雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Gerald Cleaver 『 Gerald Cleaver's Detroit 』

   ↑  2008/02/13 (水)  カテゴリー: 未分類

ブログもご覧ください。

デトロイト出身のドラマー,ジェラルド・クリーヴァーの『 Adjust 』( 2001 FSNT )に続く第二弾。個人的にはリック・ロウの『 The Late Late Show』やベン・ウォルツァーの『 One Hundred Dreams Ago 』での繊細で緻密なプレイが印象的だったドラマーという認識があります。しかし,マシュー・シップ,ウイリアム・パーカー,ロスコー・ミッチェル,クレイグ・タボーンら界隈で目撃することも多く,一般的には,フリー/アバンギャルド系のドラマーと位置付けされているようです。僕にとってはマシュー・シップらの音楽は完全に越境音楽であり,本来ならスルーするところですが,この最新作にはベン・ウォルツァー、J.D.アレン、ジェレミー・ペルトらが参加しているので,まあ,そんなにぶっ飛んではいないだろうと予想し買ってみました。ジャケットもカッコいいしね。

ますは簡単に彼の経歴を紹介しておきます。
1963年,ミシガン州デトロイトで生まれたジェラルドは,ドラマーであった父親の影響で幼少期にドラムを手にしました。また,小学校ではバイオリンを,中学高校ではトランペットもマスターしたようです。10代の早い時期からその頭角を現し,地元デトロイトのプロに混じって演奏活動をはじめるという早熟ぶり。ミシガン州立大学の音楽教育学科に在籍中に,米国芸術基金( National Endowment For The Arts )の奨学金を獲得し,ビクター・ルイスに師事。1992年に大学卒業後は地元で後進の育成に力を注ぐ一方で,ウェンデル・ハリソン,エディー・ハリス,ダイアナ・クラール,ドン・バイロンらと共演を果たしています。1995年にはミシガン州立大学ジャズ学科の助教授に就任し,さらに1998年には同大学のジャズ学部でも教鞭をとり,1999年にニューヨークに移り住んでいます。彼は現在までに南北アメリカ,ヨーロッパ,オーストラリア,日本などを数多くのアーティスト,例えばフランク・アムサレム,ジャッキー・テラソン,ロスコー・ミッチェル,ジョー・モレノ,ブルース・バース,マシュー・シップ,クレイグ・タボーンらとツアーで訪れています。2001年には“ Gerald Cleaver’s Veil of Names ”名義で初リーダー作『 Adjust 』をFSNTよりリリースしたことは前述の通りです。

ところで,ジェラルドのデビュー作『 Adjust 』については,HP『ジャズ新譜ナビゲーター』の管理人であるナカーラさんが以下のようなコメントを書かれていますので,勝手ながら引用させていただきます。

「全体に、いかにも頭でっかちの、よくある暗く冷たいフリー系のサウンドが漂うばかりで、ジャズ音楽における躍動感に対する認識が決定的に欠けている。(もちろん、最近よく話題になる「美旋律」なるものも、聴くことはできない) 他のメンバーも、「行きそうで行かない」様子眺めのプレイの連続で、欲求不満が残り,評価はやや厳しめの2つ星としたい。」(ジャズ雑感より)

僕はこのデビュー作を聴いてはいないのですが、おそらくワイド・レンジなジェラルドの仕事の中では、どちらかというとアバンギャルド寄りの作品なのでしょう。音楽性よりも精神性やメッセージ性に重点を置く作品が苦手な僕が聴いたとしても、きっとナカーラさんと同様の感想を持ったと思います。でも、今回の最新作はご心配ありません。ちゃんとFSNTらしいコンテンポラリーな演奏をしています。

全13曲ですべてジェラルドのオリジナル。非4ビート系主体で、複雑な楽理に基づいたフレーズ、変拍子、ポリリズム、アゴーギクと、コンテンポラリーな楽曲に不可欠な要素を全て満たしていますし、弛緩しない緩やかな疾走感を保った各人のソロもお見事です。全体に漂う心地よいアングラ臭もいかにもFSNTらしく魅力的です。

アンドリュー・ビショップは初めて耳にする吹き手ですが、慟哭するバスクラなどは一瞬、エリック・ドルフィーを彷彿させ、とっても刺激的です。それに対して、やや物足りないのがJ.D.アレンです。1999年のデビュー作『 In Search Of 』 (RED)がめちゃくちゃ凄くて(絶対お薦め!!)、以来大ファンになったものの、最近はあまり元気がないような気がします。新譜の噂も聞かれないな~と思っていたところに今回のジェラルドの新譜に参加していたということで、かなり期待していたのですが、良くも悪くも垢抜けちゃって、昔のコルトレーン・ライクな爆裂ソロが聞こえてきません。これにはちょっと残念としか言いようがありません。

ベン・ウォルツァーも要所要所で切れのいいソロを披露してくれています。ベン・ウォルツァーはFSNTから3枚リーダー作を発表していますが、個人的には、唯一ジェラルドが叩いていない作品『 For Good 』が愛聴盤です。この盤でのドラムはホルヘ・ロッシですが、イイ演奏しています。特にM-3での煽り方は鳥肌モノです。

それは兎も角として、この作品、お茶の水Diskunionの店頭でのポップには“デトロイトの名に相応しい重量級ジャズ”とありましたが、思ったより軽く、あっさりしていてやや拍子抜け。しかし、FSNTファンの僕としては、妙にこの空気感が肌に合っちゃうんですよね~。

Gerald Cleaver 『 Gerald Cleaver's Detroit 』 2007 FSNT
Jeremy Pelt (tp)
J.D.Allen (ts)
Andrew Bishop (ss, ts, b-cl)
Ben Waltzer (p)
Chris Lightcap (b)
Gerald Cleaver (ds)

P.S. リック・ロウの『 The Late Late Show 』については、ブログ仲間のmonakaさんが以前に書かれています。→こちら
関連記事

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2008/02/13 | Comment (8) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


Simona Premazzi

僕はリック・ロウの「Monk's Modern Music」以外の
3作品は持ってますが,やはりおっしゃるように
「CHANGEOVER」がイイですね。

Simona Premazzi は,お茶の水UDでは,結局,
取り扱わなかったようで,わざわざ新宿DUで買った
記憶があります。

このSimona Premazzi のCDは,初め,新宿DUの二階の
中古フロアでかかっていて,これはイイと思い,
その時は買わずに,どうせ茶水DUで買えるだろうと
思い,(僕の家からは地理的に圧倒的に新宿よりも
茶水の方が近いのです)後日に茶水DUに行ったらなくて,
わざわざその足で新宿まで車を飛ばしてやっと買えた
CDです。
同じDUでも,こういうように微妙に仕入れの差がでるんですよね。
個人的な趣味から言えば,新宿,吉祥寺にくらべ,
茶水の仕入れが今ひとつのように感じますが,
なにせ,茶水が我が家から10分程の距離にあるので,
ついつい茶水を使ってしまいます。

criss to Marty |  2008/02/18 (月) 12:34 [ 編集 ] No.3031


リック・ロウ

monakaさん,こんにちは。
リック・ロウは僕も3枚しか聴いたことがないのですが,
下でMartyさんがおっしゃっているように,
「CHANGEOVER」が僕も大好きです。
必ずやmonakaさんも気に入ると思いますよ。

criss to monaka |  2008/02/18 (月) 12:25 [ 編集 ] No.3032


Rick Roe

クリスさん、こんにちは。
Rick Roeですが、「the CHANGEOVER」,「Monk's Modern Music」,「Sphere」,「THE LATE LATE SHOW」の4枚を所有していますが、どれも作品としては良いのですが、クリスさんがお持ちの「the CHANGEOVER」がダントツの出来です。

 今日は、Pentaの2枚とKenny Barron「1+1+1」とMISINTERPROTATOの「VARIATIONS」の計4枚が届く予定なのですが、未だ来ません。早く聴きたいなぁ。クリスさんお薦めのSimona Premazzi は在庫切れらしく、あと暫く待つことになりそうです。

Marty |  2008/02/16 (土) 14:32 [ 編集 ] No.3033


色々できるけどこの方向が主流

クリスさん、こんにちは、monakaです。リック。ロウにTBありがとうございました。
まるで知りませんでしたが、上品で素敵なピアニストですね。
ジェラルド・クリーヴァーについては、Yaron Hermanという人の「a time for eveything」という新作でとても良かったので遡って聴きました。
そちらもTBさせていただきます。

monaka |  2008/02/16 (土) 13:50 [ 編集 ] No.3034


ご無沙汰してます。

リック・ロウの「Monk's Modern Music」は持ってませんが、「Changeover」は持ってます。前者は雑誌等で取り上げられていたこともあり、気にはなっているのですが、モンク作品というのが、個人的には引いてしまう所以です。後者は彼のオリジナル曲中心で、よくスイングし歌うし、気に入っていますよ。

ナカーラさんならご存知かと思いますが、クリーヴァーは「ジャズ批評」のNo120で原田和典氏がインタビュー記事を載せたり、同号内ではクリーヴァーの「Adjust」を<New Jazz Generation>のガイドCDとして益子博之氏が取り上げるなど、話題になりました。

更には、原田氏の著書「世界最高のジャズ」の中でも、<挑戦し続けるジャズ1970's~2000's>の章で「Adjust」を紹介していました。

というわけで、この「Adjust」はずっと気になっていて、おそらく僕の趣味には合わないことは容易に想像できるのですが、どういうジャズが原田氏をはじめとする現代感覚を持ったジャズ評論家達に受けるのか、関心がありますので、近いうちに購入しようと思っています。

できるのなら、今でも音楽の守備範囲を広げたいと思っていますので。

criss to ナカーラさん |  2008/02/16 (土) 11:36 [ 編集 ] No.3035


クリスさん、お久しぶりです

私のHPの拙い記事を紹介していただき、ありがとうございます。

G・クりーヴァーは私もリック・ロウの作品で、そのプレイの一端は聴いていましたが、そこでのプレイとあまりに違うあのリーダー作は意外でした。

それが評価にも影響した可能性がありますね。(苦笑)
ちなみにリック・ロウですが、S・モンクにちなんだ過去のリーダー諸作品も本当にいい出来ですね。


それでは。



ナカーラ |  2008/02/15 (金) 18:24 [ 編集 ] No.3036


jordi rossy

>Jordi Rossyですが、最近ピアノトリオの新作を出したようですよ。
僕もjazzyellで見ましたよ。前からピアノも弾くとこは聴いてましたが,やっぱりメルドウのバックをやってて,自分もピアノで大成したくなったのかな。

今回のFSNTでは,スペインの若手トランぺッター,レイナルド・コロンのデビュー盤が気になりますね~。

>本日やっとMariano Diaz「PlanB」を入手しました。
ね,いいでしょ!一発目からぐいぐい飛ばすし。ペリコ・サンビート参加っていうのが,キモですね。

criss to Marty |  2008/02/14 (木) 18:09 [ 編集 ] No.3037


Jordi Rossy

クリスさん、こんばんは。
Jordi Rossyですが、最近ピアノトリオの新作を出したようですよ。ドラマーからの転向で、愛息も参加という話題作らしいです。
私はjazzyell臨時号で知りました。

http://diskunion.net/jazz/ct/list/0/72207837" target=_blank>http://diskunion.net/jazz/ct/list/0/72207837
「Wicca」FSNT 
JORDI ROSSY(p), ALBERT SANZ(org), R.J MILLER(ds), FELIX ROSSY(tp:M6), ENRIQUE OLIVER(ts:M6)

ところで、本日やっとMariano Diaz「PlanB」を入手しました。何故か新譜での入荷枚数が少なく直ぐ売切れになり、買うタイミングを逃していたところ、運よく中古で発見しました。これ、いいですねぇ!!
クリスさんがベスト10に入れるだけはありますね

Marty |  2008/02/13 (水) 23:36 [ 編集 ] No.3038

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