雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Joshua Redman 『 Back East 』

   ↑  2007/05/02 (水)  カテゴリー: 未分類

ジョシュア・レッドマンの新作は意外にもサックス=ベース=ドラムのトリオ編成の作品でした。あまり個人的には食指が伸びないフォーマットではありますが,なにしろ大好きなジョシュアの作るサックス・トリオですから,聴かないわけにもいきませんので,早速購入してみました。サポート・ミュージシャンは固定ではなく,ラリー・グレナディア=アリ・ジャクソン,クリスチャン・マクブライド=ブライアン・ブレイド,そしてリューベン・ロジャーズ=エリック・ハーランドの3チームが用意され,更にはジョー・ロバーノ,クリス・チーク,そしてデューイ・レッドマンらがゲスト参加するといった趣向で制作されています。サックス・トリオと言えばソニー・ロリンズということで,『 Back East 』というタイトルからも察しがつくように,ロリンズの57年の名作『 Way Out West 』に刺激を受けて作られた作品で, 『 Way Out West 』でもロリンズが演奏していた西部劇映画の音楽,《 I'm An Old Cowhand 》,《 Wagon Wheel 》などを再演しています。

ニューヨークでマックス・ローチのバンド・メンバーとして活躍していたロリンズが,バンドの西海岸遠征ツアー中に,現地のトップ・ミュージシャンであったシェリー・マンとレイ・ブラウンらと一期一会のセッションを行ったのが『 Way Out West 』であり,一方,カリフォルニアで生まれ,ボストン,ニューヨークで大学生活や音楽活動を行い,今は西海岸にもどりSF Jazz Collective なので活躍中のジョシュアが,久しぶりにニューヨークに戻り,気の合う仲間達を集めて作ったのが『 Back East 』というわけです。

しかし,収録曲を見てみると,ジョシュアのオリジナル曲《 Mantra #5 》,《 Indonesia 》や,コルトレーンの《 India 》といった東洋に因んだ楽曲が取り上げられているんですね。で,これは僕の推測ですが,『 Back East 』の“ east ”とは,“ East Coast ”と“ East Asian ”という二重の意味を持ったいわば掛詞なのかもしれません。《 Mantra #5 》も《 Indonesia 》も,東洋のリズム,ハーモニーをうまく取り入れた楽しい楽曲です。

そう言えば,ジョシュアは母親の薦めでCenter for World Music という,サンフランシスコ(現在はサンディエゴ)に所在する音楽学校に入学し,初めて正式な音楽教育を受けたのですが,そこで専攻したのが何とインドネシア音楽とインド音楽でしたからね。やっぱりジョシュアの音楽ルーツは東洋音楽にあるのかもしれません。

で,内容ですが,ラリー・グレナディア=アリ・ジャクソンのコンビで6曲。クリスチャン・マクブライド=ブライアン・ブレイドのコンビで2曲。そしてリューベン・ロジャーズ=エリック・ハーランドのコンビで3曲,演奏しています。クリスチャン・マクブライド=ブライアン・ブレイドのコンビは,ジョシュアの1994年の第三作『 Mood Swing 』で聴かれた組み合わせですね。ラリー・グレナディア=アリ・ジャクソンのコンビとは,ジョシュアがカート・ローゼンウィンケルの作品に参加した際に競演していたと思います。リューベン・ロジャーズ=エリック・ハーランドのコンビは頻繁に見られますが,ジョシュアとこの2人の競演は初めてかな? 

個人的にはアリ・ジャクソンとエリック・ハーランドの爆走ドラムに興奮しちゃいます。意外にブライアン・ブレイドが大人しく感じちゃうのですが,気のせいかな。以前にマーク・ターナー=ジェフ・バラード=ラリー・グレナディアのトリオ編成の作品 『 Fly 』を聴いた時にも思ったのですが,こういったサックス・トリオ物は,ドラムを中心に据えて聴くのが正しい聴き方,ではないでしょうか。ドラムの音に聴き耳を立てる。そうすると俄然,サックス・トリオが面白くなってくるんですよね。

ところで,コルトレーンの 《 India 》はジョシュアとデューイの競演ですが,ピアノ・レスでの二人の競演って他にもあるのご存知ですか? 僕の手元に1992年録音のデューイ・レッドマンの『 Choices 』( enja CD 7073-2 )というサックス・トリオの作品があるのですが,その中で二人は競演しているんです。

1991年にジョシュアはブルックリンに引っ越して,連日ニューヨークのクラブでギグっていたのですが,その頃,定期的に父デューイとも競演していたようです。その頃に録音されたのがこの『 Choices 』で,駆け出しの若き息子を見守る父親の姿を思い浮かべるとなんとも心温まる作品です。デューイは自分のリーダー作品なのに,一曲だけですがスタンダードの《 Imagination 》をジョシュアだけで演奏させているんですね。親ばかというか,なんというか,思わず微笑んでしまいます。それにしてもこの頃のジョシュアはロリンズやデクスター・ゴードンらを彷彿させる豪快なスタイルで吃驚します。そしてまだ,すこしばかり自己のスタイルが確立されていないところが可愛らしく興味深いです。この録音の直後にセロニアス・モンクのコンペティションで優勝し,1992年には壮絶な獲得戦の結果,ワーナーが契約。以後の活躍は周知のことと思います。

本作の録音の数週間後に,ご存知のように父デューイは亡くなっているのですが,その父に敬意を表すかのように,また,『 Choices 』の恩返しをするかのように,最後の曲 《 GJ 》は,デューイ・レッドマンのトリオで演奏され,幕が下ろされます。
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Comment


勉強になります。

はじめまして。

レッドマンの新譜をたどっていたらこちらに到着しました。

とても細かいコメント内容で充実していますね!勉強になります。

当方のブログにもリンクさせていただきました。
またお邪魔したいと思います。

ジャズピアノ研究室 |  2007/05/22 (火) 23:42 [ 編集 ] No.2696


blues for pat

blues for pat は,ブートながら内容は良いですよね。
ジョシュアのMCも長く,観客の乗りも凄くて,
やっぱり日本でのライブの時とは真剣さが全然違いますね。悲しいことですが。

criss to oza |  2007/05/08 (火) 22:06 [ 編集 ] No.2697


やった!!!!

>それはそうと、例の作品、正式に決まりました。
夏くらいには、発売したいと思ってます。

素晴らしい!!感激!!

早川さんのご尽力に感謝感激です。
楽しみにお待ちしております。

criss to VENTO AZUL |  2007/05/08 (火) 21:47 [ 編集 ] No.2698


聴き直してみます。

「Spirit of the moment 」も「blues for pat 」
も持っているはずです。
なので、近々もう一度聴き直してみます。

「blues for pat 」はHMVでも在庫ありになってますね(^^)

oza。 |  2007/05/08 (火) 21:35 [ 編集 ] No.2699


新作

なんか、あんまり評判よくないようですね。
買うのやめようかしらん(笑)
ベクトルが、どちらか(アドリブ志向かサウンド志向)に振れずになんとなく中途半端に聴こえるのでょうかねぇ。
聴いて確かめてみます。(笑)
クリスさん、それはそうと、例の作品、正式に決まりました。
夏くらいには、発売したいと思ってます。


VENTO AZUL |  2007/05/08 (火) 01:33 [ 編集 ] No.2700


I agree

90年代半ばのヴィレッジ・バンガードのライブやサンフランシスコのライブを聞いちゃうと,ちょっとこの新作のジョシュアのソロは退屈ですよね。僕もそう思います。

こちらからもTbさせていただきます。

では,また。

criss to nary |  2007/05/08 (火) 00:22 [ 編集 ] No.2701


こちらからもTBさせていただきます。

やっぱり,ジョシュアの作品群の中では,個人的には「よい」とはいえないような気がします。

でも,腐ってもジョシュア! 
随所に流石と唸らせるフレーズは散りばめられていて,まあ,楽しめますが。
それに,なんといってもリズム隊が凄いので,その点では合格かな。

naryさんも言われていたカルテット2枚組みの「Spirit of moment 」なんか聴いちゃうと,この新作が軟弱に感じられちゃいます。

個人的には「Spirit of moment 」と「blues for pat 」が熱くて大好きです。

「blues for pat 」はブート(jazz door)ですが,最近,新宿のDUで見かけましたよ。僕は昔買ってますが,録音は今ひとつですが,兎に角,狂気の熱狂ライブです。ジョシュア,切れてます。

criss to oza |  2007/05/08 (火) 00:19 [ 編集 ] No.2702


いつもお世話になっております。

>7,8年前にブランフォードとジョジュアのジャズフェスのサックスバトルがTVで放送されたのを見たのですけど、すごく良かったのを覚えています。

そんなジョイントがあったのですか。知りませんでした。7,8年前というと丁度,「timeless tales」の頃でしょうかね。僕がジョシュアに目覚めたのもその頃でしたから,知っていたら感激していたはずですが。

naryさんもおっしゃていますが,ジョシュアは95年の「spirit of the moment 」あたりの吹きまくりスタイルが僕も好きです。

常に創造的であり続けなければリスナーに飽きられるのでは,というミュージシャン心理,レコード会社の方針から,次々に新フォーマットで作品を出し続けていますよね。それはそれで大変なことだし,偉いと思いますが,あまりにもその変化が速すぎて,もう少しゆっくりに進化していって欲しいと思ったりもしますが。

ごく普通のフォーマット,ジャズ・スタイルで,極上のジャズを聴きたい,と思ったりして。やっぱり僕は保守派だな(笑)。

criss to VENTO AZUL |  2007/05/07 (月) 23:59 [ 編集 ] No.2703


3組のリズム隊

久しぶりの「East」ということで豪華なメンバーと相成ったのでしょうが、リズム隊によって違う雰囲気が楽しめるのはいいものの、なんかアルバムとしてはいささか散漫な印象を受けました。
というよりもブライアン・ブレイドがあんな大人しい曲で叩いているのでは、ジョシュアのヴァンガードの2枚組みライブ「Sprit of the Moment」のイメージで聴いている耳としてはかなり物足りなかったです。
わたし的にはルーベン・ロジャース、エリック・ハーランド組が一番良かったですね。

TBさせていただきます。

nary |  2007/05/06 (日) 12:51 [ 編集 ] No.2704


eastの意味

アジアっぽいメロディの曲から、これがアルバムタイトルの出自か?と思ったのですが、SF Jazz Collective 繋がりのeast coastも懸かっているという推測には、頭が下がります。

しかも、過去の共演盤の存在なんて、全然知りませんでした。
さらに、その作品と同様に今作でもリーダーじゃないサックストリオを1曲アルバムに織り交ぜるなんて、なんか素晴らしい追悼の仕方だなぁと感じました。

TBさせていただきます。

oza。 |  2007/05/06 (日) 10:55 [ 編集 ] No.2705


ジョシュア

この新作は、個人的に買おうと思ってまーす(笑)
「Choices 」は懐かしいですね。
10年くらい前に売ってしまって、ジョシュアがソロで演奏しているトラックがあることは、忘れてしまっていました。
そういえば、
7,8年前にブランフォードとジョジュアのジャズフェスのサックスバトルがTVで放送されたのを見たのですけど、すごく良かったのを覚えています。
あんな感じの演奏を、ファンはもっとも期待しているのと思うのだけど、ファン心理とミュージシャンの音楽性は必ずしも一致するとは限らないのが、最近のジョシュアなんでしょうね。
とはいっても、ブレッカー亡き今、現代テナーサックス界を牽引していく存在なのは間違いないジョシュアには今後も期待しています。

VENTO AZUL |  2007/05/04 (金) 00:22 [ 編集 ] No.2706

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