雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Gwilym Simcock / Blues Vignette

   ↑  2010/06/07 (月)  カテゴリー: piano
Gwilym Simcock
Gwilym Simcock / Blues Viginette
2009 Basho Music


Gwilym Simcock (p)
Cara Berridge (cello)
Yuri Goloubev (b)
James Maddren (ds)





本国イギリスでは次世代を担う天才と称され大きな期待を寄せられているピアニスト、グウィリム・シムコック ( Gwilym Simcock ) の昨年暮れにリリースされたセカンド・アルバム。なんでもこれ程まで話題になるジャズ・ピアニストは、イギリスではジャンゴ・ベイツ以来のことだそうだ。


グウィリム・シムコックは81年ウェールズの生まれ。醸造工場の経営者で教会のオルガニストでもある父親と、学校の教師である母親のもとでピアノの英才教育を受けた。父親はロシアのクラシック音楽が好きだったが、よく即興演奏しながら作曲もしていたという。そんな父親の即興演奏がのちのシムコックのジャズ指向に影響を与えたと彼は振りかえる (『 JAZZWISE 』 Aug. 2007 ) 。


9歳の時にマンチェスターに所在する名門、チータム音楽学校に入学。そこで彼はクラシック・ピアノや作曲法のほかにフレンチ・ホルンを学んでいる。しかし、クラシック・ピアノを猛勉強し数々のコンペティションで受賞していくなかで、彼のはあることに気づく。それは「僕が本当にやりたいことは他のミュージシャンと共演することだ。ピアノの独奏ではその喜びは得られない。」ということ。そんな彼に転機が訪れたのは14歳の時だった。それは、80年代にジャンゴ・ベイツらと結成したビッグバンド Loose Tubes で一世風靡したベーシスト、スティーヴ・ベリー ( Steve Berry ) との出会いであった。


即興演奏の講座を担当していたスティーヴ・ベリーは、シムコックに一本のカセットテープを渡した。その中にはキース・ジャレット・カルテットの《 Questar 》 とパット・メセニーのライブ・アルバム『 Travels 』の中に収められていた曲が入っていた。シムコックはそれまで一度もジャズを聴いたことがなかったが、彼らの奏でる美しいハーモニーとメロディーに感動し、以後、ジャズに傾倒していくことになる。


チータム音楽学校で9年間を過ごした彼は、ロンドン三大音楽院の一つであるトリニティ音楽院でのDipoloma 取得を経て、名門中の名門、王立音楽院に進学すると同時に、ジャズ・ピアニストとして身を立てることを決意する。そこでは巨匠ジョン・テイラーに師事する一方、多くのギグに参加しミュージシャン達とも交流を深めながらジャズ・ピアニストとしてのキャリアを積んでいくことになる。その時期に知り合ったティム・ガーランド (sax) やマルコム・クリーズ (b) らと“ Acoustic Triangle ” を結成しアルバムも制作している。また、ビル・ブラッフォード (ds) とも交友を深め、“ Earthworks ” に参加。2005年には来日も果たしている。


本作は、ピアノソロとチェロとのデュオを収めたDisc1 と、新生トリオによる演奏を収めた Disc2 からなる2枚組。2007年のデビュー作『 Perception 』に比べて幾分、静的な演奏が多く、また、Disc 1 ではクラシック的な演奏も見られる。いわゆる内部演奏も取り入れた現代音楽的なアプローチも見られるので、セクト主義に縛られたジャズ・ファンには受け入れられない面を持つのは確か。がしかし、一曲だけでも彼の演奏を聴けば、その尋常ならざる技術力、演奏力に誰しもが腰を抜かすに違いない。もう完全に別次元のテクニックだ。僕個人的には、クリスチャン・ジェイコブやミケル・ボルストラップを初めて聴いたときと同質の驚きを感じた。


本国では“ Jazzier John Taylor ” と形容されているようだが、確かにジョン・テイラー譲りの甘さを完全に排した硬質なリリシズムに貫かれたサウンドではあるが、テイラーほど抽象的ではないし、才を衒う高踏的な様相も皆無で聴きやすい。しかも、演奏が巧いだけではなく、作曲面でも早くも強烈な個性を発揮しており、現代を生き抜くジャズミュージシャンとしての気質を十分備えているのが頼もしい。


さらにはイギリス人ミュージシャンとしては珍しくアメリカン・スタンダードへの愛情も見せており、本盤でも《 Cry Me A River》を、前作でも《 My One And Only Love 》 や《 The Way You Look Tonight 》 をアッと驚く斬新なアレンジでカヴァしているのが面白い。そういえば、イギリス人ドラマー、スパイク・ウェルズ ( Spike Wells , 1946~ ) のリーダー作『 Reverence 』でもシムコックは素晴らしいスタンダード解釈を披露しており、なかなかイイ作品だった( 後日登場予定 )。


とにかく、クラシック音楽に依拠した高度なテクニックと、硬質で端正な抒情性のバランスが素晴らしい希有なピアニストだと思う。まだまだ日本では認知されていないが、これから必ずや話題になるだろう。要チェック。




  J works さんの記事 『 Blues Vignette / Gwilym Simcock 』  はこちら
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2010/06/07 | Comment (6) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


crissさん こんにちわ J works です。

このピアニストは、非常に大きな可能性を感じるという一方で、感性面でちょっと反発する
部分もあり、自分の中での評価に迷っていたという私にとっては、問題となっているピアノ
でした。

crissさんの記事、参考にさせてもらいながら再検証してみたいと思います。
ということでTBさせてください。よろしくお願いいたします。

J works |  2010/06/08 (火) 08:21 No.4040


J works さん、こんばんわ。

実は拙ブログの読者でいらっしゃるドイツ在住のLaieさんが、シムコックのライブを観に行ってきたとお話してくださって、
思わず思い出して、本盤を引っ張りだして聴いてしまいました。あまりにも素晴らしいので、ついでに記事も書いた
というわけです。

記事を書くにあたり、ネットで検索したのですが、日本語での個人での記事は確か J worksさんのものしかなかったような。
参考にさせてきただきました。僕はテクニックに弱いので、こういう馬鹿テクの弾き手には滅法弱いです。
まあ、きっちりかっちりしていて面白みに欠けるのかもしれませんが、まだ若いので今後の変化、成長に期待したいと
思います。今日は彼がホルンを吹いているビッグバンド作品なんぞを聴いております。これもまた秀作です。

criss to J works |  2010/06/08 (火) 22:07 No.4041


crissさん こんばんわ

当方ブログの方へもコメントありがとうございました。
非常に気になっていたピアノでしたので、他の方の記事がみられるのは
参考にもなり、とてもありがたいです。

今、こちらから再度TBしてみました。
お手数かけて申し訳ありません。
crissさんからのは無事届いております。

J works |  2010/06/08 (火) 22:15 No.4042


J works さん、こんばんわ。

どうもそちら側からのTBはうまくいかないようです。
同じFC2ブログなのに困ったものです。
仕方ないので、記事の最後に J worksさんの記事のリンクを貼らせてもらいました。

前回はうまくいっているので今回だけかもしれません。
これに懲りず、またTBトライしてみてください。
では、お手数おかけしました。

criss to J works |  2010/06/09 (水) 23:24 No.4045


crissさん 大変お手数かけてしまい申し訳ありませんでした。
情報量が圧倒的に豊富なcrissさんのブログは、非常にありがたいです。
いつも助けてもらってます。

あらためて聴くSimcockのピアノは、キレてます。

では、また。


J works |  2010/06/10 (木) 08:06 No.4048


J worksさん、こんにちは。


こちらこそよろしくお願いします。

まだそれほどブログの経験がないのに、すばらしい表現力、文章力なので
感心しております。
僕が J works さんぐらいの時は、ほんと幼稚なこと書いていました。
正直、消してしまいたいエントリーもありますが、
それも大切な自分の軌跡だと思い、アップしていますが。

このところ、iPad 関係にはまっていて、新譜聴きから遠ざかっていますので、
ジャズ関係の更新が滞りぎみになるとは思いますが、どうかお付き合いください。
では、また。

criss to J works |  2010/06/12 (土) 17:27 No.4051

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