雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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Alex Sipiagin / Destinations Unknown

   ↑  2011/06/20 (月)  カテゴリー: trumpet
Alex Sipiagin_Destinations UnknownAlex Sipiagin / Destinations Unknown ( amazon.co.jp )
2011 Criss Cross


Alex Sipiagin (tp, flh)
Chris Potter (ts)
David Binney (as)
Craig Taborn (P, rhodes)
Boris Kozlov (b)
Eric Harland (ds)



ロシア生まれのトランペッター、アレックス・シピアギン ( Alex Sipiagin, 1967~ ) の通算12作品目、Criss Cross としては9作品目となる最新作。

これだけ多くのリーダー作をリリースしていながら日本での知名度はいまだ低い。Criss Cross からいくらアルバムを出しても日本人リスナーに対する訴求力を発揮できないのは仕方ないことだろうか。日本人には “マンデイ満ちるの旦那” と説明したほうがわかってもらいやすいのが悲しいところ。

アレックス(アレクサンダー)・シピアギンは、1967年6月11日、モスクワにほど近いヤロスラヴリという町に生まれている。12歳からクラシック・トランペットを始め、15歳で地元の音楽大学に進学するが、たまたまカセットテープでロシアのBeBop を聴く機会があり、強く触発されたのがジャズとのはじめての出会いだった。そして、クラシック音楽のキャリアを更に深めるため16歳でモスクワ音楽院に進むが、その一方で、ジャズについても自主的に取り組み、理解を深めていった。20歳時に軍隊に入隊し2年の兵役生活を送ったが、退役後はグネーシン音楽大学に入学し、クラシックを学ぶ傍ら、ポップ・バンドに参加したり、セッション・プレーヤーとして活躍する日々を送っていた。

彼に人生に転機が訪れたのは1989年のこと。第一回ロシア・ジャズ・コンテストで優勝したことがきっかけで、テキサスで開かれたジャズフェス(Corpus Christi Jazz Festival)に学生バンドと一緒に参加するチャンスを得たのだった。そして、テキサス滞在中にセロニアスモンク・コンペティショントのパンフレットを偶然目にし、それにデモテープを送ったところ見事テープ審査をパス。しかも当時としては異例の速さでビザも取得でき、ついにワシントンの地を踏むことができたのである。当時アレックスは英語など全く話せず、ワシントンに着いた時には一銭も持っていなかったというが、それでも幸運は重なるもので、本選では堂々の4位入賞を果たした。ちなみに同コンペ参加者のなかにはライアン・カイザー、スコット・ウェンドホルト、ニコラス・ペイトンらがいた。

ついにジャズの本場アメリカでのキャリアを開始したアレックスは、ギル・エバンスのマンデイ・ナイト・オーケストラ(スイート・ベイジル)、ミンガス・ビッグバンド、スイスのジョルジュ・グルンツ・コンサート・ジャズ・バンドなどに参加し、精力的な活動を展開していった。現在もミンガス・ビッグバンドやデイヴ・ホランド・オクテットなどで活躍中である。

とまあ、こういう経歴からもわかるように、ビッグバンド畑一筋で成功を収めたミュージシャンのように思われるが、意外にも自己のリーダー作も意欲的に制作してきた吹き手なのだ。しかも、ビッグバンドでのコンベンショナルな演奏とはまるで違って、リーダー作では極めて先鋭的でコンテンポラリーなスタイルを貫いているのが面白い。

さて、今新作は Criss Cross からは9作品目となる作品だ。この数はCriss Cross に所属するミュージシャンの中でもかなり多い部類に入る。トランペッターではジョン・スワナが11作品で最多だが、アレックスの9作品はこれに次ぐ作品数だ。プロデューサーであるゲリー・ティーケンスによほど気に入られているのであろう。 Criss Cross 所属のトランペッターとしては、上記したジョン・スワナ以外にも、ジョー・マグナレリ、ジム・ロトンディ、ライアン・カイザーなどなど、錚々たるミュージシャンが名を連ねているが、その中でもアレックスだけはちょいと毛並みが違っているように思う。つまり、他のトランペッターよりもコンテンポラリー度数が高く、モーダルで複雑な演奏を得意としているのだ。そのことは共演するサックス奏者を見ても一目瞭然だ。ジョン・スワナ、ジョー・マグナレリ、ジム・ロトンディらがその相棒としてエリック・アレクサンダーを選ぶのに対してアレックスは、クリス・ポッターやシーマス・ブレイクを好んで起用してきた。

今作のメンバーはクリス・ポッター、デヴィッド・ビニー、クレイグ・タボーン、ボリス・コズロフ、そしてアレックスの作品には始めて参加するエリック・ハーランドの6人。クリス・ポッターとデヴィッド・ビニーは1996年にTCBに吹き込まれたアレックスのデビュー作『 Images 』で既に共演していた旧知の仲。その後もこの2人とはたびたび共演を繰り返してきた。直近では2004年の『 Equilibrium 』でもこの3人はフロントラインを形成していた。クリス・ポッターはアレックスのリーダー作12作品中なんと半数の6作品に名を連ねている。これぞ相思相愛の間柄。

さて、肝心の内容だが、ホント、これは凄くいい。いいアルバムっていうのは始まりの雰囲気でわかるもの。本作はその典型的な例だろう。楽曲の完成度の高さと、各メンバーの驚異的な即興演奏は既出のいかなる作品をも凌ぐものだ。

収録曲はアレックスの自作曲6曲とトニーニョ・オルタの1曲で計7曲。殆どの曲が10分以上と長尺で、各メンバーのアドリブ・パートも大々的に用意されているので、思う存分、贔屓のプレーヤーのソロが堪能できる。アレックスのリーダー作だから彼のソロ・パートに重点が置かれているという訳でもなく、フロント3人にほぼ等価配分でソロ・パートが用意されている。クリス・ポッターのソロは言うに及ばず、デヴィッド・ビニーのソロもかなりウネリまくって心地よい。アレックスの自作曲は、キャリアを重ねたからこそ生み出せる細部への工夫が見られ、流石と言わざるを得ない。そして相変わらずストイックなシリアスな雰囲気が全編に漂っているのはまさにアレックスの世界観そのものだ。

ところで、楽曲はモードを主軸に構成されているように思われるが、中にはモーダル/コーダル間を行き来しながら展開していくような楽曲もあり、まさにNYコンテンポラリー系のサウンドなのだが、こういうスタイルのジャズをどう表現したらいいのか、いつも悩んでしまう。“ ポスト・バップ ” という言葉で括ってしまうと、なんだかわかったようで、実のところなんだか全然わからない。現代NY系ジャズの種々のスタイルを上手に定義してくれる評論家の方っていないものだろうか。

ということで、最近のジャズ界に立ちこめる閉塞感に嫌気がさしていた今日この頃であったが、こういう元気のある刺激的なジャズを聴くと、一気に視界が広がっていくような爽快感が感じられ、気持ちがイイものだ。久しぶりにアレックスの旧作でも聴き返してみようかなぁ。



Alex Sipiagin / Steppin' Zone ( amzon.co.jp )
2001 Criss Cross


Alex Sipiagin (tp)
Chris Potter (ts)
Dave Kikoski (p)
Jeff Watts (ds)
Scott Colley (b)

Criss Cross からの諸作品で一番好きなのはこれかな。2001年の同レーベルのデビュー作。メンバーがメンバーだけに肉感的な絡みあいがすごい。全体的にキリッと締まった仕上がりで、無駄が一切ないところがよい。



Alex Sipiagin _ImagesAlex Sipiagin / Images ( amazon.co.jp )
1998 TCB

Alex Sipiagin (tp, flh)
Dave Binney (as)
Chris Potter (ts)
Josh Roseman (tb)
Gil Goldstein (p, accord)
Adam Rogers (g)
Scott Colley (b)
Jeff Hirshfield (ds)
Kenny Wollesen (perc)

1998年にスイスのTBCに吹き込まれたアレックスのデビュー作。ケニー・ホイーラーやフンラコ・アンブロゼッティのような美しく抒情的な演奏をしていて、アレックスの違った側面が見られる作品。結構面白い曲もあったりして、以前はよく聴いた。ディストーションやワウワウを派手に使ったアダム・ロジャーズには当時たいへん驚いた記憶がある。アレックスもそのアダムに負けじとエフェクターを通した電気トランペットで応戦。みんな若かったんだねぇ~。

ブログ 『 中年音楽狂日記 』 の中年音楽狂さんの記事 『 Alex Sipiagin:ライブも最高,アルバムも最高! 』 はこちらから。













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2011/06/20 | Comment (6) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


初めまして

よく覗かせて頂いているんですが、コメントは初めてです。しかも、しょうもない所に反応して。

>“マンデイ満ちるの旦那” と説明したほうがわかってもらいやすいのが悲しいところ。

確かに!と吹きました。おっ評価高いな、でも知らん……いや、どこかで見たことが……と思っていたら、上記にブチ当たり笑い話に。一度も聴いたことがないので今度試しに聴いてみようと思います。

Medeski |  2011/06/20 (月) 21:36 No.4408


Medeski様、はじめまして。

マンデイ満ちるを知らない人には
「チャーリー・マリアーノと秋吉敏子の子供だよ」
と説明するとやっとハアハアとわかってくれますけど、
それでもわからない人には(大概若い人ですが)
「銀河英雄伝説 のオープニング曲を歌っていた人だよ」
と言うと納得してれたします。

これからもお暇な時にはコメント入れてくださいね。
結構、最初にコメント入れるのって勇気いりますが、
一度いれちゃえば、なんてことないですから。




criss to Medeski |  2011/06/21 (火) 19:20 No.4409


こんにちは。
おぉ。。流石ですねぇ。
わたしは、前にも聴いていたのに、その良さに気がついたのは去年くらいですよ。
全く、あほです。

>ストイックなシリアスな雰囲気が全編に漂っているのはまさにアレックスの世界観

その通りですよねぇ。
これ、是非、ライブで聴きたいです。
トラバいたしますね。

Suzuck |  2011/06/22 (水) 17:39 [ 編集 ] No.4410


やはり燃えますねぇ,Sipiagin。

crissさん,こんばんは。私はこのアルバムを聞く前にNYCで彼のライブを見ましたが,それはそれは最高でした。アルバムも前作もよかったし,今回もよかった。ということで,私には凄くフィットしたミュージシャンなんだと思っています。

ということで,毎度毎度のことですが,TBは試みてみますが,きっとダメでしょうねぇ(苦笑)。

ちなみに,今回の来日中に新宿のDUにSipiaginが現れたらしいですよ。だからどうしたって話ですが...。

中年音楽狂 |  2011/06/22 (水) 23:34 [ 編集 ] No.4411


suzuckさん、こんばんわ。

東京はなんだか急に暑くなってきました。日中のメトロの中なんか、もう死にそうなくらい暑いです。仕事場もエアコンの温度を2度高めに設定しているうえに、内視鏡装置が熱源になり、もうぼーとしながら内視鏡をやってます。

これ、最高でしたね。クリポタのソロもよかったし、アレックスの本命盤がついに登場した、って感じかな。結構いままでアルバムだしていたけど、決定的な作品なかったからなぁ。

ということでこちらからもTBさせていただきますね。
暑いのでお体にお気をつけください。

そうそう、よく夏バテっていうけど、あれって、夏風邪をひいていることなんですよ。知ってた?
では、また。

criss to suzuck |  2011/06/23 (木) 20:38 No.4413


中年音楽狂さん、こんばんわ。

NYでライブ観たんですよねぇ。いいですねぇ。出張とはいえ、なんだか羨ましいです。僕なんか相変わらず毎日毎日、くだらない仕事を東京の中だけでやってます。中年音楽狂さんのような経験知って、僕の場合ぜんぜん増えていきませんからねぇ。あ~~、医者になんかならなきゃよかった。僕もアメリカいきたいよ~~~。


ということで、あ、そうそう、シピアギンがDUにあらわれたと、奥さんのツアーで来日していなんですかね?

TBありがとうございます。お手数おかけして申し訳ございませんが、今回も失敗のようですm(_ _)m

いつものように記事の最後にリンク貼らせていただきます。

criss to 中年音楽狂さん |  2011/06/23 (木) 20:45 No.4414

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