雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Eric Legnini / Trippin'

   ↑  2008/04/26 (土)  カテゴリー: piano
eric legnini trippin'

今年の7月で拙ブログも開設後3年になる。ジャズに関するエントリーも500を超えてきた。最近は育児に時間がとられ、なかなかブログを更新する時間が作れず苦労しているが、≪ ブログ寿命3年説 ≫ というジンクスに負けないよう、これからもマイペースで続けていこうと思っている。  

ところで、Google で日々、ジャズ・ミュージシャンを検索していると、僕自身のブログ記事に出くわすことが時々ある。しかも上位、時にはトップにランキングされていることもあり、驚くばかりである。  たとえは、Daniele Scannapieco、Kasper Villaume、Moutin Reunion、Vince Mendoza、Paris Jazz Big Band、Paquito D’Rivera、Mario Biondi、Christian Jacob、Karel Boehlee Trio、タル・ウィルケンフェルト( Tal Wilkenfeld だと2位 )などはすべて Google検索でトップに表示されている。  

僕は別にブログを通じて商売をしているわけではないので、上位表示されても別段メリットはないが、それでもやはりうれしいものだ。あくまで愛好するミュージシャンについての備忘録を記すつもりで続けているだけであるし、取り上げるミュージシャンもマイナーな方々ばかりなので、アクセス数は期待できない。そもそも、仕事現場で競争し、会社からランク付けされ、へとへとになり帰宅したのに、さらにブログのランキングを気にしないといけないなんて真っ平ごめんだから、はじめからアクセス数を稼ぐつもりもない。しかし、検索で上位に表示されるというのはやはり快感だ。どういう理論かは知る由もないが(注1)、Google のアルゴリズムが、拙ブログの記事を価値あるテキストとして認めてくれたことに素直に感謝したい。  

さて、Eric Legnini エリック・レニーニ( 1970年ベルギー生まれ )の通算7枚目の新作が発売された。今回も Label Bleu (国内販売は Video Arts )からのリリースだ。ちなみに“ Eric Legnini ”でググると、拙ブログの記事『 Eric Legnini Miss Soul 』がHMVのサイトに次いで2位に表示される。ここまで書いてふと思ったのは、「エリック・レニーニってベルギー人だったんだよね」ということ。長いことパリを拠点に活動を続けてきたから仕方ないのだが、あまり意識しないで聴いているとフランス人と勘違いしてしまう。同世代のベルギー人ピアニスト、たとえばナタリー・ロリエ、ディーデリク・ワイセルズ、イヴァン・パドゥアらが母国での活動を主軸にしているのに対し、エリックは早い時期からフランスに移住してしまった人だ。しかし、コンポーザー・タイプのアーティストであるという点で、ナタリー、ディーデリク、イヴァンらと共通している。ベルギーの中堅ピアニストはいずれも個性的、独創的な音世界を持っていて実に面白い。   

Jacques Pelzer ジャック・ペルツァーへの追悼盤として制作された95年の『 Rhythm Sphere 』以降、まったくリーダー作に恵まれなかったエリックであるが、06年に突如 Label Bleu から『 Miss Soul 』をリリース。ラムゼイ・ルイス風のR&B,やゴスペル調の曲を演奏したかと思えば、フィニアス・ニューボーン・Jrや,クリフォード・ブラウンの曲をハード・バピッシュに奏でたりするなど、以前のキース・ジャレット直系の抒情派ピアニストの面影が微塵も感じられないその変貌ぶりに誰もが驚かされた作品だった。さらにその1年後の07年にも、ブーガルーを大胆に取り入れた『 Big Boogaloo 』をリリースし、近年の好調ぶりをアピールしたのも記憶に新しいところだ。そして今回の最新作の登場だ。  

基本的には『 Miss Soul 』~『 Big Boogaloo 』路線を踏襲する作品と捉えてかまわないと思う。4ビートのバラードからバップ、モード、ブーガルーまで、何でもありのごった煮娯楽作品だ。 全15曲で内9曲がエリックのオリジナル。≪ Darn That Dream ≫ や ≪ The Shadow of Your Dream ≫ などのスタンダードや、スティービー・ワンダーの≪ The Secret Life of Plants ≫ なども演っている。M-8 ≪ Darn That Dream ≫ は、昨年11月3日、4日に開かれた『 ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル 』でも演奏していた。また、M-18 ≪ Doo-Goo ≫ は、同フェスティバルでは ≪ New Boogaloo ≫ と紹介されていた曲であるし、Fドリアン一発モノのモーダルな楽曲M-6 ≪ Bleak Beauty ≫ も、ライブではタイトルのアナウンスなしで演奏されていた曲だ。それもそのはずで、本作が録音されたのは、2007年11月8日~11日。『 ギンザ・インターナショナル~ 』に出演した直後だったのだ。   

サポート・メンバーは近年ずっと一緒に活動してきたFranck Agulhon フランク・アギュロン( ds ) とMathias Allamane マティアス・アラマヌ ( b ) の2人。個人的にはフランク・アギュロンのせわしくうるさいドラムが好きだ。“ うるさい ”というのは僕にとってはドラマーに対する最大級の褒め言葉と思ってもらいたい。ピアノのうしろでリズムキープするだけのドラマーなど退屈で仕方ない。やはり、うるさくてピアノの音を掻き消すくらいの自己主張の強いドラマーが好きだ。その点、フランクは合格点だろう。それほど巧さは感じないが、音楽に生き生きとした表情を与える術を身につけている。  

全体として、それほどインパクトのある作品ではないが、単純に酒を飲みながらリラックスして聴くには最高の娯楽作品ではないだろうか。本音を言えば、できればこの路線はこれくらいにして、新たな展開に打って出てもらいたいものだ。

注1:グーグルの中でも、検索アルゴリズムを完全に知る人は数人しかいないといわれ、エリック・シュミットCEOですら、「知らない方がいいことがある」として、自分でも詳細なアルゴリズムは知らないことを打ち明けている。( 『 グーグル革命の衝撃 』NHK取材班著より )途中ですが、これから青山のBody & Soul にスカンジナビア・コネクションを観に行ってくるので、ここでひとまず中断。あとは帰宅ご書きます。酔っ払って眠ってしまうかもしれませんが。
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2008/04/26 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Eric Legnini 『 Trippin' 』

   ↑  2008/04/26 (土)  カテゴリー: 未分類

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  今年の7月で拙ブログも開設後3年になる。ジャズに関するエントリーも500を超えてきた。最近は育児に時間がとられ、なかなかブログを更新する時間が作れず苦労しているが、≪ ブログ寿命3年説 ≫ というジンクスに負けないよう、これからもマイペースで続けていこうと思っている。  ところで、Google で日々、ジャズ・ミュージシャンを検索していると、僕自身のブログ記事に出くわすことが時々ある。しかも上位、時にはトップにランキングされていることもあり、驚くばかりである。  たとえは、Daniele Scannapieco、Kasper Villaume、Moutin Reunion、Vince Mendoza、Paris Jazz Big Band、Paquito D’Rivera、Mario Biondi、Christian Jacob、Karel Boehlee Trio、タル・ウィルケンフェルト( Tal Wilkenfeld だと2位 )などはすべて Google検索でトップに表示されている。  僕は別にブログを通じて商売をしているわけではないので、上位表示されても別段メリットはないが、それでもやはりうれしいものだ。あくまで愛好するミュージシャンについての備忘録を記すつもりで続けているだけであるし、取り上げるミュージシャンもマイナーな方々ばかりなので、アクセス数は期待できない。そもそも、仕事現場で競争し、会社からランク付けされ、へとへとになり帰宅したのに、さらにブログのランキングを気にしないといけないなんて真っ平ごめんだから、はじめからアクセス数を稼ぐつもりもない。しかし、検索で上位に表示されるというのはやはり快感だ。どういう理論かは知る由もないが(注1)、Google のアルゴリズムが、拙ブログの記事を価値あるテキストとして認めてくれたことに素直に感謝したい。   さて、Eric Legnini エリック・レニーニ( 1970年ベルギー生まれ )の通算7枚目の新作が発売された。今回も Label Bleu (国内販売は Video Arts )からのリリースだ。ちなみに“ Eric Legnini ”でググると、拙ブログの記事『 Eric Legnini Miss Soul 』がHMVのサイトに次いで2位に表示される。ここまで書いてふと思ったのは、「エリック・レニーニってベルギー人だったんだよね」ということ。長いことパリを拠点に活動を続けてきたから仕方ないのだが、あまり意識しないで聴いているとフランス人と勘違いしてしまう。同世代のベルギー人ピアニスト、たとえばナタリー・ロリエ、ディーデリク・ワイセルズ、イヴァン・パドゥアらが母国での活動を主軸にしているのに対し、エリックは早い時期からフランスに移住してしまった人だ。しかし、コンポーザー・タイプのアーティストであるという点で、ナタリー、ディーデリク、イヴァンらと共通している。ベルギーの中堅ピアニストはいずれも個性的、独創的な音世界を持っていて実に面白い。   Jacques Pelzer ジャック・ペルツァーへの追悼盤として制作された95年の『 Rhythm Sphere 』以降、まったくリーダー作に恵まれなかったエリックであるが、06年に突如 Label Bleu から『 Miss Soul 』をリリース。ラムゼイ・ルイス風のR&B,やゴスペル調の曲を演奏したかと思えば、フィニアス・ニューボーン・Jrや,クリフォード・ブラウンの曲をハード・バピッシュに奏でたりするなど、以前のキース・ジャレット直系の抒情派ピアニストの面影が微塵も感じられないその変貌ぶりに誰もが驚かされた作品だった。さらにその1年後の07年にも、ブーガルーを大胆に取り入れた『 Big Boogaloo 』をリリースし、近年の好調ぶりをアピールしたのも記憶に新しいところだ。そして今回の最新作の登場だ。  基本的には『 Miss Soul 』~『 Big Boogaloo 』路線を踏襲する作品と捉えてかまわないと思う。4ビートのバラードからバップ、モード、ブーガルーまで、何でもありのごった煮娯楽作品だ。 全15曲で内9曲がエリックのオリジナル。≪ Darn That Dream ≫ や ≪ The Shadow of Your Dream ≫ などのスタンダードや、スティービー・ワンダーの≪ The Secret Life of Plants ≫ なども演っている。M-8 ≪ Darn That Dream ≫ は、昨年11月3日、4日に開かれた『 ギンザ・インターナショナル・ジャズ・フェスティバル 』でも演奏していた。また、M-18 ≪ Doo-Goo ≫ は、同フェスティバルでは ≪ New Boogaloo ≫ と紹介されていた曲であるし、Fドリアン一発モノのモーダルな楽曲M-6 ≪ Bleak Beauty ≫ も、ライブではタイトルのアナウンスなしで演奏されていた曲だ。それもそのはずで、本作が録音されたのは、2007年11月8日~11日。『 ギンザ・インターナショナル~ 』に出演した直後だったのだ。   サポート・メンバーは近年ずっと一緒に活動してきたFranck Agulhon フランク・アギュロン( ds ) とMathias Allamane マティアス・アラマヌ ( b ) の2人。個人的にはフランク・アギュロンのせわしくうるさいドラムが好きだ。“ うるさい ”というのは僕にとってはドラマーに対する最大級の褒め言葉と思ってもらいたい。ピアノのうしろでリズムキープするだけのドラマーなど退屈で仕方ない。やはり、うるさくてピアノの音を掻き消すくらいの自己主張の強いドラマーが好きだ。その点、フランクは合格点だろう。それほど巧さは感じないが、音楽に生き生きとした表情を与える術を身につけている。   全体として、それほどインパクトのある作品ではないが、単純に酒を飲みながらリラックスして聴くには最高の娯楽作品ではないだろうか。本音を言えば、できればこの路線はこれくらいにして、新たな展開に打って出てもらいたいものだ。 注1:グーグルの中でも、検索アルゴリズムを完全に知る人は数人しかいないといわれ、エリック・シュミットCEOですら、「知らない方がいいことがある」として、自分でも詳細なアルゴリズムは知らないことを打ち明けている。( 『 グーグル革命の衝撃 』NHK取材班著より )途中ですが、これから青山のBody & Soul にスカンジナビア・コネクションを観に行ってくるので、ここでひとまず中断。あとは帰宅ご書きます。酔っ払って眠ってしまうかもしれませんが。
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2008/04/26 | Comment (6) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

David Linx And The BJO 『 Changing Faces 』

   ↑  2008/04/22 (火)  カテゴリー: 未分類

   新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

 ベルギーの首都ブリュッセル中心街からアントウェルペン州に向かい北上すること車で約30分。ちょうどブリュッセルとアントウェルペンの中間に位置する人口76000人の小さな街メヘレン。街の中心を緩やかな弧を描きながらデイル川が流れ、地元の人々が集うマルクト広場にはゴシック調の聖ロンバウツ大聖堂がその威容を誇っている。春になると美味しいホワイトアスパラガスが獲れるこの美しい街にBrussels Jazz Orchestra ( 以下BJO )の本部はある。

   BJOは93年にフランダース地方出身のジャズ・ミュージシャンであるフランク・ヴェガネ(as)、マーク・ゴッドフロイド(tb)、セルジュ・プルーム(tp)らによって創立された比較的新しいジャズ・オーケストラだ。前身はベルギー国営放送( BRT : the Belgian Radio and Television )のオーケストラであり、同オーケストラが経済的理由により解散したために、メンバーの受け皿として創立された。

  初期のBJOはフランダース地方に伝わる楽曲を主なレパートリーとした完全なドメスティック・バンドであったが、近年は積極的にオリジナル曲も導入する一方、デイヴ・リーブマン、フィル・ウッズ、ケニー・ホイーラー、トム・ハレルらなど、国内外の一流のミュージシャンを招いてツアーも行ない、各地で高い評価を得ている。

  2000年にマリア・シュナイダーを招いた際には、彼女に「 This band is phenomenal! It's the best band I ever worked with 」と言わしめたほどだ。

  百花繚乱の欧州ビッグバンド界の中でも、Paris Jazz Big Band と並び、今最も刺激的なサウンドを奏でるビッグ・バンドとして注目されている。そんなBJOの新作がとどいた。前作『 Dangerous Liaison 』( 2006 ) では地元のロイヤル・フレミッシュ交響楽団との総勢100名を超す壮大な共演盤で聴き手の度肝を抜いたBJO だが、今回はベルギーの鬼才ヴォーカリスト、David Linx デヴィッド・リンクスを迎えて録音された。

   デヴィッド・リンクスは、1965年ベルギーはブリュッセル生まれ。10代半ばから音楽活動を開始し、シンガーとしてはもちろん、ピアニスト、ドラマー、パーカッショニストとして、ヴィクター・ラズロ、スティーブ・コールマンらとのコラボレーションや、スライド・ハンプトン、ジョニー・グリフィン、マーク・マーフィー、サヒブ・シハブらといったベテラン・ミュージシャンとのセッションで話題を集めた。

  80年代にはジェームス・ボールドウィン・プロジェクトの中心的メンバーとして活躍し、トリビュート・アルバム『 A Lover’s Question 』をクレプスキュリールから発売。90年代にはいるとその甘く中性的な歌声を生かしてPOPS/ AORの作品を数枚リースしているが、ほとんど話題にはならなかった。一方でディーデリク・ワイセルズとのコラボレーションを通じて現在に至るまで数多くの作品を制作している。90年代のディーデリクとの作品は独特の静謐な音世界を構築し高い評価を得たが、内省的で自己陶酔的な作風は好き嫌いの分かれるところだ。しかし最近の作品は以前に比べずいぶん聴きやすくなったように思う。

   今回の作品も安心して推薦できる内容だ。全12曲。大部分がデヴィッドのオリジナルで、ディーデリクとの共作やミシェル・ハーやバート・ヨリスのオリジナル、さらにはジョビンやイヴァン・リンスの曲も取り上げている。イヴァン・リンスは一曲だけだがヴォーカルとしても参加しているのがイヴァン・ファンの僕にとってはとっても嬉しい。また、アレンジャーとして何故かステファン・ギロームが名を連ねている。

  変拍子を大胆に取り入れ、さらにビート、リズムを極限まで細分化しながらも全員が一糸乱れずグルーブできるBJOの各人の演奏力はおそらく世界でも軽く5本の指に入るであろう。デヴィッド・リンクスのスキャットも人間ワザとは思えぬ超絶技巧ぶりで、器楽奏者と同等の立場でコード・プログレッション上を自由にアドリブできるその技量は、まさにジャズ・ボーカリストと呼ぶにふさわしいのではないか。クレヴァーさが漂う甘い彼の歌声は個人的には好きなのだが、やや個性が強いため聴き手を選ぶかもしれない。実際に聴いて判断してもらいたい。

   ところで、BJOのOfficial Site を覗いてみると、ミシェル・ハーが作曲・編曲・指揮で参加した最新作『 The Music of Michel Herr 』( W.E.R.F. )が既に2月に発売になっているようだ。


3 songs upload by criss

David Linx and The Brussels Jazz Orchestra  『 Changing Faces 』 2007  0+music
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2008/04/22 | Comment (5) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

David Linx and The Brussels Jazz Orchestra / Changing Faces

   ↑  2008/04/22 (火)  カテゴリー: large ensemble
David Linx and The Brussels Jazz Orchestra
 
ベルギーの首都ブリュッセル中心街からアントウェルペン州に向かい北上すること車で約30分。ちょうどブリュッセルとアントウェルペンの中間に位置する人口76000人の小さな街メヘレン。街の中心を緩やかな弧を描きながらデイル川が流れ、地元の人々が集うマルクト広場にはゴシック調の聖ロンバウツ大聖堂がその威容を誇っている。春になると美味しいホワイトアスパラガスが獲れるこの美しい街にBrussels Jazz Orchestra ( 以下BJO )の本部はある。

   BJOは93年にフランダース地方出身のジャズ・ミュージシャンであるフランク・ヴェガネ(as)、マーク・ゴッドフロイド(tb)、セルジュ・プルーム(tp)らによって創立された比較的新しいジャズ・オーケストラだ。前身はベルギー国営放送( BRT : the Belgian Radio and Television )のオーケストラであり、同オーケストラが経済的理由により解散したために、メンバーの受け皿として創立された。

  初期のBJOはフランダース地方に伝わる楽曲を主なレパートリーとした完全なドメスティック・バンドであったが、近年は積極的にオリジナル曲も導入する一方、デイヴ・リーブマン、フィル・ウッズ、ケニー・ホイーラー、トム・ハレルらなど、国内外の一流のミュージシャンを招いてツアーも行ない、各地で高い評価を得ている。

  2000年にマリア・シュナイダーを招いた際には、彼女に「 This band is phenomenal! It's the best band I ever worked with 」と言わしめたほどだ。

  百花繚乱の欧州ビッグバンド界の中でも、Paris Jazz Big Band と並び、今最も刺激的なサウンドを奏でるビッグ・バンドとして注目されている。そんなBJOの新作がとどいた。前作『 Dangerous Liaison 』( 2006 ) では地元のロイヤル・フレミッシュ交響楽団との総勢100名を超す壮大な共演盤で聴き手の度肝を抜いたBJO だが、今回はベルギーの鬼才ヴォーカリスト、David Linx デヴィッド・リンクスを迎えて録音された。

   デヴィッド・リンクスは、1965年ベルギーはブリュッセル生まれ。10代半ばから音楽活動を開始し、シンガーとしてはもちろん、ピアニスト、ドラマー、パーカッショニストとして、ヴィクター・ラズロ、スティーブ・コールマンらとのコラボレーションや、スライド・ハンプトン、ジョニー・グリフィン、マーク・マーフィー、サヒブ・シハブらといったベテラン・ミュージシャンとのセッションで話題を集めた。

  80年代にはジェームス・ボールドウィン・プロジェクトの中心的メンバーとして活躍し、トリビュート・アルバム『 A Lover’s Question 』をクレプスキュリールから発売。90年代にはいるとその甘く中性的な歌声を生かしてPOPS/ AORの作品を数枚リースしているが、ほとんど話題にはならなかった。一方でディーデリク・ワイセルズとのコラボレーションを通じて現在に至るまで数多くの作品を制作している。90年代のディーデリクとの作品は独特の静謐な音世界を構築し高い評価を得たが、内省的で自己陶酔的な作風は好き嫌いの分かれるところだ。しかし最近の作品は以前に比べずいぶん聴きやすくなったように思う。

   今回の作品も安心して推薦できる内容だ。全12曲。大部分がデヴィッドのオリジナルで、ディーデリクとの共作やミシェル・ハーやバート・ヨリスのオリジナル、さらにはジョビンやイヴァン・リンスの曲も取り上げている。イヴァン・リンスは一曲だけだがヴォーカルとしても参加しているのがイヴァン・ファンの僕にとってはとっても嬉しい。また、アレンジャーとして何故かステファン・ギロームが名を連ねている。

  変拍子を大胆に取り入れ、さらにビート、リズムを極限まで細分化しながらも全員が一糸乱れずグルーブできるBJOの各人の演奏力はおそらく世界でも軽く5本の指に入るであろう。デヴィッド・リンクスのスキャットも人間ワザとは思えぬ超絶技巧ぶりで、器楽奏者と同等の立場でコード・プログレッション上を自由にアドリブできるその技量は、まさにジャズ・ボーカリストと呼ぶにふさわしいのではないか。クレヴァーさが漂う甘い彼の歌声は個人的には好きなのだが、やや個性が強いため聴き手を選ぶかもしれない。実際に聴いて判断してもらいたい。

   ところで、BJOのOfficial Site を覗いてみると、ミシェル・ハーが作曲・編曲・指揮で参加した最新作『 The Music of Michel Herr 』( W.E.R.F. )が既に2月に発売になっているようだ。

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2008/04/22 | Comment (0) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Ivan Paduart 『 In Exile of Dreams 』

   ↑  2008/04/20 (日)  カテゴリー: 未分類

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 欧州系レーベルSarahを手掛けたVideo Artsの海老根久夫氏、P.J.L.(ポリスター・ジャズ・ライブラリー)で監修を務めた杉田宏樹氏、そしてGats Productionの笠井隆氏らの尽力により、近年、かなり日本でも知名度が浸透してきたイヴァン・パドゥア(66年ベルギー、ブリュッセル生まれ)だが、このたび彼の最新作がChallenge Records から発売になった。

  06年の前作『 My French Heart 』ではフランス人の歌曲を演奏していたイヴァンだが、これは笠井氏の提案によるものだった。もともと哀愁味溢れる抒情的フレーズを得意とする彼が、今迄にも増して修飾過剰のクサい耽美的メロディーを紡いでいた。あの時は流石に僕も引いてしまったが、今回の新作はどうだろうか。

  まずは聴く前からその豪華なメンバーにうなってしまう。なんと、David Linx デヴィッド・リンクス(65年ベルギー、ブリュッセル生まれ)と Fay Claassen フェイ・クラーセン(69年オランダ、ナイヘーメン生まれ)という素晴らしいヴォーカリストが参加しているのだ。

  デヴィッド・リンクスとフェイ・クラーセンは05年のディーデリク・ワイセルズの『 One Heart, Three Voices 』で共演している(これは秀作!)。また、フェイ・クラーセンは03年のイヴァンのライブ作品『 A Night at The Music Village 』に参加していた。しかし、この3人が一緒に顔を合わせるのは初めてではないだろうか。少なくとも録音ベースでは。そしてこの三役揃い踏みのメンバーにもう一人、アムステルダム・ジャズ・クインテットのメンバーでもあるオランダの売れっ子テナー奏者、Toon Roos トゥーン・ルースが加わり、本作はレコーディングされた。

  3部構成からなる組曲を含む全9曲。半分がイヴァンとデヴィッドの合作で、残りがイヴァン、ディーデリク、トゥーンらのオリジナル。デヴィッドとフェイのデュエットは『 One Heart, Three Voices 』でその美しさは承知していたが、あらためてその2人の強烈な個性を再認識させられる。

  圧倒的な歌唱力と甘く中性的な歌声をもつデヴィッド。アムステルダムの溜息と形容されるハスキーな美声をもつフェイ。そして二人ともスキャットが技巧的で恐ろしく巧い。なかでもデヴィッドのレアな音世界とレアな歌声は、完全にアルバムを自分のカラーに染め上げてしまうほどの凄味がある。イヴァンはあまり出しゃばらず、2人の歌に花を添えている。硬質なリリシズムに貫かれた洗練された楽曲と、天空を飛翔する白鳥のごとく自由に美しく唄うデヴィッドとフェイ。聴き終えた後、心の中に確かな余韻を残してくれる、そんな素晴らし作品だ。


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2008/04/20 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Ivan Paduart 『 In Exile of Dreams 』

   ↑  2008/04/20 (日)  カテゴリー: 未分類
Ivan Paduart  『 In Exile of Dreams 』
  欧州系レーベルSarahを手掛けたVideo Artsの海老根久夫氏、P.J.L.(ポリスター・ジャズ・ライブラリー)で監修を務めた杉田宏樹氏、そしてGats Productionの笠井隆氏らの尽力により、近年、かなり日本でも知名度が浸透してきたイヴァン・パドゥア(66年ベルギー、ブリュッセル生まれ)だが、このたび彼の最新作がChallenge Records から発売になった。

  06年の前作『 My French Heart 』ではフランス人の歌曲を演奏していたイヴァンだが、これは笠井氏の提案によるものだった。もともと哀愁味溢れる抒情的フレーズを得意とする彼が、今迄にも増して修飾過剰のクサい耽美的メロディーを紡いでいた。あの時は流石に僕も引いてしまったが、今回の新作はどうだろうか。

  まずは聴く前からその豪華なメンバーにうなってしまう。なんと、David Linx デヴィッド・リンクス(65年ベルギー、ブリュッセル生まれ)と Fay Claassen フェイ・クラーセン(69年オランダ、ナイヘーメン生まれ)という素晴らしいヴォーカリストが参加しているのだ。

  デヴィッド・リンクスとフェイ・クラーセンは05年のディーデリク・ワイセルズの『 One Heart, Three Voices 』で共演している(これは秀作!)。また、フェイ・クラーセンは03年のイヴァンのライブ作品『 A Night at The Music Village 』に参加していた。しかし、この3人が一緒に顔を合わせるのは初めてではないだろうか。少なくとも録音ベースでは。そしてこの三役揃い踏みのメンバーにもう一人、アムステルダム・ジャズ・クインテットのメンバーでもあるオランダの売れっ子テナー奏者、Toon Roos トゥーン・ルースが加わり、本作はレコーディングされた。

  3部構成からなる組曲を含む全9曲。半分がイヴァンとデヴィッドの合作で、残りがイヴァン、ディーデリク、トゥーンらのオリジナル。デヴィッドとフェイのデュエットは『 One Heart, Three Voices 』でその美しさは承知していたが、あらためてその2人の強烈な個性を再認識させられる。

  圧倒的な歌唱力と甘く中性的な歌声をもつデヴィッド。アムステルダムの溜息と形容されるハスキーな美声をもつフェイ。そして二人ともスキャットが技巧的で恐ろしく巧い。なかでもデヴィッドのレアな音世界とレアな歌声は、完全にアルバムを自分のカラーに染め上げてしまうほどの凄味がある。イヴァンはあまり出しゃばらず、2人の歌に花を添えている。硬質なリリシズムに貫かれた洗練された楽曲と、天空を飛翔する白鳥のごとく自由に美しく唄うデヴィッドとフェイ。聴き終えた後、心の中に確かな余韻を残してくれる、そんな素晴らし作品だ。


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2008/04/20 | Comment (6) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Ambrose Akinmusire 『 Prolude 』

   ↑  2008/04/19 (土)  カテゴリー: 未分類

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 2007年10月28日、ハリウッドのコダック・シアターで「 第20回セロニアス・モンク・ジャズ・トランペット・コンペティション 」が開催された。みごと優勝し、賞金20.000ドルを獲得したのはオークランド出身のトランペッター、Ambrose Akinmusire (アンブローズ・アーキンムシーレイ)だった。 同コンペティションへの応募にあたっては、30歳以下でメジャーおよびインディペンデント・レーベルから一枚もリーダー作をリリースしていない必要がある。だから受賞者は無名新人がほとんどだ。アンブローズ・アーキンムシーレイも例外ではない。彼のジャズを聴いてみたい。そう思ってはいたが今までほとんど耳にすることができなかった。唯一聴ける彼の音源は、僕の手許にはアーロン・パークスの『 Shadows 』しかなかった。2人は高校時代からの友人で、アンブローズは一曲だけ友情出演しているのだ。しかし、正直なところあまり印象に残らない凡演であった。 そんなアンブローズのリーダー作がついにリリースされた。Fresh Sound New Talent …から。 「え? FSNTから?」 意外に思う方も多いのではないか。 ≪ 世界で最も権威のあるコンペティション ≫ を標榜し、毎年素晴らしい新人を世に送り出してきた「モンク・コンペティション」だけあって、有望な金の卵を獲得しようと、レコード会社関係者やスカウトマンが会場にはたくさん訪れる。いわば「スカウト・コンテスト」としての側面も持っているのだ。91年優勝のジョシュア・レッドマンはすぐさま Warner Bros. と契約を果たしているし、90年優勝のライアン・カイザーや98年準優勝のジェーン・モンハイトなどはColumbia の専属アーティストとなっている。また93年優勝のジャッキー・テラソンはBlue Noteの契約書にすぐさまサインしている。 「モンク・コンペティション」での受賞は、すなわちメジャー・レーベルとの契約を意味するのだ。はたして、アンブローズはFSNTと契約したのか? 実は本デビュー作が録音されたのは07年の5月のこと。コンペティションの半年前の録音というわけだ。おそらくコンペティション参加の条件を満たすためにリリースを延期していたのではないだろうか。録音から一年経ち、今回やっと発売に至ったデビュー作。第二作目はもしかするとメジャー・レーベルから発売になるかもしれない。 アンブローズ・アーキムシーレイは1982年ナイジェリアに生まれ、カリフォルニア州オークランドで幼少期をすごした。4歳でピアノ、11歳でドラムを習得し、12歳からはトランペットを吹くようになった。そして18歳になる頃には既にジョー・ヘンダーソン、ジョシュア・レッドマン、スティーブ・コールマンらと共演するほどに腕をあげていた。20歳を契機にニューヨークに移住し、「マンハッタン・スクール・オブ・ミュージック」に入学。そこでスティーブ・コールマンに師事した。そのことが縁で、01年から彼のツアーやレコーディングにも参加する機会を得ている。 全8曲(短い2曲のインロトを除く)。そのうち5曲が彼のオリジナル。  M-1 ≪ Dreams of the ManBahsniese ≫。昨夜見た夢を思い出すと、憂鬱になることがよくある。この曲は、実際に私が見た愛の夢をヒントに作曲したものだ。その夢は少々複雑なストーリーなので、ここで書くことはできない。もし君が本当にその夢について知りたいなら、俺に直接メールしてくれ。Akinmusire@gmail.com.  M-3 ≪ Aroca ≫。モンク・インスティチュートに在籍していた時に、もともとはジェリー・バーゴンジから与えられた課題曲として作曲したものだ。はじめAメロを作った時、何故かママ Cora Cを思い出した。しかし最終的にはそのパートはBメロとして使われたためCora C をもじって Aroc A = Aroca としたのさ。  M-4 ≪ HumSong ≫。セロニアス・モンク・インスティチュート時代はロスに住んでいた。日中、街はビジネスマンで溢れかえっていたが、夜になるとパトカーや消防車のサイレンの音しか聞こえない。その音は東の方角から聞こえてくる。ある日俺はその東に向かって歩いていったのさ、何がいったいあるのか自分の目で確かめるために。なんとそこにあったものはダウンタウンの貧困街スキッドロウだったのさ。精神的にも肉体的にも病んだホームレスのやつらが大勢いたんだ。俺はその街を歩き回りながらこのメロディーを作ったのさ。そう、後で知ったことだが、ある精神科病院は、患者達をこのスキッドロウの路上に捨てていたんだとさ。  M-5 ≪ M.I.S.T.A.G.≫ ( My Inappropriate Soundtrack to a Genocide : 大量殺戮に対する私の不適切なサウンドトラック)  ルワンダ紛争時の実話を映画化した『 Hotel Rwanda 』を観た直後に作曲した曲だ。  M-7 ≪ Rudy ≫。生まれ故郷のオークランドで、バス停に座りながら、当時入院中であった祖母を思い書いた曲だ。Bメロは祖母が亡くなった後に作った。今、この曲を故リリアン・ルディー・キャンベルに捧げる。 現在のアメリカが抱える格差貧困問題やアフリカの人種民族問題などに対する社会的メッセージを強く打ち出した楽曲と、極めてパーソナルな夢の話や家族愛を唄った楽曲とが、一枚の作品のなかに違和感なく同居する、不思議な作品だ。 終始、重々しいダークなトーンで語られるこのような作品は、ややもすると聴き手を選ぶかもしれない。それにしても最近、このようなやや難解な作品が、特にトランペッターの作品に多いように思う。演奏力はずば抜けて優れているのに、あえてスキルを全面に出さずに、アーティスティックでコンセプチュアルな作品で勝負する、といった風潮が現代のジャズ界にはあるのか。 デビュー作なのだから、粗削りでも元気よく高らかに吹き鳴らしてほしいが、聴き手に迎合し、媚を売るような娯楽作品でも困るし、なかなか難しい問題だ。  2 songs upload by crissAmbrose Akinmusire  『 Prolude 』 2008 Fresh Sound New Talent 312Ambrose Akinmusire  ( tp )Aaron Parks  ( p )Joe Sanders  ( b )Justin Brown  (ds )Chris Dingman  ( vib )Walter Smith III  ( ts )Special Guests : Junko Watanabe  ( vo )Logan Richardson  ( as ) [ 前項あり ]

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Ambrose Akinmusire 『 Prolude 』

   ↑  2008/04/19 (土)  カテゴリー: trumpet
Ambrose Akinmusire  『 Prolude 』

 2007年10月28日、ハリウッドのコダック・シアターで「 第20回セロニアス・モンク・ジャズ・トランペット・コンペティション 」が開催された。みごと優勝し、賞金20.000ドルを獲得したのはオークランド出身のトランペッター、Ambrose Akinmusire (アンブローズ・アーキンムシーレイ)だった。 同コンペティションへの応募にあたっては、30歳以下でメジャーおよびインディペンデント・レーベルから一枚もリーダー作をリリースしていない必要がある。だから受賞者は無名新人がほとんどだ。アンブローズ・アーキンムシーレイも例外ではない。彼のジャズを聴いてみたい。そう思ってはいたが今までほとんど耳にすることができなかった。唯一聴ける彼の音源は、僕の手許にはアーロン・パークスの『 Shadows 』しかなかった。2人は高校時代からの友人で、アンブローズは一曲だけ友情出演しているのだ。しかし、正直なところあまり印象に残らない凡演であった。 そんなアンブローズのリーダー作がついにリリースされた。Fresh Sound New Talent …から。 「え? FSNTから?」 意外に思う方も多いのではないか。 ≪ 世界で最も権威のあるコンペティション ≫ を標榜し、毎年素晴らしい新人を世に送り出してきた「モンク・コンペティション」だけあって、有望な金の卵を獲得しようと、レコード会社関係者やスカウトマンが会場にはたくさん訪れる。いわば「スカウト・コンテスト」としての側面も持っているのだ。91年優勝のジョシュア・レッドマンはすぐさま Warner Bros. と契約を果たしているし、90年優勝のライアン・カイザーや98年準優勝のジェーン・モンハイトなどはColumbia の専属アーティストとなっている。また93年優勝のジャッキー・テラソンはBlue Noteの契約書にすぐさまサインしている。 「モンク・コンペティション」での受賞は、すなわちメジャー・レーベルとの契約を意味するのだ。はたして、アンブローズはFSNTと契約したのか? 実は本デビュー作が録音されたのは07年の5月のこと。コンペティションの半年前の録音というわけだ。おそらくコンペティション参加の条件を満たすためにリリースを延期していたのではないだろうか。録音から一年経ち、今回やっと発売に至ったデビュー作。第二作目はもしかするとメジャー・レーベルから発売になるかもしれない。 アンブローズ・アーキムシーレイは1982年ナイジェリアに生まれ、カリフォルニア州オークランドで幼少期をすごした。4歳でピアノ、11歳でドラムを習得し、12歳からはトランペットを吹くようになった。そして18歳になる頃には既にジョー・ヘンダーソン、ジョシュア・レッドマン、スティーブ・コールマンらと共演するほどに腕をあげていた。20歳を契機にニューヨークに移住し、「マンハッタン・スクール・オブ・ミュージック」に入学。そこでスティーブ・コールマンに師事した。そのことが縁で、01年から彼のツアーやレコーディングにも参加する機会を得ている。 全8曲(短い2曲のインロトを除く)。そのうち5曲が彼のオリジナル。  M-1 ≪ Dreams of the ManBahsniese ≫。昨夜見た夢を思い出すと、憂鬱になることがよくある。この曲は、実際に私が見た愛の夢をヒントに作曲したものだ。その夢は少々複雑なストーリーなので、ここで書くことはできない。もし君が本当にその夢について知りたいなら、俺に直接メールしてくれ。Akinmusire@gmail.com.  M-3 ≪ Aroca ≫。モンク・インスティチュートに在籍していた時に、もともとはジェリー・バーゴンジから与えられた課題曲として作曲したものだ。はじめAメロを作った時、何故かママ Cora Cを思い出した。しかし最終的にはそのパートはBメロとして使われたためCora C をもじって Aroc A = Aroca としたのさ。  M-4 ≪ HumSong ≫。セロニアス・モンク・インスティチュート時代はロスに住んでいた。日中、街はビジネスマンで溢れかえっていたが、夜になるとパトカーや消防車のサイレンの音しか聞こえない。その音は東の方角から聞こえてくる。ある日俺はその東に向かって歩いていったのさ、何がいったいあるのか自分の目で確かめるために。なんとそこにあったものはダウンタウンの貧困街スキッドロウだったのさ。精神的にも肉体的にも病んだホームレスのやつらが大勢いたんだ。俺はその街を歩き回りながらこのメロディーを作ったのさ。そう、後で知ったことだが、ある精神科病院は、患者達をこのスキッドロウの路上に捨てていたんだとさ。  M-5 ≪ M.I.S.T.A.G.≫ ( My Inappropriate Soundtrack to a Genocide : 大量殺戮に対する私の不適切なサウンドトラック)  ルワンダ紛争時の実話を映画化した『 Hotel Rwanda 』を観た直後に作曲した曲だ。  M-7 ≪ Rudy ≫。生まれ故郷のオークランドで、バス停に座りながら、当時入院中であった祖母を思い書いた曲だ。Bメロは祖母が亡くなった後に作った。今、この曲を故リリアン・ルディー・キャンベルに捧げる。 現在のアメリカが抱える格差貧困問題やアフリカの人種民族問題などに対する社会的メッセージを強く打ち出した楽曲と、極めてパーソナルな夢の話や家族愛を唄った楽曲とが、一枚の作品のなかに違和感なく同居する、不思議な作品だ。 終始、重々しいダークなトーンで語られるこのような作品は、ややもすると聴き手を選ぶかもしれない。それにしても最近、このようなやや難解な作品が、特にトランペッターの作品に多いように思う。演奏力はずば抜けて優れているのに、あえてスキルを全面に出さずに、アーティスティックでコンセプチュアルな作品で勝負する、といった風潮が現代のジャズ界にはあるのか。 デビュー作なのだから、粗削りでも元気よく高らかに吹き鳴らしてほしいが、聴き手に迎合し、媚を売るような娯楽作品でも困るし、なかなか難しい問題だ。

Ambrose Akinmusire 『 Prolude 』 2008 Fresh Sound New Talent 312Ambrose Akinmusire ( tp )Aaron Parks ( p )Joe Sanders ( b )Justin Brown (ds )Chris Dingman ( vib )Walter Smith III ( ts )Special Guests : Junko Watanabe ( vo )Logan Richardson ( as ) [ 前項あり ]

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Simon Spillett 『 Sienna Red 』

   ↑  2008/04/15 (火)  カテゴリー: 未分類

新ブログhttp://jazzlab.blog67.fc2.com/もご覧ください。

タビー・ヘイズから連綿と続くブリティッシュ・ジャズ・テイストを受け継ぐ正統派テナーマン、Simon Spillett (サイモン・スピレット)の『 Introducing Simon Spillett 』 ( 2006 woodville )に続く第二弾が発売になりました。

典雅なバップ・メロディーが満載であった痛快デビュー作を踏襲する内容で、メンバーもほぼ同一のワン・ホーン・カルテット編成。これといった目新しさはありませんが、約半分の楽曲がタビーのオリジナル曲であり、あくまで敬愛するタビーへのこだわりを持って制作された作品です。(ジャケットの姿もタビーに似てません?)

前作を取り上げた際にも紹介しましたが、あらためて簡単に経歴を記しておきます。

1974年イングランドのバッキンガムシャー州に生まれたサイモン・スピレットは,10代後半にディック・モリシーやスパイク・ロビンソンらのバンドで演奏経験を積み,その後イギリスの伝説的サックス奏者でありクラリネット奏者もであるヴィック・アッシュに2年半師事しました。プロとしてのデビューは1996年で,当時21歳だった彼は既に自分のバンドを持ち,一方でデュオから大編成のバンドまで手がけ,ロンドンのロニー・スコットをはじめ,数多くのクラブで活躍していたようです。なお、デビュー作『 Introducing Simon Spillett 』は2007年の『 BBC JAZZ AWARD 』 の Rising Star 部門で一位に輝いています。

スタイル的には完全にバップの範疇なのですが、その繰り出すバップ・フレーズの常套句のスピード感たるや尋常ではありません。エリック・アレクサンダーも真っ青の饒舌さです。現代ジャズ史のメインチャプターには決して載らない流派ではありますが、屈託なく豪快にブローするハード・バップは、いつ聴いても爽快な気分にさせてくれてイイものです。音質が格段に良くなったタビー・ヘイズのリイシュー盤を聴いているような錯覚を覚える作品ではありますが、これはこれで不滅の定番として長く愛せる作品だと思いますよ。

Simon Spillett  『 Sienna Red 』 2008  woodville WVCD120
Simon Spillett  ( ts )
John Critchinson  ( p )
Andrew Cleyndert  ( b )
Spike Wells  ( ds )


 2 songs upload by criss
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Simon Spillett / Sienna Red

   ↑  2008/04/15 (火)  カテゴリー: tenor
Simon Spillett  『 Sienna Red 』

タビー・ヘイズから連綿と続くブリティッシュ・ジャズ・テイストを受け継ぐ正統派テナーマン、Simon Spillett (サイモン・スピレット)の『 Introducing Simon Spillett 』 ( 2006 woodville )に続く第二弾が発売になりました。

典雅なバップ・メロディーが満載であった痛快デビュー作を踏襲する内容で、メンバーもほぼ同一のワン・ホーン・カルテット編成。これといった目新しさはありませんが、約半分の楽曲がタビーのオリジナル曲であり、あくまで敬愛するタビーへのこだわりを持って制作された作品です。(ジャケットの姿もタビーに似てません?)

前作を取り上げた際にも紹介しましたが、あらためて簡単に経歴を記しておきます。

1974年イングランドのバッキンガムシャー州に生まれたサイモン・スピレットは,10代後半にディック・モリシーやスパイク・ロビンソンらのバンドで演奏経験を積み,その後イギリスの伝説的サックス奏者でありクラリネット奏者もであるヴィック・アッシュに2年半師事しました。プロとしてのデビューは1996年で,当時21歳だった彼は既に自分のバンドを持ち,一方でデュオから大編成のバンドまで手がけ,ロンドンのロニー・スコットをはじめ,数多くのクラブで活躍していたようです。なお、デビュー作『 Introducing Simon Spillett 』は2007年の『 BBC JAZZ AWARD 』 の Rising Star 部門で一位に輝いています。

スタイル的には完全にバップの範疇なのですが、その繰り出すバップ・フレーズの常套句のスピード感たるや尋常ではありません。エリック・アレクサンダーも真っ青の饒舌さです。現代ジャズ史のメインチャプターには決して載らない流派ではありますが、屈託なく豪快にブローするハード・バップは、いつ聴いても爽快な気分にさせてくれてイイものです。音質が格段に良くなったタビー・ヘイズのリイシュー盤を聴いているような錯覚を覚える作品ではありますが、これはこれで不滅の定番として長く愛せる作品だと思いますよ。

Simon Spillett  『 Sienna Red 』 2008  woodville WVCD120
Simon Spillett  ( ts )
John Critchinson  ( p )
Andrew Cleyndert  ( b )
Spike Wells  ( ds )

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Paolo Recchia 『 Introducing Paolo Recchia 』

   ↑  2008/04/13 (日)  カテゴリー: alto
Paolo Recchia  『 Introducing Paolo Recchia 』

日本でもイタリアン・ジャズが注目を浴びるようになって久しいですが、ここでまた魅力的な若手アルティストが登場しました。その名はPaolo Recchia (パオロ・レッチア)。まだ28才の若者です。≪ ステファノ・ディ・バティスタをはじめ、数多くの著名ミュージシャンから賞賛を集めるアルト&ソプラノ・サックス奏者 ≫と紹介されたからには、無類のイタリアン・ジャズ好きの僕としては、反応しないわけにはいきません。最近のユーロ高による欧州盤の高騰により、本作も3140円と高値で販売されていたため、しばらくは購入を躊躇していましたが、昨日思い切って買ってきちゃいました。

誰も(もちろん僕も)彼の経歴を知らないでしょうから、簡単にご紹介しておきます(source は彼のmyspace.com )。

1980年イタリア共和国ラティーヌ県フォンディに生まれたパオロ・レッチアは、10歳の時にサックスに興味を抱き、14歳で地元のオットリオ・レスピーギ音楽院に入学。最初はクラシック音楽を集中的に学び、程なくしてチャーリー・パーカーやマッシモ・ウルバニを聴いてジャズに傾倒していきました。ボブ・ミンツァー、リック・マーギッツァ、エンリコ・ピエラヌンツィ、エンリコ・ラヴァ、パオロ・フレスらなど、国内外の一流のミュージシャンを招いて、ローマのサン・ルイ( Saint Louis )音楽院で開催されたマスター・クラスにも参加しました。その後はビッグバンドの音楽を中心に様々なタイプの音楽活動を行いつつ、2003年には、マッシモ・ウルバニ・コンテストでシエナ・ジャズで学ぶための奨学金を獲得しています。一方でPMJO (Parco della Musica Jazz Orchestra) やIodice&Corvini Roma Jazz Ensamble Orchestraなど、数多くのプロジェクトに参加。2004年にはGiovani Talenti del Jazz Italiano国際コンテストで準優勝。さらにはJazz & Image フェスティバル主催のPalazzo Valentiniコンテストで見事優勝を果たしています。2005年にはサレルモで開かれたNational jazz music Contest of Baronissi でも準優勝を獲得しています。現在は地元フォンディの音楽学校Centro Formazione Musica で教鞭をとっているそうです。

バティスタはCDリーフレットの中で次のような惜しみない讃辞を送っています。(イタリア語なので正確な訳ではありません)

≪ 私(バティスタ)はここ数年、パオロを見てきましたが、そのサックスの技術と作曲能力の進歩には目を見張るものがあります。その優雅で敏捷性に富む表現力はずば抜けているし、サウンド、フレージング、どれをとっても気品に満ち溢れています。パオロはイタリア・ジャズ界の繁栄に貢献できる逸材であること間違いありません。≫

と、まあ、そっくりそのままバティスタ様にお返ししたいくらいの歯の浮くような讃辞でありますが、この手の新人のデビューに際しては必要不可欠な形式ですから、半分は差し引いて考えなければなりません。 実際、聴いてみるとバティスタが持ち上げるほど凄いとは思いませんでしたし(笑)。

全8曲で56分の録音と、ちょうどいいボリュームです。5曲が彼のオリジナルで、コルトレーンの ≪ Central Park West ≫ などもやっています。1曲目のオリジナル≪ Blues for Nik ≫ からBoogie Woogie ぽいリズムのブルースで、意外に Be-Bop Oriented なプレーヤーなのかな? と思いきや、2曲目では高速モーダルな現代風オリジナルで、熱いソロが炸裂します。特にピアノの Dado Moroni (ダド・モロニ)の主役を完全に食った激しいソロは圧巻です。

蛇足になりますが、来月、Blue Note Tokyo に Roberto Gatto Quintetの一員でダド・モロニが来日しますね。ぜひ観に行きたいと思ってます。

さて、パオロのドライで武骨な音色は、艶やかで伸びのあるバティスタの音色よりも、どちらかと言うと、ロザリオ・ジュリアーニに近いテイストを持っています。そして本作を聴き終えた後、久し振りにバティスタの『 Parker’s Mood 』を聴いたのですが、やはりその技術力の差は歴然たるものがあると思いました。やっぱりあの危険な香りを発散させたバティスタの音には敵いませんね。

ということで、コルトレーンのフレージングの修得度も高く、ソングライティング、サウンドメイキング、共に素晴らしく、非の打ちどころがないのですが、デビュー作にしては、どこか落ち着いた印象の仕上がりで、やや物足りないところがあります。がしかし、丁寧に作り込んだという彼の意志も随所に感じ取れるわけで、バティスタやカフィーゾを初めて聴いた時のような衝撃はないものの、イタリアン・ジャズの層の厚さを実感できる質の高い作品ではないでしょうか

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Paolo Recchia  『 Introducing Paolo Recchia 』  2008 viaventojazz VVJ 061
Paolo Recchia  ( as )
Dado Moroni  ( p )
Marco Loddo  ( b )
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2008/04/13 | Comment (4) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Paolo Recchia 『 Introducing Paolo Recchia 』

   ↑  2008/04/13 (日)  カテゴリー: 未分類

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日本でもイタリアン・ジャズが注目を浴びるようになって久しいですが、ここでまた魅力的な若手アルティストが登場しました。その名はPaolo Recchia (パオロ・レッチア)。まだ28才の若者です。≪ ステファノ・ディ・バティスタをはじめ、数多くの著名ミュージシャンから賞賛を集めるアルト&ソプラノ・サックス奏者 ≫と紹介されたからには、無類のイタリアン・ジャズ好きの僕としては、反応しないわけにはいきません。最近のユーロ高による欧州盤の高騰により、本作も3140円と高値で販売されていたため、しばらくは購入を躊躇していましたが、昨日思い切って買ってきちゃいました。

誰も(もちろん僕も)彼の経歴を知らないでしょうから、簡単にご紹介しておきます(source は彼のmyspace.com )。

1980年イタリア共和国ラティーヌ県フォンディに生まれたパオロ・レッチアは、10歳の時にサックスに興味を抱き、14歳で地元のオットリオ・レスピーギ音楽院に入学。最初はクラシック音楽を集中的に学び、程なくしてチャーリー・パーカーやマッシモ・ウルバニを聴いてジャズに傾倒していきました。ボブ・ミンツァー、リック・マーギッツァ、エンリコ・ピエラヌンツィ、エンリコ・ラヴァ、パオロ・フレスらなど、国内外の一流のミュージシャンを招いて、ローマのサン・ルイ( Saint Louis )音楽院で開催されたマスター・クラスにも参加しました。その後はビッグバンドの音楽を中心に様々なタイプの音楽活動を行いつつ、2003年には、マッシモ・ウルバニ・コンテストでシエナ・ジャズで学ぶための奨学金を獲得しています。一方でPMJO (Parco della Musica Jazz Orchestra) やIodice&Corvini Roma Jazz Ensamble Orchestraなど、数多くのプロジェクトに参加。2004年にはGiovani Talenti del Jazz Italiano国際コンテストで準優勝。さらにはJazz & Image フェスティバル主催のPalazzo Valentiniコンテストで見事優勝を果たしています。2005年にはサレルモで開かれたNational jazz music Contest of Baronissi でも準優勝を獲得しています。現在は地元フォンディの音楽学校Centro Formazione Musica で教鞭をとっているそうです。

バティスタはCDリーフレットの中で次のような惜しみない讃辞を送っています。(イタリア語なので正確な訳ではありません)

≪ 私(バティスタ)はここ数年、パオロを見てきましたが、そのサックスの技術と作曲能力の進歩には目を見張るものがあります。その優雅で敏捷性に富む表現力はずば抜けているし、サウンド、フレージング、どれをとっても気品に満ち溢れています。パオロはイタリア・ジャズ界の繁栄に貢献できる逸材であること間違いありません。≫

と、まあ、そっくりそのままバティスタ様にお返ししたいくらいの歯の浮くような讃辞でありますが、この手の新人のデビューに際しては必要不可欠な形式ですから、半分は差し引いて考えなければなりません。 実際、聴いてみるとバティスタが持ち上げるほど凄いとは思いませんでしたし(笑)。

全8曲で56分の録音と、ちょうどいいボリュームです。5曲が彼のオリジナルで、コルトレーンの ≪ Central Park West ≫ などもやっています。1曲目のオリジナル≪ Blues for Nik ≫ からBoogie Woogie ぽいリズムのブルースで、意外に Be-Bop Oriented なプレーヤーなのかな? と思いきや、2曲目では高速モーダルな現代風オリジナルで、熱いソロが炸裂します。特にピアノの Dado Moroni (ダド・モロニ)の主役を完全に食った激しいソロは圧巻です。

蛇足になりますが、来月、Blue Note Tokyo に Roberto Gatto Quintetの一員でダド・モロニが来日しますね。ぜひ観に行きたいと思ってます。

さて、パオロのドライで武骨な音色は、艶やかで伸びのあるバティスタの音色よりも、どちらかと言うと、ロザリオ・ジュリアーニに近いテイストを持っています。そして本作を聴き終えた後、久し振りにバティスタの『 Parker’s Mood 』を聴いたのですが、やはりその技術力の差は歴然たるものがあると思いました。やっぱりあの危険な香りを発散させたバティスタの音には敵いませんね。

ということで、コルトレーンのフレージングの修得度も高く、ソングライティング、サウンドメイキング、共に素晴らしく、非の打ちどころがないのですが、デビュー作にしては、どこか落ち着いた印象の仕上がりで、やや物足りないところがあります。がしかし、丁寧に作り込んだという彼の意志も随所に感じ取れるわけで、バティスタやカフィーゾを初めて聴いた時のような衝撃はないものの、イタリアン・ジャズの層の厚さを実感できる質の高い作品ではないでしょうか。

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Paolo Recchia  『 Introducing Paolo Recchia 』  2008 viaventojazz VVJ 061
Paolo Recchia  ( as )
Dado Moroni  ( p )
Marco Loddo  ( b )
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