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Vit Svec / Keporkak

   ↑  2006/09/19 (火)  カテゴリー: bass

vic svec

昨日放送していたTBSテレビの特番,『 地球創世ミステリー~プラネット・ブルー海と大地の鼓動を聴け』が面白かった。俳優の伊藤英明が“地球が凝縮した島”ハワイを訪ね,ハワイを通じて海と地球の神秘を探るといった内容なのですが,特に僕が興味を引かれたのがマッコウクジラの生態について。マッコウクジラって,3000mの深海まで素潜りするんですって。知ってました。どうやってそんな深くまで潜れるかというと,あの突き出た巨大な頭の中に脳油というオイルが貯蔵されていて,海水で冷やして固体化して比重を高めると沈み,血液を流し込み温めて脳油を液化させると比重が低下し浮力を生むといった仕掛けらしいです。なるほどとは思うけど,どうしてそんな深海の水圧に哺乳類の体が耐えられるのかは謎ですね。最先端の潜水艦(おそらくボディーはチタン合金かな)でさえ,1000m程までしか潜水できないんですよ。よく映像で見る海面に浮上して潮吹きしているクジラしか知らないけど,生涯の大部分を深海で過すマッコウクジラって,ホント,神秘的です。じゃあ,どうしてそんな深海にわざわざ潜水するかというと,深海イカを捕食するためだそうです。で,ここからが凄いのですが,深海には小さなイカ類だけではなくて,ダイオウイカという20m近くもある巨大イカが生息していて,それをも食べちゃうんです。この捕食の様子を番組ではCGで見せてくれるのですが,これはもうSFムービーの世界。まさにマッコウクジラ対ダイオウイカ。大映の怪獣映画みたいです。このダイオウイカってまだ生きたままの捕獲がされていないらしく,打上げられたマッコウクジラの胃からダイオウイカの体の一部がみつかったり,またマッコウクジラの体に巨大な吸盤の跡や爪の残骸が残っていてることから“マッコウクジラ対ダイオウイカ”が深海で繰り広げられているのだろうと考えられているようです。

宇宙も神秘だらけですが,深海の世界もそれに負けず劣らず神秘的なんですね。

ということで,今日はVit Svec Trio (ヴィト・スヴェック・トリオ)の『 Keporkak 』(2004 ARTA)を引っぱり出して聴いております。これ,例のジャズ批評No.133『 ピアノ・トリオ Vol.3 』に掲載されてしまいました。密かに(とは言っても結構既に売れちゃたみたいですけど),楽しんでいた隠れた名盤だったので,ちょっと残念。で,ヴィット・スヴェックはピアニストではなく,ベーシストです。 ピアニストはMatej Benko(マチェイ・ベンコ)という人です。このトリオは既にチェコでは有名らしいのですが,僕が聴くのはこれが初めてです。ミロスラフ・ヴィトウスを生んだチェコですからヴィットもメチャクチャ巧い。でもやっぱり,何処までも透き通るクリアな音を紡ぎ出すピアノのマチェイに魅かれてしまいます。陰鬱で陰影感漂う楽曲とラテン・タッチの楽曲,時にクラシックの手法を織り交ぜ,東欧らしい格調高いアルバムに仕上がっています。

ラテン調の清々しい旋律美を持ったM-3《 Dreamer 》。これ,何処かで聴いたことのあるようななつかし思いを沸き立たせる名曲です。続くM-4 《 Smilla 》も哀愁旋律てんこ盛りの美曲。ペトルチアーニ風でもあります。

で,前おきが長くなりましたが,ここからが本題。

このアルバム,一通り聴くと誰しもM-1 《 Follow The Whales 》が印象に残ると思うんですね。《 クジラを追いかけて 》というくらいで,イントロからクジラの鳴き声(ベースのアルコ)が聴こえてきて,ピアノが低音部でFを執拗に重々しく鳴らすテーマ。途中でバロック調に曲調が変わったかと思うと,次いでベースソロからドラムソロ。ピアノとベースのDのコンディミ(Combination of diminished scale )らしい不安げなユニゾン・リフをバックに,ドラムが炸裂ソロをとり,最後に不気味にクジラの鳴き声。以前からどうも曲名と曲調が合わない気がしていたんです。《 クジラを追いかけて 》ならもっと雄大なテーマを持って優しく弾いて欲しいとね。でもね,昨日の『 地球創世ミステリー~』を見て,ハッとしました。この曲は“マッコウクジラ対ダイオウイカ”の曲なんだと。そういうつもりでもう一度目を閉じて聴いてみると,ほら,激しい戦いの情景が眼前に広がってくるでしょ。というわけで,ちょっと嬉しい発見でした。失礼しました。
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