雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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2008年再発・初CD化の6選

   ↑  2008/12/31 (水)  カテゴリー: best CD

2008年再発盤6選(縮小) 

今年もまたおびただしい数の再発盤が店頭に並びました。長らく廃盤となっているため再発されるならまだ納得がいくのですが、やれ未発表曲追加だ、やれ紙ジャケ化だ、やれリマスター盤だ、やれ高音質CDだと、手を替え品を替えて消費者に散財させようと画策してくる企業努力には頭がさがりますね。でもまあ、そんな中に再発は再発でも、CD化されずに放置されていた隠れた名盤なんかが人知れずこっそりCD化されて混じっていることがあるので、全く無視するわけにもいきません。今年も個人的に一日千秋の思いでCD化を待ち望んでいた作品が僅かながらですが初CD化でお目見えしました。そんな思い出のCDをちょっと引っ張り出してきました。



  1)  Franco ambrosetti  /  Close Encounter 

フランコ・アンブロゼッティの78年に録音された代表作。2006年夏にEnja原盤使用権を獲得したWARD records が始めた≪ WARD/Enja 名盤復刻シリーズ≫の第7弾としてめでたく初CD化された。当時、米ジャズ専門誌『 Downbeat 』で四つ星半を獲得している傑作。 


  2)  Modern Art Trio  /   Modern Art Trio  

フランコ・ダンドレアが70年にVADTTEというレーベルに当時の先鋭達と吹き込んだとトリオ作品『 Progressive Jazz 』が、パオロ・スコッティ総帥率いる Deja Vu Recordsから発売になるというアナウンスがあったのは2008年の春のこと。その後まったく音沙汰なく、暮れになりいきなり店頭に並んでいた作品。前述したアンブロゼッティと同様、いかにも70年代欧州のフリー~モード系のアグレッシブで硬質なジャズが聴かれる。


  3)  Giovanni Tommaso  /  To Chet 

ジョヴァンニ・トマッソ ( b ) の88年録音の作品。すでに数年前にCD化されていたが廃盤となっていた。今回、再プレスされたようだ。私はすでに所有しているので買わないが、かなり出来はイイ作品なのでお勧め。フロントはフラヴィオ・ボルトロ( R ch )とパオロ・フレス ( L ch ) 。ピアノはダニーロ・レア。


  4)  Dreams  /  Dreams 

ブレッカー・ブラザーズ結成前のブレッカー兄弟、マハヴィシュヌ・オーケストラ加入前のビリー・コブハムら、錚々たるミュージシャンが参加して70年に結成された幻のブラス・ロックバンド“ Dreams ”。僅か2年間の活動期間中に本作『 Dream 』と『 Imagine My Surprise 』 ( 前項あり ) をリリースしているが、後者がすでにCD化されていたにもかかわらず、本作は今までCD化されていなかった。今回、SMEより『 Super Premium Series Vintage in 70’s 』で晴れて初CD化された。内容は極平凡なブラス・ロック。BS&T やシカゴなんかの方がずっとカッコいい…と冷静に思えちゃうくらいだから、やっぱり売れなかったんだろうね。


  5)  Jeff Lober  /  Jeff Lober Fusion 

ジェフ・ローバーが77年にInner City に吹き込んだ幻のファーストが遂にCD化された。これにより僕のジェフ・ローバー・コレクションはコンプリート達成!(パチパチ) で、こんな誰も買わんような屑盤を世に送りだしてくれたのが、リイシュー専門レーベルではダントツに光り輝いている Wounded Bird !!!! もう、このレーベル凄すぎ。以前にも書いたことがあるが、ジョン・クレマーの『 Finesse 』(『 Magnificent Madness 』とのカップリング盤)を筆頭に、エリック・ゲイルの『 blue Horizon 』(『 Island Breeze 』とのカップリング盤)や、ジョーザビヌルの『 Concert Retitled 』などを再発してくれている有難いレーベルなのだ。つまりは、痒いところに手が届く、消費者の気持ちを分かってらっしゃるお方という訳。最近では、やはりジョン・クレマーの『 Touch 』や L.A.Express の『 L.A.Express 』&『 Shadow Play 』なんかまで出してくれているので、思わずのけ反ってしまう。要チェック!


  6)  Chet Baker & Enrico Pieranunzi  /  Soft Journey

エンリコ・ピエラヌンツィチェットが仏レーベルIDA に吹き込んだ一連の作品はいずれも超レアであったが、ここにきてEGEA が一枚づつ小出しに再発してきている。2008年5月にはソロの『 Parisian Portrait 』が、年末になりチェット・ベイカーを加えたクインテット作品『 Soft Journey 』が再発された。残るはただ一つ、マーク・ジョンソンとデュオ『 The Dream Before Us 』のみ。

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2008/12/31 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

大晦日は掃除してます

   ↑  2008/12/31 (水)  カテゴリー: daily
 2008年大みそか自室blog01 

今日は大晦日。我が家は朝早くから大掃除です。久しぶりに綺麗になった自室を嬉しくなって写真に収めました。こんな綺麗なのもほんの数日ですけどね。ついでにオーディオも。これらは18年ぐらいほとんど故障もせず働いてくれています。新しい装置も欲しいことは欲しいのですが、古いこれらの道具にも愛着はあるし、嫁さんの許可は下りそうもないし、もう少し使ってあげようかと思ってます。

足元にある白い物は、下腿から足のマッサージ器です。サンヨー製。ここ1年ぐらい前から夜中にふくらはぎがツルことがたびたびあったので、仕事帰りに足マッサージ店でほぐしてもらっていたのですが、10回行けばこの器具が買えてしまうので、思いきって買ってしまいました。非常に優秀で気持ちいいのですが、思ったよりデカくてがさばるのと、使っているうちに接触部分が足臭くなりそうなのが難点ですかね。

2008年大晦日オーディオ掃除01
Victor  XL-Z900

2008年大みそか自室blog02 
Luxman L-570

2008年大みそかオーディオ03  
DENON DP-1300M    DENON DL-103

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2008/12/31 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

2008年極私的愛聴盤+20

   ↑  2008/12/30 (火)  カテゴリー: diary

2008年極私的愛聴盤+20(縮小) 

今年一年を振り返って 思い出に残った愛聴盤を選盤し 『 2008年極私的愛聴盤20選 』 をアップしましたが、どう考えても20枚に収まるはずがなく、仕方ないので更に20枚の愛聴盤を選び、『 2008年極私的愛聴盤+20 』 としてアップしておきます。『 20選 』 程でないにしても、日頃、時あるごとに引っ張り出しては聴いたり、iPod に常時入れておいて聴いたりした作品ばかりです。こうしてあらためて眺めてみると、管モノやビッグバンドが多く、ピアノトリオが少なめですね。評判のいい無名ピアニストの作品も時々拾ってはいるのですが、ほどほどにイイ作品はあっても、何故か飽きるのも早くて、ここに挙げるに至る作品はありませんでした。でも、あま、Carlo Uboldi の 『 Free Flight 』、Phil Aaron Trio の 『 I Love Paris 』、それから Robert Schonherr Trio の 『 The Blue Side of Flipper 』 なんかは、なかなか素敵なピアノ作品でした。

左上から右下に向かって

  1)  Nicolas Folmer  /  Plays Michel Legrand 

Paris Jazz Big Band の中心メンバー、ニコラス・フォルメル ( tp ) の三作目は、ミシェル・ルグラン集。まだまだ日本では知名度は低いが、ボッソに肉薄する技術を持ち、時に最大瞬間風速ではボッソを超えているんじゃないかと思える凄腕だ。


  2)  Christian Scott  /  Live at The Newport
  3)  Roy Hargrove  /  Earfood
  4)  Nicholas Payton  /  In to The Blue
  5)  Jef Neve  /  Soul in a Picture
  6)  Enrico Pieranunzi  /  As Never Before
  7)  Giovanni Mirabassi  /  Out of Track
  8)  Igor Prochazka  /  Easy Route
  9)  Simon Spillett  /  Sienna Red
10)  The Nuttree Quartet  /  Standards
11)  Seamus Blake  /  Live in Italy

これは凄い。シーマスの伊国でのライブ。デヴィッド・キコスキもロドニー・グリーンも完全に突き抜けている。シーマスにしろ、マッカスリンにしろ、ストリックランドにしろ、イーライにしろ、このあたりのNYコンテンポラリーの吹き手は、スタジオ盤で聴くと、少々こじんまりしていて線が細い印象をうけるが、ライブ盤で聴くとやっぱり迫力があって流石に上手い。ところで、この jazz eyes という伊国の新興レーベルからの作品はいずれも素晴らしい音源ばかりだ。要注目!


12)  Donny McCaslin  /  Recommended Tools
13)  Vince Menodza  /  Blauklang
14)  Nils Wogram and The NDR Bigband  /  Portrait of a Band
15)  Steve Swallow & Bohuslan Big Band  /  Swallow Songs
16)  Brussels Jazz Orchestra  /  The Music of Michel Herr
17)  Joe Lovano  /  Symphonica
18)  Moutin Reunion Quartet  /  Sharp Turns
19)  Ivan Paduart  /  In Exile of Dreams
20)  Brian Blade & The Fellowship Band  /  Season of Changes

フェローシップ名義の8年ぶりに制作された第三弾。ドラマー職人としてのブライアンよりは、むしろ作曲家、サウンド・クリエーターとしての才能を発揮する場として立ち上げたバンドだけに、いつもよりはおとなしめ。全体としてドラマティックな展開もあり、コンセイプチュアル作品のような趣がある。今のNYの音とはこんな感じなのかな~と思いを馳せながら気持よく聴ける秀作。

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2008/12/30 | Comment (7) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Patrick Williams and his big band / Sinatraland

   ↑  2008/12/29 (月)  カテゴリー: large ensemble

patrick williams

Patrick Williams ( パトリック・ウイリアムス,  1939~ ) の名前は知らなくても、必ずや彼の音楽は耳にしたことがあるはずです。1970年代からハリウッド映画やテレビ音楽、ポップスの世界に身を置き、何百という数のスコアを書いてきた名アレンジャーです。グラミー賞を3回、エミー賞を2回受賞しています。

フランク・シナトラは晩年に 『 Duets 』、『 Duets II 』 という、ジャンルを超えた大物歌手らを招いてデュエットした作品を制作しました。バーバラ・ストライザンド、ライザ・ミネリ、ルーサー・ヴァンドロス、ナタリー・コール、フリオ・イグレシアス、シャルル・アズナブール、カーリー・サイモンなどなど、超VIPな歌手がシナトラのために集結したゴージャスな作品で、私の愛聴盤です。

この2作品を手掛けたのが何を隠そう、このパトリック・ウイリアムスだったのです。そのことがきっかけとなり、この 『 Sinatraland 』 ( 1997 ) が制作されました。30年代から40年代にシナトラが歌ってヒットした曲を、ビッグバンドでカヴァーしています。

参加メンバーも、エディー・ダニエルス、ピーター・アースキン、ミシェル・フォアマン、デヴィッド・サンボーン、トム・スコット、ビル・ワトラスなど超豪華です。

気難しいことなど一切なく、ストレートに楽しく、聴いているうちにだんだん元気になってくる作品で、何故か、このクリスマスからお正月の忙しく、それでいてわくわくする時期になると棚から引っ張り出して聴きたくなるCDなんですね。

と云う事で、これから栃木の実家に帰省してきますが、車の中で聴くために、今年もバッグに詰め込んだところです。

では、行ってきます。


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2008/12/29 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

2008年極私的愛聴盤20選 ( 新譜 )

   ↑  2008/12/28 (日)  カテゴリー: diary

  2008愛聴盤20!!!!# 

左上から右下に( アルファベット順 )

  1)   Aaron Parks  /  Invisible cinema  

NY革新派本流を突き進むピアニスト、アーロン・パークスのBlue Note からのメジャー・デビュー盤。幾分内省的で、ダークで陰鬱な楽曲が多いが、しかし、彼独自の異世界音空間は麻薬的魅力を放っている。ギターのマイク・モレノの存在もアーロンの音楽創造に大きく影響しているようだ。2008年11月の Cotton Club でのライブを観て、ますますファンになった。


  2)   Antonio Farao  /  Woman's Perfume 

アントニオ・ファラオのCAM JAZZからの第4弾。今回は、イタリア映画音楽の巨匠、アルマンド・トロヴァヨーリへのオマージュ作品。話題は何と言ってもドミニク・ディ・ピアッツァ(b)とアンドレ・チェカレリ(ds)という豪華ミュージシャンの参加だろう。モード一発勝負でイケイケ・モードだった Enja 時代とは似ても似つかない抒情的作品だ。でもこんなイタリア回帰路線も悪くはない。無限の美しさを放つ甘酸っぱい旋律。確かな余韻を残すから、また、聴きたくなる、そんな作品だ。


  3)   Avishai Cohen  /  Gently Disturbed 

イスラエル出身で現在はNYで活躍中のベーシスト、アヴィシャイ・コーエンの通算9作目となる最新作。前作あたりからウードなども使わなくなり、だいぶ民族音楽臭さは薄らいできが、今回は初のピアノ・トリオ編成だ。メランコリックで哀愁美漂うメロディーと超難解な変拍子は健在で、カッコよくて痺れるけど何だか悲しくなってくるような楽曲が目白押しだ。今までアヴィシャイに苦手意識をもっていた方にもお薦め。


  4)   Chick Corea & Gary Burton  /  The New Crystal Silence 

チック・コリアとゲイリー・バートンのパートナーシップ35周年を記念して制作された2枚組CD。Disc-1 はシドニー交響楽団との共演ライブ。Disc-2 はデュオ曲。個人的にはDisc-1 が気にいっている。壮大なスペクタクル映画を観ているような圧倒的なスケール感。M-2 ≪ love Castle ≫やM-5≪ La Fiesta ≫の終盤に向かうにつれて何重にも畳み掛けるようなオーケストレーションで否応なしに胸が高まる。これは完全にジャズというジャンルの枠を超えた音世界だ!。世の中に星の数ほど多種多様な音楽があれど、これほどの名作を私は知らない。


  5)   Cholet-Kanzig-Papaux Trio  /  Beyond The Circle 

Jean-Christophe Cholet (p)、Heiri Kaenzig (b)、Marcel Papaux (ds) によるトリオ作品。ピアノの J.C. ショーレは、62年生まれのフランス人。このメンバーでは3作品を制作している。いずれも彼のOfficial HP で試聴可。ジャケットがいかにも夏向きで涼しげだが、内容は清涼感漂う演奏というよりは、中世王宮神殿の大理石廊下を素足で歩いて行くような感触をもったECM的サウンドだ。


  6)   Daniele Scannapieco  /  Lifetime 

今や伊太利亜ジャズ・ファンならずとも誰でも知っている温故知新派ハード・バップ・ユニット、High Five Quintet のフロントラインを務めるテナリスト、ダニエレ・スカナピエコの最新作。ほとんどの曲がバティスタとの2管フロンド。2曲だけだがフラヴィオ・ボルトロが参加している。元気と熱気がいっぱい詰まった痛快ハード・バップの名作だ。


  7)   Danilo Perez  /  Across The Crystal Sea 

ダニーロ・ペレスには、陽気でノリのいいラテン系ジャズ・ピアニストというイメージがあったが、本作のようなヨーロッパ的な陰影や情感を保った美しい楽曲も書けるのだと、大変驚いた作品。クラウス・オガーマンがストリングス・アレンジを担当し、トミー・リピューマがプロデューサーを務める。今年の梅雨どきに、ひたすら聴いた思い出の作品。私の場合、ジャズ・ジャーナリズムにより、いいとか悪いとか裁断されるジャズから縁遠くなって久しいが、こういった自分だけの名盤を地道に拾っていくことが、ジャズを聴く一番の楽しみなんだよなぁ~と、あらためて実感する作品であった。


  8)   Dave Douglas & Keystone  /  MoonShine

デイヴ・ダグラスの現在、“ Dave Douglas Quintet ” と“ keystone” を活動の主軸に置いている。前者にはドニー・マッキャスリン、後者にはマーカス・ストリックランドが加入している。本作は“ keystone” 名義では3作目にあたる。DJ や怪しげなローズがアングラ臭を発散させているエレクトリック・バンドだ。白眉はM-7≪Kitten≫。メタル・ソリッドな弾丸16ビートに乗って、超カッコいいテーマが炸裂する。

  9)   Eli Degibri Trio  /  Live at Louis 649

イスラエル人テナリスト、イーライ・デジブリの4作目にあたる最新作。今年の夏に発売されたアル・フォスター・クインテットの『 Love, Peace and Jazz 』でのイーライも素晴らしく、優劣はつけ難い。あとは好みの問題だろう。本作は自己のトリオでのライブ録音盤で、メンバーは知性派オルガニスト、ゲイリー・ヴェルサーチ )と、最近売り出し中の馬鹿テクドラマー、オーベッド・カルヴェール 。 とにかく、不思議なエキゾ風味漂う情熱的なソロが炸裂する凄盤だ。


10)   e.s.t.  /  Live in Hamburg

最新作にして遺作となってしまった『 Leucocyte 』は、何か新しい方向性を模索しているかのような、いわば習作デッサン集的作品だった。未知なる音楽の予感は感じられるが、まだ具現化できない曖昧な輪郭に終始し、決して傑作とは呼べる出来ではなかったと思っている。それに対して本盤は、『 Tuesday Wonderland 』の24カ国に及ぶ発売記念ワールド・ツアーの中でもファンの間で語り草となったハンブルグでの名演が収められた実況録音盤だけに内容は折り紙つきだ。新曲は一曲もないが、ライブならではの拡大された即興パートでは、ジャズ職人としての本領が遺憾なく発揮されて、オリジナル・ヴァージョンとは一味も二味も違った魅力ある曲に仕上がっている。


11)   Fernec Nemeth  /  Night Songs

本作のリーダー、フェレンク・ネメスはハンガリー出身のドラマーで、同じセロニアス・モンク・インスティチュート出身のリオーネル・ルエケ(g)、マッシモ・ビオルカティ(b)と結成したバンド≪ Gilfema ≫で脚光を浴びたアーティスト。フロント陣は、クリス・チークと先月に指を二本切断し手術を受けたマーク・ターナーの仲良し2人組。ピアノはアーロン・パークス。魑魅魍魎が跋扈する霧深き森の中にまぎれこんだようなダークで陰鬱な曲が目白押しの秀作だ。


12)   Gianluca Caporale  /  Un Lungo Viaggio

Gianluca Caporale ?  あ~あ~、トロンボーンの人ね。あ、あれは Gianluca Petrella か。 そうだ!!  ピアニストの・・・あれは Gianni Cappielo だったか┏(_ _;)┓。  ということで、結局、初見のテナリスト、ジャンルカ・カポラルの作品。ファブリツィオ・ボッソが2曲のみ参加。でも、そんな付加価値抜きにしても素晴らしい出来具合。まさにロリンズ系の極太体育会系ハード・バップだ。


13)   High Five  /  Five For Fun

High Five Quintet の4年ぶりとなる最新作は、古巣V.V.J.を離れて新たに契約したBlue Note からのリリースだ。メンバーは不動。ボッソは今まで以上に饒舌によく歌っている。キュートな色気も相変わらずで、要所要所で信じがたい馬鹿テク・フレーズを披露。技術的には今だ進化の過程にあるのか! 白眉は作曲者不明のバラード≪ Estudio Misterioso ≫。


14)   Jazz Orchestra of The Concertgebouw  /  Silk Rush

96年に創立された和蘭のビッグバンド、Jazz Orchestra of The Concertgebouw の通算6作目となる最新作。Brussels Jazz Orchestra や Paris Jazz Big Band などと共に、今一番勢いに乗っている欧州ビッグバンドだ。今回は同バンドきっての人気スターであるジェシ・ヴァン・ルーラーにスポットを当てた企画で、彼のオリジナル曲が素晴らしいアレンジで蘇っている。


15)   Jim Beard  /  Revolutions

ジム・ベアードの9年ぶり、4作目となる最新作。本作はオランダのビッグバンド、メトロポール・オーケストラとの共演盤。指揮者はもちろんヴィンス・メンドゥーサ。曲は全てジムのオリジナルだが、メンドゥーサがアレンジするとその表情は一変する。知的で繊細なジムの楽曲にメンドゥーサのラテンの血が注ぎ込まれ、一気に燃え上がるのだ。メンドゥーサの奇抜な和声とエンターテインメント性が繰り成す独特のグルーブ感は麻薬的であり、聴けば聴くほど彼の虜になっていく。弦と管が複雑に絡み合い、幾重にも音が重なり合い、そして比類稀なるファンタスティックな音世界が構築される。思わず小躍りしたくなるような楽曲が目白押しだ。


16)   John McLaughlin  /  Floating Point

馬鹿テク・ハードコア・フュージョン界の総統閣下、ジョン・マクラフリンの最新作。マクラフリンは今まで、その時代時代で最も指が速く動くベーシストを起用してきたが、現在のレギュラー・ベーシストは、25歳のフランス人、アドリアン・フェロー。指板上を蜘蛛の脚のように器用に動きまわる様は実に奇妙だ。本作は、米国ジャズ専門誌『 Downbeat 』のレビューで、五つ星を獲得している。ちなみに昨年の五つ星を獲得した作品は、チャーリー・ヘイデンの『 Family and Friends 』をはじめ、5作品だけだ。


17)   Lars Jansson Trio  /  Worship of Self

ラーシュ・ヤンソンの4年ぶりとなる最新作はアンサンブル・ミッドヴェスト9重奏団の共演だ。一本のピアノの奏でるメロディーに、ストリングスの複数の線が幾重にも重なりあう。さらに、浮き上がる木管のオブリガードが立体的な音像を結び、繊細な音世界が、淡く広がる。なんと幽玄な音空間なのだろうか。弦や木管をふんだんに使ったオーヴァー・プロデュース気味のアレンジは、好き嫌いがあるだろうが、個人的には完全にツボにハマってしまった作品だった。


18)   Michiel Borstlap  /  Eldorado

オランダ人の馬鹿テク・ピアニスト、ミケル・ボルストラップの最新作は、エレクトリック、打ち込みなどを多用したクラブ・ジャズ系サウンドだ。即興演奏家としてのボルストラップの姿はここには皆無だが、サウンド・クリエーターとしての非凡な才能を見せ付けた隠れ名盤だと、思っている。完全にiPod 向き。


19)   Paolo Di Sabatino  /  Atellier of Melody

伊太利亜の技巧派ピアニスト、パオロ・ディ・サバティーノの最新盤は意外にもAtelier Sawano からのリリース。ラテン気質全開の熱いプレイは身を潜めながらも、情熱と抒情のミクスチャー感覚は絶妙。サバティーノの右手から綺羅星のごとく繰り出される音連射は、ヴィヴィッドに聴き手の心を揺さぶるはずだ。2008年澤野のベスト。


20)   Peter Asplund  /  As Knights Concur

スウェーデンの中堅トランペッター、ピーター・アスプランドの前作から実に4年ぶりとなる通算5作目となる最新作。聴いてみての第一印象は、とにかく巧くなった!ということ。北欧版≪詫び寂びの世界観≫が見事に表現されている。また、硬質で先鋭的、時にアヴァンギャルドでさえあるスタイルながらも、浮き立つような美しいメロディーが時折表出してくる、いわば攻撃的抒情派ピアニスト、ヤコブ・カールソンの名演が花を添える。彼の存在なくしてこの名盤は生まれ得なかったはず。


 


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2008/12/28 | Comment (8) | Trackback (5) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Christian Scott / Live at Newport

   ↑  2008/12/25 (木)  カテゴリー: trumpet

christian scott live at newport

ルイ・アームストロングから、ウイントン・マルサリスを経て、テレンス・ブランチャード、さらにはニコラス・ペイトンに至るまで、綿々と受け継がれてきたニューオリンズ・ジャズの血統を未来に繋ぐ若干25歳のニュー・スター、Christian Scott ( クリスチャン・スコット )の、3作目にあたる最新弾 『 Live at Newport 』 。2006年のメジャー・デビュー作 『Rewind That 』 がいきなりグラミーの 『 Best Contemporary Jazz Album 』 に選ばれると、プリンスからのオファーで共演したり、ジョージ・クルーニーの映画 『 Leatherheads 』 に出演したり、更には雑誌にモデルで登場したり、・・・と、まだデビューして2年しかたたないのに、すでにジャズの枠を超えて幅広い活動を行っているクリスチャンだが、やや話題先行で本当に凄いんだろうかと懐疑的な見方をされているジャズ・ファンも多いのではないか。

さて、今回の最新作は2008年夏に開催された “ Newport Jazz Festival ” に出演した際のライブ音源だ。CD+DVD の2枚組で、DVDには7曲のライブ映像とドキュメンタリー映像が収められている。これだけのボリュームで、たとえばHMVのマルチバイで買えば2,356円! というう安さに胸のときめきを押さえられないのは、決して私だけではないはず。

最近の若手、特にNYを中心に活動しているジャズ・ミュージシャンは、何とかしてカッコよくジャズからアウトしようと試行錯誤しているが、聴き手に幅広くアピールできる新しい音世界を提示することは難しいようだ。一歩間違えば、悲劇的なセールスをもって、二度と舞台に立つことができないという状況もあり得るわけだ。そんな中、バークリーを卒業したばかりの25歳の青年が、確固たる自己の異世界的音空間を創造し、更にはマスメディアも取り込み、売れるためのスキームをすでに構築しているという事実は、誠に驚くべきことではないか。

そう云ってクリスチャンを持ち上げたものの、正直なところ前作 『 Anthem 』 は、それほど好きにはなれなかった。「 アコースティックと4ビートこそがジャズの正道なり!」 とは思っていないが、前作はあまりにもジャズの響からは乖離しすぎていて、興醒めしたのも事実だ。特に、スネアのハイピッチなチューニングと、シンセベースをシミュレートしたかのようなウッドベースの音色、それから随所に挿入されている電子音による装飾などは気になって仕方なかった。聴きすぎると聴覚の変調を来しかねないという不安もあった。

しかも、“ ニューオーリンズを襲ったカトリーナ・ハリケーン被災に対して政府がとった対応への怒り ”をテーマにしているメッセージ・ソング集!というから、始末が悪い。デビュー作『 Rewind That 』が勢いよくブリブリ吹きまくった傑作だっただけに、第二作『 Anthem 』の出来が残念で仕方なかった。

と云う訳で、本題に移るとしよう。本作はライブ録音という設定事情もあり、前作に比べたらだいぶデジタル・テクノロジーの介入は少なくなっている。唯一のエレクトリックがMatt Stevens ( マット・スティーヴンス )のギターなのだが、なにしろクリスチャンがデビュー前から全幅の信頼を寄せているギタリストだけに、アルバム全体のサウンドスケープを染め上げるだけの存在感を持っている。メンバーはサックスの Walter Smith III ( ウォルター・スミス三世 )とギターのマット・スティーヴンス、ピアノの Aaron Parks ( アーロン・パークス ) は残留し、他のメンバーは入れ替わっている。基本的にはギターを加えたクインテットである。ちなみに2009年1月に来日( Blue Note Tokyo )するが、その際もサックス抜きのクインテット編成らしい。

全8曲で、そのうち6曲がクリスチャンのオリジナル。他の2曲がマットのオリジナルである。既存の2枚の作品から3曲だけ再演しているが、他は新曲のようだ。こうして電気仕掛けを取っ払った素の状態で聴いてみると、意外に聴きやすい曲が多いので驚く。クリスチャンの演奏力は恐ろしいほどに確かで、非の打ちどころがない。M-3 ≪ Isaddra ≫ でのバラード・プレイなどで聴かれるブレストーンなどは、文字通り溜息が出そうなくらい美しい。何度も言うようだが、25歳にしてここまで吹けるのか!と、驚くばかりだ。デビュー前に、相当のストイックな自己練磨があったのであろうことは、容易に想像できる。やっぱりタダ者ではなさそうだ。できることなら、フックなしのストレートアヘッドなバンドで思い切り吹き鳴らすところを観てみたいものだ。

Christian Scott  /  Live at Newport  2008 Concord   UCCO-9200
Christian Scott  (tp)
Walter Smith III (ts)
Paron Parks  (p)
Matt Stevens  (g)
Joe Sanders  (b)
Jamire Williams  (ds)

星1つ星1つ星1つ星1つ



Isadora - Christian Scott
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2008/12/25 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Avishai Cohen Trio / Gently Disturbed

   ↑  2008/12/22 (月)  カテゴリー: bass

avishai cohen gently2 

イスラエル出身で、現在はNYで活躍中のベーシスト、Avishai Cohen ( アヴィシャイ・コーエン ) の通算9作目となる最新作。個人的には1997年に結成されたチック・コリアの“ Origin ”でのアヴィシャイの演奏を聴いてすっかり魅了されてしまい、以来、ずっと彼をフォローしてきた。今回の最新作もダウンビート誌の2009年1月号に掲載されている『 Best CDs of 2008 』 で4つ星選定され、現地米国でもすでに確固たる評価を得ているベーシストである。

以前は、ウード( oud : 琵琶に似た弦楽器)を多用して、楽曲自体も中東音階を取り入れたりと、セファルディとしてのアイデンティティを色濃く打ち出した曲作りをしていたが、前作あたりからウードも使わなくなり、だいぶ民族音楽臭さは薄らいできた。今回は初のピアノ・トリオ編成ということで、よりいっそう中東色は希薄になってきており、より幅広いジャズ・ファンにアピールできる作風に仕上がっているようだ。ドラムは以前から活動を共にしている Mark Guilliana ( マーク・ジュリアーナ )で不変だが、ピアノは Sam Barsh ( サム・バーシュ )から、若干21歳のイスラエル人、Shai Maestro ( シャイ・マエストロ!! 凄い名前だぁ~ )に交代している。全11曲で、そのうち9曲がアヴィシャイのオリジナル、2曲が Traditional 。

中東色は希薄になれど、メランコリックで哀愁美漂うメロディーと超難解な変拍子は健在。カッコよくて痺れるけど何だか悲しくなってくるような楽曲が目白押しだ。この変拍子―しかも1曲の中で目まぐるしく拍子が変化する―の、何とも表現しがたい “ 覚醒 ” 感って、一体どこから来るのだろう。私たちの脳内にあらじめプリセットされている2拍子、3拍子、4拍子、8拍子…などの定型的なビート感を、変拍子は心地よく撹乱してくれているようだ。つまり、脳を裏切り苛める快感みたいなものが変拍子の魅力なのではないだろうか。そして、この変拍子の快感は、ロバート・フィリップを聴くときに感じる快感と同質なものだ。

以前、ビル・ブラフォードがこんなことを言っていた。「かっこいい曲を作りたければ、変拍子を使えばいいんだよ。」と。確かにそうなのだが、アヴィシャイの場合はそうしたギミックとしての変拍子利用ではなく、イスラエルの伝統音楽の中から自然に獲得していったスタイルとしての変拍子の多用だと思われる。そもそも変拍子はその元を辿れば、アラブ系民族音楽に由来するわけだし。

≪ Shai Maestro : Short Biography ≫
1987年イスラエル生まれ。5歳でクラシック・ピアノを始め、8歳の時にオスカー・ピーターソンを聴いてジャズに開眼したマエストロは、テルアビブ郊外のギバタイムにあるテルマ・イェリン国立芸術高等学校に進学し、ジャズとクラシックを学んだ。在学中に IAJE ( 注1 ) 主催の演奏会にビッグバンドの一員として招かれて米国ツアーも経験したが、その際、バークリー音楽院の奨学金オーデションを受験し、4年間の学費全額免除という名誉で合格している。近年はジミー・グリーンやアントニオ・ハートらなどの著名なミュージシャンとの共演を通じてメディアからも注目されはじめている。ここ2年ぐらいは、アヴィシャイ・コーエンのトリオで活動しており、『 Gently Disturbed 』と、今年8月にイスラエルで発売された『 Sensitive Hours 』で彼のピアノを聴くことができる。

1 : IAJE ( International Association for Jazz Education, 国際ジャズ教育者協会)。ジャズの教育に携わる人々で構成された教育振興団体。約40年の歴史を持ち、アメリカ最大のジャズに関する団体である。しかし、20084月に、500,000ドルの負債をかかえて破産。執行役員によるずさんな経営管理と資金の使い込みなどがその理由のようだ。すでにウェブサイト( http://www.iaje.org/ は閉鎖されているのでリンクできず。

星1つ星1つ星1つ星1つ 

Chutzpan - Avishai Cohen Trio
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2008/12/22 | Comment (8) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Dave Holland / Pass It On

   ↑  2008/12/21 (日)  カテゴリー: bass
dave holland pass it on

前作『 Critical Mass 』 から2年あまりの歳月を経て発表された Dave Holland ( デイヴ・ホランド )の最新作。彼自身のインディペンデント・レーベル、 Dare2 Records からの3枚目の作品に当たる。

過去の Dare2 作品同様カヴァー・アートは、自らも演奏活動を行うジャズ・マニアでもあるスイス人グラフィック・デザイナー、Niklaus Troxler ( ニクラウス・トロックスラー )の手によるもの。

今回はフロントラインにTp、Tb、As の3管がそろったセクステット編成であり、しかも今まで自己のグループには加えたことのないピアノが加わっている。そのピアノがマルグリュー・ミラーというのもちょっと意外。デイヴ・ホランド・バンドのコアとなるRobin Eubanks ( ロビン・ユーバンクス )は温存したものの、その他のメンバーは一新されている。

トランペットは criss cross に多くの作品を残す Alex Sipiagin ( アレックス・シピアギン )、アルトは Antonio Hart ( アントニオ・ハート )。二人ともDHBB のメンバーとして活動を共にしてきた気心知れた盟友である。ドラムも Nate Smith ( ネイト・スミス )から Eric Harland ( エリック・ハーランド )に代わっている。デイヴ・ホランドは90年代以降、カルテット、クインテット、そしてビッグ・バンドと3つのバンドを運営してきたし、それ以前はソロ、デュオ、トリオなどの編成でも活動していたが、今回のようなセクステットは初めてではないだろうか。

全9曲で、そのうち6曲が過去の作品からの再演である。何曲かオリジナル・ヴァージョンと聴き比べてみたが、だいぶ印象が変わっている曲も多い。たとえば M-5 ≪ Equality ≫ は、『 Dream of The Elders 』 ( 1995 ECM )に収められていた曲だが、マルグリュー・ミラーのモーダルなピアノが加わったことにより、調和指向型の洗練された楽曲に生まれ変わっている。

ホランド独特の変態リズム&コード進行をもった楽曲のテイストはもちろん感じられるのだが、やはり、アントニオ・ハートやマルグリュー・ミラーらの存在感が大きく、従来のM-BASE理論に根差した特有の スタイルを踏襲しながらも、ややメインストリーム寄りの作風に仕上がっている。これはこれで聴き心地はよい。

それにしても、ホランドの楽曲というのは、ふつうならメカニカルで無機質になりがちな変拍子をふんだんに使っているにも拘わらず、何故か牧歌的で伝統的な印象を受けるのは、とっても不思議だ。

星1つ星1つ星1つ星1つ



Double Vision - Dave Holland
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2008/12/21 | Comment (7) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Eli Degibri Trio / Live at Louis 649

   ↑  2008/12/18 (木)  カテゴリー: tenor
eli degibri trio

世界の国々の中でも、中東諸国ほどジャズに無縁な地域はないのではないかと以前は思っていました。でも最近はNY界隈で活躍する中東出身のミュージシャンの名前を耳にする機会も増え、特にコンテンポラリー・ジャズの領域でのイスラエル系ミュージシャンの活躍が目立つようになりました。

たとえば、1997年にチック・コリアのバンド“ Origin ” のメンバーに抜擢されて以来、目覚ましい活躍を見せているベーシストのアヴィシャイ・コーエンなどは最も成功したアーティストでしょう。それ以外でもトランペットのアヴィシャイ・コーエンや、OAM Trio のベーシスト、オマー・アヴィタルもコアなファン層を中心に支持されています。

今年に入ってからもその勢いは留まることを知りません。2005年欧州ギブソン・ギター・コンテスト優勝の経歴を持つ Gilad Hekselman ( ギラッド・ヘクセルマン )、クレイトン=ハミルトン・オーケストラの常任ピアニストを務める Tamir Hendelman ( タミール・ヘンデルマン )、ロックや映画音楽などジャズ以外のフィールドでも活躍しているピアニスト、Omer Klein ( オマー・クライン )らが、挙ってCDデビューを果たしています。

そんなイスラエル・ジャズ・ブームの中、待ちに待ったイーライ・デジブリの4作目にあたる新譜が届きました。今年の夏に、アル・フォスター・クインテットのCD 『 Love, Peace and Jazz 』や DVD 『 The Paris Concert 』で素晴らしソロを聴かせてくれたのも記憶に新しいところですが、今回は自己のトリオでのライブ録音盤です。メンバーは、ここにきて急激に露出度をアップさせてきた知性派オルガニスト、Gary Versace ( ゲイリー・ヴェルサーチ )と、現在 Tony Grey ( トニー・グレイ )のサポート・メンバーで来日中の馬鹿テクドラマー Obed Calvaire ( オーベッド・カルヴェール )。

とにかく、不思議なエキゾ風味漂う情熱的なソロが炸裂する凄盤です。魂が音に乗り移っているかのようです。激情的な女性はちょっと苦手な私ですが、ジャズに関しては彼のような激情型のミュージシャンが大好きです。特にテナーはやっぱり熱くならなきゃねぇ。イーライの音色は雄々しく豪快そのものなのですが、スタイル的にはかなり現代的でジョシュア・レッドマンあたりを彷彿させます。そういえば、ショジュアのエラスティック・バンドも似たようなテイストを持ったオルガン・トリオでしたね。また、イーライに輪をかけて熱いのがドラムのオーベッドで、手数の多さもさることながら、奔放かつ複雑な絡みでフロントを煽るところなど、かなり聴き手を高揚させてくれます。

2008年も残すところあと2週間。そろそろ今年の『 極私的愛聴盤20選 』でも考えようかなと思ってますが、イーライの本作は間違いなくその中の1枚でしょう。今まで彼の作品を聴いたことのない方にも絶対おすすめです。

≪ Biography ≫
ブルガリア人とペルシャ人の血を引くエリ・デジブリはイスラエルで生まれ育った。7歳でマンドリンを始めたが,10歳の時に観たジャズ・コンサートに感銘を受け,サックスを始めた。そして16歳の時には母国のジャズ・バンドでプロとして始動する早熟ぶりをみせた。1997年には全額奨学金を得てバークリー音楽大学に留学。1999年にはハービー・ハンコックのsextetのメンバーに抜擢され,世界ツアーに同行した。その後はアル・フォスター,ミンガス・ビック・バンド,エリック・リード,ロン・カーター・カルテットなどにも参加している。

≪ Discography ≫
2003 In The Beginning ( 前項あり )
2006 Emotionally Available ( 前項あり )
2006 One Little Song ( with Kevin Hays )
2008 Live at Louis 649 ( 本作 )

星1つ星1つ星1つ星1つ




Pum-Pum - Eli Degibri

≪ ブログ仲間さんの関連記事 ≫
JAZZとAUDIOが出会うと 』    http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/54837305.html
My Secret Room 』   http://plaza.rakuten.co.jp/mysecretroom/diary/200810170000/

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2008/12/18 | Comment (15) | Trackback (3) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Alfio Origlio / Passeggiata

   ↑  2008/12/16 (火)  カテゴリー: piano
alfio origlio passeggiata

Paris Jazz Big Band の常任ピアニストとして人気のフランス人ピアニスト、Alfio Origlio(アルフィオ・オリリオ)の、2000年に録音された初リーダー作『 Passeggiata 』 ( Cristal Records ) 。今までは一部の輸入盤店でしか入手できなかった本作が、2008年12月3日にWard Records の傍系レーベル、Isol Discus Organiza (イゾル・ディスカス・オーガニゼイション) からリイシューされました。民族音楽にも通じる浮遊感漂う Xavier Sanchez ( ザヴィエル・サンチェス ) のパーカッションが陶酔感を誘います。現在までに制作された彼のリーダー作品は3枚。本作リリース以降、2001年にはRemy Vignolo、Andre Ceccarelli を迎えた『 Ricordo 』を、2006年には『 Ascendances 』を発表してきています。レーベルはいずれもフランスの新興インディーズ・レーベルのCristal Records です。『 Ascendances 』は拙ブログでも 『 2006年極私的愛聴盤ピアノ20選 』 で取り上げています。『 Ricordo 』の記事はこちらです。

星1つ星1つ星1つ星半分



Texture - Alfio Origlio
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2008/12/16 | Comment (8) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

ブログを引っ越ししました

   ↑  2008/12/14 (日)  カテゴリー: 未分類
以前からなかなか実行に移せなかった「ブログの引っ越し」を
ついに始めました。
年末にかけて、少しづつ過去の記事をFC2 blog へ移していく
予定でいます。
まだ、全然、新ブログの体裁は整っていませんが、
お暇の方は覗いてみてください。


新ブログタイトルは「雨の日にはジャズを聴きながら」です。

アドレスは、http://jazzlab.blog67.fc2.com/  です。
今後ともどうかよろしくお願いします。

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2008/12/14 | Comment (6) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Bugge Wesseltoft / It's Snowing on My Piano

   ↑  2008/12/14 (日)  カテゴリー: piano
Bugge Wesseltoft it's snowing


bugge wesseltoft
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2008/12/14 | Comment (10) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Igor Prochazka / Easy Route

   ↑  2008/12/13 (土)  カテゴリー: piano
igor prochazka

アダム・マコビッチ、ロベルト・バルザールと、チェコスロヴァキアのアーティストが続いたので、ついでにもう一人聴いてみましょう。

チェコ共和国に生まれ、ドイツでクラシック音楽を10年以上学んだ後、現在はマドリッドを拠点に活躍中の若手ピアニスト、Igor Prochazka ( イゴール・プロハースカ ) のデビュー作です。

ブルー・スカイ、乾いたブライトサンド、そしてオレンジ・イエローのアンティーク車。輸入盤取扱い店でも、ひときわ目を引く印象的な美しいアート・ワークの作品なので、手にとった方も多いのではないでしょうか。実際にもかなりのセールスを獲得しているようです。そしてアート・ワークだけでなく内容もそれに負けないくらい秀逸です。

何と言っても、4 ビート一辺倒では決してなくて、ロックやソウルの軽快なリズムを基調とした洒脱なナンバーを大々的に配したことが本作の特徴です。ピアノトリオというシンプルな編成でも、豊かなバックグラウンドを持つアーティスト同士が、柔軟な発想で取り組めば、たとえテクニック的に凡庸であっても、素晴らしい音楽が作れる、という見本のような作品です。

本作はジャズ批評誌の最新号 No.146 『 ピアノ・トリオ Vol.4 』でも3人のライターが推薦されていました。全7曲で録音時間35分ですから、1時間以上の作品が当たり前の時代にあっては、非常に短く感じます。あっという間に聴き終えてしまいます。でもその潔さがかえって作品のイメージを明確にし、よい結果を導いているようです。6曲がイゴール・プロハースカのオリジナルで、1曲がベーシストのクリスチャン・ペレスのオリジナル。やはり、これから売れるためには、クラシック音楽教育に裏付けられた高度な技術と、哀愁かつポップな馴染みやすいメロディセンスが必須条件なのでしょう。あと4ビートだけに拘泥しているとダメですね。

Igor Prochazka2 Igor Prochazka3

余談ですが、ジャケットの車はスペインの自動車メーカー、SEAT ( セアト )の60年代から70年代にかけて生産された車のようです。当時はフィアットとのライセンス契約で、フィアットのモデルを生産していました。このSEAT 850 もその一台です。しかし、1980年にフィアットが撤退し、現在はフォルクスワーゲン傘下にあるようです。日本への正規ルートでも輸入は行われていないので馴染みが薄いかもしれません。

で、面白いのは、リーフレットにある上の写真です。フロント中央に羽を広げたようなロゴが付いていますが、よく見ると『 JAZZ 』 と書かれてあります。本当はここには社名の『 SEAT 』と記されている車なのですが、この撮影のためにわざわざ特注したのでしょうか。お金のかかっていないアート・ワークのようで、隠れたところにちゃんとお金をかけている粋なお仕事ですね。


アルバムのタイトル曲 ≪ Easy Rout ≫
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2008/12/13 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Paolo Di Sabatino / Atelier of Melody

   ↑  2008/12/13 (土)  カテゴリー: piano
paolo di sabatino atelier of 1111

2004年に High Five Quintet の『 Jazz Desire 』が発売されるや否や、輸入盤店を中心に火がついたイタリアン・ジャズ・ブームですが、一過性のブームと思いきや然に非ず。4年経った現在でもしっかりとファンの心を掴み、ジャズ界における新潮流を形成するに至っていると言っても過言ではありません。最近ではジャズ雑誌で特集を組まれることも珍しくなく、伊ジャズメンが来日すればライブ会場はいつも満員で熱気に溢れています。そんな状況を見ていると、ジャズ界の中心軸は少しづつ米国から欧州に移動しているのでは、と思えて仕方ありません。

さて、イタリアの技巧派ピアニスト、Paolo Di Sabatino ( パオロ・ディ・サバティーノ 、1970 ~ ) の新譜が発売されました。すでに10枚以上のリーダー作を吹きこんでいるサバティーノですが、今回は何と Atelier Sawano からのリリースです。今までサバティーノを聴いてきたファンは、サバティーノと澤野工房の組み合わせに違和感を感じるかもしれません。彼はラテン気質全開の熱いプレイで聴き手を魅了するタイプでしたから、優雅な抒情性を重んじる澤野の理念にはそぐわないのでは、と思っていました。でもそこは流石に両者ともプロ中のプロです。情熱と抒情のミクスチャー感覚が絶妙の、素晴らしい作品に仕上がっています。伊ジャズ・ファンにも、澤野ファンにもアピールできるサウンドです。

全13曲で収録時間70分。平均5分程の短めの曲ですが、どれもアレンジ、構成が非常に凝っていて、ジャケットのアートワークのように色彩感豊かな楽曲が並ぶ密度の濃い作品です。全くダレることなく最後まで一気に聴かせる魅力があります。5曲が彼のオリジナルで、その他はスタンダードやジャズメン・オリジナルなどです。ベースは Marco Siniscalco 、ドラムは Glauco Di Sabatino という方ですが、両者とも僕は初聴です。でも二人ともなかなかのツワモノです。サバティーノの右手から綺羅星のごとく繰り出される音連射は、ヴィヴィッドに聴き手の心を揺さぶるでしょう。

最近の澤野工房にマンネリ感を抱き、食傷気味な方にも、きっと満足していただける秀作です(キッパリ)。個人的には2008年Atelier Sawano のベストです。(ちなみに2位はロバート・ラカトシュの『 You and The Night and The Music 』。3位はトヌー・ナイソーの『 For Now and Forever 』。)

paolo+di+sabatino_convert_20081213175857
Paolo Di Sabatino / Paolo Di Sabatino  2001 Around Jazz

手許にあるサバティーノのコレクションは、澤野の最新作を含め以下の計7作品。『 Foto Rubate 』、『 Introducing Paolo di Sabatino 』、『 Threeo 』、『 Italian Songs 』、『 Paolo di Sabatino 』、『 ARK Trio 』。

とりあえずこの7作品の中でベストを選ぶとすると、やはり幻本にも紹介されたセルフ・タイトルの『 Paolo di Sabatino 』でしょう。本作はHigh Five Quintetの一連の作品にも負けずとも劣らないハード・バップの傑作ではないかと。ステファノ・ディ・バティスタ、ヤヴィエル・ジロット、ダニエレ・スカナピエコと、伊国の超ツワモノ達が参加しています。この三者が一堂に会するわけではなく、基本的には1管フロントのカルテット編成です。

これを聴いていると、ルカ・マンヌッツァには申し訳ないけど、High Five Quintetにサバティーノが加入していれば、より完成度の高い究極のバンドになっていただろうにと、思うのですが.....。

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2008/12/13 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Chet Baker & Enrico Pieranunzi / Soft Journey

   ↑  2008/12/13 (土)  カテゴリー: piano
enrico & chet soft 003


エンリコ・ピエラヌンツィはその長いキャリアのわりには、日本で注目されたのが遅かったため、80年代の作品の中には既に廃盤となり、入手困難な作品も多々あります。その筆頭が幻の仏レーベルIDAに吹き込まれた諸作品です。

IDAには、ソロの 『 Parisian Portrait 』 (1990),マーク・ジョンソンとデュオで羽の生えたウサギ?のジャケが印象的な 『 The Dream Before Us 』 (1990),マーク・ジョンソン,ポール・モチアンとのトリオ 『 Untold Story 』 (1993)、そしてチェット・ベイカーを加えたクインテット作品 『 Soft Journey 』 ( 1980 ) の計4作品が残されていますが、全て廃盤のうえに、IDAそのものが短命だったため流通量も極端に少なく、たまにオークションに出品されても超高額で取引される商品でした。

そんなファン垂涎の作品をペルージャに本部を置くEGEA がここにきて復刻再発してくれているのは既にエンリコ・ファンならずとも周知していると思います。まず2006年7月に 『 Untold Story 』 が、ついで2008年5月に 『 Parisian Portrait 』 が再発されました。そしてこのたび EGEA Histrical Collection の pieranunzi series 第三弾として復刻されたのは、大方の予想に反して、チェット・ベイカーとの共演盤 『 Soft Journey 』 でした。

本作はフロントにチェット・ベイカーとマウリツィオ・ジャンマルコ( ts )、リズム隊にエンリコ、リカルド・デル・フラ、ロベルト・ガトーを配した最高のメンバーで臨んだ力作です。6曲中4曲がエンリコのオリジナルで、その陰影深いエンリコの楽曲が全体の雰囲気を支配しています。10分以上に及ぶエンリコとチェット・ベイカーのデュオ≪ My Funny Valentine ≫ では、翳りと孤独を内包したチェット・ベイカーのボーカルに心酔すること必至です。何故か古色蒼然とした香りが立ち込めてくるのは不思議です。レア盤というだけで中身を伴わない作品も多いなか、本作は非常に充実した内容だと思います。

惜しむらくは、前作同様、アートワークがオリジナルではなかったことです。本作は、もともと1979年に Edizione Pan からLPで発売されました。その時ジャケットがこれ↓。
enrico & chet soft journey original 001
そして、これを1995年に IDA がCDで復刻した際に使用されたジャケットがこれ↓。
enrico chet soft journey CD ori
本来なら復刻されただけで感謝しなければならないのですが、できたらアートワークもオリジナルに忠実に復刻してもらいたかったですね。権利の問題もあるのでしょうが、体裁に異常なくらい拘りを持つ日本と、そんなことに全く拘りのないイタリアとの文化の違いもあるのでしょうね。でも、このCDは6面デジパック仕様なのですが、観音開きの内ジャケに、オリジナルLPのジャケット写真が使用しれているのが、ちょっと嬉しいかも。

と云う訳で、残るはあと一枚。マーク・ジョンソンとのデュオ『 The Dream Before Us 』だけです。楽しみだ~。
enrico pieranunzi the dream
あと、チェット・ベイカーとエンリコ・ピエラヌンツィの共演盤で復刻が望まれる作品は2枚。Philology の『 The Heart of The Ballad 』と、Space Jazz trio 名義の『 Little Girl Blue 』 でしょうか。「CDである以上、いつかは再発される!」という言葉を信じて、気長に待つとしましょう。
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2008/12/13 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

# Chet Baker & Enrico Pieranunzi / Soft Journey

   ↑  2008/12/13 (土)  カテゴリー: piano
Chet Baker & Enrico Pieranunzi / Soft Journey

エンリコ・ピエラヌンツィはその長いキャリアのわりには、日本で注目されたのが遅かったため、80年代の作品の中には既に廃盤となり、入手困難な作品も多々あります。その筆頭が幻の仏レーベルIDAに吹き込まれた諸作品です。

IDAには、ソロの 『 Parisian Portrait 』 (1990),マーク・ジョンソンとデュオで羽の生えたウサギ?のジャケが印象的な 『 The Dream Before Us 』 (1990),マーク・ジョンソン,ポール・モチアンとのトリオ 『 Untold Story 』 (1993)、そしてチェット・ベイカーを加えたクインテット作品 『 Soft Journey 』 ( 1980 ) の計4作品が残されていますが、全て廃盤のうえに、IDAそのものが短命だったため流通量も極端に少なく、たまにオークションに出品されても超高額で取引される商品でした。

そんなファン垂涎の作品をペルージャに本部を置くEGEA がここにきて復刻再発してくれているのは既にエンリコ・ファンならずとも周知していると思います。まず2006年7月に 『 Untold Story 』 が、ついで2008年5月に 『 Parisian Portrait 』 が再発されました。そしてこのたび EGEA Histrical Collection の pieranunzi series 第三弾として復刻されたのは、大方の予想に反して、チェット・ベイカーとの共演盤 『 Soft Journey 』 でした。

本作はフロントにチェット・ベイカーとマウリツィオ・ジャンマルコ( ts )、リズム隊にエンリコ、リカルド・デル・フラ、ロベルト・ガトーを配した最高のメンバーで臨んだ力作です。6曲中4曲がエンリコのオリジナルで、その陰影深いエンリコの楽曲が全体の雰囲気を支配しています。10分以上に及ぶエンリコとチェット・ベイカーのデュオ≪ My Funny Valentine ≫ では、翳りと孤独を内包したチェット・ベイカーのボーカルに心酔すること必至です。何故か古色蒼然とした香りが立ち込めてくるのは不思議です。レア盤というだけで中身を伴わない作品も多いなか、本作は非常に充実した内容だと思います。

惜しむらくは、前作同様、アートワークがオリジナルではなかったことです。本作は、もともと1979年に Edizione Pan からLPで発売されました。その時ジャケットがこれ↓。


そして、これを1995年に IDA がCDで復刻した際に使用されたジャケットがこれ↓。


本来なら復刻されただけで感謝しなければならないのですが、できたらアートワークもオリジナルに忠実に復刻してもらいたかったですね。権利の問題もあるのでしょうが、体裁に異常なくらい拘りを持つ日本と、そんなことに全く拘りのないイタリアとの文化の違いもあるのでしょうね。でも、このCDは6面デジパック仕様なのですが、観音開きの内ジャケに、オリジナルLPのジャケット写真が使用しれているのが、ちょっと嬉しいかも。

と云う訳で、残るはあと一枚。マーク・ジョンソンとのデュオ『 The Dream Before Us 』だけです。楽しみだ~。




あと、チェット・ベイカーとエンリコ・ピエラヌンツィの共演盤で復刻が望まれる作品は2枚。Philology の『 The Heart of The Ballad 』と、Space Jazz trio 名義の『 Little Girl Blue 』 でしょうか。「CDである以上、いつかは再発される!」という言葉を信じて、気長に待つとしましょう。
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2008/12/13 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Jim Beard / Revolutions

   ↑  2008/12/13 (土)  カテゴリー: large ensemble
jim beard

何度も「素晴らしい」を連発していると、その価値は減少してしまうし、最後には嘘っぽく聞こえてくるので、1回だけにしておくが、ホント、このジム・ベアードの新作は素晴らしい。

ジム・ベアードの最新作 『 Revolutions 』 は彼の4作目のリーダー作にあたる。前作 『 Advocate 』 が99年作だから、実に9年ぶりの作品である。僕がジムを意識して聴きだした最初の作品は、新生CTIが90年から91年にかけて制作したクリード・テイラー名義の 『 Rythmstick 』 、ジム・ベアードが中心となって結成された Muisc on The Edge 名義の 『 Chroma 』 、そしてジム・ベアード自身による初リーダー作 『 Song of The Sun 』 の三部作だった。それぞれレーザーディスクでも発売され、 『 Rythmstick 』 はスタジオライブ映像、 『 Chroma 』 は来日時のライブ映像。そして 『 Song of The Sun 』 は、ジムの音楽によく分からないイメージ映像をかぶせた不思議な作品であった。このイメージ映像を昨晩、17年ぶりに観た。当時は全然面白くなくて映像を消して音だけ流していた記憶がある。そう、ジムの音楽は最高にかっこよかったから。時間が経てば感じ方も変わるかと思いもう一度観てみたが、やっぱりつまらなかった。蟻が51分間、これでもかというくらい大勢登場し、気色悪かった。しかも 《 夜中の蟻。方向を見失いクルクル回りだす。 》 なんていう、これまた人を馬鹿にしたような字幕が時々入る。この映像にジムは本当に満足していたのだろうか。疑問である。

それにしてもレーザーディスクの経年劣化は恐ろしい。20年も経たないのにノイズだらけで大画面では見られたもんじゃなかった。発売当時は《半永久的に劣化はしない》とは謳っていたのに。

閑話休題。そんなわけでジム・ベアードである。 『 Song of The Sun 』 で彼を知った僕は、その後、頻繁に彼の名前を超有名アーティストの作品で目にすることになった。ウェイン・ショーター、マイク・スターン、マイケル・ブレッカー、デニス・チェバースなどなど、彼らの作品にはしっかりジムのクレジットが刻まれていた。彼らが、“ここはジョー・ザビヌル風のシンセ・サウンドが欲しい”と思ったとき、さすがにザビヌルを呼び出すわけにもいかないから、それではということで、ジムに声をかける。そして、まさに職人的助っ人ミュージシャンとして次々とセッションをこなし、各方面から少しづつ信頼を獲得していったのだった。

ここで、彼の経歴を簡単に紹介しておこう。
ジム・ベアードは1960年、フィラデルフィア生まれた。両親の薦めで7歳からピアノを始め、クラシックを学ぶ一方であのジョージ・シアリングの個人レッスンも受け、さらにはクラリネット、サックス、ベースなどを習得していった。85年にはニューヨークに移住したが、1年もしないうちに、マハビシュヌ・オーケストラのツアー・メンバーに抜擢された。その頃、あのステップスのイリアーヌ・イリアスがバンドを脱退し、マイケル・ブレッカーらは彼女の後釜を探してオーディションを開いた。そこでジムもオーディションを受けたが、結果的にはキーボーディストではなくギターのマイク・スターンが加入してしまった。しかしそのことがきっかけでジムとマイケルとの交流がはじまり、のちにマイケルの作品にも参加することとなった。86年暮れからはウェイン・ショーターのツアーに参加。ショーターとの関係は2000年まで続いた。その間にもジョン・スコフィールドやパット・メセニーらのサポートを行うなど、常に超一流アーティストのブレインとして第一線で活躍してきた。

さて、今回の最新作は、オーケストラ作品である。しかも世界で唯一ストリングス・セクションを持つオランダのビッグバンド、メトロポール・オーケストラがバックをつとめたているので期待も膨らむ。で、メトロポールと言えば指揮者はヴィンス・メンドゥーサということで、三者そろい踏みの豪華絢爛な絵巻物語のはじまりである。   一聴して何だか初めて聴いた感じのしない、懐かしい気分になった。それもそのはずで、全10曲中4曲が91年の初リーダー作『 Song of The Sun 』からの楽曲であった。それ以外にも過去の作品からの再演が2曲含まれていた。数多く作曲を手がけているジムにしては、セルフ・カヴァーが多すぎる感じもしたが、おそらく、自分の愛着のあるオリジナルをオーケストラ・ヴァージョンで再演したらどうなるか、彼自身も興味があったのだろう。

曲はジムのオリジナルだが、メンドゥーサがアレンジするとその表情は一変する。知的で繊細なジムの楽曲にメンドゥーサのラテンの血が注ぎ込まれ、一気に燃え上がるのだ。メンドゥーサの奇抜な和声とエンターテインメント性が繰り成す独特のグルーブ感は麻薬的であり、聴けば聴くほど彼の虜になっていく。弦と管が複雑に絡み合い、幾重にも音が重なり合い、そして比類稀なるファンタスティックな音世界が構築される。思わず小躍りしたくなるような楽曲が目白押しだ。

ジムはサイドメンとして起用されるときは、シンセサイザーを扱うことがほとんどだが、自己のリーダー作では生ピアノをメインに弾いてきた。今回もほとんどがピアノを弾いている。もともと彼はピアニストであったから当然といえば当然のことだ。シンセを扱えるほうがギャラが高かったためにシンセを弾きはじめたが、皮肉なことにピアニスト・ジムよりも、キーボーディスト・ジムの方が評価されたのだ。

ジムの知的でクールなピアノも流石だが、盟友ボブ・マラックやビル・エバンスの熱きソロにも痺れる。また、メトロポール・オーケストラのメンバーであり、10月に来日する“ Jazz Orchestra of The Concertgebouw ”のメンバーでもあるトランペッター、Ruud Breuls ルード・ブルルスがなかなか爽やかなソロを聴かせてくれる。そしてドラマーはbrussels Jazz Orchenstraでの活動も並行して行っているマタイン・ヴィンクが7曲を担当。

アレンジはメンドゥーサが7曲担当し、残りはマット・ハリス、ゴードン・グッドウィン(Gordan と表記されているがGordonの間違いだろう)、そしてジム・ベアードがそれぞれ一曲づつ担当している。ゴードン・グッドウィン=Big Phat band という固定観念が僕にはあるので、ちょっと意外。

ビッグバンド物ですから、好き嫌いはあるでしょうが、僕はこの手のドラマティックで重厚なサウンドを偏愛しているので、当然5つ星。ちなみに本作は Super Audio とのハイブリッド仕様。我が家にはSACD プレーヤーがいまだないため、いい音では聴けませんが。

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2008/12/13 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Helge Lien Trio / Hello Troll

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: 未分類
Helge Lien Hello Troll

ノルウェー王国出身のピアニスト、ヘルゲ・リエンが放つ、前作 『 To The Little Radio 』 から 2年ぶりとなる、通算6枚目のアルバム。

正確にはヘルゲ・リエン単独名義ではなく、デビュー以来ずっと活動を共にしてきたベースのフローデ・バルグ、ドラムスのクヌーツ・オーレフィアールとの3人によるトリオ名義である。

彼らのWeb Site および Liner Notes によると、2007年5月に Bergen で開かれた Nattjazz Festival でHansa 賞を、また2008年7月に開かれたKongsberg Jazzfestival においはDnB NOR 賞という、ノルウェー国内の権威あるジャズ賞を立て続けに2つ受賞しており、ますます勢いに乗る彼ら。そんな付加価値もあり、聴く前から非常に楽しみな作品である。

彼らの旧作はノルウェーのインディペンデント・レーベル Curling Legs か、日本の Disk Union から発売されてきたが、今回は母国の Ozella Music という無名のレーベルから発売された。しかも、前作がスタンダード集であったのに対し本作は、打って変って全てオリジナルで勝負してきた。スタンダードが安易な選曲だとは思わないが、スタンダードにははじめからメロディーの持つ力、求心力が備わっているため、そこそこのアドリブでも聴き手を納得させるこどができるが、オリジナルはそうはいかない。相当の自信と覚悟ななければ全曲オリジナル集は作れない。そんなところから彼らの本作にかける意気込みの程が窺えるのではないか。

全9曲。3拍子と4拍子と5拍子が交錯する複雑な楽曲で幕を開ける。変拍子ではあるが、ヘルゲのアドリブはシンプル。静かな水面が微かに揺れるような静的ラインを刻んでいく。

2曲目は陰鬱なオスティナートが印象的なクラシカルな楽曲。クヌーツ・オーレフィアールのブラシュ・ワークは不気味なほど抑制されている。

3曲目はフリー・フォームのイントロを持った非常にゆっくりとしたテンポ(ルバート)の抽象的な楽曲。フローデ・バルグの完璧なテクニックに裏付けられたボウイングが美しい。

4曲目は速めのラテン・ビート。冒頭から静かな曲ばかりだったので良いアクセントになっている。が、クヌーツはまたしてもブラシュを持っているので盛り上がりに欠ける。

5曲目は再びクラシック・スタイルのピアノソロから始まる5拍子の曲。またもやクヌーツはブラシュ。とにかく、今回はクラシック、特にチェンバー風の楽曲が多い。3人とも元はクラシック教育を受けたエリートであるから、このあたりは流石に巧いが、どうも以前のような過激性、前衛性に欠けている。

結局、7曲目のタイトル曲 ≪ Hallo Troll ≫ だけが彼ら本来の刺激臭が漂う楽曲だった。まあ、2001年のデビューから8年もたつのだから、スタイルが変化していくのも仕方ないのだが、どちらかと言えば2005年の『 Live 』以前の作風の方が僕は好きだ。

でも、まあ、危険な鋭さみたいなものは随所に感じられ、そのあたりはプラグドとアンプラグドの違いこそあれ、E.S.T. 通じるものがあると思う。エスビョルン・スヴェンソン亡きあと、同じスカンジナビアンとして、彼の遺志を継ぐものはヘルゲしかいない。 次作に期待する。
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2008/12/12 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

田中啓文 / 落下する緑

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: book
落下する緑

ジャズ入門書や指南書の類は、巷に佃煮にして売れるほど沢山存在ますが、ジャズを題材にした小説となるとぐっと少なくなります。ましてやミステリ小説となると皆無ですね。僕の知る限りでは、ジャズ関連のミステリ小説を書く作家は田中啓文しかいません。

自身もテナー・サックスを吹く現役のジャズ・プレーヤーであり、関西で活動をしている“ ザ・ユナイテッド・ジャズ・オーケストラ ”のバンドマスターでも田中啓文は、93年に本書にも収録されている表題作 『 落下する緑 』 で 「 鮎川哲也の本格推理 」 に入選し作家デビューを果たした作家です。

彼の著書の中で、この永見緋太郎の事件簿シリーズだけがジャズがらみのミステリです。本書  『 落下する緑 』  ( 東京創元社 ) が発売されたのは2005年で、今年になり文庫版が発売になっています。上にアップした表紙は文庫本のものです。実は8月に永見緋太郎シリーズの第二弾 『 辛い飴 永見緋太郎の事件簿 』 ( 東京創元社 )が発売になっています。こちらもただいま熱読中ですが、滅多にお目にかかれないジャズ・ミステリですので、ゆっくり味わいながら読んでいます。

さて、このジャズ連作ミステリ小説 『 落下する緑 』 には7編の短編が収録されています。ほとんどが東京創元社が発行しているミステリ専門誌『 ミステリーズ 』に連載されていた短編です。 ジャズしか頭にない世間知らずのフリー系の若きテナーサックス奏者、永見緋太郎が、身近に起きた事件、謎をその鋭い推理力で次々と解決していくミステリです。隋書に散りばめられたジャズ用語は、ややもすると、ジャズの知識のない読者には抵抗感があるかもしれませんが、逆にジャズ好きにはたまらないスパイスとなり、臨場感、リアリティー感を増幅させてくれます。

傲岸不遜な名ベーシストの所有する高価なベースが何者かに壊されてしまう話や、レコード会社の担当者を鼻で使う横行跋扈なジャズ評論家への復讐ミステリ、などなど、これは絶対モデルとなる人物がいるなぁ~、きっと( ̄∇ ̄; とニンマリしながら読める面白い話ばかりです。 あまり読むのが速くない僕でさえ、面白さのあまり一晩で読み終えてしまったほどです。

それそれの短編の終わりには、ストーリーに関連したCD, LPが3枚づつ紹介されており、ジャズ・ファンには嬉しいオマケとなっています。まずは文庫化されて読みやすくなった本書を手にいれ、気に入ったら新作の単行本『 辛い飴 永見緋太郎の事件簿 』を買われてはいかがでしょうか。
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2008/12/12 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Roy Hargrove Big Band @ Blue Note Tokyo

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: 未分類
Roy Hargrove @ Blue Note 2008
9月18日木曜日、Blue Note Tokyo にロイ・ハーグローブのビッグバンドを聴きに行った。5年ほど前にRH Factor で来日した時は観られたが、昨年の今頃、Quintet で来日した際は仕事の都合で観に行けず、悔しい思いをした。だから今回は大好きなビッグバンドを引き連れてくるということもあり、絶対にハズす訳にはいかないと思っていた。しかも今回は驚異のイタリア人歌手、Roberta Gambarini ロバータ・ガンバリーニもゲスト出演するということで、なんとも贅沢なステージである。これだけギャラ高のメンバーのステージなのにチャージが8.400円とは有り難い。しかも僕は Blue Note のメンバーになっているので、10% off の 7.540 円 で観られる。さらに先日行われた東京JAZZ のチケットの半券を提示すると2.000円分のギフトカードが頂けるキャンペーンがあったので、実質 5.500年ほどでニューヨークの一流ビッグバンドが観られるわけであるから、かなりお得なライブである。

はじめ、ロイがビッグバンドを立ち上げるのは今回が初めてかと思ったが、調べてみたら2006年にリハーサルバンドを組んで、 NYC の Jazz Gallery を拠点に活動していた時期があるようだ。そして、そのライブは All About Jazz の2006年度 Performance of The Year に選ばれている。当時のメンバーの半数ほどが今回も参加しているようだ。

ところで、ロイとロバータ・ガンバリーニの共演とはちょっと意外だが、どういう経緯で二人は共演に至ったのだろうか。長年ロイのマネージャー兼プロデューサーをしてきた Larry Clothier ラリー・クロージェは、ロバータ・ガンバリーニの作品のプロデュースも手掛けていたので、彼がこの二人を引き合わせたのかもしれない。そういえば、ロバータのデビュー作にはロイのバンドのピアニスト、ジェラルド・クレイトンも参加していたっけ。


僕が観たのは 7時からの 1st set 。客席はほぼ満員。まずはビッグバンドのメンバーがステージに登場してくる。CDでしか聴いたことのない憧れのミュージシャンがこんな間近に座っている。それだけで早くも軽い興奮状態になる。リード・トランペットのフランク・グリーンは想像していたより大柄だ。 Bob Mintzer Big Band や Gerald Wilson Big Band 、それから Village Vanguard Big Band などなど、様々なビッグバンドにハイノートヒッターとして参加してきたビッグバンド界の重要人物だ。意外に日本での知名度は低い。4th トランペットの席には大好きなダレン・バレットが座っている。髪を伸ばしてかなりイメージが変わっていた。リード・サックスは、個人的にはかなり注目しているジャスティン・ロビンソンだ。ピアノも天才肌の新人、ジェラルド・クレイトン。長いドレッドヘアーを馬の尻尾みたく後ろで束ねている。まだまだ少年ぽさの残る若者だ。お、バリトンのジェイソン・マーシャルと目が合ってしまった。コワッ!

タイトル不明のおそらくロイのオリジナルで幕を開ける。(結局最後までMCがなかったので演奏曲目は全てアナウンスなし。) テーマが終わるといきなりジャスティン・ロビンソンの長尺なソロ・パートが用意されていた。通常、ビッグバンドにおいては、ソロのコーラス数はあらかじめ決められているものだが、このバンドは決まっていないのだろうか? ジャスティンのソロは永遠と続く。熱く激しいソロ。やっぱりこの人は巧い。2曲目はスタンダード ≪ September in The Rain ≫。台風13号によるドシャ降りの東京に合わせて選曲したのだろうか。ロイはヴォーカルまで披露。決して巧くはないが妙に味がある。2曲目が終わり、ここでロバータが登場。まずはしっとりと≪ Everytime We Say Good Bye ≫ を歌う。同然、ロイもフリューゲルに持ち替えて情感豊かに歌い上げる。それにしてもロバータはめちゃくちゃ巧い。ほんとにイタリア人かと疑うほど英語も巧い。何となくカーメン・マクレイを彷彿とさせる。玉石混淆の女性ボーカル界にあって、彼女は間違いなく本物だ。4曲目は一転、ラテン・アメリカ系の哀愁漂うナンバーをスペイン語で歌い上げる。どうも ≪ La Puerta ≫ という曲らしい。一度聴いたら覚えてしまいそうな美しいメロディーをもった曲だが、ネットで調べたところメキシコの “ ロス・トレス・アセス ” というボレロ系のギター・トリオが歌っていた曲らしい。ロバータは2曲を歌ったところでステージを降りた。続いての演奏曲は95年のロイの作品『 Family 』に収録されていた3部構成の組曲 ≪ Triology ≫ 。8ビートで盛り上がるこのファンキーな曲に乗せてギターのソール・ルービンのソロがフューチャーされる。これがなかなかカッコいい。ジョージ・ベンソン系のフュージョン・ギターだ。

ギター~トロンボーン~トランペットとソロが続くが、そのソロを煽り、盛り上げるバックリフがこれまたカッコいい。決して構成やアンサンブルが複雑ではないのだが、観客を楽しませるツボを押さえているから否応なしに体が揺れる。組曲の最後には再びロバータがステージに登場し、ロイとスキャット合戦で盛り上がる。続く8曲目はミディアム・テンポのファンキーな4 ビート物(タイトル不明)。

3rd トランペットのターニャ・ダービィがビッグバンドらしい爽快なソロを聴かせてくれる。髪が短く小太りなのでちょっとわかりづらいがターニャは“ 女性”だ。最後は、高速ラテンにアレンジされたロイの名曲 ≪ Public Eye ≫ 。怒涛のテュッティ! 煽るバックリフ! ここでフランク・グリーンの脳天を突き抜けるハイノート・フレーズも炸裂する。ここでいったん演奏は終了し、ロイはステージを降りるが、当然、万雷の拍手は鳴りやまず、アンコールに応えるため再登場。曲はこれまた unknown 。どこかで聴いたことのあるスタンダードのような気もするが、思いだせない。

結局、アンコールを含め10曲を演奏。演奏時間はなんと1時間30分にも及んだ。Blue Note のステージでこれだけ長いセットは初めての経験かもしれない。ロイのトランペット・ソロはあまり聴くことができなかったが、あくまでビッグバンドが主役なのでその点は仕方ない。でも、ロイは、沢山歌い、バンドを指揮し、時々踊り、終始観客を楽しませることを忘れなかった。こんな楽しいライブは何年ぶりだろう。嬉しさのあまりビールを4杯も注文してしまった。鳥肌が立ち、そして目頭が熱くなった。
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2008/12/12 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Roger Cicero / Mannersachen

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: vocal
roger cicero mannersachen
このブログを通じて知り合ったドイツ在住のLaie さんから、Roger Cicero ロジェ・チチェロ という男性ジャズ・ヴォーカリストのことを教えていただきました。しかも、教えていただいたばかりではなく、遥々ドイツから日本では手に入らないCDまで送っていただきました。ほんと、感謝の念に堪えません。ありがとうございました。

ロジェ氏はドイツでは有名な歌手であるようですが、日本では全く知られていません。近年の欧州ジャズ・ブームの中にあってもドイツは北欧やフランス、イタリアに比べると人気が薄く、さらに男性ヴォーカルですから分が悪いのも当然。日本に紹介する輸入盤バイヤーの目に留まらないのも無理はありません。

さて、Cicero と聞いてピンときた人はいませんか。そう、彼は Eugen Cicero オイゲン・キケロ のご子息なのです。クラシックとジャズの融合に取り組んだ父親オイゲンと、ポップなジャズ・ヴォーカリストとして人気を博す息子ロジェ。同じジャズを生業としても親子で目指す音楽的意匠は全く異にしているのが面白いですね。

簡単に彼の経歴を紹介しておきます。( wikipedia より )

ロジェは1970年、ベルリン生まれ。10代からテレビなどに出演するなど、プロとしての音楽活動を開始。1991年から96年までアムステルダム音楽学院で音楽教育を受け、卒業後は Jazzkantine や Soulounge といったグループのゲスト・ヴォーカルを務め、モントルー・ジャズ・フェスティバルにも出演した。一方で2003年には自己のカルテットを結成した。2006年、女性ピアニスト、Julia Hulsmann ジュリア・ヒュルスマンの『 Good Morning Midnight 』 への参加を経て、初リーダー作である本作 『 Mannersachen 』 を同年リリース。さらに2007年にヘルシンキで開催された欧州放送連合加盟の国々が参加して繰り広げられる各国対抗歌合戦である Eurovision Song Contest ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト にドイツ代表として参加している。しかし結果は42カ国中19位と、残念な結果に終わる。ところが、さすがに10億人が観るといわれるユーロヴィジョンだけあって、その出場を契機にロジェの知名度はアップし、国内での人気を不動のもにしていったようだ。第二弾『 Beziehungsweise 』 が昨年発売されている。

40年代、50年代のスイング・ジャズの流れを汲みながらも、ラテンやロックのテイストを織り込んだポップなスタイルと言えるでしょう。本来、ヴォーカルの良し悪しは、その発音の良し悪しも含めて評価しなければいけませんが、なにしろドイツ語ですのでそのあたりは無視するとしても、声質は非常に聴きやすく、高音のしなやかな伸びや中音域の豊さは実に心地よい印象を受けます。ドイツ語というと語感が硬く、あまり歌ものとの相性が良くないような先入観がありますが、彼の口から発せられる歌声はとっても柔らかく、肌ざわりが良いので全く問題ありません。楽曲のほとんどを Matthias Hass ( music ) / Frank Romond ( text ) のコンビが提供しています。どの楽曲も魅力的です。

バックを務めるのは11人編成のビッグバンドで、メンバーの中には NDR Big Band のメンバーとしても活躍したトランペッターのDirk Lentschat やアルト・サックスのUlli Orth などもいますが、全体の印象としては、可もなく不可もなくといったところでしょう。

とっくに昔に絶滅したと思われていた “ 男性ジャズ・ヴォーカル ”という種族ですが、最近になり、Matt DuskMichael buble などの登場により、やや息を吹き返してきた感があります。 「 Michael bubleなどジャズじゃないよ~」 という罵声が飛んできそうですが、この際、彼らがジャズ・ヴォーカルか否かなどの議論は脇に置いておきましょう。そもそも、男性で純粋にジャズ・ヴォーカリストとして生涯歌い続けることを許されたアーティストは、フランク・シナトラぐらいのもんでしょう。当時のその他大勢のジャズ歌手、たとえばスティーヴ・ローレンスにしろ、ペリー・コモにしろ、結局はジャズを捨てざるを得なかったわけだし。

ということで、もし興味を持たれた方はYou Tube で彼の映像を探してみてください。お勧めはファースト・アルバム『 Mannersachen 』 に収められていた ≪ Wenn Sie Dich Fragt ≫ あたりでしょうか。人気を裏付けるかのように、素人のモノマネやライブの隠し撮りなどもアップされていて、観ていて飽きません。

2007年のユーロヴィジョンに出演した時の映像です。
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2008/12/12 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

E.S.T. / Leucocyte

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: piano
EST Leucocyte

エスビョルン・スヴェンソンの悲劇的な死から3か月を経て、生前にオーストラリアで吹き込んでいた音源が発売された。結果的には遺作となってしまった本作は、当初発売は10月に予定されていたが、エスビョルンの死を受けて、急遽、前倒しで8月末に発売されたのだ。すでに巷の大型量販店などでは美辞麗句を並べて賞賛している。なかには「遺作にして最高傑作」と紹介している店もある。果たして、その言葉通りの内容だろうか。

音楽ビジネス界に色目を使わず、ジャズの価値体系から距離を置いたところで、独自の自己探求をひたすら推し進めてきた彼らの意志は、確かに本作の中にも汲み取ることができる。が、しかし、E.S.T. のファンの方々からの反論は承知で言わせてもらうと、どうも心に迫るものが感じられないのだ。作曲・編曲のクオリティーも、今までの彼らの水準からすると落ちていると言わざるを得ない。決して手を抜いた作品ではないのだが、何か新しい方向性を模索しているかのような、いわば習作デッサン集的作品なのだ。あるいは、過渡期的作品と言い換えてもよいかもしれない。次に待ち受けているであろう未知なる音楽の予感は感じられるが、まだ具現化できない曖昧な輪郭がこの作品には詰め込まれている。

収録されている曲は全部で7曲。そのうち、M-2≪ Premonition ≫ は2部構成で、M-7 ≪ Leucocyte≫ は4部構成となっている。展開のないコード上で繰り返される単調な旋律。その旋律を解体、再構築しながら新しい音楽を模索しているような楽曲が並ぶ。攻撃的な面と内省的な面が交互に表出しながら物語は進行する。そう、強烈なヴィジュアル・イメージを次々と想起させる力を持った楽曲ではあるのだ。また、冷徹でアヴァンギャルドな作風は、今まで以上に顕著だ。深海まで届きそうな深いエコーがかかったエスビョルン・スヴェンソンのピアノ。ありったけのエフェクター・フッド・ペダルを踏み込んだようなノイジーでスペイシーなベース音を発するダン・ベルグルンド。

徹頭徹尾、E.S.T. の世界に染め上げられた作品なのだが、やっぱり、本作は問題作であっても、決して傑作ではない。悲しいことに

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Aaron Parks / Invisible cinema

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: piano
aaron parks invisible cinema

保守派と革新派が入り乱れる混沌とした現代NYジャズ・シーンにおいて、革新本流を貫く、今最も有望視されているピアニスト、アーロン・パークスのBlue Note デビュー盤。現在までに Keynote Records というレーベルから4枚のソロ名義のアルバムを出してきたが、テレンス・ブランチャードのバンドでの活躍が認められ、今回、晴れてメジャー・デビューを果たすことになった。

83年生まれのアーロンは、10代の早い時期からケニー・バロンの薫陶を受け、弱冠16歳でデビュー盤『 The Promise 』(1999)を録音した。そこには折り目正しい正統派ピアニストとしてのアーロンの姿が刻まれていた。しかし、作品を追うごとにそのスタイルはより現代的なものへと変貌していき、2002年に吹き込まれた『 Shadows 』は、自身のオリジナル曲を中心とした都会的で洗練された作品として高い評価を得た。ちょうどその頃にテレンス・ブランチャードの目にとまり、彼のバンドに参加。5年間在籍し、3枚のアルバムにその名を刻んだ。

その一方で、 フランク・ネメスアンブローズ・アーキンムシーレイマット・ペンマンマイク・モレノ、ケンドリック・スコット、クリスチャン・スコットなど、NY の最前線で活躍する若手ミュージシャンンらと競演する中で、独自の世界観を築いていった。

本作のメンバーには、ベースにマット・ペンマン、ドラムにエリック・ハーランド、そしてギターのマイク・モレノと、盟友をそろえた。収録されてている曲は全10曲で、すべてアーロンのオリジナル曲だ。

幾分内省的で、ダークで陰鬱な楽曲が大半を占める。ブラッド・メルドーやE.S.T. 的な手法も散見される。しかし、そのような先人達のスタイルを完全に咀嚼、消化し、独自の明確なオリジナリティーを提示することに成功しているあたりに、相当の手腕を感じる。決して楽しい音ではないが、脳内に確かな余韻を残す稀有な音世界だ。

また、4人のメンバー間の結束力の強さもその音から明確に伝わってくる。特にマイク・モレノの音楽的意匠は、完全にアーロンの意匠と同一ベクトル線上にあると言ってよいだろう。こういった音楽はそれだけで聴いていて非常に心地よいものだ。

ただ、若干残念なことは、エリック・ハーランドの奏法が、いつもよりも軽く、デジタル感が漂っていることだ。スネアのチューニングがハイピッチなのか。ミキシングのせいなのか。なんだかとっても落ち着かない音なのだ。最近のNY録音の作品には有りがちだが、個人的にはあまり好きではない。

ということで、普段、欧州産ジャズを好んで聴いている方には、ややトッツキにくい面をもった作品かもしれないが、NYジャズの現状を知る意味でも、一聴の価値はある作品だと思う。きっとアーロンの醸し出す不思議な磁場を体感できるであろう

Aaron Parks / Invisible cinema 2008 Blue Note ( Music from EMI )
Aaron Parks  ( p, mellotron, key )
Mike Moreno  ( g )
Matt Penman  ( b )
Eric Harland  ( ds )

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Andre Ceccarelli / Live Sunside Session

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: 未分類
andre ceccarelli live sunside

フランス・ジャズ界の重鎮アンドレ・チェカレリの最新作が、フランスの新興レーベル、Cristal Recordsから発売された。

昨年発売された前作 『 Golden Land 』 は、エンリコ・ピエラヌンツィやデヴィッド・エルマレクを擁した優雅で気品に満ち溢れた傑作であった。今回は、アントニオ・ファラオ、シルヴァン・ブフ、トーマス・ブラメリを迎えてのライブ盤で、しかも二枚組だ。

ライブ会場となったのは、パリの Sunside というライブ・ハウス。この Sunside のあるロンバール通りには他にも Baiser sale (ベゼ・サレ)や Duc des Lombards (デュック・デ・ロンバール)など、ジャズを聴かせるクラブが点在している。例えるならば“ パリのニューヨーク52番通り ” みたいなものだ。

この Sunside  はビルの1階にあるのだが、実は地下にも Sunset  というライブ・ハウスがある。もともとは83年にまず地下の Sunset  がオープンし繁盛したため、レストランであった1階部分をライブ・ハウスに改装して2001年にオープンしたのが Sunside  である。 Sunset  は主にエレクトリック・ジャズやワールド・ミュージックのライブを、 Sunside  はアコースティック・ジャズのライブを行っているようだ。

本作は2枚組でトータル92分とやや短めの録音時間。収録されている曲は、Disc 1 に 5曲、Disc 2 に 5 曲の計 10 曲。最初と最後に ≪ Giant Steps ≫ のバージョン違いを持ってきている点が面白い。どちらも甲乙つけ難い名演である。そのほかにはショーターの ≪ Juju ≫ や、マイルスの ≪ Seven Steps to Heaven ≫ などもやっている。残りはメンバーのオリジナルである。

やはり小さなハコで繰り広げられる一流ミュージシャンのライブは凄まじい迫力があり、圧倒される。決して Hi-Fi な録音ではないが、それがかえって臨場感を高める。最後列からチェカ爺が強烈に煽る。ファラオもそれに加担する。でもって、ブフが否応なしに熱くなり、沸点超えの強烈ブローを繰り広げる。どんどんとテンションの上がっていく様は圧巻だ。今、フランスで最も勢いのある若手テナーはブフとエルマレクだろう。そんな確信を与えてくれる演奏だ。

それにしても、チェカ爺は1945年生まれだから、今年で63歳になるはずだが、いったいこのエネルギーはどこから来るのだろう。老境に入っても若手ミュージシャン相手に一歩も譲らず、むしろ余裕綽綽で彼らを後方から激しく煽るのだから大したものだ。音圧の衰えなど微塵も感じられない
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Jazz Orchestra of The Concertgebouw featuring Jesse Van Ruller / Silk Rush

   ↑  2008/12/12 (金)  カテゴリー: large ensemble
JOC JEsse van

欧州のビッグバンド界隈は今や百花繚乱の様相を呈している。長い歴史を誇るドイツの WDR Big Band (西ドイツ放送協会ビッグバンド)やNDR Big Band (北ドイツ放送協会ビッグバンド)、デンマークの Danish Radio Big Band (デンマーク放送ビッグバンド)から、90年代に産声を上げた Brussels Jazz Orchestra ( 以下 BJO )や Paris Jazz Big Band ( 以下 PJBB ) などの新興勢力まで、現在のヨーロッパ大陸は、まさに戦国時代さながらの群雄割拠の勢力争いが繰り広げられている(ちょっと大げさか)。

今日聴いているオランダのビッグバンド、Jazz Orchestra of The Concertgebouw ( 以下JOC )も BJO やPJBB 同様、96年に創立された歴史の浅い集団だ。日本に紹介されたのは今年6月に発売された彼らの5作目の作品『 Riffs’n Rhythms 』(前項あり)が初めてである。そのため最近までほとんど日本では知られていなかったビッグバンドと言ってよい。しかしスローペースながら現在までに計6作品を制作し、着実に知名度をアップさせてきた。

オランダにはストリングス・セクションを有する世界でただ一つのビッグバンド、メトロポール・オーケストラや、比較的コンベンショナルなスタイルで安定したサウンドを奏でる83年設立のDutch Jazz Orchestra などが既に存在しているが、この JOC は地元出身の若き精鋭を中心に結成された新しいビッグバンド・サウンドを模索する集団という点で他との差別化を図っている。

優れたビッグバンドには必ず優れたアレンジャーが存在するものだが、本バンドにはヘンク・モトーヘルトという刺激的でカッコいいアレンジを提供するブレインがいる。彼はバンドの創立者の一人でもあり、指揮や作曲も手がけている。そして JOC の最大のウリは、なんといってもギターのジェシ・ヴァン・ルーラーが参加していることだろう。さらにはピアノは Criss Crossに素晴らし作品をいくつも残しているピーター・ビーツ ( 前任はなんとミケル・ボルストラップ! )。ドラムには BJO や メトロポール にも名を連ねるテクニシャン、マタイン・ヴィンクが籍を置いている。

このように本来なら地味な役割を演じるはずのリズム隊が一番目立っている珍しいビッグバンドだが、無名といえどホーン陣営のレベルも相当高い。テナー&クラリネットのJan Menu ヤン・メユーやトランペットのRuud Breuls ルード・ブルルスなど、オランダ・ジャズの新人賞であるWessel Ilacken Prijs ( Prize ) ヴィッセル・イルケン賞を受賞した精鋭達が終結しているのだ。ルード・ブルルスはMetropole Orchestraや Dutch Jazz Orchestra でも活躍している中堅プレーヤーで、先日発売されたジム・ベアードの『 Revolutions 』(前項あり)でも胸のすく爽快なソロを聴かせていたのが記憶に新しい。

さて、今回の最新作だが、JOCきってのスーパー・スター、ジェシを主役に配した思い切った作品だ。演奏曲もすべてジェシのオリジナル。いわば“ ジェシ・ヴァン・ルーラー・ソングブック集 ”である。デビュー当時はその馬鹿テクぶりに誰もが腰を抜かしたものだが、4ビート一辺倒な単調さとソング・ライティング能力の未熟さを感じずにはいられなかったが、ここでのアレンジを施された彼のオリジナル曲は、そんな過去の先入観を払拭させてくれるのに十分魅力的だ。ディレイもディストーションも通さないクリアなジェシのギター音が、分厚いホーンの音圧にどう対抗できるのかが聴きどころだが、理想的なバランスで両者がブレンドされ、音響的にも非常に心地よい仕上がりをみせている。これがライブ収録とは俄かに信じられない。

それにしてもギターをフューチャーしたビッグバンド作品って、今まであっただろうか。すぐに頭に思い浮かぶのは、Ryan Ferrira ライアン・フェレイラというフランク・ギャンバレ系のギタリストをフューチャーした HR Big Band の『 Three Decades of Steely Dan 』と、スティーブ・ヴァイが Metropole Orchestra と競演した『 Sound Theories I & II 』( YouTube 動画はこちら )ぐらいだ。

ということで、なんと、10月に JOC が初来日し、Blue Note Tokyo で一夜限りのライブを行うのだ。これは、絶対はずせない。仕事をズル休みしても観にいこうと思っている。

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2008/12/12 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

C.Baker & E.Pieranunzi / Soft Journey

   ↑  2008/12/07 (日)  カテゴリー: 未分類

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Chet Baker & Enrico Pieranunzi / Soft Journey

エンリコ・ピエラヌンツィはその長いキャリアのわりには、日本で注目されたのが遅かったため、80年代の作品の中には既に廃盤となり、入手困難な作品も多々あります。その筆頭が幻の仏レーベルIDAに吹き込まれた諸作品です。

IDAには、ソロの 『 Parisian Portrait 』 (1990),マーク・ジョンソンとデュオで羽の生えたウサギ?のジャケが印象的な 『 The Dream Before Us 』 (1990),マーク・ジョンソン,ポール・モチアンとのトリオ 『 Untold Story 』 (1993)、そしてチェット・ベイカーを加えたクインテット作品 『 Soft Journey 』 ( 1980 ) の計4作品が残されていますが、全て廃盤のうえに、IDAそのものが短命だったため流通量も極端に少なく、たまにオークションに出品されても超高額で取引される商品でした。

そんなファン垂涎の作品をペルージャに本部を置くEGEA がここにきて復刻再発してくれているのは既にエンリコ・ファンならずとも周知していると思います。まず2006年7月に 『 Untold Story 』 が、ついで2008年5月に 『 Parisian Portrait 』 が再発されました。そしてこのたび EGEA Histrical Collection の pieranunzi series 第三弾として復刻されたのは、大方の予想に反して、チェット・ベイカーとの共演盤 『 Soft Journey 』 でした。

本作はフロントにチェット・ベイカーとマウリツィオ・ジャンマルコ( ts )、リズム隊にエンリコ、リカルド・デル・フラ、ロベルト・ガトーを配した最高のメンバーで臨んだ力作です。6曲中4曲がエンリコのオリジナルで、その陰影深いエンリコの楽曲が全体の雰囲気を支配しています。10分以上に及ぶエンリコとチェット・ベイカーのデュオ≪ My Funny Valentine ≫ では、翳りと孤独を内包したチェット・ベイカーのボーカルに心酔すること必至です。何故か古色蒼然とした香りが立ち込めてくるのは不思議です。レア盤というだけで中身を伴わない作品も多いなか、本作は非常に充実した内容だと思います。

惜しむらくは、前作同様、アートワークがオリジナルではなかったことです。本作は、もともと1979年に Edizione Pan からLPで発売されました。その時ジャケットがこれ↓。


そして、これを1995年に IDA がCDで復刻した際に使用されたジャケットがこれ↓。


本来なら復刻されただけで感謝しなければならないのですが、できたらアートワークもオリジナルに忠実に復刻してもらいたかったですね。権利の問題もあるのでしょうが、体裁に異常なくらい拘りを持つ日本と、そんなことに全く拘りのないイタリアとの文化の違いもあるのでしょうね。でも、このCDは6面デジパック仕様なのですが、観音開きの内ジャケに、オリジナルLPのジャケット写真が使用しれているのが、ちょっと嬉しいかも。

と云う訳で、残るはあと一枚。マーク・ジョンソンとのデュオ『 The Dream Before Us 』だけです。楽しみだ~。




あと、チェット・ベイカーとエンリコ・ピエラヌンツィの共演盤で復刻が望まれる作品は2枚。Philology の『 The Heart of The Ballad 』と、Space Jazz trio 名義の『 Little Girl Blue 』 でしょうか。「CDである以上、いつかは再発される!」という言葉を信じて、気長に待つとしましょう。
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2008/12/07 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Paolo Di Sabatino / Atelier of Melody

   ↑  2008/12/04 (木)  カテゴリー: 未分類

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2004年に High Five Quintet の『 Jazz Desire 』が発売されるや否や、輸入盤店を中心に火がついたイタリアン・ジャズ・ブームですが、一過性のブームと思いきや然に非ず。4年経った現在でもしっかりとファンの心を掴み、ジャズ界における新潮流を形成するに至っていると言っても過言ではありません。最近ではジャズ雑誌で特集を組まれることも珍しくなく、伊ジャズメンが来日すればライブ会場はいつも満員で熱気に溢れています。そんな状況を見ていると、ジャズ界の中心軸は少しづつ米国から欧州に移動しているのでは、と思えて仕方ありません。

さて、イタリアの技巧派ピアニスト、Paolo Di Sabatino ( パオロ・ディ・サバティーノ 、1970 ~ ) の新譜が発売されました。すでに10枚以上のリーダー作を吹きこんでいるサバティーノですが、今回は何と Atelier Sawano からのリリースです。今までサバティーノを聴いてきたファンは、サバティーノと澤野工房の組み合わせに違和感を感じるかもしれません。彼はラテン気質全開の熱いプレイで聴き手を魅了するタイプでしたから、優雅な抒情性を重んじる澤野の理念にはそぐわないのでは、と思っていました。でもそこは流石に両者ともプロ中のプロです。情熱と抒情のミクスチャー感覚が絶妙の、素晴らしい作品に仕上がっています。伊ジャズ・ファンにも、澤野ファンにもアピールできるサウンドです。

全13曲で収録時間70分。平均5分程の短めの曲ですが、どれもアレンジ、構成が非常に凝っていて、ジャケットのアートワークのように色彩感豊かな楽曲が並ぶ密度の濃い作品です。全くダレることなく最後まで一気に聴かせる魅力があります。5曲が彼のオリジナルで、その他はスタンダードやジャズメン・オリジナルなどです。ベースは Marco Siniscalco 、ドラムは Glauco Di Sabatino という方ですが、両者とも僕は初聴です。でも二人ともなかなかのツワモノです。サバティーノの右手から綺羅星のごとく繰り出される音連射は、ヴィヴィッドに聴き手の心を揺さぶるでしょう。

最近の澤野工房にマンネリ感を抱き、食傷気味な方にも、きっと満足していただける秀作です(キッパリ)。個人的には2008年Atelier Sawano のベストです。(ちなみに2位はロバート・ラカトシュの『 You and The Night and The Music 』。3位はトヌー・ナイソーの『 For Now and Forever 』。)

Paolo Di Sabatino / Atelier of Melody   2008 Atelier Sawano AS081
Paolo Di Sabatino (p)
Marco Siniscalco (b)
Glauco Di Sabatino (ds)


Paolo Di Sabatino / Paolo Di Sabatino  2001 Around Jazz

手許にあるサバティーノのコレクションは、澤野の最新作を含め以下の計7作品。『 Foto Rubate 』、『 Introducing Paolo di Sabatino 』、『 Threeo 』、『 Italian Songs 』、『 Paolo di Sabatino 』、『 ARK Trio 』。

とりあえずこの7作品の中でベストを選ぶとすると、やはり幻本にも紹介されたセルフ・タイトルの『 Paolo di Sabatino 』でしょう。本作はHigh Five Quintetの一連の作品にも負けずとも劣らないハード・バップの傑作ではないかと。ステファノ・ディ・バティスタ、ヤヴィエル・ジロット、ダニエレ・スカナピエコと、伊国の超ツワモノ達が参加しています。この三者が一堂に会するわけではなく、基本的には1管フロントのカルテット編成です。

これを聴いていると、ルカ・マンヌッツァには申し訳ないけど、High Five Quintetにサバティーノが加入していれば、より完成度の高い究極のバンドになっていただろうにと、思うのですが.....。

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2008/12/04 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Walter Bishop Jr. / Speak Low HQ-CD仕様 ( 2 )

   ↑  2008/12/02 (火)  カテゴリー: 未分類

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さて、今まで所有していたCDは1998年ころに発売された国内盤(現在廃盤)です。ジミー・ギャリソンのベースが全面にせり出し、ちょっと引いたところでピアノとドラムが鳴っているようなバランスです。とにかく、極太コリゴリベース音が耳につきます。3弦4弦の開放弦の音など地響きするほどの凄い箱鳴りがします。まあ、そこがいかにもジャズ臭くて心地よいのですが。まさにジャズ喫茶で映える音作りです。

では今回のHQCD盤はどうかというと、まず一聴して気づくのが各楽器のバランスの変化です。ベースが一歩引いた位置に定位し、さらにエッジの鋭く立ったすっきりした音色に衣替えしているのです。ビショップのピアノも輪郭がクリアになった印象を受けます。明らかに洗練された音として蘇っていますが、その代償としてジャズ特有の熱い空気感は損なわれたように感じられるのです。そして、音が変化したことは理解できるのですが、果して音質が向上しているのかどうかというと疑問です。単にマスタリングの違いを音質の違いと誤認している可能性もあるし。本当なら同じマスタリングを施された素材で比較検討しないとだめなのでしょうね。

というわけで、本盤一枚だけで判断するのは危険ですが、HQCD盤は音質が向上したか?という問いには、ちょっとビミョーとしか答えられません。 ただし、音の変化の傾向からすると、新しい録音作品をHQCD処理することはそれなりのメリットがあるのではないかと思います。今のところ、HQCD や SHMCD は旧作のリイシュー盤が殆どですが、これからは新録音もこれらの高音質CDでリリースしてもらえればありがたいですね。

12月24日には、ソニーから新たな高音質CD、Blu-Spec CD が発売されます。これは、Blu-ray で採用されているカッティング技術の導入と、Blu-ray 用に開発された高分子ポリカーボネートの使用を特徴としたディスクです。

上位規格のDVD audio や SACD、あるいは従来からあるXRCDなども巻き込み、ますます高音質CDの競争が激化しそうな気配です。はたしてCD売上向上の起爆剤となれるでしょうか。個人的には浅ましい音楽産業の罠にハマらないよう、しばらくは静観しようと思っていますが、それにしても消費者に散財させようとあの手この手で新規格を出してくるものですね。そのあたりの企業努力には素直に敬服いたします。

そんなCD販売合戦が熾烈化する一方で、すでにネットにおける24 bit / 96kHz のロスレス配信が現実化しています。近い将来、ごく当たり前にようにパッケージを介さない音楽視聴が可能となるでしょう。そんな中、ハイエンド・オーディオ・メーカーである Linn が昨年、Klimax DS というネットワーク対応DAC を発表しました。今月のジャズ批評 No.126 で後藤誠一氏もレポートされていましたね。値段が2,940,000円と、まだまだ一部の金持ちの愛玩具的製品ではありますが、いずれ低価格化が進めば、その時こそ世の中からCDが消え去る時なのではないでしょか。
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2008/12/02 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Walter Bishop Jr. / Speak Low HQ-CD 仕様 ( 1 )

   ↑  2008/12/01 (月)  カテゴリー: 未分類

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最近、店頭や雑誌等でやたら目につく  SHM-CD ( Super High Material CD )や HQ-CD ( High Quarity CD ) 仕様の作品ですが、これらはより高品位のポリカーボネートを基盤に使用し、読み取り時に生じるデータエラーを軽減した高音質ディスクのことです。これらのディスクは従来のCD規格内の製品であるため、SACDとは違い通常のCDプレーヤーで再生できることが売りです。

SHM-CD は、ユニバーサル・ミュージックが開発、商標登録したディスクで、最近になってワーナーやBMGなども参入し、リイシュー盤を立て続けに発売しています。

一方、HQ-CDは、EMI ミュージックがこの9月に発売開始したばかりの高音質CDで、液晶パネルに用いられている透明度の高いポリカーボネートを基盤材料に使用している点ではSHM-CDと同様ですが、さらに従来のアルミニウムにかえて特殊合金の反射膜を採用しているところでSHM-CDとは差別化を図っているディスクです。

これらの高音質CDについて、評論家たちは挙って激賞していますが、ネット上では賛否両論があるみたいです。大体、音楽データとしては従来と何ら変わっていないのですから、基盤や反射膜の素材を改良しただけで、そんなに劇的な音質改善効果があるとは到底思えないのですが。

基本的に僕は、< すでにCDで所有している作品に関しては、24bit digital remaster 化されようが、紙ジャケ再発されようが買い直さない > という主義を貫いてきましたが、先日、かつては幻の名盤と賞されてジャズ喫茶で人気のあったウォルター・ビショップ・Jr.の 『 Speak Low 』 の HQ-CD 盤を店頭で発見したのです。

実はこの作品は非常に思い出深い作品です。大学時代にLPで購入し、当時はMDもmp3プレーヤーもなかった時代ですから、当然カセットテープにダビングし、年がら年じゅう聴きまくった作品です。当時僕はベースを弾いていたのでこの作品は絶好の教材でした。なにしろベースのジミー・ギャリソンのベースラインが美しく、しかも図太くデカい音量で記録されていたので、耳コピーしやすかった。しかも収録曲が ≪On Green Dorphin Street ≫、≪ Speak Low ≫、≪ Milestone≫ と練習曲には最適なスタンダードが並んでいるのです。特に当時モード的楽曲でのベースライン作りに苦戦していた僕には ≪ Milestone≫のラインは非常に参考になったものでした。また、≪ Speak Low ≫も弾いてみると意外に難しいコード進行で、つまりはAメロでGm7-C7が8小節続くのですが、ここでケーデンスに則ったラインでは限界があり(当時はそう思った)、やはりモード的手法で音を選んでいった方がラインを作りやすいこともこの作品で知ったのでした。そんなわけで人一倍、本作には思い入れが強かったのです。

閑話休題。そんな愛聴盤ですから、反射的にこのリイシュー盤が目に飛び込んできたのです。そして僕はそのジャケットに貼られていた大きな赤いシールに目を奪われました。

“ この音! 今までの「 スピーク・ロウ 」は何だったんだ? 寺島靖国 ”

過去の LP や CD で発売された音を完全否定する寺島氏。僕はその完全否定された音を長年愛聴してきたのです。寺島氏独特の挑発的誇大表現なのは分かっていますが、でもそう言われちゃ、聴かずにはいられない。本当に音は良くなっているのか、自分の耳で確かめてみようと思い、買って聴き比べてみました。

このような場合まず重要なことは、僕のような平凡なリスナーでもその音質の違いを享受できるか、ということです。雑誌等で記事を書いている評論家諸氏は、高価な再生装置を用いて十分な音量のもとで評価を下しているのです。当然、彼らの耳は素晴らしい感度をもっているわけで、おそらく、そういう好条件下で両者を比較すれば、その差が歴然とするのは想像に難くありません。

しかし、問題は僕自身が感じるか否かであり、他人の評価など意味がありません。合計150万円程度の平均的オーディオシステムで、マンション住まい。そして元来音質に無頓着な性格の僕が、その差異を体感できなければ、いくら高音質を謳った SHM-CDであれ、HQ-CDであれ、その存在は全く意味を持たないのです。オーディオなんて、所詮、個人的世界の中で繰り広げられる妄想のようなものですから。

つづく

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2008/12/01 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |
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