雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Blossom Dearie / Sings Rootin' Songs

   ↑  2009/02/28 (土)  カテゴリー: vocal

 blossom dearie rootin

ジャズ・シンガー、ブロッサム・ディアリーが2月7日にニューヨーク州マンハッタンの自宅で死去されました。享年82歳。死因は老衰による自然死だったようです。


Los Angels Times             February 9, 2009

Blossom Dearie dies at 82; jazz and cabaret singer
Blossom Dearie, the singer and songwriter whose sweet soprano voice, harmonically innovative piano stylings and sophisticated performances made her a popular attraction in jazz and cabaret for nearly half a century, has died. She was 82.




子猫がまとわりつくようなキュートで愛くるしい独特の歌声で、多くのジャズファンに愛されてきたブロッサムでしたが、僕もジャズを聴きはじめたちょうど80年代前半に、彼女の魅力に惹かれ、『 Blossom Dearie 』、『 Give Him the Ooh-La-La 』、『 Once Upon a Summertime 』などを買い求めた記憶があります。べっ甲フレームの眼鏡を持って頬杖をつくブロッサムがジャケットを飾る『 Once Upon a Summertime 』などは特に好んで愛聴したものです。

彼女は74年に自身による daffodil というレーベルを設立して、多くの作品を発表しましたが、僕は同レーベルからの作品は一枚も持っていません。こんなことを云うと生粋のジャズ・ヴォーカルのファンには怒られそうですが、やはり女性ヴォーカルの旬の時期って短いと思っているので、そういう意味で彼女の旬は Verve であり、歳老いた歌声は聴きたくないのです。

そんなわけで今日は、Verve ではありませんが63年に録音された愛聴盤の 『 Sings Rootin’ Songs 』 を引っ張り出してきました。

実は本作は正規レコード会社から発売されたものではなく、あるビールの景品として配布されたレコードでした。62年にブロッサムは“ Hires Root Beer ” のコマーシャル・ソングを歌ったのですが、それが好評を博したため、気を良くしたプロデューサーの発案で、ビールを沢山購入した方への景品としてこのレコードを制作したのでした。収録された曲は当時 ( 62年~63年 ) にヒットしていた曲ばかりで、≪ I Left My Heart In San Francisco ≫、≪ The Good Life ≫、≪ Lazy, Crazy Days of Summer ≫、≪ Desafinade ≫ などをはじめ、12曲が収録されています。

このような変わった経緯で作られたレコードだっために大変珍しく、超レア盤化していましたが、87年にDIW よりレコードとCDが同時発売され、めでたく一般ジャズファンもその貴重な音源を気軽に聴けるようになったのです。昨年には再発専門レーベル THINK! より、デジタルリマスター+ 紙ジャケ仕様で復刻され話題になりました。

しかし本作は、企画モノであるにも関わらず非常に出来の良い作品に仕上がっていて、希少性、話題性を抜きにしても一聴の価値のある作品です。

今晩はそんな大好きなレコードを聴きながら彼女の冥福を祈ることにしよう。 
 
R.I.P.

 

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2009/02/28 | Comment (1) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Luigi Martinale / Le Sue Ali

   ↑  2009/02/27 (金)  カテゴリー: piano

Luigi martinalre Le Sue Ali
イタリアはトレノ出身のピアニスト、ルイージ・マルティナーレ ( Luigi Martinale, 1963~ ) の通算7作目となる最新作。

リリースしたのは イタリアのジャズに特化したAlbore Jazz という日本の新興レーベルで、本作がレーベル第一弾作品らしい。マリティナーレと云えば、2000年に当時若干24歳だったファブリツィオ・ボッソを起用して制作された 『 Eyes and Stripes 』 や、翌年の2001年リリースのトリオ作品 『 Sweet Marta 』 ( 共にDDQ ) などが輸入盤店でヒットしたので記憶されている方も多いと思う。

彼はトリノのコンセルヴァトーリオ“ ジュゼッペ・ヴェルディ ” でクラシックを学んだ後、ミラノのコンセルヴァトーリオ“ ジュゼッペ・ヴェルディ ”でエンリコ・ピエラヌンツィに師事しただけあって、高度な演奏技術と和声技法を駆使したオリジナル曲を得意としている。しかし、ピエラヌンツィのような高踏的、思索的なスタイルではなく、とても温かく親しみやすい曲を作るピアニストだ。

耳に馴染みやすく哀愁美漂う美旋律は広く受け入れられるであろうが、柔軟剤をたっぷり含んだ柔らかく甘い感触は、好き嫌いの分かれるところだろう。私もガッツ・プロダクションから発売された直近の2作 『 Simple Memory 』 ( 2004 ) と 『 Caruso 』 ( 2006 ) あたりには正直、耽美的過ぎて肌に合わない。

さて、本最新作だが、これがすこぶる出来がよくて驚いている。というのも、前述したガッツの超甘口作品 『 Simple Memory 』 と 『 Caruso 』 を踏襲した作品を想像していたが、実際に聴こえてきた音は、一音一音の輪郭がすっきりしていて爽やかで粒立ちがよく、オリジナル曲のメロディーも凛として今までにない力強さを感じたからだ。録音が良いのも関係しているかもしれない。メンバーは 『 Sweet Marta 』 と同じく、ベースがドリュー・グレス、ドラムスがパオロ・フランチスコーネなのだが、録音が良いせいで彼らの演奏が数段巧く聴こえる。特にフランチスコーネの 『 Sweet Marta 』 での演奏は無神経でラフな印象を受けたが、本最新作ではシンバル・ワークを含め非常に繊細で緻密な好プレイが聴かれる。

タイトル曲の ≪ Le Sue Ali ≫ はレギュラー・ベーシストのステファノ・リッソのオリジナル。ミディアム・ファーストの軽快にスイングする曲で、今まではあまり演奏されることのなかったタイプの楽曲だ。

≪ Sno’ Peas ≫ はビル・エバンスの『 Affinity 』でも演奏されていたフィル・マコーヴィッツの名曲。ドリュー・グレスのソロが冴える。

≪ Passi Leggeri ≫ は浮遊感を湛えた抒情的メロディーが美しいマルティナーレのオリジナル。ここでもドリューのソロが素晴らしい。正直、こんなにドリューが巧いとは今まで思ってもいなかった。オーバーダブされた(と思われる)ドリューのボウイングをバックに切なく郷愁を誘うマルティナーレのソロが奏でられる。

それぞれの楽曲の質が高く、バラエティーに富んでいて、全体に確かな奥深さと幅を与えている。素晴らしい作品だ。

今まで彼の代表作と評されていた 『 Sweet Marta 』 をかる~く飛び越える、これぞマルティナーレの魅力がたっぷり堪能できる必聴、必携の名盤ではないだろうか。

Luigi Martinale  /  Le Sue Ali    星1つ星1つ星1つ星1つ
2009   albore jazz  ALBCD-001

Luigi Martinale  ( p )
Drew Gress  ( b )
Paolo Franciscone  ( ds )

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2009/02/27 | Comment (4) | Trackback (3) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

松任谷由実 / 雨のステイション

   ↑  2009/02/25 (水)  カテゴリー: Pops
ユーミン Cobalt Hour   
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2009/02/25 | Comment (3) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

High Five / Live For Fun

   ↑  2009/02/25 (水)  カテゴリー: group

high five live for fun

昨年11月のBlue Note Tokyo での来日公演を収めたHigh Five の通算4作目。前作 『 Five For Fun 』 ( 前項あり )  から約7か月という短いインターバルで発売されたわけで、如何に Blue Note が彼らに期待を寄せているかが窺えるだろう。

彼らは11月16日から19日までの4日間のギグを行ったが、本最新作はそのうち18日と19日からのベストトラックで構成されている。ちなみに私が観たのは17日だったので、個人的には都合がよい(意味不明)。収録曲は全8曲でうち5曲は過去に録音経験のある曲だが、それ以外はショーターの ≪ Adam’s Apple ≫、スタンダードの ≪ Body & Soul ≫ や ≪ What Is This Things Called Love ≫ などを演奏している。64分という収録時間もちょうど Blue Note でのライブ 1セットと同じくらいの長さで、疾走感を持続しながら最後まで一気に聴き通せる。

米国の60年代ハード・バップへの憧憬感が漂う彼らの熱く元気な演奏は、当然、現代の( 特にNY界隈の )ジャズとは隔越した音楽性を有している訳で、ジャズの先鋭性という尺度で測れば当然イタリアのジャズは劣っているのだが、彼らの音にマナで触れていると、そんなことはどうでもよくなるくらい、気持ちいい。決して新しくないが、忘れてはならないジャズの醍醐味がこの作品には見事にパッケージされている。

この種のハード・バップは、平易な文法上で機能するジャズなので、凡庸なジャズメンが演奏すると何ら面白くないが、ボッソやスカナピエコのような確かな演奏力と、カンツォーネを子守唄に育った彼らの哀愁漂うメロディ・センスにより、とても魅力的な音楽へと昇華されている。金管(ボッソ)と木管(スカナピエコ)のカウンターバランスの繰り成す音響的な面白みや多彩なハーモニーの美しさにも聴き惚れるし、ボッソの何処までも飛翔するノン・ブレスの超高速フレーズと切れ味鋭いタンギング・フレーズも快感以外の何物でもない。


ただ若干残念なことは、ドラムスのロレンツォ・トゥッチがやや技術的にみて他のメンバーよりも劣る点だろうか。やはりもう少しフロントを煽るくらいの余裕があるドラマーの方が適任ではないかと、個人的には思うのだが。ダニエレ・スカナピエコのデビュー作 『 Daniele Scannapieco 』 では、フロントがボッソ=スカナピエコで、ドラマーがアンドレア・チェカレリだったのだが、今聴き返すと、やっぱりリズムが立体的かつ躍動的で、フロントラインは同じはずなのにHigh Five とは一味も二味も違う演奏が聴かれるのだ。

そんな訳で、欲を言い出したらキリがないが、もちろん鼻血が出そうなくらい熱い演奏であり、私が観た17日は絶不調だったスカナピエコも、この録音日ではすこぶる快調だったようで、その点でも充実した実況盤ではないだろうか。

High Five  /  Live For Fun      星1つ星1つ星1つ星1つ
2009  EMI Music Japan  TOCJ-66496

Fabrizio Bosso  ( tp )
Daniele Scannapieco  ( ts )
Luca Mannutza  ( p )
Pietro Ciancaglini  ( b )
Lorenzo Tucci  ( ds )


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2009/02/25 | Comment (6) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Art Blakey and The Jazz Messengers / Heat Wave

   ↑  2009/02/23 (月)  カテゴリー: drums
art blakey heat wave

ジャズ・メッセンジャーズの35年に及ぶ長い音楽歴を俯瞰した場合、当然そこには浮き沈みのバイオリズムというものがあり、シーンを牽引した栄光の時代もあれば、全くファンから相手にされない不遇の時代もありました。そのなかでも、最も苦汁を舐めさせられた時期が70年代だったようです。

60年代後半のフリージャズの台頭から、70年代のフュージョン・ブーム旋風と、時代は確実に移りゆくなか、アート・ブレイキーは頑なにハード・バップに拘泥し、ついにはジャズ・シーンの表舞台から姿を消していきました。それでも頻繁にメンバー・チェンジを繰り返しながら、起死回生を狙いましたが、ことごとく不発に終わり、最後にはレコード会社からも見放されたのです。

しかし、76年にルーレットとの契約にこぎつけると、ボビー・ワトソンとヴァレリー・ポノマレフという二人の精鋭をメンバーに加え、徐々に息を吹き返していくのでした。80年代に入るとウイントン・マルサリスの加入によりジャズ・メッセンジャーズは完全復活を果たし、更にはアコースティック・ジャズ復権の急先鋒として、再度、時代を牽引していく存在として注目される訳ですが、そんなウイントン加入時代の陰に隠れて全く話題にものぼらない70年代末に、実は素晴らしい演奏をいくつか残しています。

この 『 Heat Wave 』 もそんな中の一枚です。77年の Keystone Koner におけるライブ盤で、Meldac Jazz より発売になった作品ですが、昨年、Canyon から新装ジャケで再発されています。本作の聴きどころは、なんと云ってもウォルター・デヴィスのオリジナル曲 ≪ Jody ≫ です。この年に録音された『 Gypsy Folk Tales 』( Roulette ) 、『 In My Prime, Vol.1 』( Timeless ) などで演奏されていて、以後、JMのレパートリー化された楽曲です。マルサリスやテレンス・ブランチャード=ドナルド・ハリソンのバージョンもありますが、僕はこのボビー・ワトソンの熱いソロが聴ける本バージョンが好きです。

鋭さと泥臭さが混在したような魅力的なテーマを聴くたびに熱くなります。本当は、曲の始めに数分間に及ぶブレイキーのドラムソロがあり、そのあと管によるテーマが奏でられるのですが、ドラムソロがあまりにも退屈なので、上のimeemにアップした本曲は、ドラソロをカットしてあります。ブレイキーは最後列でフロントを煽りながらリズムを刻んでいる方が、数段カッコいいですね。前にしゃしゃり出れば出るほどシラケル、珍しいドラマーです。

Art Blakey ( ds )
Bobby Watson ( as )
David Schnitter ( ts )
Valery Ponomarev ( tp )
George Cables ( p )
Dennis Irwin ( b )
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2009/02/23 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Art Blakey and The Jazz messengers

   ↑  2009/02/22 (日)  カテゴリー: drums
art blakey freedom riderThe Blue Note 7 を聴いていたらJazz Messengersが無性に聴きたくなりました。以前にも書いたことがあるのですが、僕は JM の長い歴史の中でもとりわけウェイン・ショーターが在籍していた1959年から1964年の期間、いわゆる第五期が好きです。更にそのショーター在籍期の中でもリー・モーガンとの2管でフロントラインを飾っていた頃が大好きです。でもって、もっとピンポイントで云うならば、1961年2月から5月までの4ヶ月間の録音物に最も魅力を感じるのです。この期間に録音された音源は、当時はアルフレッド・ライオンの意向により、いったんお蔵入りとなり、後に 『 The Freedom Rider 』、『 Roots and Herbs 』、『 The Witch Doctor 』、『 Pisces 』 の4枚に振り分けられ順次リリースされています。
時系列でみてみると、

 <録音日>     <収録アルバム>
1961年2月12日 『 Pisces 』
1961年2月18日 『 Roots and Herbs 』 『 The Freedom Rider 』
1961年3月14日 『 The Witch Doctor 』
1961年5月27日 『 Roots and Herbs 』 『 The Freedom Rider 』

となります。
ご存知のように1961年1月には、JMは初来日を果たしていますが、その時の演奏は、

1961年1月2日  『 A Day With Art Blakey 1961 』
1961年1月11日  『 Tokyo 1961 』(テレビ用収録でLD,DVDでも発売。)

art blakey witch doctorで聴くことが出来ますが、これらの演奏は帰国後録音された上記の4枚の作品で聴かれるジャズとは全く異なる音楽性を持った演奏です。日本での演奏曲には、中には≪ネリー・ブライ≫などのモーダルな演奏もありましたが、基本的に ≪ ブルース・マーチ ≫、≪ モーニン ≫、≪ チュニジアの夜 ≫、≪ ラウンド・アバウト・ミッドナイト ≫ などの演奏で、過去の (ショーター加入以前から演奏していた) ファンキーな楽曲中心の選曲でした。
おそらく、Art Blakeyらはこう考えていたのではないでしょうか。

「ウガァ~、どうせ日本人なんかにはブルース・マーチやモーニンをやっていれば喜ぶんだし、、、ちょっと手を抜いて、岩波さんや白木さんとの宴会にむけて体力温存しとこっと。」 

と。art blakey 来日芸者


完全に舐めきった緩い演奏を終えて帰国するや否や、ショーターの未来を予感させるモーダルなオリジナル曲を次々と録音していった、という訳です。モーダル路線で云えば、そのあとのフレディ・ハバード加入後のほうが当然モーダル度は高いのですが、この61年前半の限られた時期に演奏されたジャズは、モーダルともファンキーともつかない不思議な雰囲気を醸し出していて面白いですね。

art blakey roots



Art Blakey & Jazz Messengers
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2009/02/22 | Comment (5) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Niels-Henning Orsted Pedersen / The Eternal Traveller

   ↑  2009/02/21 (土)  カテゴリー: bass

Niels Pedersen eternal traveller

 
ペデルセンって、純然たる4ビートより、こんなトラディショナルを弾いた時のほうが、滋味溢れていて好きです。


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The Blue Note 7 / Mozaic : A Celebration of Blue Note

   ↑  2009/02/20 (金)  カテゴリー: group

Blue Note '7 moaic2009年はブルー・ノートが産声を上げてからちょうど70年目にあたる。70年間という年月はクラシックの歴史から比べれば遥かに短いが、レッド・ツエッペリンやキング・クリムゾンの歴史が40年だから、それに比べると長いようにも感じる。ただし、70年とは云うものの、67年にアルフレッド・ライオンがその権利をリバティーに譲渡した時点でもはやブルー・ノートは終わったと思っている私は、『 創立70周年 』 という響きにある種の虚しさを感じてしまうが。

さて、その創立70周年記念イヴェントの一環として結成されたのが、現在、NYを中心に活躍している精鋭達によるバンド、 The Blue Note 7 だ。企画モノにありがちなオールスター・バンドの様相を呈しているが、それにしても目の眩むような豪華メンバーだ。参加したメンバーは、ニコラス・ペイトン、スティーヴ・ウイルソン、ラヴィ・コルトレーン、ピーター・バーンスタイン、ビル・チャーラップ、ピーター・ワシントン、ルイス・ナッシュの7人。内容はいざ知らず、メンバーだけで買いに走りたくなる作品だ。

Blue Note '7 moaicところで、70周年記念バンドがあるなら、60周年記念バンドはあったのか? と云うと、実はあった。それがグレッグ・オスビーをはじめ、マーク・シム、ステフォン・ハリス、ジェイソン・モラン、タルス・マティーン、ナシート・ウエイツら6人で結成された“ New Directions ”というのがそれで、1999年に録音されたセルフ・タイトルの作品が一枚存在する。オスビーのオリジナル1曲を除きすべてブルー・ノートに吹き込まれた往年の名曲を演奏している点は今回の『 Mosaic 』 と同様である。アレンジはジェイソン・モランとオスビーが担当しているので、当然トンガリ系のイビツな輪郭を持った楽曲に仕上がっている。あの時代に最先端の音を創造しようとするとやっぱりこうなるのか、といった音で、個人的にはちょっと微妙だが、それなりに楽しめる作品だ。特に≪ Ping Pong ≫ は、ジャズ・メッセンジャーズの隠れた名盤 ( と密かに信じている ) 『 Roots & Herbs 』 に収められているショーターのオリジナルで、あまりカヴァーされることのない名曲である。個人的には大好きな曲なので、当時はこの一曲で買ったCDだ。

『 Mosiac 』の話に戻ろう。全8曲で全てブルーノートに録音されたジャズ・ジャイアントのオリジナル曲を現代風にアレンジして再演されている。ジョー・ヘンダーソンの ≪ Inner Urge ≫ や ハンコックの≪ Dolphin Dance ≫、それからグラント・グリーンの ≪ Idle Moments ≫ などなど、昔、耳蛸で聴きまくった名曲ばかりだ。アレンジはラヴィとピーター・ワシントン以外の各メンバーがそれぞれ担当しているが、リニー・ロスネスがアレンジャーとして2曲参加している。どのアレンジも緻密なスコアが目に浮かぶような素晴らしいものだ。この作品の魅力の半分はそのアレンジの粋なセンスによるところが大きいと云ってよいだろう。

白眉はやはりタイトル曲の ≪ Mosaic ≫ だろうか。シダー・ウォルトンの筆によるこの曲は、JMの『 Mosaic 』に収められていた曲だが、ここでは原曲よりも遅いテンポで、ラテン・ビートを抑えた知的でクールなリズムで演奏されている。冒頭の分厚い3管ハーモニーで始まるテーマに胸が躍る。

メンバーの中で目を引くのは、ニコラス・ペイトンの好調ぶりだろう。近年、実力はありながらもいま一つ作品に恵まれなかったが、本作では往年の熱く豪快に吹きまくるニコラスが戻ってきた。それがファンである私にとってはなによりも嬉しい。それから、ルイス・ナッシュも普段はあまり自己主張しないタイプの叩き屋だが、今回は要所要所で素晴らしいプレイが聴かれ、やはりこの人は凄いと改めて実感した。

とにかく、洒落たアレンジ、各人の胸の空くような渾身のソロといい、非の打ちどころがない。ミュージシャンの瑞々しい感性がヴィヴィッドに伝わってくるような生々しさもパッケージされており、いつまでも聴き惚れていたいと思わせる素晴らしい作品だ。

なお、All About Jazz の こちらの記事によると、現在、彼らは51都市を廻る大規模な北米ツアー中で、秋にはヨーロッパ・ツアーも予定されているようだ。残念なことに来日の予定は今のところアナウンスされていない。

The Blue Note 7 / Mozaic : A Celebration of Blue Note  
2008 Blue Note Records TOCJ-66466     星1つ星1つ星1つ星1つ

Nicholas Payton ( tp )
Ravi Coltrane ( ts )
Steve Wilson ( as )
Peter Bernstein ( g )
Bill Charlap ( p )
Peter Washington ( b )
Lewis Nash ( ds )


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2009/02/20 | Comment (4) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Michel Petrucciani & Niels-Henning Orsted Pedersen / Petrucciani NHOP

   ↑  2009/02/18 (水)  カテゴリー: piano

michel petrucciani  NHOP

ミシェル・ペトルチアーニ ( 1962 ~ 1999 ) とニールス・ペデルセン ( 1946 ~ 2005 ) の1994年、コペンハーゲン・ジャズハウスでのライブ盤2枚組。本作に関しては “ 完全未発表音源の登場 ” を謳っているが、2000年にペトルチアーニ名義の 『 Concerts Indits 』 という3枚組CDの中で、すでに本作の半数の楽曲は収録されているので “ 完全未発表 ”という謳い文句は誤り。

ただし今回は24 bits リマスターで蘇っているので 『 Concerts Indits 』 をすでに所有しているファンも買い直す価値は、、、ま、ないか。

と云うよりも、“ 未発表音源 ”と偽りを謳うのではなく、むしろペトルチアーニとペデルセンが共演した唯一の音源であることを強調した方が良かったのではないだろうか。

さて、録音された1994年というと、ペトルチアーニがニューヨークからフランスに帰国し、所属レーベルも Blue Note から Dreyfus に移籍した年。また、フランス政府から名誉あるレジオンドヌール勲章を授与されたのもこの年である。

作品としては、1993年12月にデイヴ・ホランド、トニー・ウイリアムスを迎えてDreyfus 第一弾となる 『 Mervellous 』 を制作し、次いで1994年6月にはオルガニストのエディ・ルイスとのデュオ作品 『 Conference De Presse 』、さらには同年11月にソロで 『 Au Theatre Des Chapls-Elysees 』 を録音と、非常に優れた作品を連発していた時期である。本作はこんな充実した時期のライブ音源だけに期待が持てる。一方のペデルセンにとっては、生涯を通じて連れ添ったケニー・ドリューが亡くなった直後の悲しみの中での演奏だったようだ。

演奏曲はオール・スタンダード。しかもどれも広く知られた馴染みの曲ばかりなので、やや面白みには欠ける。おそらくペデルセンにとっては全曲がケニー・ドリュー・トリオでのレパートリーだったであろう。ちなみに前述した1999年発売の 『 Concerts Indits 』 に収録されていた曲は本作のDISC 1 にほぼ全てが収められている。二人とも超絶技巧派であるから、寸分たりとも破綻のない演奏が最後まで繰り広げられている。行く先の見えないスリリングな丁々発止な演奏、という訳ではないが、二人のプレイの呼吸が感じられる、とても自然な温かい雰囲気が伝わってくる演奏だ。

二人の共通点。それは、曖昧な音がなく、徹頭徹尾、明快な音列で構成された音楽を奏でることだ。そこには全く翳りがない。それこそ巨人の成せる技なのだが、ある意味そこが欠点でもある。特にペデルセンのラインは整然としすぎていてスリルに乏しい(と最近感じるようになった)。完全にインサイドな音列で、しかもフレーズがスケール・ライクであり、どんなに早弾きしてもクラシックの練習曲のようで魅力に欠ける(と最近感じるようになった)。

コントラバスを弾きこなす技術力においてはジャズ史上稀にみる特異な存在であったが、決してジャズ・ベースの革新者にはなれなかったのがペデルセンの限界だったように思う。

それにしてもペトルチアーニの強靭なタッチから繰り出される美旋律のシャワーにはいつもながら圧倒される。楽器の中で最もフィジカルな負荷を強いられるはずのピアノの88鍵を、どうしてあの小さな体でコントロールできるのだろうか。

内容に関して云えば、彼らの普段の演奏レベルを基準にすれば普通の出来かもしれない。ただ非常に貴重な記録であり、彼らのフリークにはマストであろう。

最後に。この日の演奏に熱い拍手を送っていた観客の一体誰が、近い将来、この二人がそろって世を去ってしまうことを想像できたであろうか。
人間の命なんで、儚く、あっけなく、そして、自分が思っているほど長くは続かないものだ。

Michel Petrucciani & Niels-Henning Orsted Pedersen 
/  Petrucciani NHOP
     星1つ星1つ星1つ
2009  Dreyfus  FDM 46050 369312
recorded live at copenhagen jazzhouse  April 18. 1994

Michel Petrucciani   ( p )
Niels-Henning Orsted Pedersen   ( b )

Disc 1
1)  All The Things You Are  ※
2)  I Can't Get Started  ※
3)  Oleo  ※
4)  All Blues   ※
5)  Beautiful Love   ※
6)  Someday My Prince Will Come   ※
7)  Billie's Bounce   ※
8)  Autumn Leaves

Disc 2
1)  St. Thomas
2)  These Foolish Things
3)  Stella By Starlight
4)  Blues In The Closet   ※
5)  Round Midnight
6)  Future Child
7)  My Funny Valentine   ※
       ※ は、『 Concerts Indits 』 収録曲

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MISIA / そばにいて

   ↑  2009/02/17 (火)  カテゴリー: Pops
misia sobaniite 
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Baptiste Trotignon / Share

   ↑  2009/02/17 (火)  カテゴリー: piano

Bapiste Trotignon share

フランス人ピアニスト、バティスト・トロティニョン( Baptiste Trotignon b. 1974 ) の 『 Fool Time 』 以来、1年ぶりとなる最新作。

彼は2000年に Naïve からリリースされた( のちに澤野商会よりリイシュー ) 『 Fluid 』 で鮮烈なデビューを果たし、2001年にはその作品が評価され、ジャンゴ・ドールの最優秀フレンチ・ミュージシャンに選ばれ、更には、本国では最も権威のあるマーシャル・ソラール・コンクールにおいて2003年度ジャズ大賞を受賞するなど、数々の実績を積み上げつつ、本国フランスで確固たる足跡を築きあげてきたジャズ界の若きエリートである。

さて、このところダヴィ・エルマレック ( David El – Malek b. 1970 ) との共演が多かったトロティニョンだが、本最新作では、ジャズの本場アメリカに単身赴き、現地の先鋭ミュージシャンとの共演を果たしている。

招聘されたミュージシャンは、ステファノ・ディ・バティスタの 『 Trouble Shootin’ 』 で共演歴のあるエリック・ハーランドと、そのハーランドつながりでベースはマット・ペンマンが受けもつ。ドラムはハーランド以外にジョー・ロバーノのグループで活躍しているオーティス・ブラウン 3世も参加している。また、手指の切断事故で再帰が危ぶまれているマーク・ターナーとトム・ハレルがゲスト出演と、超豪華布陣がひかれている。

全11曲で全て彼のオリジナル。1曲目からいかにもNYコンテンポラリー系ジャズの雰囲気が漂ってくる。都会的洗練とダークなアングラ臭を併せ持つ音世界は、アーロン・パークスを彷彿とさせる。2曲目は一転して甘くて哀愁漂うバラード。トム・ハレルの柔らかいフリューゲルホーンと、マーク・ターナーの近年あまり聴かれることのなかったメロディアスなソロが聴かれる。3曲目はデビュー作 『 Fluid 』 にでも収められていそうな抒情的旋律が際立つ美曲。ハーランドも繊細ながらも暴れまくる。4曲目は意外にも2管をフロントに据えたコンベンショナルなハード・バップ。そんな激しさのあとの5曲目は再びバラード。美しくエレガント、そして切ない。

私はすでにこのあたりで完全にノックアウトされた。曲風が多彩で、しかも一曲一曲が丁寧に作り込まれている。瑞々しい輝きを持った珠玉のナンバーが詰まっている、なんと素晴らしい作品か。繊細なサウンドの質感と温かみのある録音も激しく私の琴線を揺さぶり、夢心地にしてくれた。

トロティニョンと云えば、個人的には2000年のデビュー作 『 Fluid 』 が最高傑作だと思っているが、本最新作はその『 Fluid 』に勝るとも劣らない傑作ではないか。久しぶりに鳥肌がたった。

Baptiste Trotignon / Share   星1つ星1つ星1つ星1つ星半分
2008 Naive NV814611

Baptiste Trotignon ( p )
Matt Penman ( b )
Eric Harland ( ds )
Otis Brown III ( ds )
Tom Harrell ( flu )
Mark Turner ( ts )

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2009/02/17 | Comment (11) | Trackback (3) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Keith Jarrett / Yesterdays

   ↑  2009/02/14 (土)  カテゴリー: piano

keith jarrett yesterdays

流石にそろそろ打ち止めだろう。

新作を聴くたびに、そう思いながら四半世紀が過ぎてしまった。
キース・ジャレットのスタンダーズ・トリオが結成されたのが83年。私がジャズを聴き始めたのが81年。デビュー作の 『 Standards Vol.1 』 の衝撃以来、現在までずっとリアルタイムで彼らの音楽をフォローしてきたが、正直なところ既にとっくの昔に飽きてしまっている。大体、91年の 『 Bye Bye BlackBird 』 あたりでもうゲップが出てきたし、94年の6枚組 『 At The Blue Note The Complete Recordings 』 には嘔吐した。そうこうしているうちに96年にキースが慢性疲労症候群という厄介な病気に蝕まれ、演奏活動を休止したので、トリオとしての活動は本当にこのあたりが潮時だろうなぁ、と思っていたら、99年には病気を克服し再度トリオでの活動を再開したので、腐れ縁の切っても切れない女友達のごとくまた付き合っているのだが、いつまで続くのか不安でいっぱいである。

さて、キースの新作がリリースされた。がしかし、音源は2001年の来日公演時のものなのである。録音されてから既に8年近くも経った音源を新作として扱ってよいものかどうか甚だ疑問だが、このような事は実は初めてではない。ちなみに、99年の復帰以降の作品を時系列に沿って並べてみると次のようになる。

2000年 Whisper Not ( 1999 )
2001年 Inside Out ( 2000 )  
2002年 Always Let Me Go ( 2001 )
2003年 Up For It ( 2002 ) 
2004年 Out-Of-Towners ( 2001 )
2007年 My Foolish Heart ( 2001 )
2009年 Yesterdays ( 2001 )
※ かっこ内は録音年

はじめのうちは録音からリリースまでのタイムラグがほとんどなかったが、2004年発売の 『 Out-Of-Towners 』 は2001年6月28日のミュンヘンでのライブ音源であるし、2007年発売の 『 My Foolish Heart 』 は2001年7月22日のモントルー・ジャズ・フェスティバルでの音源であり、いずれも今回の 『 Yesterdays 』 同様、長い年月を経てCD化された作品だ。

しかも全て2001年の録音であり、もっとも直近の音源でも2002年録音の 『 Up For It 』 という事実は、一体何を意味するのだろうか。

まず考えられることは、2001年が彼らにとって充実した年であり、お蔵入りさせるにはもったいない音源が沢山あり、まずはそこらへんからCD化し、その後に2003年以降の音源を順次、プレスしていく予定であるという推測。

そしてもう一つ考えられるのは、近年の彼らのライブを観ていないのであくまで憶測の域を出ないのだが、2001年以降の演奏が商品として世に送り出せる水準に達していないのではないか、ということ。なんだか後者のほうが可能性高いように思うがどうだろうか。

35年生まれのピーコックも今や70歳代半ばであり、過去に大病もしているので、キース相手でなければまだまだ十分やっていけるが、やはりキース相手ではかなり厳しい年齢に来ている。キース、ピーコック、ディジョネットの三者の極めて高水準な技術力の絶妙なバランスがあってこそ機能してきたスタンダーズ・トリオだが、近年、そのバランスが僅かずつ崩れてきていることに気づいている方も多いのではなだろうか。

閑話休題。本作は前述したように2001年の来日公演時のライブ録音盤である。同公演はオーチャード・ホールや大坂フェスティバル・ホールなど、5公演が興行されたが、公演ごとに完全即興演奏とスタンダード演奏の比重が異なっていた。そんな演奏の中から完全即興曲だけを集めた作品が『Always Let Me Go 』として既に2002年に発売されている。それに対して本作には最終日4月30日の東京文化会館で演奏されたスタンダード曲と、オーチャード・ホール公演時のサウンド・チェック用に録音された ≪ Stella By Starlight ≫ が収められている。

本作を聴いてまず驚かされるのは、キースがスイングしていること。キースのファンなら、復帰後の演奏スタイルの変化に気づかれていることだろう。よりスイング感を全面に打ち出した楽曲を扱うようになったり、トリオで完全な即興演奏を行ったり、またトリオ・ライブながらピアノ・ソロを挟み込んだりと、あの手この手でマンネリからの脱却を図っているのだ。

『 My Foolish Heart 』や『 Whisper Not 』でも曲によってはスイングしていたが、本最新作のスイング感はより強力だ。そのせいで今まで以上に三者の一体感は強固になっている点も見逃せない。復帰前は、ともすればトリオという枠組みからキースのエゴだけが突き抜けた不均等な図式になりがちだったが、今回は三者のバランス的にも安定度が高い。しかし、予定調和の既存のスイング・ビートに終始することなく、やはりそこにはキースにしか達成できない高度な演奏力でスタンダードに新たな生命を吹き込むことに成功しているから流石である。

最後のサウンド・チェック用に録音された ≪ Stella By Starlight ≫ などは、(当然だが) とってもリラックスした演奏で、(当然だが) あの感極まって発せられる呻き声も聞かれない非常に私好みの演奏である。個人的趣味を申し上げるなら、全曲呻き声なしのこんな優しい曲で構成された作品を作ってもらえると嬉しいのだが。とにかく私はあの呻き声が嫌いで、筒井康隆氏がかつて云っていたように「 絞め殺される寸前の猿のような 」あの声を聞いてしまうと音楽に集中できなくなってしまうのだ。だから、呻き声全開の 『 Standards Live 』 での ≪ Stella By Starlight ≫ ( 名演! ) よりも、演奏の質は劣るがこの最新作の同曲の方が遥かに好きだ。

と云う訳で、こうしたリラックスしたキースは嫌いではない。
飽きながらも聴き続けられる魅力。キースはそんな不思議な吸引力を持っている。
もう少し付き合って行くことにしよう。

でも、流石にそろそろ打ち止めだろう。

Keith Jarrett / Yesterdays    星1つ星1つ星1つ星1つ
2009 ECM 2060

Keith Jarrett  ( p )
Gary Peacock  ( b )
Jack Dejohnette  ( ds )

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2009/02/14 | Comment (10) | Trackback (5) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

# Vital Information / Vitalization

   ↑  2009/02/11 (水)  カテゴリー: group
vital information
スティーブ・スミス率いるJazz/Fusion Group、Vital Informationの3年ぶりとなる通算12作目。

彼らの活動は意外に古く、1983年からメンバー・チェンジを幾度となく繰り返しながら現在に至っており、近年はキーボードのトム・コスター、ベースのバロン・ブロウン、ギターのフランク・ギャンバレのカルテットで活動していましたが、今回、長年連れ添ったフランク・ギャンバレがソロに専念するとの理由で脱退。その後任としてヴィニー・ヴァレンチノが参加しています。

僕の場合、90年代の作品はしばらくフォローしていましたが、21世紀に入ってからはめっきりこの手のフュージョン物を聴かなくなってしまいました。正直なところあまり印象に残っているバンドではありません。どちらかというと、スティーブ・スミスがスコット・ヘンダーソンとヴィクター・ウッテンと組んだトリオ・ユニット、Vital Tech Tones の方がハード・コアな感じで好きでしたし。

ですからいつもならスルーするところですが、前述したようにこの新作には大好きなヴィニー・ヴァレンチノが加入しているということで、思わず手にとってしまった作品です。ヴァレンチノはベンソンズ・チルドレンの一人で、実際に師事していましたし、ベンソからも信頼されていた間柄です。地味なスタイルで、ベンソンほど早弾きが得意というわけではありませんが、作曲のセンスもよく、独特の透明感のある世界観を持っています。

ところで、スミスは5年以上も前からインド音楽に興味を抱き、南インドに伝わる早口でリズムと言葉を表現するヴォイス・パーカッション“ Konnakol ”や壺型のパーカッション“ Ghatam”を勉強していたようです。で、今回はその腕前を披露しているのですが、世界的に有名なイギリスのマルチ・パーカッショニストであるピート・ロケットやヴァレンチノのバンドに参加していたギラドらも迎えての多人数パーカッション大会的要素もあります。“ Konnakol ”は以前に紹介したインドの怪人ドラマー、トリロク・グルトウとジョン・マクラフリンがやってましたね。意外にジャズに合う歌唱法です。

ゆえに内容的には多分にインド音楽の色彩が強く放たれた作風に仕上がっています。ハード・コアでもなく、かといってスムース・ジャズに堕落したわけでもない。各人のバーチュオーソぶりは健在で、聴かせ所はしっかり押さえて、それでいて爽快感もあり聴きやすい。まあ、極論すればこの手のフュージョンって、カッコいいか、カッコ悪いか、っていう話に尽きると思うのですが、その点はハッキリ言ってカッコイ。

肝心のヴァレンチノはどうかと言うと、それほどフューチャーされているわけでものないので仕方ないのですが、無難な仕事をきっちりこなしている、と言った印象です。それにしても、コーラス類のエフェクターで絶妙に空間処理された透明感のある彼独特の音色は放棄してしまったのかな?あの音色が彼の魅力だったのにねぇ~。それどころか歪み系のロックっぽいソロなんかやっちゃって、どうしたのでしょう。これもスミスの指示なのか? まさにアイデンティティー・クライシスです。

そんなわけで、ヴァレンチノ・ファンにはがっかりの内容です。このくらいの演奏なら別にヴァレンチノでなくても代役はいくらでもいたはずです。全体的には面白くてカッコいい快作です。たまにはこんなフュージョンもいいものです。

それにしても流行り廃れの激しいフュージョン音楽の舞台で、よくもこんなに長きに渡りバンドを維持できるもんだと感心しちゃいますが、ジャーニー時代やその後のプロデューサー業でがっぽり儲けて莫大な資産を持つスミスにとっては、このバンドは趣味の世界なのかもしれませんね。

Vital Information 『 Vitalization 』 2007年 Mudson music HD-CD-101
Steve Smith (ds, konnakol)
Tom Coster (key)
Baron Browne (b)
Vinny Valentino (g)


Bill Evans (ts, ss)
Pete Rokett (tabla, kanjira, perc, konnakol)
Gilad (conga, perc)
Juan Carlos Melian (conga, perc)


ヴァレンティノの魅力を体感するには、やはり彼のリーダー作を聴くのが一番、ということで、2枚紹介しておきます。

Vinny Valentino 『 Vinny Valentino & Here No Evil 』 1993年 PAR Records PAR2016
彼の初リーダー作です。都会の夜をやさしく潤してくれるクールな楽曲たち。90年代に、果てなく繰り返し聴いた作品です。



Vinny Valentino 『 Now and Again 』 1996年 dmp CD-3003
第二弾作品。ゲイリー・バーツが客演しています。比較的オーソドックスなバップも演奏していますが、出来はよいです。

このあと、現在までに5枚のリーダー作をリリースしていますが、最近はファンク色が強くなり、売れ線狙い見え見えです。もともとは彼はプログレ・バンド出身なので、ハードなギターワークも巧いのですが、僕はあまり好きではありません。


[parts:eNozsDJkhAMmJhMjUyZjUwNGJgszSyPTNEsLP9NwL93KQqeSxEAmGDA2xS4P1czEhKQSAMXoDyQ=]
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2009/02/11 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Lars Danielsson / Libera Me

   ↑  2009/02/11 (水)  カテゴリー: bass

lars danielsson libera me

東京の空は、いまだに鉛色の雲に覆われ、はっきりしない天気です。
幾分、憂鬱な気分です。
原因は天気のことだけではありません。
昨夜から左肋骨弓下から左側腹部にかけてのズキズキする痛みが続いているのです。
我慢できない痛みではないし、夜も眠れたのですが、
年齢も40歳代半ばになるといろいろ怖い病気のことも頭をよぎり、
少しずつ憂鬱な気分に傾いてきます。

先々週には人間ドックで血液検査から胃内視鏡、腹部CTなどを受けて問題なかったし、
大腸内視鏡も一昨年受けたばかりなので、
まあ、悪性腫瘍ってことはないとは思うのですが、、、
それでも、憩室炎かな~、尿管結石かな~、
それとも10年前に罹患した結核が再発したのかな~、と、考えは良からぬ方へ。

そんな訳で、せっかくの休日も一人寂しく、病床に伏しております。

こんなフィジカル的にもメンタル的にも衰弱している時に聴きたい音楽なんてそう多くはなくて、
僕の場合は、ウルフ・ワケニウスの『 Forever You 』やラーシュ・ヤンソンの『 Hope 』とか、
それからこのラーシュ・ダニエルソンの『 Libera Me 』あたりと大体きまってきちゃうのですね。

それにしても、ラーシュのコレ、イイねぇ。

本作はスウェーデンのベテラン・ベーシスト、ラーシュ・ダニエルソン ( b. 1958 ) 2004 の作品。Danish Radio Orchestra のシンフォニーが全編を優雅に包み込む大作です。

クラシックでもない。フォークでもない。ジャズでもない。そんな安易なカテゴライズでは掴みきれない、ジャンルを超えた領域で創造されたラーシュの音世界がそこにはあります。

北欧独特の透明感を基調としながら、柔らかく、静かに、情景を描いていくかのような旋律。
とっても自然で、無垢で、シンプルで、そこには全く作為的な要素が感じられません。
だから、心の奥底のどこまでも深くへ浸透していく。

たぶん、こんな音楽、Crap 扱いするジャズ・ファンも多いと思うけど、僕にとっては愛すべき好盤です。





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2009/02/11 | Comment (18) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Chick Corea & John McLaughlin / Five Peace Band Live

   ↑  2009/02/10 (火)  カテゴリー: group
five peace bandチック・コリア( 1941 年6月12日生まれ ) とジョン・マクラフリン ( 1942年1月4生まれ ) と云う、ジャズ界きってのレジェンド二人が結成した夢のバンド、“ Five Peace Band ”のライブ盤2枚組みが2月4日に発売になった。昨年10月に始まった世界ツアーは現在も進行中であり、その最中にありながらライブ盤を発売するというのは異例のことではないだろうか。

僕は2月4日に買って、聴きこんでから5日のBlue Note Tokyo でのギグを観に行ったので、個人的には非常にタイムリーな発売であったのだが、もう少し早く発売できていれば Blue Note の観客動員に寄与できたかもしれない。とは云ったものの、連日超満員だったようだから関係ないか。

さて、この作品、まず目を引くのはそのジャケット・デザインだ。60年代~70年代のサイケデリックな雰囲気が漂う今どき珍しいアートワークだが、このデザインをみてジョン・マクラフリンの以下のインタビュー記事を思い出した。

strange days cover2007.1164年から66年ぐらいまで、僕はヒッピーだった。長髪で、LSDをやっていた。長髪といっても肩ぐらいまでだったけどね。世界が変わっていた。ビートルズの影響が大きかった。『 サージェント・ペパーズ~ 』も大好きだったよ。( 『 ストレンジ・デイズ 』2007年11月号 No.98 p47 )

バンド名の “ Five Peace Band ”は、5人 ( = five piece ) に引っかけたネーミングである訳だが、Peace にはサイケデリック・ムーヴメントの象徴である“Love & Peace ”の意味も込められているのだろう、、、きっと。

レジェンド二人以外のメンバーは、マクラフリンとの共演歴もある馬鹿テク・ドラマー、ヴィニー・カリウタ、マイルス・バンドつながりでケニー・ギャレト、そしてチック好みのウッドもエレキも巧いベーシストということでクリスチャン・マクブライドが招聘された。こうして彼らの名前をタイピングしているだけで軽く眩暈がするほど、凄いメンバーだ。

収録曲は全8曲で、うちマクラフリンのオリジナルが3曲、チックのオリジナルが2曲、その他はジャッキー・マクリーンの ≪ Dr.Jackie ≫、ザビヌルの ≪ In A Silent Way ≫、スタンダードの ≪ Someday My Prince Will Come ≫。

マクラフリンの3曲はいずれも近年のリーダー作である 『 Industrial Zen 』 と 『 Floating Point 』  に収録されていた曲である。概してマクラフリンの曲が激しく、チックの曲が流麗で静かな雰囲気をもっているので、全体としてはマクラフリン色が強いステージになっている。

圧巻は一曲目のマクラフリンのオリジナル ≪ Raju ≫ だ。この曲は2月5日の Blue Note でも一曲目に演奏し、その日一番盛り上がった曲であった。この≪ Raju ≫という曲は、 『 Floating Point 』 に収録されていた曲だ。原曲はそれほど良いと思わなかったのだが、このライブ・バージョンは数倍密度が高い素晴らし演奏だった。

この 『 Floating Point 』 は、マクラフリンが、2006年暮れから長期休暇を取って家族で南インドでのんびり過ごしていた際、何故か急に創作意欲が湧いてきて、急遽現地のミュージシャンを集めて録音した作品である。ダウンビート誌でも五つ星を獲得し 『 Best CDs of 2008 』 の Masterpiece に選定され、また現在、グラミー賞候補でもある傑作なのだが、いかんせん、インド人ドラマーが力量不足で個人的には不満が残る作品であった。インドにいたのだからトリロク・グルトゥを首に紐でもつけて引っ張ってくればよかったのに。

個人的にはDisc 1 のM-1 ≪ Raju ≫ ~ M-2 ≪ The Disguise ≫ ~ M-3 ≪ New Blues, Old Bruise ≫ の流れがたまらないのだが、一方で Disc 2 のM-1 ≪ Dr.Jackie ≫ は不要だったのでは、と思えてならない。この≪ Dr.Jackie ≫ という曲は、オーソドックスなFブルースであるのだが、せっかくこれだけの豪腕メンバーが集まったのだから、今更ブルースはないだろう、と思う。≪ In A Silent Way ≫ もマクラフリンとチックの想い出の曲ということで演奏したのだろうが、やや退屈な印象を拭いきれない。いっそう潔く、全曲マクラフリンのオリジナルで固めてしまえばもっと凄い作品に仕上がったのでは、と思ったりする。

第一期マハビシュヌ・オーケストラを基準に聴くと、本作を含め近年のマクラフリンの演奏は凄味に欠けるように思えるが、それでも67歳にしてこれ程の高品質な作品を送り続けられるとはそれだけで尊敬に値するのではないか。

兎に角、無茶苦茶カッコいい演奏だ。何度聴いても背筋がゾクゾクする。曲も含めて、よく練られたプロジェクトであり、文句なしの傑作だと思う。

jazz guitar book john mclaughlin
現在発売中の『 Jazz Guitar Book 』Vol.20 はジョン・マクラフリン特集。モナコの自宅スタジオ紹介のコーナーは特に興味深い。5年前から愛用している ゴダンのギターや使用機材の解説が詳細に載っている。ローランドのMIDI インターフェイス GI-20 はギターの音を正確に高速MIDI変換してくれる機材だが、マクラフリンの高速フレーズに GI-20 がついていけないというから驚きだ。ライブでの使用エフェクターはMXR のコーラスとBOSS のDigital Delay DD-5 だけと、いたってシンプル。









Chick Corea & John McLaughlin  /  Five Peace Band Live  
2009  Universal UCCJ3021  星1つ星1つ星1つ星1つ星半分

Chick Corea  ( p,syn )
John McLaughlin  ( g )
Kenny Garrett  ( as )
Christian McBride  ( b, el-b )
Vinnie Colaiuta  ( ds )

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2009/02/10 | Comment (6) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Chick Corea & John McLaughlin Five Peace Band @ Blue Note Tokyo

   ↑  2009/02/08 (日)  カテゴリー: group

chick Corea & John McLaughlin@Blue Note tokyo 002

チック・コリアとジョン・マクラフリンによるドリーム・バンド“ Five Peace Band ” の来日公演を観てきました。

昨年10月にモナコでの公演を皮切りに始まった世界ツアーは、12月までに22都市をまわるヨーロッパ・ツアーを終え、今年からはアジア・ツアーが始まっています。待望の来日公演は2月2日から8日 ( 4日は除く) までの6日間、Blue Note Tokyo だけで行われました。大ホールではなく、Blue Noteのような小規模のクラブで彼らの演奏を聴けるのは日本だけ、というプレミア付きです。

昨年のヨーロッパ・ツアーの演奏を収めた2枚組ライブ盤『 Five Peace Band Live 』 が早くも2月4日にリリースされていたので、4日に買って通勤の行き帰りに十分聴き込んでから5日のライブに乗り込みました。巨匠二人以外のメンバーは、ケニー・ギャレット、クリスチャン・マクブライド、それにブライアン・ブレイドという、各楽器分野では既に最高位に君臨する名手達を擁したクインテット編成。ヨーロッパ・ツアーはヴィニー・カリウタが叩いていましたが、アジア・ツアーからはブレイドに変更になっています。カリウタとブレイドではスタイル的に正反対なので、その違いでどうバンド・サウンドが変化するかも楽しみのライブです。

僕が観たのは2月5日の1st show 。7時開演だったのですが、1時間前の6時頃にはすでに満席状態で、彼らの人気の高さを思い知らされました。なんでも連日超満員だったらしく、邦人ミュージシャンも多く来られていたようです。僕が観た日にも観客として渡辺香津美さんが来られていました。 渡辺香津美さんとマクラフリンは87年に一度、Tokyo Music Joy でデュオしてますよね。お友達なのでしょうか。

ほぼ開演予定時間通りに薄暗いステージにメンバーが熱い歓声に送られながら次々に登場。チック・コリアが軽くメンバーを紹介。チックはヤマハ・シンセ MOTIF 2台とグランド・ピアノというシンプルな機材。マクラフリンは、2006年の 『 Industrial Zen 』 あたりから愛用している Godin ( ゴダン ) のソリッド・ギターを抱えて登場。 『 Industrial Zen 』  頃はゴダンのLGXT というモデルを使用していましたが、今回は黒の Freeway SA というモデルに持ち替えての登場です。ネック側とブリッジ側にハムバッカー、ミドルにシングルコイルのギター・シンセ対応のピックアップを搭載していて、『 Industrial Zen 』 や最新作 『 Floating Point 』  などではこれにローランドのギター・シンセ GR-20S を繋いで弾きまくっていました。

クリスチャン・マクブライトはアトリエZ の5弦フレトレス・ベースとウッド・ベースを曲により使い分けていました。アンプは遠目で自信が持てませんが、おそらくAmpeg と Epifani の4発と大口径1発キャビのセットを並べて、ウッドとエレキで使い分けていたのではと思います。

オープニングを飾ったのは、マクラフリンの『 Floating Point 』に収められていた≪ Raju≫ というハードドライブでインディアンなメロディーを持つ曲。オリジナル・バージョンより数段テンションの高い素晴らしい演奏で、観客はいきなり大興奮。結局振り返ってみるとこの曲が一番盛り上がっていたようです。カリウタのバージョンよりブレイドの叩いたこのライブの演奏の方が当然ジャズ的で、うねりにうねりまくり、目はマクラフリンでもチックでもなく、ブレイドの一挙手一投足に釘付け。今までに生のブレイドの演奏は何度か観ていますが、この時の演奏が一番興奮しました。

2曲目はチックのオリジナルで ≪ The Disguise ≫ 。チックはグランド・ピアノを弾き、マクブライドもウッドベースに持ち替えての演奏です。ソロはチック→マクラフリン→ギャレット→マクブライドの順で回しましたが、圧巻はマクブライドのソロで、どんなにスピードのあるフレーズを弾いても、一音一音がクリアで、当然ピッチの乱れも皆無で、ローポジションからサムポジションまで縦横無尽に弾きまくり、それでいて首尾一貫してメドディアス。今更ではありますが、とんでもないベーシストだと実感しました。

3曲目は再びマクラフリンのオリジナルで ≪ New Blues, Old Bruise ≫。『 Industrial Zen 』に収められていた曲です。Old Blues ではなくて Old Bruise ( 古傷 ) なんですね。 エルとアールの発音練習によいかも。ミディアム・スローの変拍子の曲。ギャレットの激しく慟哭するソロが聴かれたですが、なんとPA ( ツアー専属と思われる白人 ) が客席側のメインスピーカーの音量をオフにしていて、ギャレットの生音しか流れていない状態だったのです。途中で Blue Note のスタッフに指摘され慌ててオンにするものの今度は爆音でフロアに流れ出す始末。その後も、たとえばチックがシンセからアコピに移ってもそれに気づかず、アコピの音を出さなかったり、ホント、ひどいPAを連れてきたものです。ただ、これまでの大ホールと全く勝手が違ったはずですし、また、 Blue Note のPA って、ステージの真横にあるので、客席側の音を聴いていないんですよね。ちょと同情の余地はありますが、でもプロですからね。もう少ししっかりしてもらいたかった。ギャレットの素晴らしいソロが台無しになってしまったのですから。

以上3曲はライブ盤の Disc1 の曲順そのままでした。そして最後の4曲目はチックの書き下ろした ≪ Spirit Rides ≫ と云うモーダルな4 beat もの。今までのヨーッロッパ・ツアーのセットリストを見ると、この曲は演奏されたことがなかったようです。おそらく、ブライアン・ブレイド用にチックが用意していた曲なのでしょうね。この曲だけ別世界の空気が流れました。

予定された曲はこれで終了でしたが、当然、アンコールの拍手は鳴りやまず、メンバーは再びステージに登場。面白かったのは、メンバーがいったん楽屋に帰る中、ギャレットだけは会計カウンターの前に残って、観客と一緒にアンコールの拍手をしていたことです。ファンの方と何やら談笑しながらニコニコして拍手してました。アンコールはザビヌルの ≪ In A Silent Way ≫。静かなマクラフリンのソロで始まったこの曲で、バッキングするマクブライドは右手でE弦解放を弾きながら、左手では何と弓を取り出し床に寝かせてあるウッドベースのやはりE弦をボーイングするという荒業を披露しました。

全編を通して、マクラフリンの怒涛の早弾きが楽しめる素晴らしいライブでした。個人的には早くも本年最高ライブの予感です。マクラフリンを生で観るのは初めてだったのですが、もうちょっと荒いピッキングかと思っていたのに、意外にも綺麗なフル・ピッキングで、驚きました。早弾きしやすいスケール・ライクな音列ではありますが、7連譜、9連譜、11連譜….と、超人的変則早弾きは誰にも真似のできない領域ですから、やはり孤高の天才ギタリストです。音楽性云々以前に、速度の快感って、ホント、気持ちいいですね。

あと、驚いたのはマクブライドのフレットレスの巧さです。ウッドベースが巧いのは承知していましたが、あんなにフレットレスが巧いとは思ってもいませんでした。ライブ盤よりは音数が少なく、若干手を抜いているのかなって思いましたが。それに対して、チック・コリアはどことなく覇気がなく、あまり印象的なプレイが見られなかったのが残念でした。疲れていたのでしょうか。

Chick Corea & John McLaughlin Five Peace Band @ Blue Note Tokyo
2009. 2. 5. 1st show 19:00 ~ 20:20

< set list >
1. Raju
2. The Disguise
3. New Blues, Old Bruise
4. Spirit Rides
encore
5. In A Silent Way

Chick Corea  ( p, synth )
John McLaughlin  ( g )
Kenny Garrett  ( as )
Christian McBride  ( b, el-b )
Brian Blade  ( ds )

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2009/02/08 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Seamus Blake / Live in Italy

   ↑  2009/02/03 (火)  カテゴリー: tenor

seramus blake live in italy2




2002年のThelonious Monk International Jazz Saxophone Competition での優勝という輝かしいの経歴を持つテナリスト、シーマス・ブレイクの通算7枚目の新作。

過去の作品は1枚を除き全て Criss Cross からのリリースだったが、今回はイタリアのパレルモに本部を置く新興レーベル、Jazz eyes からリリースされた。同レーベルは、現在までにケビン・ヘイズやアル・フォスターなど5作品をリリースしているが、どれも十分吟味された高品位な作品で好感度が高い。カタログ数はまだ全然少ないが、今後も目が離せないレーベルだ。

ところで、当初はポスト・ジョシュア・レッドマン的な騒がれ方だったシーマスだが、最近の好調ぶりを見ていると、完全にジョシュアを凌駕する存在に成長した感じがする。ジョシュアが近年、極めてパーソナルでアーティスティックな方向性を打ち出しているので、本来ならジョシュアが担うべきNYコンテンポラリー・ジャズ牽引者としてのポジションを埋めるかのようにシーマスが頑張って僕らを楽しませてくれている。

しかもシーマスにはジョシュアのようなペダンティックな趣向が皆無であるため、オルタナ系から果ては歌伴まで、なんでも高水準でこなすフレキシビリティがあり、各方面で重宝されている。

本作はデヴィッド・キコスキを擁したカルテット編成で興行されたイタリア・ツアーのライブ盤2枚組。シーマスとキコスキの共演は今から遡ること8年ほど前から始まっていて、2001年に録音されたキコスキの作品『 The 5 』( DIW ) にシーマスが客演する一方で、キコスキはシーマスの『 Echonomics 』( Criss Cross ) に参加するなど、以後、たびたび両者はお互いの作品に客演し合いながら、蜜月の関係を築いてきた。

二人とも演奏技巧的には世界トップクラスだが、なにしろ Criss Cross が主たる発表の場であるだけに、なかなか知名度がアップしないのが残念なところ。シーマスの止めどなく溢れ出るイマジネーション豊かなフレーシングは天才的であるし、キコスキの矢継ぎ早に畳みかける鋭角的なモード・ラインも、今のところ他のコンテンポラリー系ピアニストの追従を許さない凄味があるのだが。

さて、本作は全9曲で録音時間108分以上と聴きごたえ十分なボリュームがあり、収録されている音源は、 Palermo、Senigallia、Cesenatico の3か所の演奏から選曲されていて、シーマスのオリジナルが3曲、キコスキのオリジナル1曲が含まれている。ドビッシーの≪ String Quartet in G Minor ≫ などもカヴァーしているのが面白い。

白眉はDisc 1 の1曲目 ≪ The Jupiter Line ≫ だ。この曲はシーマスの前作 『 Way Out Willy 』 に収録されていた楽曲だが、本作でのライブ演奏の方が遥かに高密度である。12分に及ぶ長尺な演奏でありながら、テンションが一瞬たりとも途切れず、全員が超ハイな状態をキープしながらの圧倒的な演奏。特にキコスキのここでのソロは、彼の今までのソロの中でも出色の出来ではないか。

Disc 2 の方は、ジャヴァンの ≪ Ladeirinha ≫ やスタンダード ≪ Darn That Dream ≫ などが収められていて、 Disc 1 に比べるとだいぶリラックスした雰囲気ではあるが、弛緩しない適度な緊張感は最後まで持続していて一気に聴き通せる。

混沌と秩序の間を行き来しながら進化し続けるNYコンテンポラリー・ジャズの今の音が聴ける極めて刺激的なライブ盤であり、本作は間違いなくシーマス・ブレイクの最高傑作だ。一度聴いたら病みつきになること必至 !!

Seamus Blake / Live in Italy    星1つ星1つ星1つ星1つ星半分
2007  jazz eyes 005

Seamus Blake  ( ts )
David Kikoski  ( p )
Rodney Green  ( ds )
Danton Boller  ( b )


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2009/02/03 | Comment (13) | Trackback (5) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |
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