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Christian McBride & Inside Straight / Kind 0f Brown

   ↑  2009/09/12 (土)  カテゴリー: bass

christian mcbride kind of brown





米国のジャズ専門誌 『 Down Beat 』 の2009年8月号において、第57回批評家投票 ( 57th Annual Critics poll ) のベース部門でWinner ( Acoustic Bassist of the Year ) に選ばれ、名実ともに米国を代表するトップ・ベーシストとなったクリスチャン・マクブライド ( Christian McBride , 1972~ , Philadelphia ) のMack Avenue Records 移籍後初となる作品。

前作の3枚組ライブ盤 『 Live at Tonic 』 以来3年ぶり、スタジオ録音盤としては『 Vertical Vison 』 以来6年ぶり、そして全編ウッドベースだけで作り上げたアコースティック作品としては95年のデビュー作 『 Gettin' to It 』 以来、実に14年ぶりとなる意欲作だ。

DOOWNBEAT 0908
僕が初めてマクブライドのベースを聴いたのはロイ・ハーグローブの91年の作品 『 Public Eye 』 だった。この作品はハーグローブのベストだと思っている名作であり、いまだに聴き惚れている。この作品はドラムのビリー・ヒギンズ以外は当時、昇り龍のごとき勢いのあった新進気鋭のミュージシャンが集まっていて、そのなかにニューヨークに出てきたばかりのマクブライドの姿もあった。しかし、フロントラインのハーグローブとアントニオ・ハートの溌剌とした素晴らしいソロに耳は奪われ、マクブライドの演奏はほとんど印象に残らなかった。

しかし、このライナーノーツに次のように書かれていたのだ。

≪ とびきり若いのがベースのクリスチャン・マクブライドで、何と今年18歳。このアルバムではまず話題をよぶのが彼のベースだろう。音色、ピッチ、正確な技術、ダグ・ワトキンス2世を思わせる豪快でソウルフルなベース・ワークと、どれをとってもベース界に現れた巨大な新星たるを疑わない。~ ≫

この賛辞をマクブライドに送ったのが評論家の悠雅彦氏である。現在のマクブライドの演奏を聴いて絶賛するなら分かるが、デビュー当時の彼の演奏を聴いて、ここまで評価できるのはやはりプロだけあって耳がずば抜けて良いわけだ

 
マクブライドは確かに当時から巧かったのだが、でも、彼はその後、数多くのセッションやギグをこなしていくうちにどんどん巧くなっていったミュージシャンだ。明らかに90年代前半よりは後半が、90年代よりは今の方が単純に技術的に巧くなっているように思う。

父親と祖父は地元フィラデルフィアで活躍するベーシストであり、そのような恵まれた環境で生まれ育ったマクブライドは10代の早い時期に既に一通りのベースのテクニックを身につけていた。レイ・ブラウンのビバップ初期の録音物を良く聴いて彼に傾倒していくその一方で、ジェームス・ブラウンをアイドルとして育った。そのため彼が最初に手にしたベースは意外なことにエレクトリック・ベースだった。

89年に故郷を離れニューヨークに進出。ジュリアード音楽院に通いながら様々なアーティストと共演していったが、プロとしてはまずアップライト・ベースで認められた。90年代前半は知る限り、すべてアップライトを弾いている。

joshua redman blues for pat当時のマクブライドの演奏はジョシュア・レッドマンの初期の作品で聴くことができる。93年にはジョシュア、パット・メセニー、ビリー・ヒギンズらと大規模なツアーに初めて参加している。そのツアーの演奏は海賊盤 『 Blues for Pat 』 ( Jazz Door ) として世に出回っているが、これが海賊盤ながらとても出来が良い。ただ、マクブライドのベース音はうまくマイクで拾えていないのが惜しい。

90年代前半にアコースティック・ベーシストとして不動の地位を築きあげたマクブライドは、90年代後半になると突如エレキ・ベースを手にしてセッションやギグに参加するようになり、よりコンテンポラリー色の強いサウンドを追及していくことになる。既に十分のエレキ・ベースの技術力は持っていたが、周囲からはエレクトリック・ベーシストとしては信頼されていなかったとマクブライドは語っている ( DOWNBEAT August 2009, P28 ) 。しかし、頻繁にエレキ・ベースを用いるうちに徐々にエレクトリック・ベーシストとしての地位も獲得していったようだ。
 
彼の第二作目以降からは常にエレキ・ベースの曲を織り交ぜ、むしろ、リーダー作ではエレクトリック・サウンドに重点が置かれている作品が目立つ。 前作 『 Live at Tonic 』 は惜しくも2007年に閉店してしまった Lower East Side のライブハウス、TONIC での3枚組実況盤だが、これが完全にエレクトリック・ファンク・バンドであり、完全に “ あっち側 ” に行ってしまった感があった。(大好きだけど)

ところが、今回は逆に全編アコースティックの原点回帰路線に宗旨替えしているのだ。『 Kind of Brown 』 というタイトルが物語るように、本作は恩師であるレイ・ブラウンへのトリビュート作品としの側面ももちろんあるのだろうが、実際にレイ・ブラウンに関連する曲はなく、むしろ恩師のフレディー・ハバードやシダー・ウォルトン、それから友人の故ジェームズ・ウイリアムスに捧げた曲などで構成されている。

メンバーは、マクブライドがニューヨークに進出した当時から世話になっているカール・アレンを軸に、ピアノのエリック・リード、サックスのスティーブ・ウイルソン、ビブラフォンのウォーレン・ウルフを擁したクインテット構成。バンド名は『 Inside Straight 』という。2008年にモントレー・ジャズ・フェスティバルに本バンドが出演した際につけられた名前だ。≪Inside Tonality ≫ で≪Straight Ahead ≫ に行こうぜぇ~、みたいなニュアンスだろうか。

≪ ニューヨークにやってきて偉大なるジャズ・ミュージシャン達とプレイしているうちに、自分は結局、ポール・チェンバースやレイ・ブラウンの精神に基づいてプレイしているのだということに気がついたんだ。そして、なにか足を踏み鳴らすようなストレート・アヘッドなジャズをやってみたいという願望がこみ上げてきたんだ。最近はスイング・ベースに戻ってきたよ。≫ と、マクブライドは云う。

本新作は全10曲。マクブライドのオリジナル7曲とエリック・リードのオリジナル1曲。それからフレディー・ハバードの≪Thema for Kareem ≫とスタンダードの≪ Where are You ? ≫ 。

冒頭曲 ≪ Brother Mister ≫ はミディアム・テンポのシンプルな12小節ブルース。マクブライドは 《 完璧なオープニング・チューン 》 と云っているが、僕個人としてはこういうオ^プニングは拍子が抜ける。さあ、聴くぞ~とCDをトレイに乗せて期待しているところにブルース、それもミディアム・テンポで始まると一気にテンションが盛り下がってしまうのだ。でも悪くないブルースではある。しかもキーが “ E ” というのが珍しい。

2曲目 ≪ Thema for Kareem ≫ は、フレディー・ハバードのオリジナル曲。コード進行がトリッキーで、しかも1小節ごとにコード・チェンジしていく難曲。マクブライドが89年にニューヨークに上京して最初に雇われたのがフレディー・ハバードのバンドだった。当時のスポンサーであったカール・アレンの紹介でハバードに会ったが、当時18歳だった彼を雇い入れるにハバードは最初は躊躇したようだ。
そのハバードはこの録音後、程なくして亡くなり ( 2008年12月29日没 ) 、はからずも追悼曲となってしまった。

6曲目 ≪ Shade of the Cedar Tree ≫ は親友のシダー・ウォルトンのために書いた曲で、マクブライドの95年のデビュー作 『 Gettin' to It 』 で初演されている。
 
8曲目 ≪ Uncle James ≫ は04年に肝臓癌で若くして亡くなられたピアニスト、ジェームズ・ウイリアムスに捧げた物悲しくも美しいメロディーを持った曲。

9曲目 ≪ Stick & Move ≫ は高速モード一発のような曲。マクブライドは基本的にブルースだと云っているが・・・。≪ go for broke ( 一か八かでやってみよう ) ≫ で打ち合わせもなく録音されたようだが、本作のなかで唯一緊張感が漲るコンテンポラリー系の演奏だ。マクブライドのベースラインも美しいが、スティーブ・ウイルソンやエリック・リードも矢継ぎ早に畳みかけるような
渾身のソロを聴かせてくれる。

最後の≪ Where Are You ? ≫(  lyric by Harold Adamson ; music by Jimmy McHugh ) は1937年の映画 『 Top of The Town 』 のために書かれたバラードで “ 僕を残してあなたはどこに行ってしまったの。” という失恋の歌。この曲をマクブライドはピアノをバックにボーイングだけでテーマを奏でる。作品の最後を飾るにふさわしいしっとりとした美曲である。ジュリアードを出ただけあって、ボーイングも流石に巧い。

 
ビブラフォン、ピアノ、アルトという楽器構成も影響してか、総じてクリーンなサウンドの質感が心地よい好盤であった。特にウォーレン・ウルフのビブラフォンが常に爽やかな余韻を振りまき、アルバム全体の雰囲気に重要な役割を演じているようであった。マクブライドのオリジナルも凝った楽曲ではないが、丁寧にアレンジされた繊細さが随所に感じられた。

マクブライドはベース・ソロが好きではないと云っていたが、本作でもソロらしいソロもなく、気負ったフレーズもなく、バンドのトータル・サウンドへの気配りと、ビートを刻むことに集中しているようだ。こんなに耳に違和感なく馴染むマクブライドの作品は聴いたことがない。メンバーもリラックスしているようで、最後まで弛緩しない程よく緩やかな緊張感が持続し、聴いているほうとしても実に心地よいのだ。

ロック、ファンク、ブルースなど、何でも飲み込んだ変幻自在のマクブライドもカッコいいが、こういう純然たる4ビートもなかなか味があっていいもんだ。ニューヨーク・デビュー後20年を総括する意味でも重要な作品であり、また、文句なしの快演といってよいだろう。

Christian McBride & Inside Straight / Kind 0f Brown   ( amazon ) 星1つ星1つ星1つ星1つ
Christian McBride  ( b)
Carl Allen  ( ds )
Eric Scott Reed  ( p )
Steve Wilson  ( as )
Warren Wolf  ( vib )

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2009/09/12 | Comment (2) | Trackback (2) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


Re: Christian McBride & Inside Straight / Kind 0f Brown

以外にあっさりとしたサウンドのイメージがありましたが、何でもござれのスーパー・テクニックを駆使して、それを自然に聴かせているんだろうなあ、なんて思ってしまいます。

前作の3枚組からこうも変わるかと思うサウンドでしたけど、アコベもエレベもスゴい人ですね。これからもリーダー作が出れば、手がのびてしまうミュージシャンのひとりです。

TBさせていただきます。

910 |  2009/09/15 (火) 17:47 No.669


Re: Christian McBride & Inside Straight / Kind 0f Brown

910さん、御無沙汰してます。

確かにあっさりして、正直なところ拍子ぬけしてしまいました。

夏も終わりのころに私は手に入れましたが、これって夏に聴くと
はまりそうなくらい風通しのよい音ですよね。

個人的には「vertical vision 」あたりが好きなので、この新作などは
良いけど、たぶん、今後聴く機会は極めてまれ、だと思っています。

でも、エリック・リードのピアノはやっぱりいいな~って思いながら
聴いています。

こちらからもTBさせていただきます。

criss to 910 |  2009/09/16 (水) 22:55 No.673

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