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Walter Smith III / Live in Paris

   ↑  2010/07/07 (水)  カテゴリー: tenor
walter smith III_paris.jpg
Walter Smith III / Live in Paris ( HMV )
2010 Space Time ( France )


Walter Smith Ⅲ (ts)
Ambrose Akinmusire (tp)
Aaron Goldberg (p)
Matt Brewer (b)
Marcus Gilmore (ds)



おお~っ。これはかなりイイ感じです。ニューヨークを中心としたコンテンポラリー・ジャズ・シーンにおいて最近、めきめきと頭角を現してきたテナー奏者、ウォルター・スミス・三世 ( Walter Smith III, Houston, 1980~ ) の通算3作品目となる最新作。

スミスの名前は日本ではまだまだ浸透していませんが、近頃、僕が贔屓にしているミュージシャンの作品でよく見かけるようになりました。ショーン・ジョーンズ(前項あり)アンブローズ・アーキインムシーレイ(前項あり) 、そしてクリスチャン・スコット(前項あり)らなど、僕が勝手にトランペッター新御三家と呼んでいる彼らの作品のほとんどにスミスは参加しています。さらには現在、テレンス・ブランチャード・バンドのレギュラー・メンバーとしても活躍中で、彼の最新作『 Choices 』 (前項あり) にも参加していましたし、先日、拙ブログで紹介したベーシスト、マイケル・ジャニッシュの素晴らしいデビュー作 『 Purpose Built 』 (前項あり) にも名を連ねていました。兎に角、「おっ、このテナー、いいねぇ~、誰?」とクレジットを見直すとスミスだったりすることがこのところ立て続けにあったので、個人的には今、最も注目しているテナリストなんです。

スミスは1980年生まれですので、世代的には1978年生まれのイーライ・デジブリ (前項あり)や、1979年生まれのマーカス・ストリックランドあたりと同世代になるわけですね。新人ではないものの、これからが多いに期待できる若い世代と云えるでしょう。

さて、今作は待望の実況録音盤です。というのも、最近のNYコンテンポラリー系のミュージシャンって、楽曲の複雑さと緻密なアンサンブルを追求して作り込んだスタジオ録音盤と、ラフな構図でざっくり豪快に演奏した姿をとらえた実況録音盤では明らかに作品の方向性を異にしている場合が多いからです。前述したイーライなんかイイ例で、彼の場合、ライブの方が遥かに勢いがあって出来がイイ。そんなことをこのスミスにも期待しちゃうわけです。

そのライブ会場となったのは、パリの Sunside というライブハウス。この Sunside のあるロンバール通りには他にも Baiser sale (ベゼ・サレ)や Duc des Lombards(デュック・デ・ロンバール)など、ジャズを聴かせるクラブが点在して、いわば “ パリのニューヨーク52番通り ” みたいな通りです。

この Sunside はビルの1階にあるのですが、実は地下にも Sunset というライブ・ハウスがあります。もともとは83年にまず地下の Sunset がオープンし繁盛したため、レストランであった1階部分をライブ・ハウスに改装して2001年にオープンしたのが Sunside です。 Sunset は主にエレクトリック・ジャズやワールド・ミュージックのライブが中心で、 一方の Sunside はアコースティック・ジャズのライブをメインに運営されているようです。

メンバーは盟友アンブローズ・アーキインムシーレイとの2管フロントラインに、ピアノは先日最新作を出したばかりのアーロン・ゴールドバーグ、ベースはグレグ・オスビーやゴンザロ・ルバルカバのバンドで注目されてきたマット・ブルーワー ( Matt Brewer, Oklahoma, 1983~ ) 。そしてドラマーは新進気鋭のマーカス・ギルモア ( Marcus Gilmore, 1983~ )。ギルモアはご存じのようにロイ・ヘインズのお孫さんです。最近よく名前を見かけます。ギラッド・ヘクセルマン、ダニーグリセット、ケヴィン・ヘイズ、ニコラス・ペイトン、ビジーアイヤーなどなど、共演者にも非常に恵まれた若き才能です。

収録曲は、スミスが2曲、アーキンムシーレイとゴールドバーグが1曲づつ、ブルーワーのベースソロが1曲、それからベニー・ゴルソンの 《 Stablemates 》 とサム・リヴァースの 《 Cyclic Episode 》 で全7曲。ライブらしくどの曲も10分以上の長尺な曲。冒頭からいきなりスミスの無伴奏ソロ!! これが圧巻。三次元コークスクリュー・フレーズを連結しながら徐々に高揚していく様にこちらまで身悶えしてしまいそう。ふわふわと浮遊したり、飛翔したり、急降下してみたり、変幻自在に音を操る技術力が素晴らしい。

そして、どんなに複雑なフレーズを吹こうが、全く音痩せしないもの流石。現代のテナリストは、その音列の複雑化を追求する過程で、音量や音圧などの要素を犠牲にせざるを得なかったわけですが、そのあたりの妥協をスミスは許しません。パッセージの最後の一音まで力が漲っていのは、ちょうどクリス・ポッターなどに通じる凄みを感じます。相棒のアーキンムシーレイも、自身のリーダー作では決して見せない豪快な吹きっぷりを披露。こういうアーキンムシーレイの音が聴きたかったんだよ~、と思わず膝を叩いてしまうほど素晴らし吹きっぷりです。

一方、まだ顔つきにあどけなさが残るマーカス・ギルモアも、ひとたびドラムを叩きだすと、おじいちゃんも腰を抜かすほどのしなやかなスティックさばきで場を盛り上げます。幾何学的なポリリズムで時間軸を伸縮させながら巧みにフロントに絡んできます。フロントを激しく煽るような派手さはありませんが、明らかにニューヨーク新世代の新しい息吹を感じるドラミングです。エルビン・ジョーンズやトニー・ウイリアムスからエリック・ハーランドが受け継いだ遺伝子は、さらに新しい世代であるケンドリック・スコット、ナシート・ウェイツ、そしてマーカス・ギルモアらに確実に受け継がれているようです。

アーロン・ゴールドバーグにしてもそうですが、このバンドのメンバーは全員、いつもよりも生き生きしていて演奏のキレがイイです。五つの楽器が上手く絡み合うと予想以上の相乗効果が生まれるものですね。実にイイ演奏だと思います。

総体として、自由度が高いモード・ジャズで、書き込まれたスコアや打ち合わせはあまりなかったのではないでしょうか。あくまでスポンティニアスな化学反応に期待したような演奏で、なんとなく60年代のマイルス・クインテットを彷彿させる演奏だと思いました。久しぶりのアタリです。




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2010/07/07 | Comment (2) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


こちらからもTBさせていただきました。(今回は一発で入ったのでホッとしました)

ウォルター・スミスIIIは1作目を聴いたときは、「まあこんなものだろう」という印象だったのですが、あれからいろんな場数を踏んでいるだけあって素晴らしいテナー奏者に成長しましたね。
特に本作はライブ盤だけあって、その魅力が満載でした。
あと最近のテナー奏者では白人ではありますが、ブランドン・ライトの「Brandon Wright/Boiling Point」もなかなか良かったです。
次から次へと上手い人たちが登場してきて、さすがにアメリカは層が厚いですね。

nary |  2010/07/11 (日) 16:03 No.4127


TB成功ですね。前回はなんだったんでしょうね。

>ウォルター・スミスIIIは1作目を聴いたときは、「まあこんなものだろう」という印象だったのですが、

デビュー作は確かにパッとしなかったですよね。でもあの音の世界は嫌いじゃないです。アーロン・パークスの存在感が大きったように思います。

>あと最近のテナー奏者では白人ではありますが、ブランドン・ライトの「Brandon Wright/Boiling Point」もなかなか良かったです。

ですね。かっこいいですね。naryさんの記事を読んだあと、Youtubeで彼の演奏を観たのですが、第一声で上手い!って思いました。今日、仕事帰りにユニオンによってきたのですが、売っていませんでした。仕方ないのでこれからHMVにオーダーします。
そうそう、ナスバウムへのプレゼントの件、どうもありがとうございました。

criss to nary |  2010/07/11 (日) 22:07 No.4130

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