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2008/01/21 (月) カテゴリー: tenor
最近は欧州圏のジャズやニューヨークとりわけアンダーグラウンド系のジャズを聴くことが多くなり,気がつくと米国西海岸のジャズ事情にてんで疎くなってしまい,今,西海岸で誰が人気あるのか全然わからない始末です。昨年買った西海岸盤って,さて何があったかなって思い出そうにも,カール・サンダースの『 Blues on The Side 』とLos Angeles Jazz Ensemble の『 Expectation 』ぐらいしか思い出せません。というわけで,たまには真冬の真っただ中に爽やかなウエスト・コースト・ジャズでも聴いてみようかと思い,昔よく聴いたデヴィッド・シルズの『 Journey Together 』(1998 NAXOS)や『 Bigs 』(2001 NAXOS)を引っ張りだして聴いていましたら,これらにはラリー・クーンスが参加していたのですね。
クーンスのことなど当時はほとんど意識していませんでしたが,L.A.では近年人気が高い正統派ギタリストに成長しました。それにしても『 Journey Together 』はNAXOSにしてはかなり出来のイイ部類の作品で,アラン・ブロードベントやラリー・クーンスが透明で清々しいソロを披露し,若きシルズのリーダー作に花を添えています。
さて,今日聴いているのはシルズの昨年リリースされた最新作『 Green 』です。毎年コンスタントに新作を出しているようですが,僕が彼のリーダー作を買ったのは2001年の『 Bigs 』以来,7年ぶりです。
シルズはカリフォルニア州マンハッタン・ビーチ生まれの38歳。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校でクラシックのサックスを学び,プライベートでゲイリー・フォスターに師事し,スタン・ゲッツ,リー・コニッツ,ウォーン・マーシュらの奏法を習得していきました。そのため彼のジャズは基本的にはオールド・スタイルなのですが,ジョー・ヘンダーソン的なモダンなフレーズも絡ませながらのクールでエモーショナルなフレーズ作りは,単なる懐古主義アーティストではなく,現代の耳にも十分耐えうる音楽を提示してくれます。それにしても若手のジャズ・ミュージシャンが猫も杓子もバークリー音楽院で高度に複雑化した学理を学び,テンション度の高い捻れたジャズに価値を見いだす時代にあって,シルズのような温故知新タイプのジャズ・ミュージシャンって,ホント少なくなりましたね。
本作はラリー・クーンス(g),マイケル・カナン(p),プッター・スミス(b),ティム・プレザント(ds),そしてシルズの師匠であるゲイリー・フォスター(as)の6tet 編成。全12曲で7曲がシルズのオリジナルで,他がスタンダードやメンバーのオリジナルで構成されています。一曲目からモロ50年代Pacific あたりのビル・パーキンス=バド・シャンクを彷彿させる涼しげな4ビートで気分爽快。マイケル・カナンも歌心に満ち溢れた素晴らしいピアニストです。最近ではジェーン・モンハイトのバックで弾いていましたね。そうそう,ラリー・クーンスも一緒に。
ちなみに,ジャケットのサーファーは,彼自身だそうです。かなり上手そうですね。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校で学び,礼儀正しいジャズを演奏し,サーフィンが趣味で,しかもイケメン。なんだかモテそうですね~。
David Sills 『 Green 』 2006 Origin 82480
David Sills (ts)
Gary Foster (as)
Larry Koonse (g)
Michael Kanan (p)
Putter Smith (b)
Tim Pleasant (ds)
(記事編集) http://jazzlab.blog67.fc2.com/blog-entry-154.html
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