は社会派アーティストぶりを発揮して、自己の独創的な音世界を築く一方で、ファッション・モデルなどでも活躍するといったマルチな才能を見せてきました。既に20代にして売れるためのスキームを構築しちゃっている訳で、トランペットが巧いだけではなく、なかなかのヤリ手、商売上手な方のようです。

ただ、個人的には彼のような社会的メッセージを振りかざして訴えかけるミュージシャンはあまり好きではありません。所詮、黄色人種に黒人の苦悩は理解できないものですので、そのあたりは致し方ないのですが。 第二作目の『 Anthem 』 などは本国では高い評価を得ていたようですが、なにしろ “ ニューオーリンズを襲ったカトリーナ・ハリケーン被災に対して政府がとった対応への怒り ” をテーマにしているメッセージ・ソング集でしたから、ドン引きしてしました。ちょうど、グラミー賞をとったテレンス・ブランチャードの『 A Tale of God's Will 』 が、こと日本においては( 一般のジャズ・ファンの間では) 不評だったと同様に、そこには人種の壁が歴然と横たわっているのです。

さて、今作ですが、メンバーは前作から引き続きギターのマシュー・スティーブンスとドラムのジャマイア・ウィリアムスが参加。マシューはクリスチャンが全幅の信頼を寄せている盟友であり、クリスチャンの音楽のコアとなる存在。ジャマイア・ウイリアムスは前作 『 Live at Newport 』 ( 前項あり ) からの参加ですが、ステージではそのクレイジーぶりを遺憾なく発揮し、存在感バツグンのドラマーでした。最近は結構オファーが多いらしく、知っているだけでも、ロバート・グラスパー、ジャッキー・テラソン、あとケニー・ギャレットらともやっていました。

ピアノはアーロン・パークスが抜け、ミルトン・フレッチャーという新人が加入しています。この人がなかなかの弾き手で前任のアーロン・パークスをも凌駕する鋭いフレーズを連発しています。誰が集めたか分かりませんが、このメンバーはクリスチャン・スコットの描く音楽をものの見事に具現化してますね。とってもイイ人選なのではないでしょうか。

クリスチャンのオリジナルが7曲、マット・スティーヴンスの曲が1曲、クリスチャンとマットの共作が1曲、そしてラジオヘッドの≪The Eraser ≫ のカヴァで全10曲。前作のライブ盤でも披露していたバラード ≪Isadora ≫ を再演している以外は初レコーディングの曲です。スタジオはVan Gelder Studio を使用し、もちろんエンジニアはヴァンゲルが担当しています。曲の内容としては相変わらず沈鬱な曲想が大半を占めています。なんでこんなに暗いんだろう。テーマが黒人を差別する警察風刺、冤罪問題、大統領選挙にまつわる問題などなど、どれもシリアスな社会問題ばかりです。クリスチャンもミュートを多用し、抑制的なスタイルで通すものだから、どうしても聴いているこちらとしては欲求不満になってしまうし、気が滅入ってくる。

でもまあ、生き馬の目を抜くニューヨークのジャズシーンでは、これくらい個性的でないと生きていけないのでしょうか。それに品行方正なジャズ・ミュージシャンばかりになってしまった現在のシーンにあっては、彼くらい刺激的で突き抜けた存在のほうが面白いことは確か。たまに引っ張りだして聴くにはイイかも。でも通勤時に iPod でジャズを聴くことが多い僕にとっては、それでなくても仕事に行くのが憂鬱なのに、こんなのを通勤時には聴く気には到底なれないなぁ。

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2010/02/09 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

2009年極私的愛聴盤_その伍_トランペット編

   ↑  2010/01/01 (金)  カテゴリー: trumpet
fabrizio bosso black spirit3 Fabrizio Bosso / Black Spirits  ( amazon )
2009   M & I
ボッソの最新作は一昨年暮れに亡くなったフレディ・ハバードに捧げた作品。ただし、ほとんどハバードの曲は取り上げていないけどね。マックス・イオナータの Albore 盤 『 Inspiration 』 に客演し、マックスとの素晴らしいマッチングを披露したボッソだけど、今作ではそのイオナータがゲスト出演しています。《 ボッソの金管 vs マックスの木管 》 というカウンタータイプの多彩なハーモニーはここでも健在です。High Five 組からルカ・マヌッツァとロレンツォ・トゥッチ、さらにはイタリア・トランペット界の隠れた名手マルコ・タンブリーニがそろい踏み!!  とくれば、色めき立つイタリアン・ジャズ・ファンも少なくないでしょう。 そして、なんだかんだ言ってプロデューサー 木全信氏の手掛ける作品には大きなはずれは決してありませんので安心して購入できます。






dave douglas a single sky3 Dave Douglas with Frankfurt Radio Big Band / A Single Sky ( amazon )
2009 Green Leaf
デイヴ・ダグラスはかなりの多作家ですが、昨年はレスター・ボウイに捧げたプロジェクトBrass Fantasy で1枚と、このビッグバンド作品の計2枚をリリースしました。個人的にはこちらのほうが好みです。フランクフルト放送ビッグバンドとは HR Big Band のことです。同バンドには2008年からVJOのジム・マクニーリーが Artist - in - Residence として指揮をとっています。全体としては、スピード感よりも重厚感を全面に押し出したサウンドで、その圧倒的な迫力、音圧はヘビー級ボクサーにこれでもかと云うくらい殴られて気が遠くなっていくときの快感に似ているかも。どにかくスケール感が半端じゃなくて、大音量を浴びるように聴けば、かなりのトリップ感が得られること必至ですよ。そして、トニーラカトスも最高です。





2008年は、あまりトランペットの作品を聴かなかったみたいです。他にきっと素晴らし作品はリリースされているはずですが、なにしろ昨年はCD買わなかったからなぁ。だから、上記の2枚は愛聴盤ではありますが、ベスト盤ではないです。結局、一番よく聴いたトランペットはリー・モーガンだったような。

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2010/01/01 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Lee Morgan / Playlist

   ↑  2009/12/05 (土)  カテゴリー: trumpet

   lee morgan_sonic boom     lee morgan_charisma     lee morgan_caramba
 
   lee morgan_tom cat     lee morgan_cornbread     lee morgan_expoobident

   lee morgan_infinity     lee morgan_lee way     lee morgan_taru






01. Cornbread  /  from Album 『 Cornbread 』  Blue Note 1965年録音
個人的にはリー・モーガンのリーダー作品中一番好きなアルバム。ハンコックにしかできない独特のバッキングがこのタイトル曲 《 Cornbread 》 を名曲たらしめた。リー・モーガン、ジャッキー・マクリーン、そしてハンク・モブレーの三人がフロントラインにそろい踏みの最高にファンキーな名盤。

02. Ceora  /  from Album 『 Cornbread 』  Blue Note 1965年録音 
『 Cornbread 』 に納められた人気曲というだけではなく、リー・モーガンの代表曲としても有名。ボサノバ調の美旋律も然ることながら、そのあとのリー・モーガン、ハンク・モブレー、ハンコックのソロが素晴らしい。

03. Most Like Lee  /  from Album 『 Cornbread 』  Blue Note 1965年録音 
『 Cornbread 』 のB面最後に入っていた軽快なファンキー・チューン。モーガンもモブレーもどうしてこんなにフレーズが歌っているのか。そしてどうして現代の吹き手は彼らのように歌うフレーズが吹けないのか。

04. Expoobident /  from Album 『 Expoobident 』  Vee Jay 1960録音
超細身のパンツに三つボタンのアイビールックに身を包んだリー・モーガン。異様に足も長い。単なる売れっ子トランペッターとしてではなく、60年代ファンキージャズのアイコンとして機能していたリー・モーガンの姿が刻まれた彼の代表作。タイトル曲《 Expoobident 》 は、不良っぽくかっこつけたメロディーがいかにもモーガン風だ、と思いがちだが、実は作曲者は先日亡くなられたエディ・ヒギンズとは、けっこう意外。


05. Mogie /  from Album 『 Here's Lee Morgan 』  Vee Jay 1960録音 
哀愁美漂うファンキーなモーガンの自曲。クリフ・ジョーダンやウイントン・ケーリーのソロもイイ。ソロにおいて現代のミュージシャンと決定的に違うのは、フレーズを8分音符主体で構築していること。意味のない手癖的な16分音符連発は決して吹かない、弾かない、叩かない。

06. Running Brook /  from Album 『 Here's Lee Morgan 』  Vee Jay 1960録音 
ウェイン・ショーターにしか書けないようなメロディー&ハーモニー。クリフ・ジョーダンまでがショーターに見えてくるから不思議だ。

07. Zip Code  /  from Album 『 Infinity 』  Blue Note 1965録音
リー・モーガンは生前、Blue Note に数多くの吹きこみを行っていたが、それらが全てすぐにレコード化されたわけではなく、いったんお蔵入りになった音源も多く存在した。70年代後半からそれらのお蔵入り音源がLTシリーズとしてリリースされた。どうしてこんな音源がお蔵入りになるの~、みたいな素晴らしいものもある一方、やっぱりお蔵入りになるわけだよな~という、屁垂れ音源もあった。本作はその後者に分類される音源。気が抜けた炭酸水を飲んでいるような屁垂れ感もリー・モーガン・ファンには愛着が湧くのだが、一般的には駄作なのだろう、きっと。かろうじてこの 《 Zip Cord 》 は聴くに堪えうる演奏だ。でも、思うが、この音源、録音もバランス悪いんだよね。そこがちょっと損している。

08. The Marcenary /  from Album 『 Sonic Boom  』  Blue Note 1967録音
LTシリーズの中では比較的出来の良い作品。デヴィッド・ニューマンの参加が目を引く。

09. Get Yourself Together/  from Album 『 Taru 』  Blue Note 1968録音
これも未発表発掘音源を収めた LT シリーズで日の目を見た作品。まあまあの出来か。ジョージ・ベンソンがバッキングしているのが面白いが、ほとんどいるかいないか分からない程度の出番なので期待しないように。この曲はけっこう複雑な構成を持っていて晩年のモーガンの作曲法の変化を象徴するようなオリジナル曲だ。晩年をともに過ごしたベニー・モーピンが参加している。

10. There Are Soulful Days  /  from Album 『 Lee-Way 』  Blue Note 1960録音
僕個人的には本作が録音された60年以降のリー・モーガンが好きだ。この年には Vee Jay の2作品やジャズ・メッセンジャーズで 『 The Big Beat 』
  を吹きこんでいる。さらに61年には『 Roots & Herbs 』 や『 The Freedom Rider 』 が来るわけだから、とんでもなく濃密なレコーディングに明け暮れていた絶頂期といえるだろう。

11. Twilight Mist  /  from Album 『 Tom Cat 』  Blue Note 1964録音
リー・モーガンは《 I Remember Clifford 》や 《 I'm Fool To Want You 》 などの名バラード演奏を残しているが、個人的にはこのマッコイ・タイナー作の 《 Twilight Mist 》 が一番好きだ。

 

 



 おまけ 

 

     swing journal 1961.1         lee morgan_テイコ 

Lee Morgan は1972年にライブの休憩中に、婚約者と愛人との三角関係のもつれの末、愛人に射殺された33年の短い人生を終えた話は有名だが、それ以前に日本人女性のテイコ山本と結婚していたという事実は、意外に知られていない。というわけで、1961年1月号のスイングジャーナルからの抜粋が上の写真。

 

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2009/12/05 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Nunzio Rotondo / The Artistry of Nunzio Rotondo

   ↑  2009/11/28 (土)  カテゴリー: trumpet

nunzio rotondp2

 


1950年代にジャズシーンに登場し、イタリアのモダン・ジャズ黎明期を支えたトランペッター、ヌンツィオ・ロトンド ( Nunzio Rotondo , 1924~2009 ) が 1959年にMUSIC に残した激レア盤 『 The Artistry of Nunzio Rotndo 』 が復刻された。

今回の復刻盤は初回プレス完全限定のLP と紙ジャケ仕様のCDで発売された。プレスはイタリアの独立系レーベルである BTF社 ( BTF srl ) により行われ、一方ジャケットは日本のDIW Records で制作されている。使用音源はオリジナル・マスター・テープに基づくもので音質的には問題ない。僕は紙ジャケCDを買ったのだが、ジャケットはオリジナルに忠実にE式が採用されていた。CDにはオリジナルLPに未収録であったEP音源の3曲が追加されている。

僕は希少盤コレクターの世界には興味がないので、迷わず紙ジャケCDを買ったが ( 本当はプラケースの方がよかったのだが )、真のマニアは4000円出してLPを買うのだろう。しかもCDにはLP未収録の3曲がボーナス追加されているからという理由で、CDまで買っちゃうのかもしれない。

ところで、ジャズ批評ブックス 『 Jazz トランペット 』 ( 2001年 ジャズ批評編集部 ) に、岡島豊樹氏が 『 もっと聴きたい!ヨーロッパの名手だち 』 というコラムを書いていたのを覚えているだろうか。189人の有名トランペッターの紹介とは別に、よりマニアックな名手を紹介しているコラムだったのだが、その中でこのロトンドが紹介されていたのだ。僕がロトンドの名前を知ったのはそのコラムが最初だった。

一方、先日拙ブログでも紹介した星野秋男氏の著書 『ヨーロッパ・ジャズ 黄金時代 』 でも、一ページを割いてロトンドが紹介されている。その中で氏は、もっともロトンドが聴きごたえがあるのは60年代中期から70年代中期にかけての未発表音源を集めてCD化した 『 Sound and Silence 』 だ、としながらも、今回復刻された 『 The Artistry of ~ 』 もやや渋い内容ながら録音の少ない彼の演奏が聴ける点が貴重だ、としてある程度の評価を下している。まあ、氏のこの口調からして、この 『 The Artistry of ~ 』 はそれほどの名盤でないことが想像できるだろう。

50年代から60年代に活躍したイタリアのモダン派トランペッターとしては、このロトンド以外にも、ジアンニ・バッソとの双頭バンド、バッソ=ヴァルタンブリーニ・クインテット( or セクステト ) で有名なオスカル・ヴァルタンブリーニがいる。二人とも1924年生まれであるが、経歴はヌンツィオのほうが若干長い。ヴァルタンブリーニは50年代に入ってから本格的な活動を開始しているが、ロトンドはなんと第二次世界大戦前から活動していた。

さて、今回初めてロトンドの音を聴いたのだが、ヴァルタンブリーニにかなりの部分で酷似しているように感じた。ふたりとも米国のウエスト・コースト風の軽快で洒落た雰囲気を醸し出しつつも、時折、熱くバピッシュに吹きまくるイースト的なテイストも持ち合わせている。スタイル的には完全に保守的であり、きわめてオーソドックスな印象を受ける。

LP未収録の3曲を含む全10曲。6曲がロトンドのオリジナルで、それ以外では≪Bag's Groove ≫、≪ Scrapple From The Apple ≫、≪ Half Nelson ≫ などのスタンダードも演奏している。ただし、LP収録の7曲のうち3曲がブルース形式の曲なのがちょっと残念。この3曲で一気に気が抜ける。メンバーには先日 パオロ・スコッティ氏主宰のDEJAVU より 『 ..... idea 』が復刻され話題となったフルート奏者、ジノ・マリナッチや、ジアンニ・バッソと並びイタリア・モダン派テナリストのエンゾ・スコッパらが名を連ねる。

とにかく今作は一聴しただけではほとんど耳に残らない演奏なのだ。何度か繰り返し聴き込むと徐々に耳に馴染んでくるし、熟聴すれば確かに丁寧にフレーズを構築していく様が聴きとれるだが...。

当時のイタリアにおいては、米国ジャズを模倣することもある程度やむを得なかったのだろう。そのあたりはドイツ、イギリス、フランスなどの他の欧州国と決定的に違っている。

Disk Union のサイトを覗くとこんな一文が目に入ってきた。
≪廃盤専門店に於いても20万円以上で出品され、瞬く間に売れてしまう≫
僕はDUのポップを常に眉に唾をつけて読んでいるのだが、これは本当なのだろうか。もし本当なら世に中には自分の想像をはるかに越えた凄いマニアがいるもんだ。この作品が20万の価値があるかないかは別にしても、一枚のたかがビニルに20万はいくらなんでも高すぎやしないか。それはもはや骨董の世界だな。

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2009/11/28 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Fabrizio Bosso New Project / Black Spirit

   ↑  2009/11/25 (水)  カテゴリー: trumpet

fabrizio bosso black spirit2



High Five Quintet が日本で大ブレイクし、ネコも杓子もボッソ、ボッソと騒いでいたのが5年ほど前のこと。ボッソ参加というだけで、それこそ玉石入り乱れたイタリア産CDが売れた時勢であった。

昨今はだいぶボッソ熱も冷めて、リスナーもボッソが参加しているというだけで喰いつくこともなくなり、本当にイイものだけを選択して買うようになったのではないだろうか。まあ、世のマニアの方々はどうかわからないが、少なくとも僕はそうしている。そりゃそうだろう。不景気だし。

そんな訳で最近では、ボッソの露出度のあまりの高さもあって、彼の参加作品を隅々までフォローしきれていないのだが、その中でもマックス・イオナータの Albore 盤 『 Inspiration 』 ( 前項あり ) でのボッソは最高だった。マックスとのマッチングも良かったし。 《 ボッソの金管 vs マックスの木管 》 というカウンタータイプの多彩なハーモニーが美しかった。

そのマックスの作品に客演したボッソが、今度はマックスに声をかけ自身のリーダー作を制作した。これは超期待できそうだ。

しかもマックスだけではなく、High Five 組からルカ・マヌッツァとロレンツォ・トゥッチ、さらにはイタリア・トランペット界の隠れた名手、マルコ・タンブリーニらがそろい踏み!! とくれば、色めき立つイタリアン・ジャズ・ファンも少なくないのではないか。

そして、今作はボッソのリーダー作としては初の純国産品で、制作したのはポニキャニの欧州ジャズ・レーベル M & I ( Norma Blue じゃないよ! ホッと ) 。でもって、プロデューサーは親父ジャズ・ファンの性感帯を知り尽くしたプロデューサー界の重鎮、木全信氏。


さて、この新作は副題として《 Freddie Hubbard に捧げる 》 とあるように、 昨年暮れに急逝したフレディ・ハバードに対する追悼の意を込めて制作されたものだ。盤題の『 Black Spirit 』 はおそらくフレディの65年のBlue Note 盤 『 Blue Spirits 』 をもじってつけられたのだろう。

“ Spirit ” という言葉は、「 ジャズはやっぱり精神だよね。テクニックがあるからといって、指先の動くままに吹きまくればイイ訳じゃないよね」ということを含意しているのか。「ボッソはテクニックはずば抜けているよね。でもね~魂が感じられないんだよね~」みたいな世間の声に対する省察の思いが込められているのかもしれない。

収録曲は、ボッソの自曲4曲を含む全10曲。フレディ・ハバードに捧げている割には、フレディの自曲は M-4 《 Up Jumped Spring 》のみとちょっと拍子抜け。M-3 《 Body and Soul 》 はもちろんスタンダードだが、フレディが生前、好んで演奏していた曲で、曲名をそのまま盤題にしたImpulse 盤 『 The Body and Soul 』 という作品まで作ったほどだ。《 Up Jumped Spring 》 は6/8 拍子のワルツで、フレディの作品では『 3 Blind Mice 』、『 Backlash 』、『 Born To Be Blue 』、それから遺作となった『 On The Real Side 』 などで聴くことができる。フレディの代表曲であり、他のミュージシャンにカヴァされる機会も多い曲だ。

フレディに関連のある曲は上記の2曲だけなのだが、そのほかの曲としては、ルイ・アームストロング作の 《 Do You Know What It Means To Miss New Orleans 》 やディジー・ガレスビー作の 《 A Night in Tunisia 》 なども取り上げている。さらには、ガレスビーのためにボッソが作曲した≪ Dizzy's Blues ≫ なども収録されており、フレディーへのオマージュなのか、ガレスビーへのオマージュなのか、よくわからない選曲になっている。結局は、ジャズ史に残る偉大なるトランペッターたちに捧げた作品ということなのか。まあ、言い方は悪いが、アバウト過ぎるような気もするけどね。

アルバムの冒頭を飾るのはホレス・シルバーの軽快なラテン・ナンバー ≪Nutville≫。1965年の Blue Note 作品『 The Cape Verdean Blues 』 に収められていた曲だ。『 The Cape ~ 』は、ホレスの作品群の中ではそれほど人気のあった作品ではなかったが、昨今のクラブ 世代のリスナーの間ではホレスの代表作と賞されているらしい。 Rittor Music から出た小川充氏監修によるクラブ世代のためのモダン・ジャズ名盤選 『 Hard Bop & Mode 』 でも、ホレスの作品として唯一紹介されている。

非常にノリがよくフックの聴いた覚えやすいメロディーで、一瞬、High Five Quintet のオリジナル曲か、と錯覚するほど彼らのスタイルにマッチしている。そういえば、今年6月にやはりポニキャニのイタリアン・ジャズ・レーベル Norma Blu から発売された Jazzlife Sextet の『 Tall Stories 』 ( 前項あり )  でもこの曲が取り上げられていた。

2曲目はボッソ・オリジナルのタイトル曲 ≪ Black Spirit ≫ 。ボッソの電光石火のごとき激烈ソロが聴かれる高速モーダル・チューンだ。ロレントツォ・トゥッチのドラムもいつになく熱い。

この初めの2曲までを聴いていると、まるで新生 High FIve Quintet の演奏かと錯覚してしまうくらい、それっぽい演奏だ。がしかし、本作がHigh FIve Quintet とは “ 似て非なる” 音楽的趣向のもとに制作されているということは、3曲目あたりから徐々に明確になってくる。

3曲目はスタンダード の≪ Body and Soul ≫ 。 メロディーの輪郭を際立たせながらのボッソならではの歌心溢れるバラード・プレイに酔いしれる。マックスのオールド・ファションな滋味深いソロも胸にぐっと迫る。このような曲想はHigh FIve Quintet には決して味わえなかったはずだ。

4曲目はフレディの代表曲≪Up Jumped Spring ≫。ここで我が愛しきマルコ・タンブリーニが登場。二人でテーマ部を吹きわけ、ボッソが主旋律を吹けばそれに対してマルコがオブリガードで飾るといった感じ。これぞ至福のハーモニーだ。ここではルカの繊細にして滋味豊かなソロが聴ける。これもやはりHigh FIve Quintetでは得難い快感だと思う。僕の中では、日に日にルカに対する評価が高まってきている。この人はホント、人間味溢れる美しいピアノを弾く人だ。年明けにWIDESOUND からリリースされるルカの初リーダー作が待ち遠しい。

5曲目≪ A Night in Tunizia ≫ でもマルコが客演。ボッソとマルコが激しく火花を散らせるソロ合戦では、ぼーっと聴いていると一瞬、二人の区別がつかなくなるくらい両者の実力は肉薄している。二人がステレオの両チャンネルに分離しているわけではなく、二人ともほぼ中央に定位しているのでよけい混乱する。中央やや左でオフマイクぎみに聴こえるのがマルコで、中央やや右でオンマイクぎみなのがボッソだと思う・・・・。

6曲目以降は割愛するが、全編にわたりボッソの余裕が感じられつつも非常に内容の濃い充実した作品だと感じた。

欲を云えば、もう少し挑戦的なアプローチがあってもよかったのになぁ、と思う。今までのボッソの活動を見てきて、作品ごとの振り幅がそれほど大きくないと感じていたが、やはり今作もいつものボッソだった。超絶技巧ながらも保守派本流を突き進むボッソに、正直なところ、軽く飽きてきているのかもしれない。

彼はこの路線を突き詰めていくのか? リスナーの飽きっぽく移ろいやすい嗜好性と、どう折り合いをつけていくのだろうか。

Fabrizio Bosso New Project / Black Spirit~Freddie Hubbardに捧げる  ( amazon )
星1つ星1つ星1つ星1つ星半分

Fabrizio Bosso  ( tp )
Luca Mannutza  ( p )
Lorenzo Tucci  ( ds )
Nicola Muresu  ( b )
Max Ionata  ( ts, ss, fl )
Marco Tamburini  ( tp )

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2009/11/25 | Comment (10) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |
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