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2011 Nonesuch Records




Pat Metheny ( Baritone-g, 42 String-g, 6 String-g, Nylon String-g )
Recorded February 2011 in New York, NY
自動演奏楽器を駆使して彼一人で パット・メセニー・グループのサウンドを再現してしまった前代未聞の仰天プロジェクト 『 Orchestrion 』 ( 前項あり ) に続いて早くもリリースされた最新作は、一転してアコースティック・ソロ・ギターによるカヴァー集。なんという振幅の大きさ! これも無尽蔵のクリエイティビティーの成せる技なのだろうか。
パット・メセニーのファンなら、彼のギター・ソロ集と聞いて真っ先に2003年の『 One Quiet Night 』を思い出すことだろう。深夜に自身のホームスタジオに一人籠り、マイク一本で録音したアルバムで、ノラ・ジョーンズのヒット曲《Don't Know Why》や、キース・ジャレットの名曲《 My Song 》などが収録されてはいるものの、それ以外はほとんど自曲で固めた幾分内省的でストイックなアルバムだった。それに対して今回は、メセニーとしては初となるアルバム全曲カヴァーによる作品だ。
しかも収録曲はベンチャーズ、ビートルズ、サイモン&ガーファンクル、カーペンターズ、バート・バカラックなど、日本人でも知らない人はいないだろう馴染み深い名曲ばかり。そして、ある限られた世代(当然、僕もその世代ですが)には特に、胸に響く懐かしい思い出を想起させる曲たちが並んでいる。収録曲のリストを見ただけでは、なんだかベタな選曲なや~、と肩を落とすファンも多いかもしれないが、ひとたびそのサウンドを聴けば、そんな落胆も払拭されるはず。流石は超一流ミュージシャンは違うもの。手垢にまみれ擦り切れた往年の名曲に新たな生命を吹き込むことに見事に成功している。
なんでも、本人によると、これらの懐メロは以前からコンサートの前のサウンドチェクの際に演奏していたのだが、周囲から反応もよく、いつかは一枚のアルバムにまとめたいと常々思っていたとのだとか。

『 One Quiet Night 』 同様、殆どの曲がバリトン・ギターがメインで録音されているが、曲によってはピカソ・ギター( 4本ネック、42弦のメセニー特注ギター )や通常の6弦ギター、ナイロン弦6弦ギターなども使用している。
メセニーが以前からコンサートなどでは弾いていたこのバリトンギターという楽器は、簡単に言えば、ギターとベースの中間のような楽器で、通常のギターのチューニングを1オクターブ下げたようなもの。なので、バリトンギターのノーマルなチューニングは《 E - A- D - G - B - E 》になるが、メセニーのチューニングはハーフ・ナッシュビル・チューニングというチューニングを使用している。これはノーマル・ギターのチューニングを全体に5度下げ、さらには3弦と4弦を1オクターブ上げるという変則チューニング。
Youtube の演奏風景などをみると、この1オクターブ高い3-4弦をメロディー用に割り振っているようだ。本人によると(下掲の Youtube のインタビュー参照 )、1-2弦をヴィオラ、3-4弦をバイオリン、そして5-6弦をチェロ、という、いわば弦楽三重奏のような捉え方でアレンジを考えたとか。ちなみにこのバリトンギター、ボディーも通常のギターよりも大きしい、スケール長も73.5cm と、レギュラースケールのギターよりも8cm ぐらい長く、かなり指が長くないと弾きこなせないだろう。
僕個人的には《 パット・メセニー・グループ 》 でのメセニーが一番好きなので、こういった企画モノはあまり好みではないはずなのだが、何度も繰り返し聞いているうちに、すっかり彼の世界に引き込まれてしまった。環境音楽と言ってはメセニーに失礼だが、深夜、家族な寝静まったあとに、ひとり読書を楽しむときなどのBGMとしては最高にはまる、いわば “ 状況音楽 ” 的に楽しめるサウンドだと感じた。
1. The Sound of Silence (Paul Simon)
2. Cherish (Terry Kirkman)
3. Alfie (Burt Bacharach & Hal David)
4. Pipeline (Bob Spickard & Brian Carman)
5. Garota de Ipanema (Antonio Carlos Jobim & Vinicius de Moraes)
6. Rainy Days and Mondays (Roger S. Nichols & Paul H. Williams)
7. That's the Way I've Always Heard It Should Be (Carly Simon & Jacob Brackman)
8. Slow Hot Wind (Henry Mancini & Normal Gimbel)
9. Betcha by Golly, Wow (Thomas Bell & Linda Creed)
10. And I Love Her (John Lennon & Paul McCartney)
ブログ 『 中年音楽狂日記 』 の中年音楽狂さんの記事 『 聞けば聞くほど味わいが増すPat Methenyのカヴァー・アルバム。 』 はこちらから。
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2011/08/02 | Comment (11) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |crissさん,こんばんは。私は審美眼が乏しいのか,このアルバムの良さがわかるにはかなり時間が掛かってしまいました。それでも曲の良さも相俟って,何だかんだと回数は聞いていますねぇ。
私も本音としてはPMGの新作が聞きたいんですけれども,次はそろそろじゃないですかね。Blue Noteに来てからもう2年半ですし,"The Way Up"からもう6年ですからねぇ。
ということで,URLを貼付させて頂きます。
http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2011/07/what.html
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中年音楽狂さん、こんばんわ。
やっぱりPMGですよね。そろそろ聴きたいですね。オーケストリオンもギターソロも彼にとっては遊びみたいなもんですから。どちらも道楽。ミュージシャンって、結局は一人でどこまで音楽を極められるか、やってみたくなるもんですから。このアルバムは夜というよりも昼向きかな。夜なら文字通り『 One Quiet Night 』のほうがしっくりきます。マイルスの1967年のヨーロッパツアーのブートレグvol1 は楽しみですね。本物のブート?との方は持っていて、出来がなかなかなのは知っているので、あれが高音質で聴けるのはありがたいです。あのクインテットでのライブ音源って貴重ですからね。
このアルバムはやっぱり夜というより昼向きかな。夜なら
ほんとう、、この曲、心に沁みてきます。特に今は、夜なので、今日も一日、頑張ったね、と音楽を聴きながら、声をかけてもらえたような、心地良さを感じます。いくつになっても、10代の時の感覚のままの部分があり、その部分に触れると、じんわり温かくなります。
今日は少しボランティアにも参加し、様々な音楽も聴いて、幸せだわ、と思っていたのに、欲しいアルバムが、また増えてしまいました。最後のピカルディ終止、面白い。
クリスさんは、Facebookはしてみえませんか?私は、今年3月から、友人に勧められて、始めましたが、今日、ジェフ・ローバーのところを見たら、リトルロックでのチャリティのコンサートで、亡くなったアート・ポーターの家族にも会った、と書かれていました。何か、とても良い時間が流れたような文面でした。アート・ポーター亡き後、奥様も、ガンで亡くなられたようですが、孤児が大学に行けるように、チャリティ活動をされたり、社会や周りの大人が、子供達を支えて行くって素敵だなぁと思いました。
クリスさんが、ブログに取り上げてみえた頃は、私は、アートの名前すら知りませんでしたが、その後、作品を知ってから、かなり好きなサックス奏者になりました。両親が、いないことは、大変なハンデイでしょうが、良い子に成長して欲しいです。
先日、私の先生が、古い音源をわざわざ探して下さり、先輩は後輩に渡して行くものだから、、と言って下さいましたが、もう、感激でした。私は、後輩に渡していけるものが、あるのかしら?と、思います。
音楽の楽しみだけは、Jazzを知るようになり、確実に広がりました。私の友人の中には、コンクールで賞を取らせないといけない、、仕事をしている人達がいます。友人のメールを読むと、大変だわ、、追い込まないで、と思います。私は、クラシックのピアノ曲を聴くと、あまり楽しめませんが、フレッド・ハーシュを聴いてからは、これよね、こういう音だわ、って思ったわ。クラシックの世界でも、素晴らしい名演はあるけど。
crissさん、こんにちは。
記事の内容とは全く関係ありませんが、前に頂いた「Jazz Bar 2010」のコメントを是非させて下さい。もう何度も車の中で聞かせて頂きました。有難う御座いました!!
全曲とも聞きやすくて良かったのですが、特に、私のお気に入りは、ハーレム・ノクターンのスモーキーなサックスと、ロリー・アリンの歌うTake me in your armです。ハリー・アレンのハーレム・ノクターンは、最初のイントロを聞いた限り、とてもその後に続くメロディー・ラインが想像できず、曲のコントラストが面白かったのと、サックスは、泣きのサックス、という感じで、失恋した時のシチュエーションにとても合いそうです。Take me in your armは、曲が良いですね!それと、彼女の声が文句なしに良いです。。
それから、余談ですが、昨夜、自分の演奏を一つアップしてみました。リンク先は、別途メールでお知らせ致します。お時間のある際にでも、是非、覗いて見て下さいね。
ひまわりさん、こんばんわ。
>いくつになっても、10代の時の感覚のままの部分があり、その部分に触れると、じんわり温かくなります。
そうですよねぇ。意外に歳をとっても10代のころの感性ってふとした時に蘇ってきて、「あ~、この曲を聴きながらあんなことを感じたな~」とか「誰誰と何々をしていた時に、あんなことを考えながら聴いたよな~」みたいな、昔を懐かしみながらも、いまだにその頃の感受性がこの親父の頭のどこかに潜んでいるんだと驚きます。
> クリスさんは、Facebookはしてみえませんか?
いやいや、やっぱりFacebookは基本的に実名ですから、なかなか踏み切れないです。やっぱり日本は実名を晒すのは危険な国ですからねぇ。ネットの世界は思っているほど寛容じゃないですから。
>アート・ポーター亡き後、奥様も、ガンで亡くなられたようですが、
それは知りませんでした。まだ奥様だって若いんでしょう。悪いことは続くものですね。でも25年も医者やっていると、同時期に不幸に見舞われ、相次いで亡くなられる夫婦ってたまにみるんですよね。あれは不思議です。
Laieさん、お久しぶりです。
ハリー・アレンはけっこう年配のジャズファンに人気があるように思いますね。オールドファッションでノスタルジックな感じのサックスを吹きますしね。ハリー・アレンが好みならスタン・ゲッツという吹き手もきっと気に入ると思いますよ。ジョアン・ジルベルトと共演したボサノバ作品などが聴きやすです。
Youtube拝聴させていただきました。映像は御主人が撮影されたことはわかるのですが、このお声はLaieさん自身なんですか? え? Laieさんは琴を演奏されるだけじゃなかったのですか? このソプラノのお声はLaieさんなのでしょうか? ビックリです。白黒の海はちょっと怖いですね。死をイメージするからでしょうかね。
東北の復興は進んでいるようで、実際のところまだまだのようですよ。さあこれから復興! と言うときに円高、株安が日本を直撃。復興関連企業も足踏みしている状態です。管総理に一日も早くお辞めいただいて、なんでもいいから景気刺激してもらい、復興に金を回してもらいたいところです。
こんにちは。
クリスさま、ギターで弾こうとしちゃったんですか。
わたしも当初いろいろ思うこともあったのですが、今はこの世界にうっとりはまり込んでいます。
でも、確かにBGMにも最適です。
そう、昔聴いた曲って、一緒にそのときの状況を思い出しますよねぇ。
哀しいことが多くて、嫌だなぁ。(爆)
crissさん、こんにちは。
スタン・ゲッツという方は、名前だけは何処かで耳にしたことがあったので、早速、ネットで検索してみますね。ご紹介有難う御座いました。ハリー・アレン氏は、年配の方向きなんですね。いつの時代にも、「旬の奏者」が生まれて、世を風靡して、後々まで、語り継がれて行くんでしょうね。。
ビデオは実家の母も、白黒で景色も波なので、震災のイメージに近くなるし、やはり、怖いと言っていました。やっぱり色の方が良かったですよね。。アップした曲が、宗教曲でマイナー・キーなので、今回は、妥協しましたが、この次は、背景と曲のバランスに、もう少し気を配りたいと思います。
貴重はご意見、有難う御座いました。あっ、ちなみに、私が歌っています。。が、生演奏なので、細かい所は、聞き流して下さい~~。(苦笑)
suzuckさん、こんばんわ。
暑いですね~。東京は今日、35度ですよ。沖縄より高い気温って、どういうこと?
>そう、昔聴いた曲って、一緒にそのときの状況を思い出しますよねぇ。
哀しいことが多くて、嫌だなぁ。(爆)
そうですかね~。僕は逆に楽しかった思い出(もちろんおネエちゃん関係ですが)が次々に蘇ってきますよ。あの頃はよかったな~。もう、絶対、あんなことはできないんだな~(と、目を細めて遠くを見つめる)。
“ 音楽は、常にその時代の気分を伝えてくれる。”
by 田中康夫
>スタン・ゲッツという方は、名前だけは何処かで耳にしたことがあったので、早
速、ネットで検索してみますね。
今はyoutubeでいくらでも音源聴けるからいいですよね。とりあえずはyoutube でスタンゲッツの音を聴いてみてください。ジャズとしてのノイエスはないけど、単純に爽やかで気持ちいいですよ。
>あっ、ちなみに、私が歌っています。。が、生演奏なので、細かい所は、聞き流して下さい~~。(苦笑)
すげ~~~。ホントですか。プロじゃないですか、プロ!僕にはあんな声、出ね~や。
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人は想い出でできている? 心の奥に静かに拡がる湖。 無秩序に、、そして静かにただ
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