雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Kevin Eubanks / Zen Food

   ↑  2010/12/03 (金)  カテゴリー: guitar
kevin eubanks_zen foodKevin Eubanks / Zen Food
( amazon.co.jp )
2010 Mac Avenue Records
 


Kevin Eubanks (el-g, ac-g)
Marvin "Smith" Smith (ds, per)
Bill Pierce (ts, ss)
Gerry Etkins (p, rhodes)
Rene Camacho (b)

さて、私は誰でしょう。

1) 伯父がかの有名なピアニスト、レイ・ブライアン。
2) 兄はトロンボーン奏者、弟はトランペット奏者。
3) セミ・ベジタリアンで動物愛護団体 PETA の主催する 『 世界で最もセクシーなベジタリアン 』 に選ばれた経歴をもつ。
4) アメリカNBC放送の人気トーク番組『 The Tonight Show with Jay Leno 』 の音楽監督を15年務めた。

正解はギタリストのケヴィン・ユーバンクス ( Kevin Eubanks, Philadelphia, 1957~ ) 。

「ほ~、そう言えばそんな人いたな~」と遠い目をする人はおそらく40歳代以降のジャズファンたと思うのですが、若いジャズファンは「誰、それ?」ってな感じでしょう。いずれにしても今ではケヴィン・ユーバンクスのことを語るジャズファンはほとんどいないんじゃないでしょうか。ただし、それは日本だけの話で、かたやアメリカでは子供からお年寄りまでみんなに知られた超有名なジャズ・ミュージシャンなのです。理由は上記(4)にもあるように、アメリカTV史上最古の長寿番組『ザ・トゥナイト・ショー』 の音楽監督を長年にわたり務めていたからです。

この番組は1954年に始まった深夜のトーク番組なのですが、歴代司会者が変わるたびにショー・バンドも入れ替わるというシステムで運営されてきました。というのも、ショー・バンドは単にBGMを演奏するだけに留まらない、番組全般の重要な役割を担っていました。特にバンド・マスターは司会者のジョークに対してセンス良く切り返したり、機転を利かせた即興フレーズで受け答えたり、とっさにジングルを入れた入りと、司会者の良き相棒( Sidekick ) として、阿吽の呼吸で番組を盛り上げられるミュージシャンでなければならないわけですね。だから司会者が替われば当然その相棒も替わるわけです。

四代目司会者であるジェイ・レノとユーバンクスが揃って番組に登場したのが1995年のこと。二人ともジョークの達人であり、相性も非常に良かったため、名コンビとして多くのファンを獲得していきました。しかし2009年夏に視聴率をめぐるゴタゴタがあり、ジェイ・レノは降板を余儀なくされます。そしてジェイ・レノは同じNBCで2009年9月から『 ザ・ジェイ・レノ・ショウ』を受け持つことになります。当然ユーバンクスも『 トゥナイト・ショー 』を降板し、新たにジェイ・レノの新番組で “ プライムタイム・バンド ” として活動を再スタートさせました。一方の『 トゥナイト・ショー 』は新しいホストとしてコナン・オブライエンという人気司会者を起用し番組をスタートさせました。しかしこれが思うように視聴率が伸びず、さらには『 ザ・ジェイ・レノ・ショウ』も苦戦を強いられるという悲惨な結果となったのでした。そして、いろいろとすったもんだの末、コナン・オブライエンはわずか7か月で番組を降板させられ、ジェイ・レノが再び古巣『 トゥナイト・ショー 』に戻りました。もちろんユーバンクスを引き連れて。

しかし、新たにスタートを切った新『 トゥナイト・ショー 』でしたが、ユーバンクスには以前よりも出番は少なく制限されていたようです。詳しい具体的な内容はわかりませんが、こちら( 『 The Tonight Show Band 』 のWIKI ) の記事には《Leno came back as host for a second tenure, bringing back Kevin Eubanks, who took a more limited role in Leno's second run as host. 》 とあります。とまあ、ドロドロとした利権争いの中、多分、ユーバンクスは「そろそろこのあたりが潮時かなぁ」ってかんじたのでしょうか。20010年に2月に自ら番組を降りることを表明。5月28日をもってユーバンクスがバンドリーダーを務めるショー・バンドは解散となったのでした。

ユーバンクスは、番組を降板することになった理由と今後の展望について次のように語っています。

Mr. Eubanks, 52, has said that it was a desire to refocus on music, rather than any problem with Mr. Leno or NBC,that motivated his decision to leave the show.“I want to play some music, and not just jazz,” he told The Philadelphia Inquirer recently. “Other genres too. It’s weird but I don’t consider myself just a jazz musician.” ( source: The New York Times )

よく耳にする定型的なお決まりの理由ですね。音楽に集中したい。まあ一介のジャズ・ミュージシャンとしては一生手に入れることのできないような破格のギャラを手にして十分資産を増やしたから、これからのは好きなジャズを演ってのんびり暮らそう、とでも考えたのでしょうか。心機一転、2010年9月には Mac Avenue Records と契約を果たし、11月には早くも新録をリリースしました。それが今回の 『 Zen Food ( 禅食) 』 です。ベジタリアンらしいタイトルですね。

ほんと久しぶりの新録ですよね。ユーバンクスといえば80年代の GRP時代のフュージョンと90年代のデイヴ・ホランドのカルテットに参加していたストイックなジャズをやっていた時代が個人的には印象に残っています。正直なところ、今世紀に入ってからは彼の名前を耳にする機会も全然なかったので、まさか自身のレーベル Insoul Music を立ち上げ、6枚もアルバムを制作しているとは思ってもいませんでした。その作品群は一枚も聴いていませんが、The New York Times に《 Eubanks has released six albums, largely unnoticed, on his own boutique label, InSoul. 》 とあるように、あまり出来はよくなかったようです。

以上のような経緯から想像するに、今回の新作は相当気合いが入っているだろうなって否応なしに思うわけですが、はたして予想通りになかなかの充実作品でした。テレビ業界でたっぷりと甘い汁を吸って堕落したユーバンクに一抹の不安はありましたが、一聴してそれが全くの杞憂であったことがわかりました。相変わらずよく指が動くこと。全くブランクを感じさせない素晴らしい演奏です。

というのもユーバンクスは数年前から、テレビ難組の仕事の合間を縫ってハリウッドの老舗ライブハウス Baked Potatoで定期的に出演し、ギターの腕を磨いていたようです。今回のレコーディング・メンバーで何度もギグを繰り返し、曲を練りあげて、トゥナイト・ショー出演中に既に彼のスタジオで録音も済ませておいたとのことです。前々から用意周到に準備されていたアルバムだったわけですね。( source: Jazz Corner )

メンバーを見てみると、“ Tonight Show Band ” から ドラムスのマーヴィン・スミッティ・スミスとキーボードのジェリー・エトキンスが参加。(マーヴィン・スミッティ・スミスもしばらく見ないと思っていたらこんなところで活躍していたんですね。)フロントはテナーのビル・ピアース(Bill Pierce )。この人も懐かしい人です。80年代にArt Blakey & Jazz Messengers 、フレディー・ハバード、トニー・ウイリアムスらのバンドに参加していた吹き手ですが、ユーバンクスも80年から81年にかけてArt Blakey & Jazz Messengers に参加していたことがあったので、もしかすると二人はその時に知り合っていたのかもしれません。この二人は、今世紀にはいってからも前述したユーバンクスの自己レーベル InSoul でずっと一緒にレコーディングしていたようですので、今回の参加は自然な成り行きだったのでしょう。因みに“ Tonight Show Band ” でテナーを吹いていたのはラルフ・ムーア ( Ralph Moore )。これまた超懐かしい吹き手です。みんな懐かしいけど、しっかりアメリカでは活躍していたわけです。なんだか嬉しいですね、こういうの。

収録曲はユーバンクスの自曲が9曲、エトキンスの自曲が1曲で計10曲。何処となくジョン・マクラフリンを彷彿とさせるテーマをもった緩急両面で構成されたフュージョン楽曲《 The Dancing Sea 》から、最後のスミスとの激しいデュオ曲《 Das It 》 まで、なかなかバラエティーに富んだ構成で楽しめます。超高速指弾きからしか生まれ得ない独得のアーティキュレーションがユーバンクスの醍醐味なのですが、80年代にくらべてさらにその技に磨きがかかったようで、まずはその進化に驚きました。昔は一度弾いた音をハンマリング・オンやプリング・オフで繋いでフレーズを作ることが殆どでした。特にアコギの時はその傾向が強かった。そのため、最初の一音をまるでベースのスラップのプルと同じように弦を引っ張って指盤に叩きつけるほど強く弾かなければならなかったのですが、そのアクセントの付け方が僕としてはどうも馴染めず好きになれなかったものです。しかしその部分は今回かなりなくなっていました。ようは指弾きする回数が増えたということです。

キーボードとの静かな対話がくりなすリリカル・デュオ《 Adoration 》、一風変わった組曲風の《 The Dirty Monk 》、グルービーなバラード《 G.G.》など、どれも洗練された都会的なサウンドです。80年代GRPサウンドの香りも残しつつ、《6/8》 のようにしっかり硬派な4ビートで気骨な姿勢も見せるなど、なかなか面白い選曲。

ユーバンクスは今回の再出発にあったって《 僕はジャズではない何か別なジャンルの音楽をやりたいんだ。僕は自分のことをジャズ・ミュージシャンだとは思ってないからね。》 とインタビューで答えていましたが、できあがった今作を聴く限り、思いっきりジャズしけますけどね、しかもちょっと時代遅れの。でもまあ、久しぶりにユーバンクの職人芸的指弾きを聴けて十分楽しめましたので、これはこれで “アリ” かなって思います。




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