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ヨーロッパ・ジャズ黄金時代 / 星野秋男 著

   ↑  2009/11/14 (土)  カテゴリー: book

ヨーロッパジャズ黄金時代



今まであまり体系立てて考究されてこなかったヨーロッパ・ジャズについて、音楽研究家である星野秋男氏が本格的に解説した待望の一冊。

ヨーロッパ・ジャズに関する研究では第一人者である氏は、1997年に刊行された季刊ジャズ批評別冊 『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 にも共著者として多大なる貢献を果たしている。1800枚という気の遠くなるようなカタログを制作した著者らの熱意にも感服させれたが、なによりも氏が巻頭に寄稿した論文「ヨーロッパ・ジャズの歴史」に、当時の僕は強い関心を持った。

当時、ヨーロッパ・ジャズに関してはほとんど無知状態であった僕にとってはすべてが驚きであった。すでに1920年前後にはジャズ・バンドがヨーロッパの各国各地で活動していたという事実にまずは驚き、史上初のジャズ評論を書いたのがあのジャン・コクトーであったことに驚き、渡米したストラヴィンスキーがチャーリー・クリスチャン、アート・テイタム、チャーリー・パーカーに夢中になり、ライブハウスに通いつめたという話に驚き、ジャズが誕生したは1917年のニューオーリンズでの出来事ではなかった、という件には、動悸と眩暈で倒れそうになった。

兎に角、この季刊別冊は当時、眼光紙背に徹するまで読み通した、まさに僕にとってはヨーロッパ・ジャズの聖書のような存在であった。

同書でヨーロッパ・ジャズに目覚めた僕は、その後、2002年に刊行された杉田宏樹氏の著書 『 ヨーロッパのJAZZレーベル 』を読み耽りながら、徐々に欧州ジャズの魅力に嵌っていき、今に至っている。

『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 に掲載されている60年代を中心とした名盤、レア盤はどれも一度は聴いてみたくなるような音源であったが、なにしろ当時は入手が至難であった。いくら欲しいとはいえ、僕は貯金を蕩尽してまで手に入れたいとは思わなかったので、はじめから収集は諦めていた。それに対して杉田氏が 『 ヨーロッパのJAZZレーベル 』で紹介しているCDは、ほとんどが苦労せずとも入手可能なものばかりであったため、いまでは紹介CDのほぼすべてを所有するに至っている。

それにしても毎月、数多くのヨーロッパ・ジャズの新譜がリリースされ、一方で信じ難い質と量で過去の名盤、レア盤の再発が進んでいるにもかかわらず、そのヨーロッパのジャズ情報を扱った書物があまりにも少ない。Swing Journal 誌やJazz Life 誌などで時々ヨーロッパ・ジャズの特集を目にするが、一冊まるごとヨーロッパ・ジャズを扱った書籍は上記の2冊しかないのではないか。

しかし、両書とも発刊されたのは10年も前のことである。仕方ないことではあるが、いずれもが月日の流れの中でその情報は「過去の情報」と化してしまった。アップデイトされたヨーロッパの情報が欲しい。そう願っていたファンは決して少なくなかったはずだ。そういう意味で、今回の星野氏の新刊は待望の一冊と云えるだろう。

という訳で、昨日、やっと本書を手にすることができたのだが、まずはざっと目を通して感じたのは、やはり星野氏は今のヨーロッパ・ジャズ・ブームには否定的だ、ということ。

ヨーロッパの国ごとに章分けされ、各章ではまず総論、その国の有名ミュージシャン解説、そして推薦ディスクと、分けて詳しく解説されている。だが、80年代から90年代のジャズに関しては、総論で軽く言及するに留まり、今世紀のジャズに至っては全く触れられていない。

ミュージシャンの個別解説や紹介ディスクでも、全て60年代から70年代のミュージシャンおよびディスクで占められている。つまり『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 とほぼ同じ時代に焦点が当てられているわけだ。

そもそもタイトルにあるヨーロッパ・ジャズの “ 黄金時代 ” とは “ ヨーロッパのジャズがアメリカのジャズとは違う独自性を獲得し、革命的な気鋭のミュージシャンが数多く登場した60年代から70年代初頭 ” の時期を指している。この最もエネルギーのあった時代に氏は並々ならぬ愛情を持っているわけで、正真正銘の硬派なジャズ研究家なのだ。

だから、昨今の日本におけるユーロ・ジャズ・ブームに対しては厳しい裁断を下す。

( 前略 ) 日本でのヨーロッパの新譜の聴かれ方は、メロディーのきれいなピアノ・トリオ物やあまりにもオーソドックスなバップ風の演奏に偏重し、新しいファンの中にはラーシュ・ヤンソンのCDは全部持っているが、ロリンズもパウエルも知らないという聴き方さえも生まれている。こういう聴き方はどうなのだろう?明けても暮れても似たようなピアノ・トリオばかり聴いて、その殻に閉じこもっているのでは、リスナーとしての発展的な成長は望めないのではないか?

( 前略 )ジャズ・ファンはカレル・ボエリーのような聴き易いピアノ・トリオばかりではなく、たまにはそうした硬派な演奏にも目を向けるべきだろう。ジャズはきれいなメロディーで単に癒されればいいという音楽ではないし、暇つぶしの娯楽ではない。

僕のように軟弱なジャズ・ファンには耳が痛い言葉だ。頭じゃ分かっちゃいるのだが,,,,。仕事で疲弊して帰宅。一息ついてさあ何か聴こうかと思ったとき、アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハに手を伸ばす体力が悲しいかな僕には残っていないのだ。

ただ、癒しと刺激は表裏一体、二律背反であり、全く別ものではないと個人的には思うのだが。硬派で難解なジャズを好んで聴くファンも、その先に癒しや心地よさを期待しているのではないだろうか。

本書では軟弱ピアノ・トリオ偏重主義者以外にも批判の対象となっている方々がいる。それはクラブ・ミュージックのDJやライター達だ。彼らはジャズの理解に誤りや勘違いが多く、その中には氏の文章を盗用する輩もいるらしいのだ。クラブ・ジャズに関しては僕自身もかなり懐疑的な見方をしてきたので、氏の歯に衣着せぬ発言に思わず小膝を打ってしまった。

プロの物書きというものは、できるだけ読者を怒らせないように、読者にストレスをかけないように配慮して筆を進めるものだが、氏はそのあたりはあまり考えていないようだ。そこがまた読感爽快でもあるのだが。

で、結局、この星野氏の新刊、どうなのよ? なんだか『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』を持っていれば新たに買う必要ないんじゃないの? って云う声も聞こえてきそうだが、確かにその考えにも一理あるように思う。ざっくり云って 『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 と同じだ。

各論的にはもちろん前作から書き足したり、書き直ししたりしながらヴァージョン・アップした感はあるが、基本的な姿勢は頑固なまでにぶれていない。第一章の 《 ヨーロッパ・ジャズの歴史 》 などは、『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 の巻頭論文 《 ヨーロッパ・ジャズの歴史 》 に加筆しただけかもしれないし (タイトルが大体において同じだしね)。

がしかし、( 数え間違いなければ )  442枚の推薦ディスクの約半数は 『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 には掲載されていない作品に差し替えられているし、中には『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』では人名辞典やディスク・カタログで取り上げられなかったミヒャエル・ナウラ ( Michael Naura ) のような人物を大きく紹介したりと、改定部分も多い。

更には、プログレッシブ・ロックやクラブ・ミュージックとジャズの関係まで論を広げて考究している章なども 『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』には無かった部分だ。

そういった理由で、『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』を買い逃したファンはもちろんのこと、すでに同書を持っているファンも新たに買うのに躊躇する理由はないだろう。
 
推薦ディスクをペラペラめくりながら、「これ持ってるぜ~、ヒヒヒ」、「こんなん知らねーぜ、くっそ」と、ひとり下品な悦楽に浸って欲しい。
 
そして、もしかすると本書を買うファンというのは、皮肉にも氏が忌み嫌うクラブ・ミュージックのファンやDJ らが多いのではないだろうかと、密かに思っているのだがどうだろうか。


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Re: ヨーロッパ・ジャズ黄金時代 / 星野秋男 著

Crissさん、こんにちは,monakaです。
朝起きてみたら、同じ題材に書かれているのでびっくりしました。
本日は部下の結婚式で先ほど帰ってきましたら、crissさんの文が伸びていてよく解りました。
星野さんの前の本は知らないので、今回初めて読みました。
ご同様に大変ありがたい杉田広樹氏の本の広がりかと思いましたが、そこは違っていました。
ただきちんとヨーロッパジャズの成り立ちを国別に論してらっしゃる所読み応えがありました。
私としては、その上でヨーロッパに徘徊した文化のつなぎ手たるロマについて、JAZZにも十二分に影響があるので、共通項として触れて欲しかった思い一言記事に書きました。
どちらにしても労作には変わりなく、変な太鼓もちでもない本気持ちよく読みました。
TBさせていただきました。

monaka |  2009/11/15 (日) 18:32 No.861


Re: ヨーロッパ・ジャズ黄金時代 / 星野秋男 著

monakaさん、今晩わ。
結婚式、お疲れ様でした。けっこう疲れますよね。

僕は昨日から先ほどまで、アルバイトの当直をしてました。
ちょうど、今、帰ってきたところです。

この記事は昨日から今日にかけて仕事の合間に少しづつ加筆して
仕上げました。日曜日は家族と一緒に過ごすよりも、当直していたほうが
自分の時間が作りやすいです。

本書と『 ヨーロッパのジャズ・ディスク 1800 』 を当直病院に持ち込んで、一日読んでいました。近年のヨーロッパのジャズについての考察が全然ないのが残念ですが、そのあたりは杉田氏に期待しましょう。

ネットでも欧州のジャズの情報は得られますが、やっぱり英語じゃなかったりする場合が多いから、限界がありますよね。だから本書のような情報ってとっても貴重ですね。

2800円は高いとお感じだったようですが、思えばCD一枚と同じでしょ。僕は逆に安く感じました。

というか僕らCDの値段に対する感覚がマヒしてますよね、絶対。

criss to monaka |  2009/11/15 (日) 19:51 No.862


こんばんわ。 
確かに仕事に疲れて家に帰ってきたら、激しい演奏は聴きたくないですよね。僕も家で聴くのはもっぱらエリス・ラーキンス等ですが、何故か時々ヨアヒム・キューンとか聴いてます。体に悪いとわかっていながらラーメンとか油物をたべてしまうのと一緒でしょうか?話題がそれた気がしますが、音楽も同じように同じアーティストやジャンルばかり聴いていたら飽きてしまいますよね。音楽も食事もバランスよく摂取する事が大事なんでしょうか。この本の著者の方が書いているみたいにロリンズ・パウエルを知らずラーシュ・ヤンソンしか聴かない人がいたら少し怖い気がします。ちなみにアレキサンダー・フォン・シュペインバッハって何者ですか?70年代のフリーなサックス奏者とかですか?それでは失礼します。

札幌少年 |  2009/11/16 (月) 00:11 [ 編集 ] No.863


アレキサンダー・フォン・シュペインバッハ

あっ、今日この本立ち読みしてきました!アレキサンダー・フォン・シュペインバッハはピアニストなんですね!ジョン・ハイダーなんかも載っていてなかなか勉強になりました。でもやっぱり現代のジャズに否定的な書き方がされているようにかんじました。それでは失礼します。

札幌少年 |  2009/11/16 (月) 23:22 [ 編集 ] No.864


Re: ヨーロッパ・ジャズ黄金時代 / 星野秋男 著

>ちなみにアレキサンダー・フォン・シュペインバッハって何者ですか?70年代のフリーなサックス奏者とかですか?

フリーですね。もしかするとフリーじゃないのもやっているかもしれませんが、僕もほとんどレコードもってないのでわかりません。

僕の中では globe unity orchestra のリーダーとしてのシュリッペンバッハなのです。このオーケストラは、フリー集団で、ピーター・ブロッツマン、アルバート・マンゲルスドルフ、ハン・ベニンクなど名立たるミュージシャンを含むバンドで、その手が好きな人々の間ではかなり人気があります。

僕も年に数回、聴きたくなる日がありますが、でもすぐ飽きちゃうんですよね。うるさいというよりも飽きちゃう、と云ったほうが正しいかな。

まあ、うるささも半端じゃないですが。次の日は一日中、耳鳴りがしてます。聴覚に変調をきたすかもしれないので、聴くときはあまり大音量では聴かないようにしているのですが、でも、この手の音楽は大音量じゃないとその良さが分からないし、難しいところです。

飽きるといえば、ここだけの話、僕、思うに、演奏する彼らこそ、実はとっくの昔にこんなフリーやるの、飽きているんじゃないかって、思ってます。
フリーって、聴き手より、演奏するミュージシャンのほうが先に飽きていると、絶対、思う。制約のない演奏って、長時間やるのつらいですよ。

まあ、youtube でも最近はGUOの映像が観れますので、暇な時に観てみてはどうですか。

criss to 札幌少年さん |  2009/11/17 (火) 20:11 No.866

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