雨の日にはジャズを聴きながら90年代以降のジャズを気ままに綴っています。 旧ブログ 『 雨の日には JAZZ を聴きながら 』 からのデータ移行は終了しました。ジャズ以外にも、時々デジタル関連の物欲記事、最近ハマっているカメラの話題も少しアップしています。 

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2011年 極私的愛聴盤ベスト20 (その弐)

   ↑  2012/01/05 (木)  カテゴリー: Jazz
2011年ベスト25 (2)

昨日の「 極私的愛聴盤2011 」 の続きです。

7) SFJAZZ Collective / Live 2010: 7th Annual Concert Tour ( 2011年6月16日アップ )

7年目を迎えた SF Jazz Colective の2010年のライブ盤。題目はホレス・シルバー。フロントがジョー・ロバーノとデイヴ・ダグラスが抜け、代わりにマーク・ターナーとアヴィシャイ・コーエンが加入。ピアノもリニー・ロスネスからエドワード・サイモンに交代。そして、一時期抜けていたヴィブラフォンのステフォン・ハリスが再加入し新編成となっている。この新バンドの方が遥かにサウンドに幅が出ているし、表現力も秀でているように思う。特に冒頭に配された《 Cape Verdean Blues 》 にみるステフォン・ハリスの独創的で緻密さに溢れたアレンジは素晴らしい。昨年の同メンバーによるライブ盤 『 Music of Stevie Wonder and New Compositions: Live in New York 2011 - Season 8 』 も昨年暮れにディスクユニオンなどで手に入るようになっているが、3枚組7,000円はちょっと御高いか。SF Jazz のサイトから購入すれば 35ドル( 2,700円 ) で購入できるし、それがメンドクサイなら、amazon.co.jp の mp3 download で 3,000円で購入できる。

続く4作品はいずれもビッグバンド作品。

8) Chris Potter & The DR Big Band / Transatlantic ( amazon.co.jp ) ( 2011年8月30日アップ )

クリス・ポッターの最新作はデンマーク放送ビッグバンド( Danish Radio Big Band )との共演盤。クリポタはこの共演のために全ての楽曲の作曲・編曲を手掛けている。しかも全曲書き下ろしというガチ本気モード !!  クリポタの演奏だから悪かろうはずがない、という先入観を排して真っさらな気持ちで聴いてみても、やっぱり、クリポタは凄い。壱音壱音の感情の乗せ方がお見事。旋律と対旋律が重層的に絡み合い、徐々に立体感とスケール感が増していき、ブラスの高揚感漲るトゥッティと共にクリポタのソロが爆発する・・・。ホント、最高ぅ~。


9) Stefano Bollani / Big Band! ( amazon.co.jp )

ステファノ・ボラーニの (たぶん) 初となるビッグバンド作品。お相手は NDR Big Band (北ドイツ放送協会ビッグバンド)。5曲すべてがボラーニの自曲だが、ビッグバンドの編曲に力点が置かれていて、ボラーニのソロはけっこう控えめ。その代わり一糸乱れぬ超絶技巧のビッグバンドのサウンドが素晴らしい。これぞ豪華絢爛な音の祭典だ。

10) Joachim Kuhn Trio & hr-Bigband / Out of the Desert Live at JazzFest Berlin ( amazon.co.jp )

ヨアヒム・キューンの最新作は、ドイツのフランクフルトに本部を置くヘッセン放送協会( Hessischer Rundfunk ) 専属のビッグバンド、HR Big Band との共演作品。HR Big Band は時にフランクフルト・ラジオ・ビッグバンド ( Frankfurt Radio Bigband ) と呼称されることがあるので混乱しやすいですが、どちらも同じバンドです。以前に拙ブログでご紹介したデイヴ・ダグラスの『 A Single Sky 』 の時は Frankfurt Radio Bigband の名前が使われていました。どういう理由かはわかりません。本作は正確には “ Joachim Kuhn Trio ” 名義ですが、ダニエル・ユメール、J.F. ジェニー・クラークとのあの超重量級名トリオではないことは言うまでもありません。今回のトリオはゲンブリとウードを演奏するモロッコ人ヴォーカリストのマジド・ベッカスと、スペイン人ドラマー兼タブラ奏者のラモン・ロペスからなるトリオです。

guimbri_player

ウードやタブラに比べてゲンブリ ( guembri ) は馴染みが薄い楽器ですが、このゲンブリとはモロッコの民族音楽であるグワーナ ( Gnawa ) で用いられる弦楽器です。箱型のボディーに円筒形のネックが突き刺さったような外見で、弦は3本。Youtube などで演奏を観る限り、オクターブがやっとの音域で、あまりソロやメロディーには不向きな楽器のようにみえます。どちらかと言うとベースギター的な使われ方が多いみたいです。簡単なリフを繰り返すリズム楽器、とも言えます。なんだかチープで怪しげな楽器で、誰でもベンベンと弾きならせそうではありますが、逆にピアノなどの完全に調律された西洋楽器と合わせるのは難しいんじゃないでしょうか。

キューンはこのトリオで2007年に『 Kalimba 』、2011年には『 Chalaba 』という作品をリリースしています。僕は『 Chalaba 』しか聴いていませんが、ゲンブリが意外に低音がしっかり出ていて、またキューンの左手が強靭なため、普通のピアノトリオを聴いているかのような聴きやすい作品でした。何度も聴きたくなる音ではありませんが、キューンのフリー指向に比べたら、このトリオによるエスニック指向のほうが数倍聴きやすいと思います。

閑話休題。本作は基本的には『 Chalaba 』と同じベクトル上にある作品だと思いますが、曲によってはキューン御得意のフリーに突入したりと、そのアヴァンギャルドでカオティックなスタイルは変わりありません。欧州屈指のヘビー級ピアニストであるキューンと、ドイツ屈指のビッグバンドのガチンコ勝負は圧巻です。怒濤の勢いで押しまくるアンサンブルに一人立ち向かう野獣のごときキューン。許す限りの大音量でその音圧を浴びれば、かなりのユーフォリアが得られるんじゃないでしょうか。


11) Trilok Gurtu with Simon Phillips + NDR Bigband / 21 Spices ( amazon.co.jp )


トリロク・グルトゥとサイモン・フィリップスの共同名義作品。バックを務めるのはWDR Bigband と並びドイツの名門ビッグバンドの一つである NDR Bigband 。本作は2010年5月にドイツのPaderbornで開催された Drums'n'Percussion Festival の企画のライブ音源+スタジオ音源から構成されている。全曲がグルトゥの過去の作品ですでに披露されている曲で、それをビッグバンド用にリアレンジしている。タイトルの『 21 Spices 』は、1995年リリースのグルトゥの作品『 Bad Habits Die Hard 』に収録されていた曲に由来するが、この “21” という数字は偶然にも本作に参加したミュージシャンの総数にもなっている。

メンバー的に興味深いのはベースのミシェル・アリボ (Michel Alibo) でしょうか。拙ブログでもたびたび登場するフランスのフュージョン・グループ、シクサン ( Sixun ) (前項参照 ) のメンバーです。ファウンダーはピアノのジャン=ピエール・コモ。ギターはルイ・ウィンスバーグ。ドラムスはウェザー・リポートにも参加していたパコ・セリ、ということで、メンバーが個々に大活躍ですが、アリボは他のメンバーに比べるとやや地味な存在です。ですが、本作ではけっこう存在感を見せつけていますのでご注目を。

トリロク・グルトゥはジョン・マクラフリンのバンドで叩いているのを昔見て度肝を抜かれ、その後のソロ作品を何枚か聴きましたが、あまりインパクトがなかったのが現実でしたが、本作は企画とメンバーの良さに助けられ、彼の作品の中では一番の愛聴盤になりそうです。

いっぽうのサイモン・フィリップスは、僕個人的には1980年代のジェフ・ベックとの演奏が脳裏に焼き付いていてるので、それに比べると最近の演奏はやや物足りない感じもしますが、それでもデジタルライクな正確無比な超絶技巧はやはり流石。昨年はリー・リトナーやマイク・スターンとブルーノート東京に出演したり、上原ひろみの新作に参加したり、はたまた嵐のレコーディングに参加したりと、日本に急接近しているフィリップスですが、30年前、ジェフ・ベックの『 There And Back 』を興奮して聴いていたときには、フィリップスの今日の八面六臂の大活躍はまったく想像できなかったなぁ。いずれにしてもヘビメタ~ポップス~フュージョン~ジャズ~ポップスと、世に存在するリズムというリズムはなんでも叩けちゃう、プロ中のプロには間違いありません。



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2012/01/05 | Comment (5) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


90年以降のジャズ名盤をまとめた本、記事、サイト(英語でOKです)を知ってたら教えてください。

 |  2012/01/06 (金) 01:24 No.4505


Re: タイトルなし

> 90年以降のジャズ名盤をまとめた本、記事、サイト(英語でOKです)を知ってたら教えてください。

はじめまして。お越しいただきありがとうございます。

さて、ご質問の件ですが、現代ジャズの名盤に関する書籍は思いつくものがありません。どうしても名盤紹介となると古い時代の名盤が中心になっちゃうんじゃないでしょうか。それこそ、僕も現代ジャズに限定した指南書があれば欲しいですね。欧州に限れば杉田宏樹氏の『 ヨーロッパのJAZZレーベル 』が非常にためになると思います。

それから、これは相互リンクさせていただいているブログですが、naryさんという方の『 Jazz & Drummer 』( http://narymusic2010.blog90.fc2.com/ ) は新譜をいち早く紹介してくださっていますし、コメントも非常に中立で偏見もなく、購入の指針としては有益だと思います。naryさんが★五つをつけるアルバムを買っていれば、素晴らしいCDコレクションが完成すると思いますよ。


criss |  2012/01/10 (火) 22:56 No.4507


ご丁寧にありがとうございます。

ぜひ参考にさせていただきます!


 |  2012/01/12 (木) 17:41 No.4509


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 |  2012/02/05 (日) 05:35 No.4517


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 |  2012/08/11 (土) 22:33 No.4524

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