雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Magnus Hjorth Trio / Old New Borrowed Blue

   ↑  2010/02/27 (土)  カテゴリー: piano
magnus hjorth Magnus Hjorth Trio / Old New Borrowed Blue ( amazon )
2009 Stunt Reocrds STUCD09032


Magnus Hjorth ( p )
Petter Eldh ( b )
Snorre Kirk ( ds )


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2010/02/27 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Sidsel Storm / Swedish Lullaby

   ↑  2010/02/27 (土)  カテゴリー: vocal
sidsel storm _SWEDISH LULLABY

Sidsel Storm / Swedish Lullaby ( HMV )
2010 Calibrate CALI106


Sidsel Storm ( vo ), Lars Jansson ( p, rhodes ),
Morten Lund ( ds ), Jesper Thorn ( b ),
Gunnar Halle ( tp ),  Alexander Kraglund ( violin, harm )
Carl-Oscar Osterlind ( cello ),  Peter Otto ( org )




デンマークの超美形歌姫、シゼル・ストーム ( Sidsel Storm ) の最新作。2008年のデビュー作 『 Sidsel Storm 』 ( 前項あり ) に続く第2作品目です。 清涼感溢れる美声はデビュー作で確認済ですが、今作はピアノのラーシュ・ヤンソンらの多大なる貢献もあり、文句なしの素晴らしい作品に仕上がっています。ご覧のようなルックスですのでどうしても贔屓目に見てしまいがちですが、それを抜きにしても素晴らしいアルバムです。

何度も “ 素晴らしい ” を連発すると嘘っぽく聞えてくるのであまり言いたくありませんが、ホント、聴いていてそこはかとなく幸せな気分になってくる素晴らしい作品です。これぞ、ジャズの楽園、エデンの園、あるいは極楽浄土。

全10曲で 《 All Or Nothing At All 》 や 《 Emily 》 などのスタンダードを一方に、ラーシュの書いたメロディーにストームが詩をのせた美曲が違和感なく並んでいます。コペンハーゲンを拠点にドラマー兼作詞作曲家として活躍しているヨナス・デュホルムや、本アルバムにオルガン奏者として参加しているピーター・オットらの自曲も歌われていますが、やはり圧倒的にラーシュ・ヤンソンの楽曲の出来がイイ。

僕はラーシュが大好きで、彼のピアノを聴くたびに、この美しく優しいメロディーに詩が付いたらどんな曲になるんだろうと思っていたけど、その願いがやっとかなった感じがします。ラーシュに対するそのような希求って、僕だけじゃないと思うんだけど。

楽曲のクレジットを見ていて面白いなと思ったのは、《 Emily 》 の1曲だけですが、マグナス・ヨルト ( Magnus Hjorth )がアレンジを担当しているんです。マグナス・ヨルトはコペンハーゲンを拠点に活躍している若きピアニストで、日本にも来日したことがあります。昨年リリースされた『 Old New Borrowed Blue 』 ( stant ) が輸入盤店でけっこう売れて人気が出てきました。今年2月24日には国内盤『 Someday. Live in Japan 』 が発売され、日本でもこれから注目されていくであろう若き俊英です。
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2010/02/27 | Comment (18) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Peter Beets / New York Trio

   ↑  2010/02/27 (土)  カテゴリー: piano
Peter Beets_page1 Peter Beets_page2 Peter Beets_page3

Jazz Orchestra of The Concertgebouw ( 以下JOC )の最新作 『 Blues For The Date 』 は、同バンドの常任ピアニストであるピーター・ビーツの作品集でした。そこで、取り上げられた曲のオリジナル・バージョンを収録順に並べてプレイリストを作ってみました。収録曲7曲中6曲がCriss Cross の New York Trio 3部作で演奏されていました。タイトル曲の《 Blues For The Date 》 だけが Maxanter Music からリリースされた『 First Date 』 に収録されていたのですが、同盤は所有していませんので、残念ながらこのプレイリストには含まれていません。

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2010/02/27 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Jazz Orchestra of the Concertgebouw featuring Peter Beets / Blues For The Date

   ↑  2010/02/26 (金)  カテゴリー: large ensemble

Jazz Orchestra of The Concertgebouw_blues for the dateJazz Orchestra of The Concertgebouw / Blues for The Date ( amazon )
2010 55 Records FNCJ-5539
 
Henk Meutgeert ( cond ), Joris Roelofs ( as,ss,cl,fl ), Jorg Kaaij ( as, fl ), Simon Rigter ( ts ), Sjoerd Dijkhuizen ( ts, cl ), Juan Martinez ( bs, bcl ), Jelle Schouten ( tp, flh ), Wim Both ( tp, flh ), Rini Swinkels ( tp, flh ), Ruud Breuls ( tp, flh ), Jan van Duikeren ( tp, flh ), Martijn Sohier ( tb ), Hansjorg Fink ( tb ), Bert Boeren ( tb ), Martien de Kam ( b-tb ), Martijn van Iterson ( g ), Peter Beets ( p ), Frans van Geest ( b ), Martijn Vink ( ds )



オランダのビッグバンド、Jazz Orchestra of The Concertgebouw ( 以下JOC )の通算6作品目となる最新作。2008年にリリースされた前作 『 Silk Rush 』 ( 前項あり ) は、JOC きってのスーパースター、ジェシ・ヴァン・ルーラー ( g ) を主役に配したいわば“ ジェシ・ヴァン・ルーラー・ソングブック集 ” であったが、今最新作はジェシ同様、JOC のなかでは絶大な人気を誇るピアニスト、ピーター・ビーツ ( Peter Beets , Hague , 1971~ ) をフィーチャーした作品だ。もちろん演奏曲はすべてピーター・ビーツのオリジナル曲である。

まずは簡単に JOC について記しておく。


JOC は96年に創立されたビッグバンドで、たとえばフランスの Paris Jazz Big Band やベルギーの Brussels Jazz Orchestra と同様、比較的 歴史の浅い集団だ。

オランダにはストリングス・セクションを有する世界でただ一つのビッグバンド、 The Metropole Orchestra や、コンベンショナルなスタイルで安定したサウンドを奏でる83年設立のDutch Jazz Orchestra などが既に存在しているが、この JOC は地元出身の若き精鋭を中心に結成された新しいビッグバンド・サウンドを模索する集団という点で他との差別化を図っているようだ。

JOC は編曲・指揮を担当するヘンク・ムトーヘルトやベーシストのフランツ・ヴァン・ヘーストらによって96年に“ The New Concert Big Band ”という名でスタートした。そして地道な活動が実を結び、99年には、クラシック界の殿堂“ Concertgebouw ”の名を冠したJOC という名前に昇格改称している。現在では年間50公演以上、年間観客動員数は35000人を超えており、今後も活動範囲を広げていく予定だ。なお、やはりビッグバンドの運営は他国同様、厳しい状況下におかれており、現在JOCは、オランダ教育・文化・科学省から構造基金を受ける一方、Deloitte および AKD Prinsen Van Wijmen という企業からの支援を受けて運営されている。

このバンドは、トランペットが5人配されているため、通常のビッグバンドよりも1人多い18人編成であるのが特徴的だ。それにより、高域部のエッジが鋭くなり、トランペット・ソリでの抜群の爽快感を生みだしている。メンバーは全員オランダを代表する新進気鋭のエリート・ミュージシャンとのことだが、ホーン・セクションには日本ではほとんど馴染みのないミュージシャンが名を連ねている。それに対してリズム・セクションは強力だ。もしかすると世界最強のリズム隊を有するビッグバンドかもしれない。まずはギターのジェシ・ヴァン・ルーラー。おそらく世界で軽く5本の指にはいる超絶技巧派だろう。日本にもファンは多い。本来ならビッグバンドのギターはそれほど優秀でなくても務まるところなのに、そこにジェシを起用するあたりがこのバンドの特徴だ。そして、ジェジとの活動を通して徐々にその評価を高めているのが、ドラマーのマタイン・ヴィンクとベーシストのフランツ・ヴァン・ヘーストだ。マタインはBrussels Jazz Orchestra や The Metropole Orchestra でも活躍する超売れっ子ドラマー。ピアニストのピーター・ビーツもCriss Cross に多くの吹き込みをもつ日本でも人気のミュージシャンだ。05年には 『 Live at The Concertgebouw Vol.1 & 2 』 という素晴らしいトリオ作品を発表している。


さて、肝心の内容について。


今作はビムハウス ( Bimhuis ) での実況録音盤。ビムハウスはアムステルダム中央駅近くにあるオランダ屈指のジャズスポット。オランダ国内のアーティストは云うに及ばず、世界中の超一流ジャズマンが連日熱い演奏を繰り広げている有名スポットだ。

収録曲は全7曲でいずれもピーター・ビーツの筆によるもだが、すべて彼の Criss Cross に残した 『New York Trio 』 シリーズで演奏されている曲をビッグバンド用にアレンジし直したスコアを用いている。


JOC の指揮者であるヘンク・モトーヘルトが素晴らしいアレンジを施しているが、彼以外にもクラシックから映画音楽やジャズまで幅広い分野で活躍しているピアニスト兼作曲家兼指揮者のユーレ・ハンストラ ( Jurre Haanstra ) もリリカルで美しいアレンジを提供している。


ビッグバンドはやはり、指揮者あるいはバンドメンバーがはじめからビッグバンドでの演奏を念頭に置いた曲を書いて、その楽曲を自ら演奏する、という手法のほうがそのバンドの魅力を引き出しやすいと思っている。欧州のビッグバンドによくあることだが、米国の有名ソリストを招聘して、そのミュージシャンの楽曲とソロをフィーチャーしたプログラムを組むことが多いが、あれはあまり面白いと思って聴いた試しがない。ジャズ・ジャイアントのトリビュート・プログラムも期待外れに終わることも多い。やはり、ビッグバンドはゲストなど招かずに、自ら曲を書き、自らその曲を演奏するほうが100倍楽しい。

そういう視点で JOC の作品を俯瞰した場合、ヘンク・モトーヘルトとメンバーの自曲で固めた家内工業的作品 『 Riffs'n Rhythms 』 ( 2008, 55 Records ) がベストだと思う。

以前、この『 Riffs'n Rhythms 』のレビューを書いたとき、僕は彼らの演奏をこんな風に表現していた。


≪ ~ リズムを目まぐるしく変化させながら、切れ味鋭いソリを怒涛のごとく決めてくる。アクセントの入れ方も斬新。針の穴を通すような緻密なスコアを正確無比の超人的読譜力と演奏スキルで軽々とこなしていく。~ ≫


がしかし、今回のピーター・ビーツ作品集を聴く限り、リズムの変化の点においても、アンサンブルの切れ味も、スコア上のフック度にしても、やはり 『 Riffs'n Rhythms 』 には及ばないと感じた。とは云うものの、ビーツのピアノのためのシンプルな数分の楽曲をこれほどまでにイメージを膨らませ、壮大なビッグバンド・サウンドに仕上げてしまうとは、やはりリーダーのヘンク・モトーヘルトの編曲能力は相当に凄い。

主役のビーツもソロパートでは豪快かつ優雅にオスカー・ピーターソン級のソロを聴かせてくれて、単純に爽快な気分になれるし、トランペットのヤン・ヴァン・ダウケレンやルート・ブルルス、アルティストで一昨年に55 Records からリーダー作もリリースしたヨリス・ルーロスなど、個性的な脇役も健在で、アンサンブル、ソロともに大変楽しめる作品に仕上がっている。なお、今作にはジェシは参加しておらず、代わりにマタイン・ヴァン・イターソンというギタリストが参加している。ジェシには技術的に及ばないものの、ベンソン風のなかなか味のあるソロをとっていて好感が持てた。

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2010/02/26 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

物欲生活: ACER Aspire 1410 AS + Pocket WiFi 購入

   ↑  2010/02/25 (木)  カテゴリー: 物欲生活

acer 1410_02



先日、いま巷で流行のCULVプロセッサ搭載のネットノートを買ってみました。昨年暮れぐらいから各社こぞって新製品をこの分野に投入してきていたので、何を買うか迷ったのですが、とりあえずネットで評判が良かったACER の Aspire 1410 というノートを買ってみました。

僕は昨年夏ぐらいから出先での使用を主目的として、東芝Dynabook UX というネットブックを使っていたのですが、これが処理速度が思いのほか遅く、Youtube もまともに観られない始末で、しかも、画面が1,024×600ピクセルと小さくて、ブログの更新すらストレスになるほどでした。

さらには、メーカーはタイプしやすくするための工夫でそうしたのでしょうが、キーボードが一個一個独立しているアイソレーション型であるため、しょっちゅうタイプミスをしていしまい、そのたびに軽くイラついていました。
そこで、いろいろ物色していたのですが、タイミングよく超低電圧版 Celeron SU2300 を搭載したCULVノートが話題にのぼってきたので、実売50,000円ほどと手軽に買える安さもあり、試しに買ってみました。

なお、今まで半年間使用した Dynabook は、ソフマップで最高買取価格の 18,000円で買い取ってもらえました。ソフマップ・ポイントとして貯めたので10%加算で結局、19,800円。予想外の高値で買い取ってもらえたことも買い替えのモチベーションになりました。


率直な感想として、大満足です。これだけのスペックを持ったノートが実売5万を切る( 2月25日現在の価格.com での最安値は 44,720円 ) で買えるなんて、ホント、いい時代になったものです。

とにかく、処理速度が速い。ネットなんか、まったくストレスを感じることがありません。いままでの Dynabook に搭載されていた Atom N280に比べたらこのデュアルコアは2.4倍近くの処理能力を持っているらしいです。いくら Celeron とはいえ、そこはデュアルコアです。それなりのスピードが出るんですね。びっくりしました。

グラフィックはチップセット内蔵のIntel GMA 4500MHDで、HD動画再生支援機能も付いています。Youtube ぐらいならサクサク観れます。

液晶は 1,366×768ピクセルの11.6インチですが、今までのDynabook の 1,024×600ピクセル、10.1インチと比べると、数字の差以上にその使用感は快適です。このくらいの画面があれば出先でのブログ更新もストレスではありません。

OSはWindows7の64bit版ということで、使えないアプリやデバイスがあるかも、とちょっと心配でしたが、いまのところワンセグチューナー( ダイナコネクティブDY_1SU01 ) だけです。このチューナーは2,000円で買った格安チューナーなのでこの機会に Windows7 対応のチューナーに買い換えるつもりです。 それからWindows7 は、ネットブックなどで採用されているスターターエディションではなく、ちゃんと Home Premium なのも嬉しいです。Windows7はまだまだその機能を使いこなしていませんが、とにかく起動 も速いし、動作が軽いし、新しいタスクバーの使い勝手もよくていいこと尽くめです。

キーボードのたわみを問題視する意見もあるようですが、僕の場合、もともと強く叩くほうではないので全然気になりません。確かに薄い板状のプラスチック製のキーなので、質感は安っぽいのですが、キーが一個一個大きく、感触は悪くなく不満はありません。ただ、僕が買った個体が“ 5 ”のキーの不具合で初期不良交換になってしまうというトラブルがありました。2代目の個体は全く問題ありませんが、以前買ったACERのデスクトップPC も初期不良(全く起動しない!! ) で苦労した苦い経験があるので、ACERというブランドにはちょっと懐疑的です。


と云う訳で、出先のちょっとした空き時間にネット接続して楽しんでいるのですが、そのたびにイー・モバイルのUSB端末 ( 僕が使っているのは D23HW ) を刺したり抜いたりするのはちょっと不便。そこで今回、PCを買い換えたついでにイー・モバイル端末を解約し、いま話題の Pocket WiFi ( D25HW ) を新規契約してみました。 Pocket WiFi とは、インターネットにはイー・モバイルの3Gサービスで、手元の機器とは無線LAN(Wi-Fi)で接続する携帯型ルーター。Pocket WiFi はイーモバイルの電波が届いている場所ならば、周囲を無線LANスポットにできるわけでです。

僕は iPod Touch を使っているので、このPocket WiFi をポケットに忍ばせておけば、いつでもどこでもネット接続ができるのでこれはかなり便利。非常に小型なのでパンツのお尻のポケットに入れておいてもまったく問題なし。肝心の電波の入り具合ですが、都内の路上は問題なく繋がりますが、東京メトロはまだまだ繋がらない構内も多いです。この一カ月で新宿線、日比谷線、大江戸線、浅草線ぐらいしか利用していないのですが、だいたい3割ぐらいの構内で繋がりません。走り出すと全然だめだったりして、まだまだ東京メトロでの利用は制限されているようです。それでもこの Ipod Touch + Pocket WiFi の組み合わせの利用価値は絶大で、当分の間このモバイル・ネット環境は手放せない感じです。
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The Osian Roberts & Steve Fishwick Quintet / ... With Cedar Walton !

   ↑  2010/02/24 (水)  カテゴリー: group
OSIAN ROBERTS & STEVE FISHWICK _cedar wlton
The Osian Roberts & Steve Fishwick Quintet / ... With Cedar Walton ! ( amazon )
2009 Hard Bop Records HBR33006


Steve Fishwick ( tp ), Osian Roberts ( ts ), Cedar Walton ( p ), Peter Washington ( b ), Matt Fishwick ( ds )




英国では最も優れたトランペッターと賞されているスティーヴ・フィッシュウィック ( Steve Fishwick , Manchester , 1976~ ) と、タビー・ヘイズの後継者と期待されているテナリストのオシアン・ロバーツ ( Osian Robers , Wales , 1976~ ) の双頭クインテットによる第三作目となる最新作。

彼らのスタイルは、50年代後半から60年代初頭のハードバップ、ファンキー・ジャズを完全に踏襲するもの。 Blue Note や Riverside あたりの作品を想起させるスタイルだ。僕は彼らの演奏を聴いてジュニア・クック=ブルー・ミッチェルの Jazzland 盤 『 Junior's Cookin' 』 やソニー・クラークの Blue Note 盤『 Leapin' and Lopin' 』 あたりを連想した。

現代の演奏家がこの種の古典的な楽曲を扱ったり作曲する場合、なんらかの新しい手法を織り交ぜ、現代風にアレンジして再演したりすることが殆どだが、彼らはそのような味付けは一切しない。古典は古典のまま演奏する。全くそこには照れや迷いはない。コークスクリュー・フレーズやスネーク・フレーズなど、アウトするフレーズは全く用いない。ドレミファソラシドで如何に歌うか、という昔のミュージシャンがごく普通にやっていたことを彼らもやっているだけだ。こういうことができるミュージシャンって意外に少ない。最近のミュージシャンは理論武装でフレーズを組み立てていくから、彼らのように至極当たり前の素朴なフレーズだけでソロをとることをしないだよね。

さて、今作は三作目にして初となるゲスト・ミュージシャンを迎えての作品だ。そのゲストとはまさにハードバップ期の生き証人のようなピアニスト、シダー・ウォルトンと、多くのミュージシャンから絶大なる信頼を得ているベーシスト、ピーター・ワシントンの二人。フィッシュウィックとロバーツの二人は、訪米して彼らとレコーディングを行っている。スティーヴ・フィッシュウィック の双子の兄弟であるマットフィッシュウィックもドラマーとして参加している。マットは一応このクインテットのレギュラー・メンバーに名を連ねているが、現在はニューヨークを活動の拠点にしているようである。

全8曲で61分の演奏。フィッシュウィックのオリジナルが3曲。シダー・ウォルトンも≪ Head and Shoulders ≫ という曲を提供している。この曲はウォルトンの Prestige に残されたデビュー・アルバム『 Ceder! 』( 1967 ) に収められていた曲。それ以外にはクインシー・ジョーンズの名バラード≪ Quintessence ≫ をカヴァしているのが嬉しい。この曲はコールマン・ホーキンスのカヴァが有名かな? 僕個人的にはフィル・ウッズの『 This is How I Feel About Quincy 』 に収められていたカヴァが好きけど。でもなんだかんだ云って、この曲はクインシーのオリジナル (やはりウッズがソロをとっていた ) が最高だけどね。

彼らのジャズをたとえ100回繰り返し聴いたとしても、そこからジャズの未来は決して見えてこないだろう。がしかし、僕らがジャズにハマり始めた若かりし頃のピュアな気分を大いに蘇らせてくれるには十分魅力的だし、そこには決して忘れてはいけないものが込められているように思う。

OSIAN ROBERTS & STEVE FISHWICK QUINTET _2nd On The Up And Up  ( HMV )
2008 Hard Bop Records HBR33003


Steve Fishwick ( tp ), Osian Roberts ( ts ), Oliver Slama ( p ), Dave Chamberlain ( b ), Matt Fishwick ( ds )





最新作よりもこちらの方がノリがイイ。「俺たちはアメリカが好きなんだぞ~。」って云う感じが伝わってきて微笑ましい。ジャケットもモロ Riverside だね。殆どがオリジナル曲なのだが、そのメロディーが非常に耳に馴染みやすく清々しく、初めて彼らのアルバムを買うならこの第二作目がお薦め。


OSIAN ROBERTS_STEVE FISHWICK_1st Too Much !  ( amazon )
2003 Hard Bop Records HBR33001


Steve Fishwick ( tp ), Osian Roberts ( ts ), Oliver Slama ( p ), Dave Chamberlain ( b ), Matt Fishwick ( ds )






2003年の初作。英国ハードバップ専門の新興レーベル Hard Bop Records の記念すべき第一弾作品。なかなかの好盤。何処となくSP盤っぽいアートワークが香ばしい。
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Sven Bergmann Trio / Mosaics

   ↑  2010/02/21 (日)  カテゴリー: piano
sven bergmann Sven Bergmann Trio  /  Mosaics  ( HMV )
2009 Stf AMF0396


Sven Bergmanne ( p )
Stefan Werni ( b )
Bill Blgart ( ds )





ドイツ出身のピアニスト、スヴェン・ベルグマン ( Sven Bergmann , 1973~ ) のリーダー作としては三作目となる作品。2004年から2008年まで、The Academy for Theatre and Music Leipzig でリッチーバイラークに師事したというだけあって、幾分内省的ながらも透明感を湛えた抒情的メロディー&ハーモニーを身上としているピアニストのようです。M-1 ≪ The Days of Wine and Roses ≫ 以外は彼のオリジナルですが、僕個人的にはその酒バラが一番印象に残りました。アレンジが斬新で、手垢のついた酒バラが鮮やかに蘇っているのです。
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Giovanni Sanguineti / Hard To Find - Tribute To Leroy Vinnegar

   ↑  2010/02/21 (日)  カテゴリー: bass

giovanni sanguineti Giovanni Sanguineti  /  Hard To Find - Tribute To Leroy Vinnegar ( HMV )
2009  Ultra Sound Records  USCD044S


Giovanni Sanguineti  ( b )
David Hazeltine ( p )
Ed Thigpen ( ds )





イタリア出身のベーシスト、ジョヴァンニ・サングィネッティ ( Giovanni Sanguineti , Genova , 1974~ ) の2009年リリースのデビュー作。バスター・ウイリアムスに師事していたという経歴を持つらしく、これだけで僕個人的にはドン引きなのですが、ピアノが大好きなデヴィッド・ヘイゼルタインで、ドラムもエド・シグペンなので、そちらに期待して買ってみたらなかなかの好盤だったので、ちょっと取り上げてみました。

僕はデヴィッド・ヘイゼルタインが大好きで、Venus、Criss Cross、Sharp Nine と、どのレーベルにも質の高い作品を残していますが、最近、ヘイゼルタインを深夜に聴きたいと思うと、自然と本作に手が伸びてしまいます。ヘイゼルタインは大変リラックスした雰囲気で演奏してますが、繊細にして滋味溢れる表現力の豊かさは健在です。別段、派手なことをやっている訳ではないのですが、だからこそ、そのアーティストが本来持っている品位みたいなものが滲み出るのではないでしょうかね。

主役のサングィネッティは、お世辞にも巧いとは云えません。それどころか、時々、リズムが怪しくブレる個所が散見され、こんなの記録ブツとして残して良いのだろうかと、心配になるほどです。しかも、本作は躍動するリズム・キープ力では西海岸ナンバーワンだったリロイ・ヴィネガーへのオマージュ作品。にもかかわらず、こんな演奏ですから・・・。

サングィネッティは今年になってからもグラント・スチュワートを迎えて第二作目となる作品 『 Mindfullness 』 ( Ultra Sound ) をリリースしています。試聴してみましたが、もともとグラント・スチュワートに対する興味が薄いのでどうもしっくりせず、購入には至っていません。
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Daniel Szabo Trio Meets Chris Potter / Contribution

   ↑  2010/02/20 (土)  カテゴリー: piano

daniel szabo_contributionDaniel Szabo Trio Meets Chris Potter / Contribution ( HMV )
2010 BMC CD151
 

Daniel Szabo ( p )
Chris Potter ( ts,ss, b-cl )
Matyas Szandai ( b )
Ferenc Nemeth ( ds )



コンテンポラリー系テナリストの最右翼、クリス・ポッターが客演していることで局地的に話題になっているハンガリー出身のピアニスト、ダニエル・サボー ( Daniel Szabo , 1975~ ) のリーダー作。クリス・ポッターがクレジットされていなければおそらく誰も見向きもしなかったでしょうね。だから、聴くまではクリス・ポッターの熱狂的な一部のファン向けのコレクターズ・アイテムだろうぐらいにしか考えていなかった。がしかし、これが聴いてみたらビックリ仰天の素晴らし作品で嬉しい誤算。

ポッターが凄いのはいつものことなので当然としても、ダニエル・サボーの洗練された現代的ピアニズムにはたいへん興奮しました。しかもバンド各人の音楽的意匠のベクトルが完全に一致し、単なるハンガリー・ローカル・バンドにポッターが出稼ぎ出演したというやっつけ企画ではないです。ポッターの独特のヒネリ感覚漂う世界観にサボー以下のメンバーも完全にシンクロしているのです。

「 ハンガリーは僕にとっては第二の故郷のような処さ。なんたって僕の妻はハンガリー人だからね。僕がダニエルに初めて会ったのはハンガリーのジョールという都市でギグをやった時さ。彼らの演奏を聴くまでは、正直なところ彼らには期待していなかったんだ。“ ローカル・リズム・セクション ” という言葉は、最悪の場合を予想しておけ、という意味なんだよ。しかし、ダニエルの演奏を聴いたら、彼には “ ローカル ” という言葉が当てはまらないことがすぐにわかったのさ。」 ( クリス・ポッター)

僕たちリスナーもダニエルの才能には驚かされたけど、ポッターも同じように驚いたようです。このダニエルという日本では無名といってよいピアニストとは、いったいどんな経歴を持つのだろう。そう思って先日、ネットで彼の経歴を探しだし、アップしておきましたので興味がある方はこちらをご覧ください。幼少期に既にピアノの才能を開花させ、母国ハンガリーはもとよりヨーロッパ諸国を股にかけて演奏活動を行っていたという神童で、ヘンリ・マンシーニ研究所の奨学金やアルブライト奨学金を授与され、ニュー・イングランド音楽院の修士課程で学んだエリートのようです。

ハンガリーのジャズって今まであまり聴いたことがなくて、ピアノならガッツ・プロダクションが日本に紹介したソルト・カルトネッカー ( Zsolt Kaltenecker ) ( 前項あり ) や、澤野工房からアルバムを出しているロバート・ラカトシュ ( Robert Lakatos ) ( 前項あり ) ぐらししか聴いたことがなかったです。二人とも馬鹿テクでした。ハンガリーって国は、ミュージシャンの量的には他の西洋諸国に劣ってはいるものの、質的には全く遜色ない優れた人材を誇っているんですね。

余談ですが、ハンガリー人の名前って難しいですよね。どう発音したらよいのか分からないでしょ。そこでこの Daniel Szabo の発音についてちょっと調べてみたのですが、“ Sza ” は、“ ザ ” ではなく “ サ ” と濁らないみたいです。在ハンガリー日本国大使館のWeb Site で確認しました。そのサイトにはハンガリの閣僚名簿が掲載されていて、環境保護・水利大臣 Szabo Imre ( サボー・イムレ ) という日本語で併記されていましたから間違いありません。流石に大使館は発音に誤りはないでしょう。そう云えば、上記のピアニスト、“ Zsolt ” も “ ソルト” ですし、昨年、澤野からアルバムをリリースしたハンガリー人ボーカリスト、“ ニコレッタ・セーケ( 前項あり ) ” も“ Nikoletta Szoke ” と発音してましたね。

ちなみに、ハンガリーでの名前の表記は、日本をはじめアジア諸国と同じく、性・名の順です。だから Daniel Szabo は本国では Szabo Daniel と呼ばれていて、 Szabo が性で Daniel が名前ということです。実際、彼のデビューアルバム『 At The Moment 』 には Szabo Daniel とクレジットされています。

閑話休題。
全7曲すべてがサボーのオリジナル。冒頭曲 ≪ Attack of The Intervals ≫ からポッターはグイグイ攻め上げる感じで容赦ない。その容赦ないコークスクリュー変態フレーズに、サボーもハンコック・ライクなモーダル・ラインで応戦。最後列から繰り出されるフェレンツ・ネメス ( Ferenc Nemeth ) ( 前項あり ) の煽情的なパッシング。

現代即興音楽風の3分に及ぶピアノ・ソロの導入部から不安感を煽るような3/4拍子のテーマへ突入していく M-2 ≪ Strange Wind ≫。ここでもポッターのソロはイマジネイティブで刺激的だ。メカニカルでロジカルな音列を奏でているのに、その音色はワイルドで猥雑な匂いを発散するポッターのソロ。たまらなくゾクゾクするね。

聴いているうちに生体リズムの変調をきたしそうな複雑で不可解な変拍子を多用したM-3 ≪ Camel Gallop ≫( ラクダの疾走!? ) 。メロディー・ラインは何処となく哀愁漂う民族音楽風。さらに東欧~中東風のメロディーを持った M-4 ≪ Melodic ≫ では、ポッターはバスクラに持ち替えてソロをとる。一転して M-5 ≪ Whirligig ≫ ではソプラノを披露。何気に聴いていると自然で流れるようなソロをいとも簡単に吹いているけど、リズムは複合変拍子の難解な曲。サボーのソロも繊細かつ知的で、ただただ美しい。

とにかく、彼らの脳裏には共通する確かなサウンド・イメージができあがっているから、全体のサウンドの統一感が深く、聴いていて大変心地よい。リハーサルを含めどのくらいの準備期間があったのか分からないが、超多忙のポッターがそれほど彼らと一緒に音を出して調整する時間はなかっただす。それなのにこれ程まで完成されたバンド・サウンドを奏でられるとはやっぱり凄い。

そしてポッターも凄いがサボーも同等に凄い。

思わぬ逸材は常に思わぬ処から現れる。

東欧にはまだ見ぬ希有なミュージシャンが眠っているのは容易に想像できる。そして本作は、ローカルに埋もれていた有能で魅力的なミュージシャンを、クリス・ポッターの手により結果的には紹介することとなった、愛すべき作品といえるのではないでしょうか。


 中年音楽狂さんの記事 『 ジャケは?だが、内容は最高だったクリポタ参加作 』 はこちら

 910さんの記事 『 Contribution / Daniel Szabo Trio Meets Chris Potter  』 はこちら

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2010/02/20 | Comment (18) | Trackback (4) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Daniel Szabo / At The Moment

   ↑  2010/02/18 (木)  カテゴリー: piano
daniel Szabo_at the momentDaniel Szabo / At The Moment   ( amazon.co.uk )
1998  Warner


Daniel Szabo ( p )
Zoltan Olah ( b )
Andras Mohay ( ds )






その一挙手一投足が気になるクリス・ポッターが客演した最新作として話題のピアニスト、ダニエル・サボー のアルバム『 Contribution 』 が実にすばらしい出来で、このところ愛聴しているのですが、リーダーのダニエル・サボーはまったくの初見だったので、すこしばかり経歴をネットから引っぱってきてみました。( 原文はこちら

ダニエル・サボーは、1975年にハンガリーの首都ブタペストから200キロほど南に向かった 人口約3万人のコムローという都市に生まれている。両親が音楽家であったことの影響もあり、サボーは4歳の頃からピアノを習い始めた。

まずサボーが最初に音楽教育を受けたのは、ユーゴスラビアとの国境に近いハンガリーで最も古い町の一つ、ペーチェ ( pecs ) にある フランツ・マーティン・フリー・アート・スクール ( Ference Martyn Free Art School ) という学校だった。その学校は、クラシック、即興音楽、さらにはジャズなどを平行して総合的に学ぶという特殊な教育を行っていた。そして、少年の頃からすでにハンガリーはもとよりヨーロッパ各国で、クラシック音楽や現代即興音楽やジャズの演奏活動を行うという神童ぶりを発揮していた。

ジャズとの最初の出会いは、8歳のときに聴いたエロール・ガーナの『 コンサート・バイ・ザ・シー 』であり、12歳でハイドンのピアノ・コンチェルトを弾き、15歳の頃までにはありとあらゆるジャズの楽曲を演奏できたという。

高校を卒業後はペーチェ大学に進学し人間科学を学び、三年後には更なる音楽教育を受けるためにブタペストに移住。 フランツ・リスト音楽院 (Ference Liszt Academy of Music ) のジャズ学科に入学し、2000年にはジャズピアノ演奏で学士学位を取得し、その後、フランス言語文化論で修士学位を取得している。

1997年にリトアニアで開催された国際ジャズ・コンテストで優勝。1998年にはハンガリー国営放送局主催のジャズ・ピアノ・コンペティションで優勝。その受賞がきっかけとなり、デビュー・アルバム 『 At The Moment 』をワーナー・ハンガリー からリリースする機会を得ている。

さらに2000年には、モントルー・ジャズ・フェスティヴァル主催のヘネシー・ジャズ・ピアノ・ソロ競技会で優勝したことが評価され、NYC で開かれた IAJE カンファレンス でゲスト・ソリストとして演奏を披露している。このころには、ロンドンやベルリンやブリュッセルなどのライブハウスで自身のレパートリーを演奏してる。そして2000年と2001年に、ソロ・ピアノ作品 『 Clusters』とトリオ作品 『 Free Mind Trio 』をリリースしている。

2001年、L.A. のヘンリー・マンシーニ研究所に全額給与の奨学生として参加するという名誉を得ている。そこでボザは、ランディー・ブレッカー、クリスチャン・マクブライド、ロイ・ハーグローブ、ヴィンス・メンドゥーサ、ボブ・ベルデン、パティー・オースチン、デイヴ・カーペンター、ピーター・アースキンらなど、世界的に著名なミュージシャンと共演をはたしている。

2003年、名誉ある国費奨学金であるフルブライト奨学金を得て、ボストンのニュー・イングランド音楽院の修士課程に入学し、2005年5月には同院を卒業している。

ボストン在住中にボザは二人の良き指導者と出会っている。一人はボブ・ブルックマイヤーであり、彼からは作曲と編曲を学んだ。もう一人の指導者はダニーロ・ペレスであり、彼からはジャズピアノの奏法を学んでいる。彼ら以外にも、ジェーリー・バーガンジー、スティーブ・レイシー、ジョージ・ガゾーン、マイケル・カナンらからの指導も受けた。また、マリア・シュナイダー、ジョー・ロバーノ、ジョージ・ラッセル、ティム・ハーゲンスなどとも共演するなど、その活動範囲を広める一方、NYCのライブハウスでも演奏する機会を得て成功を収めている。

帰国後はイタリア人アルト奏者のロザリオ・ジュリアーニとも共演し好評を博した。

2006年には、マーシャル・ソラール・ジャズ・ピアノ競技会でパリ市金賞も受賞している。

2007年にはニューヨークで活躍しているコンテンポラリー系ギタリストのカート・ローゼンウィンケルを迎えて、ボザとしては5作品目となる作品 『 Frictions』 をワーナーよりリリースした。

現在のところ最新作は、2009年に BMC から発売されたクリス・ポッター参加のカルテット作品 『 Contribution 』である。
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2010/02/18 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Ryan Kisor Quintet / Live at Smalls

   ↑  2010/02/16 (火)  カテゴリー: trumpet

Ryan Kisor smalls Ryan Kisor Quintet / Live at Smalls ( amazon )
2010  Smalls LIVE 001

Ryan Kisor ( tp )
Sherman Irby ( as )
Peter Zak ( p )
Carlos Henriquez ( b )
Ali Jackson ( ds )





昨日に引き続き、ニューヨークのジャズクラブ、スモールズの新レーベル SmallsLIVE からの一枚。
今作はライアン・カイザーにとってソロ名義としては16枚目のアルバムとなる。

ライアン・カイザー( Ryan Kisor , Iowa , 1973~ ) は90年のモンク・コンペティションで優勝し、すぐさま Columbia Records と契約。92年に『Minor Mutiny 』 で鮮烈デビュー。その後も90年代に Criss Cross から良質な作品をコンスタントに6作品リリースし、その地位を不動のものとしていった。個人的にはライアンの旬はこの Columbia  から Criss Cross  に吹き込んだ時期であったという思いが強い。特にデビュー作の 『Minor Mutiny 』 やCriss Cross の 『The Dream 』 などはすばらしい作品だと思っている。しかし、その後の Video Arts~Birds Records におけるプロデューサー主導の企画盤を乱造していったライアンには違和感を感じずにはいられない。

そんな近年のアルバムの方向性にモヤモヤした思いを抱いているファンには、今作のライブ音源は福音となるはず。あらためて振り返ってみたら、彼の長いキャリアのなかで意外なことに今作が初のライブ・アルバムなんだね。メンバーは前作 『 CONCEPTION - Cool and Hot 』 でも共演していたアルトのシャーマン・アービー、ピアノには隠れた名手ピーター・ザック、ベースは カルロス・ヘンリクウェッツ 、そしてドラムはアリ・ジャクソンという、ピーター・ザック以外は Jazz at Lincoln Center Orchestra のメンバーで固めたエリート集団。

全5曲で、そのうち4曲が10分以上の長尺な曲で、いかにもライブハウス的な構成。3曲は 『 CONCEPTION - Cool and Hot 』に収められていた楽曲で、それ以外は 『 This is Ryan 』 ( 2005, Video Arts ) で演奏していたガレスピーの ≪ Con Alma ≫ や『 One Finger Snap 』( 2007, Video Arts ) で演奏していたオリジナル・ブルースの ≪ Blues for Worm ≫  などをやっている。

とにかく全員が一丸となり熱く燃え上がり、自らも嬉々として演奏を楽しんでいる情景が眼に浮かんでくる。しかし何というか、ミュージシャンに好き勝手なことをやらせるとこんなにも生き生きした演奏ができるんだね。スモールズがミュージシャンにもファンにも愛され続けている理由が何となくわかる気がする。そして、こういう素晴らい演奏を聴くと、日本のレコード会社が如何に彼の才能をスポイルしてきたかが理解できる。

それにしても思うのは、ライアンのトランペットは決して貧弱な音ではないということだ。よく彼の音を軽くて薄っぺらなので魅力がない、と評する方がいるが、確かに Video Arts あたりの作品から聴きだすとそういう印象を抱くのも無理はないと思う。しかし、 今作で聴かれるように彼の本来の喇叭は、厚みがあり、歯切れもよく、たいへんよい楽器の鳴りをしていると思うのだが。

ライアンの好プレイも然ることながら、相棒のシャーマン・アービーの気迫のこもった豪快なソロにも圧巻だ。彼もまたライアン同様、Birds Records からキャノンボール・アダレイへのオマージュ盤を、しかも同レーベル恒例の美脚ジャケで出しているが、これが最高につまらない作品だった。彼の旧作である 『 Faith 』 や『 Black Warrior 』 あたりを聴いた後にその『 Work Song 』 を聴くと、同じアルティストが吹いているとは俄かに信じられないほど、クオリティに雲泥の差がある。

と云う訳で、スモールズという特別な空間でしか生まれえない音楽の魔法を見せてもらったような素晴らしい作品だった。しばらくは神棚に祭って、時々、拝聴させていただこうと思っている。
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2010/02/16 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Kevin Hays Trio / Live at Smalls

   ↑  2010/02/15 (月)  カテゴリー: piano

kevin hays smallsKevin Hays Trio / Live at Smalls ( amazon )
2010  SmallsLIVE


Kevin Hays ( p )
Doug Weiss ( b )
Bill Stewart ( ds )

 


 



ケビン・ヘイズ ( Kevin Hays, Connecticut, 1968~ ) の通算13枚目となる最新作は、ダグ・ワイス ( b ) とビル・スチュアート ( ds ) という10年来のレギュラー・トリオによるライブ・ハウス、スモールズでの実況録音盤。

スモールズはニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジにあるジャズ・クラブ。1994年にミッチ・ボーデン氏 ( Mitch Borden ) により開店したニューヨークを代表する最もカッティング・エッジなクラブだ。90年代から若き才能あるミュージシャンが集い、連日セッションに明け暮れていたといわれ、その中にはジョシュア・レッドマンやブラッド・メルドー、ブライアン・ブレイド、それからカート・ローゼンウィンケルやマーク・ターナーなどがいた。しかし、順風満帆に見えたクラブ経営にも徐々に陰りが見られるようになり、2001年の9.11事件が更に経営悪化に追い打ちをかけ、2003年についに閉店に追い込まれた。そして、ミッチ・ボーデン氏は姉妹店である Fat Cat の経営だけに専念していたが、2005年にはスモールズ跡地のオーナーの配慮ににより奇跡の復活を遂げ、現在も同氏の経営のもと、元気に営業を続けている。smalls logo


今回のケヴィンの新作はそのスモールズが新たに立ち上げたレーベル、SmallsLIVE からの一枚だ。まず第一弾として本作以外に、ライアン・カイザー、ピーター・バーンスタイン、デヴィッド・キコスキー、スティーヴ・デイヴィス、そしてイアン・ヘンドリクソン・スミスの計6枚がリリースされた。SmallsLIVE のOfficial Web Site を覗いてみると、発売はされていないものの、ニール・スミス、シーマス・ブレイク、ジム・ロトンディ、イーサン・アイヴァーソンらのジャケットも掲載されているので、このシリーズは今後も続いているようである。 

実はご存じのように、スモールズ関連のレーベルとして、Smalls Records というかなりマニアックなアーティストのアルバムを制作しているレコード会社が以前から存在している。スモールズ開店当時からクラブでの演奏をボランティアで記録していたルーク・カヴェン 氏 ( Luke Kaven ) が趣味が高じて自ら立ち上げてしまったレーベルであり、当然、スモールズでのライブ音源も多分に含まれている。今回の新レーベルSmallsLIVE Records と Smalls Records との棲み分け、差別化を今後どのようにしていくつもりなのだろうか。ちなみにSmallsLIVE Records のプロデューサーは、スモールズのマネージャーであり、また自らもピアノで定期的にクラブに出演しているスパイク・ウィルナー 氏 ( Spike Wilner )  である。

smalls records logo

 
さて、今作の内容だが、全7曲でそのうちケヴィンのオリジナルが3曲。ArtistShare 盤 『 The Dreamer 』 に収められていたタイトル曲 ≪ The Dreamer ≫ も演奏している。そのほかには昨年 Jazzeye からリリースされた前作 『 You've Got A Friend 』 にも収録されていたガス・アルムハイムのバラード≪ Sweet and Lovely ≫ やチャーリー・パーカーの≪ Cheryl ≫ も再演している。この2曲は昨年、青山の Body & Soul での彼らのライブでも演奏していた曲であり、彼らのお得いのレパートリー なのだろう。

どの曲もライブならではの長尺な演奏で、ケヴィンなどは果てしなくソロをとっていて、聴いているほうが疲れるくらい元気だ。演奏もリラックスした中にも最後まで弛緩しない程良い緊張感が持続していて、飽きることはない。Body & Soul ではビル・スチュアートの眼の眩むような鮮やかなソロを披露してくれたが、今作では残念ながらビルのソロはない。ちなみにこのSmallsLIVE のポリシーの一つに次のような文言がある。

smallsLIVE artists are not placed under any constraints in terms of material, length of cuts or personnel. the aritst chooses all the takes. the presentation is that of being at the live show.


どんなメンバーでどんな曲をどういうアレンジで演奏するか。また、その音源をどのようにCD化するかなど、すべてアーティス側に任せているらしい。店側はアーティストに演奏場所を提供するだけ、というスモールズ の開店当時からの理念がここにも生きている訳だ。

ケヴィンの矢継ぎ早に畳みかける右手の超高速昇降フレーズが永遠と続き、心地よい眩暈を覚える。この人、昔からこんなに指が動く人だったっけ、と驚ろかさ れる。とにかく両手ともよく動く。しかも右手と左手の動きに関連性がないというか、全く別な指令系統下で動いているかのような驚異的な演奏力だ。超一流の コンテンポラリー系ピアニストの中にはブラッド・メルドーをはじめ、このような左右の手で独立したソロをとるプレーヤーが多いが、ケヴィンの左右独立分離 型ソロのレベルは抜きんでている。

編集を最小限に抑えた普段着の演奏にしてはそのクオリティーは大したもんだと思うが、いかんせん録音 が今一つなのが残念だ。今、巷で流行りのリニアPCMレコーダーでオーディエンス録音された隠し撮りブート盤みたいな録音なのだ。まあ、ある意味、リアル な音源と言えなくもないが・・・。

このシリーズ、値段が1,800円と新録盤にしては大変リーズナブルなので全部買いそろえた いところだが、録音がいまひとつなので、とりあえず本作とライアン・カイザーだけ買ってみた。

ちなみに amazon.com ( us ) では $8.99 で買えちゃう。6枚まとめて注文すると送料が約$22~23 で、CD代金が約$54 だから合計で$77ぐらいで手に入る。$1 =90円で計算すると 6,390円。日本で輸入盤を買うと6枚で10,800円だから、送料がかかっても4,500円もお得。 さらに Officila Web Site からダウンロードするだけなら1枚$7.00 !! だから、6枚ダウンロードしてもたったの3,780円。どうせ録音が悪いのだから、残りのアルバムはダウンロードで済ませちゃおうかなぁ。

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2010/02/15 | Comment (10) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Sidsel Storm / Sidsel Storm

   ↑  2010/02/12 (金)  カテゴリー: vocal
SidselStormSidsel Storm / Sidsel Storm (HMV )
2008  Calibrated CALI072


Sidsel Storm (vo), Morten Lund (ds), Jacob Karlzon (p),
Jesper Thorn (b,cello), Gunnar Halle (tp),
Alexander Kraglund (vln)  
 






デンマークの歌姫、シゼル・ストーム ( Sidsel Storm ) のセルフタイトルを冠した2008年のデビュー作。

デンマークの女性ヴォーカル界には、セシリア・ノービーやマレン・モーテンセンなど、モデル並みの美貌の方々がいますが、このシゼル・ストームもご覧のように彼女らに負けず劣らずのルックスの持ち主です。プルンプルンした唇の隙間から覗かせる前歯が愛らしく、思わず手にとってみたくなる綺麗なアートワークです。

 で、ここまでルックスがイイと、どうせ歌は下手なんだろうなぁ~と下種の勘繰りをいれてみたくなる心の貧しいわたくしですが、実は予想に反してこれがなかなかの美声を聴かせてくれる女性でありまして、思わず添い寝したくなるような好盤なのです。でも、ここははっきりさせておきたい大事なことですが、別にジャケットに惹かれて買ったわけじゃなく、バックでピアノを弾いているヤコブ・カールゾン買いですけどね(きっぱり)。

全11曲中、4曲が彼女のオリジナル。25歳という若さながら既に作曲にその才能を開花させています。父親がフォーク・シンガーだったこともあるのでしょうか、彼女のオリジナルはジャズというよりポップスに近いテイストを持っています。彼女の歌声には凛とした美しさが自然に漂っています。ちょうど逆浸透膜フィルターで不純物を完全に取り除いた純水のようなピュアでクリアな歌声がとっても気持ちイイです。このどこか線の細さを漂わせているところが、よい意味で北欧のヴォーカリストらしいのですが、もう少し押し出しが強くてもいいような感じもしますが。

と云うのも、曲によっては完全にバックのカールゾンに主役の座を奪われていたりするからです。M-10 ≪ My Favorite Things ≫ なんか、カールゾンのソロが凄過ぎて、誰のリーダー作を聴いているのか分からなくなってしまうような展開です。カールゾンの間奏が始まると、もう誰にも彼を止められません。歌伴をしているんだ、ということを完全に忘れているかのような暴走間奏です。まあ、そこがカールゾン・ファンにはたまらなく魅力的に映る訳ですが。

ベーシストのイェスパー・トーン ( Jesper Thorn ) も箱鳴りを生かした重厚でウッディーな生音で、なかなかの名手です。シゼルとのデュオで≪Blame it on My Youth ≫ を演奏してますが、ここでのベースソロは圧巻です。彼についての詳細はわかりませんが、マイスペを見る限りかなり若い感じです。おそらく同国のアンデルス・クリステンセン ( Anders Christensen ) ( 前項あり ) と同世代ではないでしょうか。さすがはベース大国デンマークです。つい最近までイェスパー・ボディルセン ( Jesper Bodilsen ) が若手ナンバーワンと思っていましたが、すでにその次の世代が育っているんですね。

sidsel storm _SWEDISH LULLABY
 
ということで、近日中に彼女の1年半ぶりとなる第二弾作品がリリースされる予定です。『 Swedish Lullaby 』 と題したこのアルバムでは、ヤコブ・カールゾンに代わってラーシュ・ヤンソンが参加しているので、非常に楽しみ。主役のセジルに興味がなくても、サイドメン買いで十分モトが取れそうです。

Disk Union のこちらで試聴できますし、セジルのOfficial Web Site の Top Page でもストリーミングで試聴できます。

試聴したかぎりでは、デビュー作よりもさらにポップになっているみたいです。

Sidsel Storm / Swedish Lullaby
  ( HMV )
2010  Calibrate CALI106
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Patrick Poladian / Comfort Me Blue

   ↑  2010/02/10 (水)  カテゴリー: piano

PATRICK POLADIAN2Patrick Poladian / Comfort Me Blue  ( amazon )
2000  Voyage Music


Patrick Poladian ( p )
Sean Smith ( b )
Akira Tana ( ds )






フランス生まれで80年代よりニューヨークで活躍するピアニスト、パトリック・ポラディアンの2000年作品。決して派手さはないが、翳りと軋みを内包した知的な音作りで、何度繰り返し聴いても飽きない、愛聴盤にふさわしい逸品。このたび再プレスされたようです。持ってて損はないアルバムだと思います。
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2010/02/10 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Will Bonness / Subtle Fire

   ↑  2010/02/10 (水)  カテゴリー: piano
willbonnessWill Bonness / Subtle Fire  ( amazon )
2009  DIG!


Will Bonness ( p )
Steve Kirby ( b )
Terreon Gully ( ds )





カナダのウィニペグ出身の新進気鋭のピアニスト、ウィル・ボネス ( Will Bonness ) のデビュー作。14歳からプロとしてのキャリアと積み、10代にしてメイナード・ファーガソン楽団のピアニストとしてワールド・ツアーにも参加したという肩書きを持つピアニストだ。レジーナ・カーターやアヴィシャイ・コーエン ( tp ) とも共演しており、現在は地元カナダに留まらず、ニューヨークやヨーロッパのクラブで演奏をする機会も増えているらしい。

メイナード・ファーガソン楽団のピアニストと云えば、超絶技巧の正統派ピアニスト、クリスチャン・ジェイコブを想起するが、はたしてウィル・ボネスもかなりの技巧派であった。無名のローカル・ピアニストというと、スインギーで小粋で歌心はあるがテクニックはB級、というイメージが付きまとうが、ボネスの場合はその先入観を完全に払拭させてくれる。

とにかくメロディーやリズムが明快で気難しくないところに好感が持てるし、また、良い意味で4ビートに拘泥することのない自由で新鮮な感性には強いシンパシーを感じずにはいられない。たとえば、ケビン・ヘイズやジェフ・キーザーやティグラン・ハマシアンやエヴジェニー・レベデフやアーロン・パークスなど、現代を生き抜くアクチュアルなピアニストと比較しても全く遜色ないコンテンポラリーな魅力に満ち溢れている。

収録曲の大半を占める彼のオリジナル曲も十分魅力的でソングライティング能力に秀でていることが窺えるし、また、スタンダードの ≪Softly, as in a Morning Sunrise≫ や ≪It Never Entered My Mind ≫ のハッとするような斬新なアレンジにも彼の才能を感じる。単に演奏力だけではなく、このような作曲力&編曲力の才能をオプションとして備えていることは、現代のジャズシーンで生きる上で必要不可欠な能力ではないだろうか。

ベーシストのスティーブ・カーヴィ ( Steve Kirby , 1956~ ) はもともとはオハイオ州出身のミュージシャンであるが、2003年にウィニペグに移住し、以後、ウィル・ボネス のレギュラー・ベーシストを務めている。また彼は現在、マニトバ大学ジャズ科の音楽監督の職についているようだ。スタイル的には比較的オーソドックスで目立たない弾き手だ。

一方、ドラマーのテリオン・ガリー ( Terreon Gully ) は激しくフロントを煽る攻撃的な太鼓屋で、クリスチャン・マクブライドやジェフ・キーザーのバンド参加でその名を世に知らしめたテクニシャンだ。

話は主役のボネスに戻るが、彼はかなり指は動くし、色々できるし、やりたい気持ちも伝わってくるが、何となく表層的で深みに欠ける気がしてならない。技術力に任せてガンガン弾きまくるのは、若さゆえに致し方ないとは思う。がしかし、表層的なものを越えたところに、真の魅力的な何か、個性的で圧倒的な何かがあるかどうか、そこが今後問われることになるのではないだろうか。

いずれにしても、しばらくウォッチするに値する逸材であることは間違いなさそうなので、これからが楽しみだ。
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2010/02/10 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Christian Scott / Yesterday You Said Tomorrow

   ↑  2010/02/09 (火)  カテゴリー: trumpet
Christian-Scott-_Yesterday Christian Scott / Yesterday You Said Tomorrow 
( amazon )
2010 Concord


Christian Scott ( tp )  Matthew Stevens ( g )
Milton Fletcher Jr. ( p )  Kristopher Keith Funn ( b )
Jamire Williams ( ds )



ルイ・アームストロングから、ウイントン・マルサリスを経て、テレンス・ブランチャード、さらにはニコラス・ペイトンに至るまで、綿々と受け継がれてきたニューオリンズ・ジャズの血統を未来に繋ぐトランペッター、 クリスチャン・スコット ( Christian Scott , New Orleans , 1983~ ) の通算4作品目となる最新作。

バークリーを卒業と同時に名門 Concord Records と契約し、以後、コンスタントにアルバムをリリースしてきているところを見ると、本国ではそれなりの評価され、商業的にも成功しているのでしょう。バリバリのハードバッパーぶりを披露したのはデビュー作 『Rewind That 』 だけで、以後は社会派アーティストぶりを発揮して、自己の独創的な音世界を築く一方で、ファッション・モデルなどでも活躍するといったマルチな才能を見せてきました。既に20代にして売れるためのスキームを構築しちゃっている訳で、トランペットが巧いだけではなく、なかなかのヤリ手、商売上手な方のようです。

ただ、個人的には彼のような社会的メッセージを振りかざして訴えかけるミュージシャンはあまり好きではありません。所詮、黄色人種に黒人の苦悩は理解できないものですので、そのあたりは致し方ないのですが。 第二作目の『 Anthem 』 などは本国では高い評価を得ていたようですが、なにしろ “ ニューオーリンズを襲ったカトリーナ・ハリケーン被災に対して政府がとった対応への怒り ” をテーマにしているメッセージ・ソング集でしたから、ドン引きしてしました。ちょうど、グラミー賞をとったテレンス・ブランチャードの『 A Tale of God's Will 』 が、こと日本においては( 一般のジャズ・ファンの間では) 不評だったと同様に、そこには人種の壁が歴然と横たわっているのです。

さて、今作ですが、メンバーは前作から引き続きギターのマシュー・スティーブンスとドラムのジャマイア・ウィリアムスが参加。マシューはクリスチャンが全幅の信頼を寄せている盟友であり、クリスチャンの音楽のコアとなる存在。ジャマイア・ウイリアムスは前作 『 Live at Newport 』 ( 前項あり ) からの参加ですが、ステージではそのクレイジーぶりを遺憾なく発揮し、存在感バツグンのドラマーでした。最近は結構オファーが多いらしく、知っているだけでも、ロバート・グラスパー、ジャッキー・テラソン、あとケニー・ギャレットらともやっていました。

ピアノはアーロン・パークスが抜け、ミルトン・フレッチャーという新人が加入しています。この人がなかなかの弾き手で前任のアーロン・パークスをも凌駕する鋭いフレーズを連発しています。誰が集めたか分かりませんが、このメンバーはクリスチャン・スコットの描く音楽をものの見事に具現化してますね。とってもイイ人選なのではないでしょうか。

クリスチャンのオリジナルが7曲、マット・スティーヴンスの曲が1曲、クリスチャンとマットの共作が1曲、そしてラジオヘッドの≪The Eraser ≫ のカヴァで全10曲。前作のライブ盤でも披露していたバラード ≪Isadora ≫ を再演している以外は初レコーディングの曲です。スタジオはVan Gelder Studio を使用し、もちろんエンジニアはヴァンゲルが担当しています。曲の内容としては相変わらず沈鬱な曲想が大半を占めています。なんでこんなに暗いんだろう。テーマが黒人を差別する警察風刺、冤罪問題、大統領選挙にまつわる問題などなど、どれもシリアスな社会問題ばかりです。クリスチャンもミュートを多用し、抑制的なスタイルで通すものだから、どうしても聴いているこちらとしては欲求不満になってしまうし、気が滅入ってくる。

でもまあ、生き馬の目を抜くニューヨークのジャズシーンでは、これくらい個性的でないと生きていけないのでしょうか。それに品行方正なジャズ・ミュージシャンばかりになってしまった現在のシーンにあっては、彼くらい刺激的で突き抜けた存在のほうが面白いことは確か。たまに引っ張りだして聴くにはイイかも。でも通勤時に iPod でジャズを聴くことが多い僕にとっては、それでなくても仕事に行くのが憂鬱なのに、こんなのを通勤時には聴く気には到底なれないなぁ。
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2010/02/09 | Comment (2) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

WINTERPLAY / Songs of Colored Love

   ↑  2010/02/07 (日)  カテゴリー: vocal
winterplay_songs of colored love WINTERPLAY / Songs of Colored Love  ( amazon )
2009  Universal Jazz UCCY-10006
















女性ヴォーカルのヘウォンと、トランペット奏者のジュハン・リーによる韓国のジャズ・ユニット。 昨年からかなり気に入って聴いています。ヘウォンさんの透明感のある歌声と、サウダージ系のオリジナル曲がとっても心地よいです。

今週10日に第二作目となる作品 『 Sun Shine 』 が発売される予定です。ちょっと試聴したところ、今作『 Songs of Colored Love 』 とはだいぶ雰囲気が違ってるみたいです。マイケル・ジャクソンの ≪ billie jean ≫ などもやっていて、かなり元気がイイ作品みたい。個人的にはこちらのファーストの方が好みかな。

今まで韓流ブームを冷ややかな目で傍観していたのですが、彼女を知ってから、まんざら韓国ミュージックも捨てたもんじゃない !!  それどころか、歌も踊りも日本人よりず~とうまいじゃね~か。と感心しながら、いま、密かに “ 少女時代 ” にハマってます。




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Randy Ingram / The Road Ahead

   ↑  2010/02/07 (日)  カテゴリー: piano

randy ingram2 Randy Ingram / The Road Ahead ( HMV )
2009  Brooklyn Juss Underground Records BJUR010


Randy Ingram ( p )
Matt Clohesy ( b )
Jochen Rueckert ( ds )
John Ellis ( ts, ss )





ブルックリンを拠点に活躍する新進気鋭のピアニスト、ランディ・イングラム ( Randy Ingram , Laguna Beach, CA, )  のデビュー作が Brooklyn Jazz Underground Records  ( bjurecords )  から発売になった。

bjurecords は、創造的で冒険的なコンテンポラリー即興音楽に取り組む独立系レーベルであり、インディーズ・アーティスト自らが音楽制作&レコーディングからプロモーションまでの全てを行うという運営方針をとっている。Brooklyn Jazz Underground という即興音楽を支援するインディーズ・アーティストのための協会があるが、それはこのbjurecords の兄弟会社である。 brooklyn Jazz underground

bjurecords は2008年に設立したばかりの新興レーベルであり、カタログ数もまだ12枚とわずかだが、インターネットの普及により益々このようなアーティスト主体の独立系レーベルに注目が集まる昨今、彼らの今後の展開に大いに期待したいものだ。

ランディ・イングラムは、NYC を拠点に主にコンテンポラリー系と呼ばれるアーティスト、たとえばベン・モンダー、ケンドリック・スコット、マイク・モレノらとの共演を通じて徐々に認知されていており、2007年には米国作詞家出版家協会 ( The American Society of Composers, Authors and Publishers : ASCAP ) 主催の Young Jazz Composer Awards にも輝いた経歴を持っている。

julie hardy

カリフォルニア州ラグナ・ビーチ生まれのイングラムは、南カリフォルニア大学 ( The University of Southern California : USC ) ならびボストンのニュー・イングランド音楽院 ( The New England Conservatory ) で、フレッド・ハーシュやダニーロ・ペレズに師事。2003年にはブルックリンに移住し、前述したようなコンテンポラリー・ジャズのフィールドで活躍している。

個人的にはイングラム同様、ブルックリン周辺を棲みかとしている女性ヴォーカリスト、ジュリー・ハーディー ( Julie Hardy ) の2007年作品 『 The Wish 』 ( World Culture Music ) で、ベン・モンダーとともに独特の浮遊感を演出していたのが印象に残っている。

内容だが、全9曲中5曲が彼のオリジナル。残りはセロニアス・モンクの ≪think of one ≫、オーネット・コールマンの ≪ round trip ≫、コール・ポーターの ≪ so in love ≫ 、そしてレノン/マッカートニーの ≪ for no one ≫ などをカヴァしている。基本編成はピアノ・トリオだが、3曲でジョン・エリス ( ts, as ) が参加している。

ということで、モンクやオーネットの楽曲は取り上げちゃったり、ジョン・エリスが客演しちゃたりで、なんだか気難しい文字通りアンダーグランド臭の漂うピアノかな、と聴く前から不安でしたが、開けてみたら意外に聴き易いジャズだった。アーロン・パークスを小振りにした感じだろうか。ガンガン弾き倒すタイプではなく、常にハーモニーを意識した繊細かつ抒情性豊かなスタイルを身上としているようだ。
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2010/02/07 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Pat Metheny / Orchestrion ( 3 )

   ↑  2010/02/06 (土)  カテゴリー: guitar



Pat Metheny  /  Orchestrion ( 1 ) はこちら 。

Pat Metheny  /  Orchestrion ( 2 ) はこちら 。

前回からのつづき 。

さて、肝心の内容だが、これがあまりにも自然な演奏で、ひとたび聴きだすと、それがコンピュータ制御された≪ からくり音楽 ≫ であることをすっかり忘れてしまうほどだ。

圧巻は、立体的に繰り広げられるパーカッションやヴィブラフォン、マリンバの饗宴だ。あまりにも多重奏過ぎて、今、どんな楽器がどう響いているのか整理できないほど色々な音が詰まっている。理屈ではアクチュエータの数だけ音を重ねることができるのだから、それはもう千手観音ごとき音数である。しかし不思議と圧迫感はない。

音楽の主軸をパーカッションやヴィブラフォンなどの自動化しやすくMIDIデータとして扱いやすい打楽器に据えた点も、このプロジェクトを成功させた鍵であろう。そしてなによりも、自動化がもっとも難しいギターが、メセニーの本職だったことも幸いしている。

眼前に広がる音世界は、まぎれもなく聴き慣れたメセニーのそれであり、音楽的な妥協もなく、クオリティーの低下もみられない。そこが凄い。

どう凄いかと云うと、つまり、こういうことだ。 

前述したように、今回のプロジェクトは LUMER と Ragtime West という2社の自動演奏に関する技術力がなければ成しえなかった。それは間違いない。しかし、この2社が製作した楽器ロボットの奏でる音楽を実際に聴いてみると、驚くことにあまりにもチープでお粗末だ。

LUMER の制作した Guitarbot は実験レベルの楽器に留まっているし、Ragtime West の自動演奏ギターにしても工芸品の域を脱していない。にも関わらず、これらの楽器を聴いたメセニーは “ これは使える !! ” と判断した。そして実際、これらの不完全な道具を操り、ものの見事に PMGのサウンドを再現してしまった。その才能にただただ驚くばかりだ。

本作の音楽としての出来は普通かもしれない。しかし、こんな玩具のような楽器だけで、これほどのジャズを作り上げてしまうことを考えると、やはりメセニーは天才と言わざるを得ない気がする。

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2010/02/06 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Pat Metheny / Orchestrion ( 2 )

   ↑  2010/02/06 (土)  カテゴリー: guitar
 



前回からのつづき。

Guitarbot は、たしかにMIDI ベースの楽器ロボットなのだが、その仕組みは意外に高度だ。

自らが発する音響信号をセンサーでシステムに取り込み、フィードバックさせることで正確な音程やリズムを制御し、複雑な音楽の再生を可能にしているのだ。

また、メセニーの今回のプロジェクトでは採用されていたかどうかは不明だが、このギターロボットは人間の奏でる即興演奏に即座に反応し、リアルタイムで自らも作曲しながらコラボレーションするという高度な技も備えている。どんなアルゴリズムで作動しているのか興味のあるところだ。

しかし、どんなに4本の Guitarbot が巧みな連携を図りながら高速で音楽を奏でようが、あくまでスライディング・フレットを採用している以上、本来のギターのサウンドには遠く及ばないことは、聴くまでもなく明らかである。それこそボトルネック・ギターか二胡か三味線のような音しか出せないわけで、メセニーをサポートするサイド・ギターの役割は到底演じられない。もちろんベース・パートを担うことも無理である。

そこで、メセニーが協力を仰いだのが Ragtime West というカリフォルニアの会社だった。同社はプレーヤー・ピアノをはじめ様々な自動演奏楽器を製造・販売しており、創業以来10,000セットもの楽器を世に送り出している。ディズニーランドをはじめとする多くのアミューズメント施設への技術提供も行っているという。

Ragtime West 社は、ロールを用いた昔ながらのプレイヤー・ピアノから、MIDI 制御の大掛かりなオーケストリオンまで、多種多様な自動楽器を手掛けているが、今回はその弦楽器に対する豊富なノウハウを提供することでプロジェクトに貢献している。

メセニーのオーケストリオン映像はYoutube で見ることができるが、その中に一瞬だけだがベースの演奏映像が映っている。

指盤上の各フレットごとに穴があけあれ、その穴を通りして後方から金属棒が差し込まれている。その棒の先端にはフェルトのついたブロックが装着されていて、ソレノイド・アクチュエータを介して棒が上下することでフレットを押さえる仕組みだ。一方、右手のピック部はカニの足のように4本のアームが弦上にまで伸びていて、これがソレノイドあるいはモーターを使用したアクチュエータで弦を弾く仕組みのようだ。

Pat metheny_automatic bass
Ragtime West 社のケン・コールキンズ氏 ( Ken Caulkins ) が、メセニーのプロジェクトには18種類の楽器を提供している、と語っているところをみると、おそらくギター類だけではなく、打楽器類もコールインズ氏の手によるもかもしれない。

いずれにしても、今回のプロジェクトはLEMUR とRagtime West という異なる2つのプラットフォームが存在しなければ達成できなかったと断言できよう。
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2010/02/06 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Pat Metheny / Orchestrion ( 1 )

   ↑  2010/02/04 (木)  カテゴリー: guitar

pat metheny orchestrionPat Metheny / Orchestrion  ( amazon )
2010  Nonesuch


Pat Metheny ( g, p, key, marimba, vib, guitarbots, b, ds, cymbals, blown-bottle, bells, perc, )

 

 

 


 
『 Orchestrion 』 と題したパット・メセニーの待望のニュー・アルバムは、自動演奏楽器を駆使して彼一人で パット・メセニー・グループのサウンドを奏でてしまう、という前代未聞の仰天プロジェクトだ。

『 Orchestrion 』とは、19世紀末から20世紀初頭にかけて盛んに開発された、複数の自動楽器を用いたオーケストラ演奏装置の総称。ホテルのロビーや高級クラブなどで時折見かける自動演奏ピアノ(プレイヤー・ピアノ )も、その Orchestrion の大切な構成楽器である。この自動ピアノの分野ではYAMAHA のディスクラビア  ( Disklavier )  が有名だが、実は本作のなかでもこのディスクラビアが大活躍している。

今回の完全一人プロジェクトの構想の発端はメセニーの幼少期まで遡る。7~8歳のころ、祖父の家の地下室に置いてあったプレイヤー・ピアノに魅せられ、以後ずっとこの楽器に対する思いを暖めてきた。普通の人間なら、幼少期に抱いた夢など大人になると忘れてしまうか、あるいは厳しい現実の前に夢など諦めていくものだが、メセニーはそうでなかったようだ。

世界一のコンサート集客数を誇るジャズ・ミュージシャンとして富と名声を手に入れたメセニーは、子供のころの夢を実現するのに十分な資金力を手に入れていた。優秀なエンジニアとの数ヶ月に及ぶ研究の末、ついに誰も見たことのないとんでもない巨大な自動演奏システムを完成させたのだ。

もちろんそこには最先端のコンピューター・ミュージックの技術と、電子工学系の技術が応用されているわけだが、その技術の中でもソレノイド・テクノロジーの進歩と Guitar-bot と呼ばれる自動演奏ギターの開発が今回のプロジェクトを成功に導いた鍵となる技術だと考える。

ソレノイド・テクノロジーとは電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換させる技術のこと。もともとはガレージの開閉器として考案されたが、現代社会ではさまざまな分野で利用されている。身近なところではどの家庭にもある全自動洗濯機の給排水電磁弁がそれである。ソレノイド技術を音楽に利用する際の最大のメリットは、反応時間が非常に短いため入力信号から実際に鍵盤や太鼓を叩くまでのタイムラグがほとんど無視できるくらい少ないということである。Youtube で演奏風景が観れるが、その中には2台のヴィブラフォンがセットされている。そこには1鍵盤に対して1マレットがソレノイド・アクチュエータ ( Actuator ) を介して装着されていて、MIDI信号に合わせて目にも留まらぬ速さで自動演奏しているのだ。このすばやい反応性はソレノイド技術なくしてなし得ないものだ。

guitarbot3 
もうひとつのプロジェクトの要が ギターロボット、Guitarbots だ。

実際のところ自動演奏楽器でオーケストラを組む際、ドラムやパーカッションなどの打楽器は自動化しやすいと思う。動きがシンプルなので、アクチュエータの構造も簡単なもので済む。ピアノやヴィブラフォンも一種の打楽器だから、これも簡単だろう。ピアノなどは前述したようにYAMAHA のディスクラビアを使用すればよいのだから。

一番の問題は弦楽器なのだ。1世紀前に Orchestrion が考案されたときもほとんどが鍵盤楽器と打楽器の組み合わせによる装置であり、弦楽器を組み入れたシステムは皆無だった。自動バイオリンが単体で開発されていたようで、こちらのYoutube で演奏風景を観ることができるが、おそらくそれが当時唯一の自動弦楽器だったのだろう。

このGuitarbot は、エリック・シンガー氏 ( Eric Singer ) が発明したギターロボットで、彼は現在、LEMUR ( League of Electronic Musical Urban Robots ) と呼ばれる自動演奏のためのロボットの開発チームを主宰している。 このなんとも奇妙な楽器だが、よく見ると4本のアルミ板にはそれぞれ1本づつギターの弦が張ってある。その弦の上をフレットが電動で上下にスライドすることで音程を変化させているようだ。そして、装置の下端に取り付けられた4枚ピック付きの立方体が回転することで弦をはじき、音が出る仕組みだ。原理は比較的簡単だが結構複雑な音楽を演奏することができるのには驚かされる。



 

LEMUR ( League of Electronic Musical Urban Robots )
ブルックリンに本部を置く自動演奏ロボットを研究開発する技術者および芸術家から成る非営利団体。ミュージシャン兼エンジニアであるエリック・シンガー氏により2000年に設立された。LEMUR は現在、ロックフェラー財団をはじめいくつかの文化財団からの助成により運営されている。

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2010/02/04 | Comment (8) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Anna Callahan / It's Just The Rain

   ↑  2010/02/03 (水)  カテゴリー: vocal
ANNA CALLAHAN_it's just the rainAnna Callahan / It's Just The Rain  ( amazon )
2004  Angharad


Greg Gordon ( p )
Joe Bagg ( org )
Richard Shaw ( b )
Jamey Tate ( ds )





アンナ・キャラハン ( Anna Callahan ) はボストンを拠点に10年以上にわたり活動しているヴォーカリスト兼トランペッター。自身のレーベル Angharad Records から 『 My Ideal 』 ( 2002 ) 、『 It's Just The Rain 』 ( 2004 ) の2枚のアルバムを発表していますが、上掲のアルバムは2枚目の『 It's Just The Rain 』。

ジャケットのヘソ出しウエストの被写体はもちろん彼女自身ですが、実はデビュー作のジャケットにもウエスト丸出しの衣装で登場しています。さらには彼女のweb site にもヘソ出しのタンクトップのお姿で出迎えてくれてます。なるほど、自慢したくなるのもなんとなく分かるような見事なウエストラインでございます。

彼女はミュージシャンとして活躍するその一方で、ソフトウェアの開発に携るエンジニアでもあります。現在、 iPhone などのアプリケーションを開発する iPhone Concept という会社に所属しているようです。

ジャズ・ヴォーカルのアルバムを取り上げる際に毎回書いているような気がしますが、他のインストゥルメンタルの作品と違ってヴォーカルはとりわけ個人の好みが強く反映されちゃう分野で、巧い下手という基準よりも、好きな歌声かそうでないかが重要な判断基準になってしまうと思うのです。あとは好きな曲が収録されているか、も重要な要素ですよね。

そういった意味でこのアンナ・キャラハンは僕個人的にはかなり好きな声質であり、数年前にファースト・アルバムの『 My Ideal 』を中古でたまたま手にしたのがきっかけで、以後ずっと愛聴していたヴォーカルです。ただセカンドの『 It's Just The Rain 』 が発表されているのは知っていたのですが、今まで手に入れる機会がなく、昨年暮れに Disk Union に再入荷したのでやっとゲットしました。

基本的に透明感があるのだけれど、ちょっぴりハスキーな独特の質感のある声で、どこか線の細さを漂わせているところが、僕の好みなのですが、まさに彼女の声はドンピシャであります。特にスロー・バラードは絶品で、深夜、自室に籠って、寝るまでの貴重な時間を一緒に過ごすには最高のヴォーカリストなのです。間奏パートで披露するトランペットも控えめながらなかなかの腕前で、心に確実に響いてきます。

anna callahan _I Ideal Anna Callahan / My Ideal  ( amazon )
2002 Angharad
 

Karen Hammack ( p )
Richard Shaw ( b )
Jamey Tate ( ds )
Barry Zweig (g )


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2010/02/03 | Comment (9) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Francois Faure Trio / That's All

   ↑  2010/02/02 (火)  カテゴリー: piano

That_s_All_Denis_Fournier_Fran_ois_Faure_That’ allFrancois Faure Trio / That's All  ( Tower Records )
2010  Gulle Records ( 1992 オリジナル )



Francois Faure ( p )
Philippe Lacarrière ( b )
Denis Fournier ( ds )









市場価格は真の価値を示す尺度ではなく、需要供給の関係、すなわち、相対的な希少性による 市場での交換価値を示す。

フランス人ピアニスト、フランソワ・フォーレ ( Francois Faure Bordeaux ) の92年作品 『 That's All 』 。毎度おなじみの 『 廃盤レア盤掘り起こしコレクション』 で紹介され、中古市場では数万円で取引されていた超レア盤だそうですが、今回めでたく復刻されました。

もともとプレス数が極端に少ない自主制作盤の中から、そこそこ出来の良い作品を掘り起こし、現物がすっかり市場から姿を消したころを見計らって 『 世界で○○枚しかプレスされなかった超レア盤 !!』 みたいな煽りコピーで消費者の購買意欲を掻き立て、さらには○○氏達のような有名人にちょっと取り上げてもらい、更にジャズマニアの下心を刺激したことろで一気に復刻盤を市場に投入・・・という販売戦略は、 『 希少性の原理 』『 権威の原理 』 を巧みに利用した古典的商法であることは十分承知しているのですが、でも結局は買っちゃうわけで、我ながら自分の浅はかさにうんざりしてしまいます。

売れなかったから廃盤になった ≫ と、どうして冷静に判断できないんだろうなぁ。

さて、Francois Faure というピアニストはどんな人なんだとうと思いググってみると、多くの日本語サイトがヒットしますが、ほぼすべてがこの希少性をアピールした宣伝コピーで、彼の経歴などに触れた日本語サイトは皆無です。これだけ持ち上げておきながら彼の素性について無関心なのは、どう考えてもおかしいでしょ。という訳で、ごくごく簡単ですが、彼の経歴を紹介しておきます。(実はフランス語のサイトをググっても、ほとんど彼の情報は得られませんでしたが。)

フランソワ・フォーレはボルドー生まれで、年齢は不詳。地元のボルドー音楽アカデミーでクラシック音楽を学び、一方で早い時期からジャズにも興味を持つようになり、地元ボルドーを拠点に30年にわたり活動している典型的なローカル・ミュージシャンです。実は本業はコンピューター・プログラマーだそうです。影響を受けたアーティストとしては、ビル・エバンスはもちろんのこと、ハンプトン・ホーズ、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーンらの名前を挙げています。81年には、現在も活動を共にしているベーシスト、フィリップ・コッカリエール と 『Direction Sud-Ouest 』 を制作し、レコード・デビューを果たしています。そして92年には本作 『 That's All 』 を発表、昨年には17年ぶりとなる第三作 『 Emily 』 をリリースし、日本でも話題になりました。

実は僕、この 『 Emily 』も買っています。だって、Disk Union のコピーがこれですよ、これ。

もう大変です。仕入れても仕入れてもあっという間に売り切れてしまいます。
フランスのピアノトリオ極上盤が再入荷しました!

でも、これが、え!?? ってな感じの拍子の抜けた作品で、即刻段ボール→DU逝き、だったのです。まあ、イニシャル・ドーズというか、イニシャル発注数が50枚なのか100枚なのかわかりませんが、たぶん極少量の仕入れなのでしょうね。だからすぐに売り切れる訳。

少量ずつ複数回に分けてバック・オーダーするという手法は、余剰在庫という販売店にとっては致命的なリスクを回避しつつ、一方で、「売り切れ」という希少性をアピールするには最良の戦略な訳です。マニアおよびコレクターの世界では、希少性を自慢し合うのが至福の喜びとされていますからね。うまくできてますよね。

だいぶ前置きが長くなりましたので肝心の内容の話に移ります。

収録曲は全9曲。スタンダード ≪ But Beautiful ≫、≪ Round Midnight≫以外はすべてオリジナルという構成です。

彼のスタイルは一言で云うならば、クラシックの音楽的素養をたっぷり吸いこんだエレガントなエヴァンス系。ただし正直に云えば、エヴァンスの緊張感漂うナイーヴな音世界には程遠い散漫な演奏だなぁと感じました。ベースとドラムの力量もやや不足しているため、トリオ全体としてのダイナミズムの振幅も小さい。

でもまあ、流石にクラシックで鍛えられただけあって指はそれなりに正確に動くので、聴いていて不快感はありません。むしろボ~とBGMとして聞き流すには最適かも。 たとえば、青山や代官山のおしゃれなカフェ で流れていても何ら違和感のないジャズだと思う ( 行ったことはないけど )。

そして、ジャズ・ファンのなかにはこのようなピアノの世界を愛し、心地よしと感じる人も大勢いることは確かで、僕は決してそれらを否定するつもりはありません。ただし、どんなに好意的にみてもこのCDが数万円の価値がある盤には思えないんだけどね。




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2010/02/02 | Comment (4) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |
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