2009年01月14日 20:30
リンカーン・センター・ジャズ・オーケストラや近年のロイ・ハーグローヴやライアン・カイザーのバンド・メンバーとして日本でも徐々にその名を浸透させてきたアルト奏者Sherman Irby ( 1968年 アラバマ州生まれ ) の Birds Records 第一弾。通算では6枚目のリーダー作となる最新作です。
タイトルが何と驚くことに 『 Work Song – Dear Cannonball – 』 !!! 巨漢のアルティスト、だから ≪ キャノンボール・アダレイの再来 ≫ というキャッチコピーを付けて、でもってついでにキャノンボール作品集を作っちゃえという、あまりにも陳腐で乱暴な企画。なんで日本人が企画するとこうなっちゃうのでしょうね。
だって、今までのシャーマンのキャリアや彼の作品群を聴いてきて、全くと言っていいほど、キャノンボールのようなファンキー・グルーヴァーとしての側面をシャーマンに見出すことはできないのですから。
シャーマンは96年に『 Full Circle 』、98年に『 Big Mama’s Biscuits 』という2枚の作品を Blue Note に残し、2000年に自己レーベル Black Warrior Records を設立し、『 Black Warrior 』、『 Faith 』、『 Organ Starter 』という3作品を制作してきました。
前2作品は未聴ですが、Black Warrior の3作品を聴く限り、ファンキー・ジャズからは程遠く、非常にクールでストイックなコンテンポラリー系のジャズなのです。コンテンポラリーと云っても、ケニー・ギャレットなどのコンテンポラリー・ニューヨーク・アルト系よりはむしろ、スモールズ系というか、FSNT系というか、殆どアングラ界の住人のようなジャズを奏でていたわけです。
それがどういう訳か ≪キャノンボールの再来 ≫ と祭り上げられ、ナット・アダレイの代表曲ではあるけれど果てしなく野暮ったい ≪ Work Song ≫ なんかを演奏させられ、更ににはジャケットが網タイツですから、今頃、本国でシャーマンも赤面していることでしょう。
で、キャノンボール・トリビュート盤にはどんな曲が収録されているかというと、直接キャノンボールに関係している曲は≪ Work Song ≫、≪ Jive Samba ≫、そして≪ Bohemia After Dark ≫ の3曲だけという中途半端さ。≪ Walk Tall ≫ もなければ ≪ Sack O’ Woe ≫ もない。ましてや≪ Mercy Mercy Mercy≫ など入っていない。他の6曲はほとんど関係ない他人の曲。シャーマンのオリジナルなども一曲もない。なんだこれ。思わず倒れそうになったわい。
せめてキャノンボールに捧げるなら、トランペットとの2管で作ってもらいたかったし。
ベースがバスター・ウイリアムスで、ドラムがヴィクター・ルイス。もうこの人選ですでに終わっているね。
シャーマンのソロも自己レーベルでの演奏に比べたら激しさが全然見られす凡演。彼はロイ・ハーグローヴやライアン・カイザーと競演しているときは素晴らしい演奏をしているだけに、今回の Birds Records 盤は、かなり幻滅しました。これ、2800円もするんだよねぇ〜。
Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball - 

2008 Birds Records XQDJ-1010
Scerman Irby ( as )
Larry Willis ( p )
Buster Williams ( b )
Victor Lewis ( ds )
(注)上のimeem 内の4曲は 『 Work Song 』 収録の曲ではなく、彼の自己レーベル ,Black Warrior Records からリリースされた3枚の中からの選曲です。






コメント
Bosso | URL | mQop/nM.
Re: Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball -
こんばんは、クリスさん♪
私もこのCD買いましたけど、こちらの記事読んで腹抱えて笑っちゃったです
本当は笑ってられないけどね・・・苦笑
( 2009年01月14日 22:22 [編集] )
monaka | URL | -
Re: Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball -
crissさん、こんにちは,monakaです。
私このアルバム、選びもしませんし、記事読んで考え込んでしまいます。
素直に作りたいアルバムで勝負させて欲しいですね。
足レコードの関連ってあるのでしょうか。
( 2009年01月14日 22:57 [編集] )
criss to Bosso | URL | -
Re: Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball -
Bossoさん、こんばんわ。
これ、買っちゃいましたか。それはご愁傷様です。
一曲目の≪ Work song ≫ が出だしでスローで始まるあたり、臭すぎて萎えてしまって、すぐにでもDUに買い取りしてもらおうかと思っちゃいましたよ。
今まで、僕のブログは買ったCDの中で気に入ったもの、要は4つ星や5つ星の作品をアップしていたのですが、今年からそうじゃなくて、やっぱり買って後悔したような駄盤もちゃんとアップしていこうと決めました。
ですから、これからもこんな記事増えますが、まあ、大目に見てください。あまりクレームきそうな過激な罵言は避けますので。
( 2009年01月14日 23:14 [編集] )
criss to monaka | URL | -
Re: Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball -
美脚ジャケで売っているこの Birds Recordsには、ブログ記事でも書きましたが、有名な川島重行氏というプロデューサーがいて、彼とスイングジャーナルとの何十年にもわたる密月の関係があるため、同誌でも大々的に宣伝されるし、出すCDはことごとく、選定ディスクの称号が与えられるというドロドロの癒着体質の上に成り立ってる販売店です。ですから、良い作品もありますが、売上第一の●●な作品もたぶんに含まれているので、ハズレも覚悟しないと買えません。
( 2009年01月14日 23:23 [編集] )
中年音楽狂 | URL | uMKEDMHo
Re: Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball -
crissさん,おはようございます。
「やっぱり買って後悔したような駄盤もちゃんとアップしていこうと決めました。...あまりクレームきそうな過激な罵言は避けますので。」
買ったアルバムが全部素晴らしいものであればいいですが,決してそうはならないのが実態ですよね。そうした中で,crissさんはじめ,お知り合いブロガーの皆さんの情報は本当に役に立ちます。
私の場合は,気に入らないものはいつもそれこそ「過激に」けなしていますが,crissさんの「過激な罵言」もちょっと見てみたいですねぇ。でも紳士のcrissさんですから,私のような直情的な表現は敢えて避けられるでしょうが...。
( 2009年01月17日 10:02 [編集] )
criss to 中年音楽狂さん | URL | -
Re: Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball -
>crissさんの「過激な罵言」もちょっと見てみたいですねぇ。
本当は僕も過激に本音をぶちまけたいのですが、読み手の中には同じ作品を聴いても、僕とは全然違った評価をされる方も当然いるわけで、そういう反対意見の人の存在を考えると、あまり作品をけなすことはできないかなって、思ったりします。
たとえば、本作のシャーマンでも、
「キャノンボール作品集といってもキャノンボールのファンキーチューンが全然なくてつまらない。駄作だ!」と僕が言ったとすると、中には
「キャノンボールの本質はそんな単純にファンキーという括りではとらえられないんだよ。50年代のキャノンボールは決してファンキーだけやっていたわけじゃないんだし・・・]
と絶対反論してくるだろうし。
なかなか一個人のアマチュア・ブロガーの戯言として聴き流してくれない人もいますからね。
( 2009年01月18日 01:24 [編集] )
中年音楽狂 | URL | uMKEDMHo
Re: Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball -
crissさん,こんにちは。ご懸念ごもっともです。どうぞcrissさんがよかれと思う方法で続けて頂ければと思います。
私は私で性格は変えられませんので,従来通りで行っちゃおうかなと思っています。幸いあまり文句を言ってくる人もいないので助かってますが。
( 2009年01月18日 11:25 [編集] )
criss to 中年音楽狂さん | URL | -
Re: Sherman Irby / Work Song - Dear Cannonball -
このアルバムよかったよ〜という情報も大切ですが、このアルバムは買って後悔したよ〜という情報も同じくらい有益なんですよね。
今年はそのあたりにも配慮した盤選をしていきたいと思っています。
( 2009年01月19日 23:13 [編集] )
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