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Pietro Ciancaglini / Reincarnation of A Lovebird - Homage to Charles Mingus

   ↑  2009/08/26 (水)  カテゴリー: bass

Pietro Ciancaglini



High Five Quintet のベーシストとして人気のピエトロ・チャンカリーニ ( Pietro Ciancaglini , Roma , 1975~ ) のデビュー作。これがなんとチャールス・ミンガスへのトリビュート盤というからちょっと意外に思ったが、Albore Jazz の主宰者である富田聡氏のインタビュー記事 ( Swing Journal 7月号 226頁 ) によると、≪ ミンガスはチャンカリーニが最も影響を受けた作曲家の一人≫ なのだそうだ。あくまで≪作曲家 ≫としてのミンガスを高く評価しているのであって、≪ ベーシスト≫ としての評価ではないわけだ。

セロニアス・モンクとチャールス・ミンガスはモダン・ジャズ史上最も強烈な個性を放った天才であり、ふたりとも没後に再評価され現在でも不動の人気を誇っている点でも共通している。がしかし、モンクへのトリビュート盤は数多くあれど、一方のミンガス・トリビュート盤は意外に少ない。すぐに思い浮かぶのがジョニ・ミッチェルの 『 Mingus 』 ぐらいだろうか。先日、WOWOWで放映された70年代のミンガス・バンドのライブ映像の際ピーター・バラカン氏は、ハル・ウィルナーによるミンガス・トリビュート作品 『 Weird Nightmare: Meditations on Mingus 』 ( 1992 ) を紹介してた。しかしこれらはいずれも純粋なジャズの作品ではない。そう考えるとミンガスの音楽に正面から対峙して作り上げられたジャズ作品は、ほとんどないと云ってもよいだろう。ある意味 ≪The Mingus Big Band ≫ が唯一のトリビュート・プロジェクトかもしれない。

ミンガスの音楽はミンガス自身が行使する絶対的な統率力、支配力のもとで初めて具現化できる音楽であり、曲だけが彼の手を離れ広くジャズ界に浸透していうような性質を持たないことが、敬愛されながらもカヴァ作品が作られない理由なのかもしれない。さらにミンガスの曲は管アンサンブルが必須であり、最低でも2管フロントラインを構成しないと実現できないという制約もカヴァを難しくしている要因ではないだろうか。その意味でも今回のチャンカリーニのトリビュート作品は非常に興味深いといえよう。

余談ながら同じイタリア人では、50年代のイタリアン・ジャズの黎明期から第一線で活躍していたベース界の重鎮、ジョルジオ・アゾリーニ ( Giorgio Azzolini , 1928~ ) はミンガスの影響を強く受けたミュージシャンであり、≪イタリアのミンガス≫ なんて云う惹句が付けられていた程だった。

また、最近ではRoma Trio やジョバンニ・ミラヴァッシのサポートで知られるチャンカリーニと同年齢の中堅ベーシスト、ジャンルカ・レンジ ( Gianluca Renzi , Frosinone , 1975~ ) がミンガスとジョーヘンダーソンのカヴァ集 『 CHARLES&JOE 』 ( 2007 ) をリリースするなど、本国よりもイタリアでちょっとしたブームになっているようだ。

閑話休題。本新作は誰もが一度は聴いたことのあるミンガスのオリジナル8曲と、チャンカリーニのオリジナル2曲を含む全10曲の構成。フロントラインには今が旬のテナー奏者、マックス・イオナータとロベルト・ガトーのバンドで人気沸騰中の新進気鋭のアルト奏者、ダニエル・ティッタレッリ ( Daniele Tittarelli ) の2管編成。あくまでゲスト扱いだがアルゼンチン出身の凄腕マルチリード奏者ジャビエル・ジロット ( Javr Girotto ) が4曲で参加している。ジロットはここではバリトンを吹いているが、これが滅法巧い。ミンガスのサウンドにはこういうバリトンの深く沈む音域がよく似合う。ちょうど The Mingus Big Band でロニー・キューバのソロで一気に盛り上がるのも同じ理由だろう。

冒頭からいきなり ≪So Long Eric ≫ で始まる。チャンカリーニ の緩やかにウネるイントロからティッタレッリとイオナータの神秘的な感覚を醸し出すテーマが奏でられると一気にミンガス・ワールドに引きずりこまれる。今まで幾度となく聴いてきた≪So Long Eric ≫の旋律なのに、瑞々しい輝きを放ち聴き手の心深くに響いてくる。源旋律を全く崩していないのに実に不思議だ。ミンガス独特のアクがすっかり抜けて、都会的で洗練されたサウンドに生まれ変わっている。 The Mingus Big Band で垢抜けたミンガス・ワールドの面白さは承知しているはずだが、ここまで美しいミンガスは初めて体験した。計り知れないポテンシャルを内包したミンガスの楽曲群は、イタリアの感性豊かなミュージシャンの手によって丹念に磨きあげられた鉱石のように美しく輝きを放っている。

チャンカリーニもオリジナルもミンガス曲の中にあって全く違和感を感じないほど機微に富んだ優れた楽曲で、彼のソングライティング能力の高さにあらためて感心させられた。と同時に、丁寧に聴き込んでいくと彼のベースラインが実に良く歌っているのに気づく。かなり弾き込んだラインだ。High Five Quintet ではどうしてもフロントの派手なパフォーマンスに耳を奪われ、正直チャンカリーニのベース音にまで気が回らないのだが、かなり丁寧にラインを刻む名手であることは疑いの余地はない。

一聴して地味な印象を受けた作品であったが、聴き込むうちにじわじわと心に沁み入るなかなかの好盤だと感じた。メンバーの良さもあって本作は長きに渡り付き合える作品になりそうだ。

Pietro Ciancaglini / Reincarnation of a Lovebird ( amazon ) 
星1つ星1つ星1つ星1つ
2009  Rearward RW131CD
[ Schema の傍系レーベル Reawardは、再発専門レーベルかと思っていたけど、新譜も制作しているんだね。新譜なら Schema から出せばいいのにね ]

Pietro Ciancaglini  ( b )
Daniele Tittarelli  ( as )
Max Ionata  ( ts )
Pietro Lussu  ( p )
Walter Paoli  ( ds )
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2009/08/26 | Comment (6) | Trackback (1) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


Re: Pietro Ciancaglini / Reincarnation of A Lovebird - Homage to Charles Mingus

モンクやミンガスの強烈な個性は、聴くだけの人より、演奏する人に圧倒的に人気があるような気がいたします。

これ、わたくしもメンバーみて迷わず買った一枚です。
まだ、一度しか聴いてないけど、冬が始まる前にはブログで話題にしたいなぁ。。等と思ってました。

すずっく |  2009/08/27 (木) 09:04 [ 編集 ] No.594


Re: Pietro Ciancaglini / Reincarnation of A Lovebird - Homage to Charles Mingus

suzuckさん、こんにちは。
久しぶりにこんな時間に暇になってしまったので、仕事中にもかかわらずネットに接続しています。

ミュージシャン・サイドからすると、意地悪な見方をすれば、モンクやミンガスを演奏するあるいは作品として世に出すということで、一種の箔付けになるんじゃないでしょうかね。

それから加藤総夫が言っていたと思うんですが、いつも普通のモード曲やスタンダードを演奏しているとどうしてもマンネリに陥ってしまうんですが、そういうマンネリズムを断ち切るためにも、モンクのような特異なメロディー、コード進行の曲がイイ、みたいなところもあるようですよね。

今日は朝の通勤時に、アレッサンドロ・グウィルのトリオで wasabi っていうバンドのCDを聴いてきました。つい先日買ったばかりですが、これがかなり気に入ってます。歯切れのイイ変拍子が多いので、通勤時には絶好のCDです。

criss to suzuck |  2009/08/27 (木) 14:48 No.595


Re: Pietro Ciancaglini / Reincarnation of A Lovebird - Homage to Charles Mingus

クリスさん、ご無沙汰です、monakaです。
本日はライブなどにいったので、遅くなりました。
このアルバム、今までのイタリアのハードバップを粋に、快調にアンサンブルするというのでなく、良く曲、本来の美しさを探っているように思いました。
これまでとは別なイタリアの方策を感じました。
TBさせていただきます。

monaka |  2009/08/27 (木) 23:56 No.596


Re: Pietro Ciancaglini / Reincarnation of A Lovebird - Homage to Charles Mingus

monakaさん、お元気ですか。

>本日はライブなどにいったので、遅くなりました。

さて、だれでしょうか? 27日からコットンクラブにクリスチャン・マクブライトが来てますね。どうしようか迷っているうちにすでに2日目も過ぎてしまいました。観たいけど、メンバーにちょっと不満があるんですよね~。

このアルバム、チャンカグリーニはミンガスの曲を素材として利用しているように思いますね。

僕個人としては、ミンガスがあまり好きじゃないんですよ。なんだかぶすっとした顔で、いつも怒っているんだかわからず無表情で、いきなりステージでタバコ吹かしながらベース弾くし。

まあ、音楽は人間性と切り離さなきゃならないのですが、どうしても人間的に共感できないというか。

たばこ吸いながら演奏するなんて、まず第一に観客に失礼・・・、ともうやめとこ。きりがないので。

ミンガスで一番好きなのは「道化師」かな。

あと、2007年に発掘された「コーネル 1964 」も良かった。ドルフィーも最高だったし。

ま、それくらいしか最近は聴きません。

ということで、こちらからもTBさせていただきます。

criss to monaka |  2009/08/28 (金) 21:11 No.598


Re: Pietro Ciancaglini / Reincarnation of A Lovebird - Homage to Charles Mingus

>27日からコットンクラブにクリスチャン・マクブライトが来てますね。どうしようか迷っているうちにすでに2日目も過ぎてしまいました。観たいけど、メンバーにちょっと不満があるんですよね~。

あらぁ。。
これ、行くつもりだったのです。
いけなくなって、キャンセルしたんだけど。。
クリスさんに席あげればよかったなぁ。。

あ、、最中さんだ、、
これから、最中さんのところにも行きます。

すずっく |  2009/08/29 (土) 10:58 [ 編集 ] No.599


Re: Pietro Ciancaglini / Reincarnation of A Lovebird - Homage to Charles Mingus

>あらぁ。。
これ、行くつもりだったのです。
いけなくなって、キャンセルしたんだけど。。
クリスさんに席あげればよかったなぁ。。

そうですしたか。スズックさんがそこまでマクブライトが好きだとは思ってもいませんでしたが。

今でも行くかどうか迷ってます。明日しかないのに。

チャージ7500円がメルマガ会員限定で3750円で観られるんですよ。やっぱりこれは観るしかないかな。
う~ん、どうしよう。

アルバムではエリック・リードにスティーブ・ウイルンでしたでしょ。来日メンバーはピーター・マーチンにティム・グリーンなんですよね。そこが引っ掛かるんですよね。エリック・リードとスティーブ・ウイルソンなら絶対観にいくんですが。

一晩考えて決めます。

ということで、今日は夜更かししてジャズを久しぶりに眠くなるまで聴こうと思います。このところ通勤時しかジャズ聴けなかったので。

今、Peter Asplaud の「Open Mind 」聴きながら書いてます。

では、また。

criss to suzuck |  2009/08/29 (土) 22:39 No.602

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